短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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原作/恋愛/R17/ローは他の能力持ち


イロイロの実(モブ子シリーズ)

王下七武海となった新人、彼は今この場に居るわけが無いのに、何故か居た。

 

男は能力者で億越えだった。

 

平の海兵が向かっていっても敵うわけ無い。

 

彼の能力は同じ七武海のボア・ハンコックの食した実の能力に近い【イロイロの実】だ。

 

イロイロのイロは色香の略だろうとの海軍の見解。

 

石化が能力ではなく、色気半端ないって気持ちにさせられるらしい。

 

男──同性も異性も魅了されてしまう。

 

メロメロの実はハンコック自身で能力を強固させているが、新人は架空の生物インキュバス、又は淫魔に酷似している。

 

「一体新人の七武海がここに何の用なんだ…………?」

 

先輩が疑問に感じるのは当然だ。

 

ルシアは此処に配属されたのは最近であるから更に疑問は加速する。

 

勇士を抱いた指揮官の海兵がローと話す為に一歩前に出る。

 

【流麗の外科医】。

 

二つ名の付いた男の名を海兵が述べるとその視線が当然そちらに向く。

 

「視察をしに来た…………迷惑はかけねェさ」

 

「しかし──歓迎いたしますトラファルガー・ロー様」

 

他に言い募る言葉があっただろうにゆらりと違う感情に支配されたその顔に己の頬がヒクッと動くのを隠せない。

 

(躊躇なく使ってきたっ!)

 

先輩海兵が奴の手に落ちた。

 

「お前等も仕事をいつも通り続けてくれ。何、只の視察だしな。フフフ」

 

笑みを見せた瞬間、その場に居た全員が能力により魅力されてしまう。

 

かく言う自分も本来の気持ちとは逆を行く思考に髪の毛を後ろ手に思いっきり引く。

 

その痛さに涙がジワッと滲む。

 

(我慢、痛い、我慢!)

 

痛みと戦っていると傍に来るまで見逃した手が肩にスルッと這う感覚にギクッとなる。

 

魔の手が迫ってしまった。

 

「おれは町の様子を見に行く。こいつと、な」

 

「「「いってらっしゃいませ!」」」

 

能力によりピンク色に染まった思考で男達は二人居る内の女一人をいとも簡単に手放す。

 

ちっとは抗えよとムカムカする。

 

そのまま自然に外へ連れ出されて酒場に入らされるとVIPルームへ入り人払いするまでの見事な手際にぽかんとしてしまう。

 

(やっぱダメだ。逃げないと!)

 

漸く溶け出した緊張に固まったような感覚のする足をぎこちなく動かす。

 

彼と居るとまた能力を使われてしまえば為す術無く抗う事も出来ずになってしまう。

 

呪縛じみた気持ちのまま、フラフラと部屋を出ようとする。

 

「【フランベ】」

 

ローの低い男性特有の声音で聞こえてきたそれに瞬く間に体躯が動かなくなる。

 

この技名は良く彼が海兵や敵に使う体躯の自由を奪う為の能力だったと記憶していた。

 

「身体をゆっくりとこちらへ向けて、それから肩の力を抜け」

 

意志と同化した身体は抵抗知らずに言いなりへと成り下がる。

 

とても芳醇な香りがすると五感が揺れて身を委ねたくなった。

 

「いい子だ、フフ」

 

笑い声がするとこちらへと言葉にされれば言うことを聞く身体。

 

そのまま彼の誘導により膝の上に跨がる形で座り向き合う。

 

折角海賊から転身して海兵になったのにとまだ新しい記憶がふと呼び起こされる。

 

「海兵の制服も良いもんだ。背徳が感じられて」

 

彼は海賊だからか煽る言い方になる。

 

毛先を指で弄ぶ様子が映像に映し出されているかのような遠い錯覚。

 

「海賊から足を洗えば終いだと本気で思っていたのか」

 

くつりと喉を震わせる相手は言葉など必要ではないとばかりに言い聞かせるかの様に言う。

 

「愚かだな。早計だ。おれが七武海になった後に転身したならおれから逃げられたかもしれねェのに、なァ?」

 

いいや、逃げられない。

 

彼は能力でルシアに印を付けている。

 

一見タトゥーにしか見えない消せない代物。

 

「何度も教えた筈だ」

 

彼は印を付けた括れの後ろにある尾骨に近い箇所を擽る加減でツゥ、と意味ありげに人差し指の腹で撫でる。

 

吐息が無意識に吐き出される。

 

甘くて痺れる形容し難いそれにキュッと手先を強く握るとローは気付いているのに己の唇をそのままにこめかみへ近付けた。

 

赤い舌をほんの少し出すとネットリと軽く滑らせチリッとこめかみが疼く。

 

その実を宿した人間には唾液に媚薬が含まれる様になると文献で見ている為、男の行動心理が余計に理解不能に見えた。

 

一度は海賊として生きたがある日もう一つの前世と呼ばれる夢を見てから価値観が変化したのだ。

 

望んだわけでもないのに勝手に蘇ったそれには一時期苦心させられた。

 

今となっては苦々しい限りだが、海兵になれて給料も安定したしで良いこと尽くめであったが、それも今日までの話し。

 

ローが来てしまった。

 

自由に海軍本部を回れる権限を持つという武器を得たという事は、何を示すのか怖くて仕方ない。

 

海兵の異性達もアレでは宛にならない。

 

「く、は」

 

チチチとカッターを取り出し指先を押し当てようとすると、カッターが凄い早さで手から消えて横からカタッと壁に小物がぶつかる音が聞こえた。

 

ローからの能力に抗うには物理的な痛みを肌に与えて意識を戻す事しか出来ないのに。

 

悔しさにフツリと顔を下げれば待っていたのはねじ込まれる激しさのある口付け。

 

性急に思える程の息も出来ない猛攻に懐柔される精神。

 

耳を塞ぎたいのに防げない不埒な音に心の中で止めろと叫ぶ。

 

心が支配を若干逃れているが身体が違うのならそれは意味をなさない。

 

「はっ──唾液を飲んだお前は意識が手元に戻ってきてもおれから逃げられやしねェ」

 

その発言通り、ローが能力を解除しても手足が軽く痺れて動かない。

 

身体をくったりと男にもたれ掛からせるしか身の置きようがないのが遺憾だ。

 

「は、離して、いやっ」

 

束縛されると本能で感じてビクッとなる全身を腕で包む。

 

ローが望めばこの痺れを解毒させられるのを知っているだけに睨み付ける。

 

「解いて欲しけりゃ、分かってるだろ?」

 

クッ、と手足を掴まれ、はだけた胸板に誘導され、男の固い岩盤のようなそこにヒタッと指先が当たる。

 

湿っぽい体温すら香りが強くてクラクラする。

 

嗚呼、何故この男はこの悪魔の実を食べてしまったのか。

 

「言うべき事も理解してるよなァ?」

 

唇に固い指が這わせられる。

 

せめてもの反抗に最大のチカラで噛む。

 

しかし、能力により支配されている頬筋は甘噛みにしかなりえない。

 

「わ、わ」

 

『私を沢山愛して』。

 

それは印の合図だ。

 

それを言えば男の快楽も共有して全てが二倍になる。

 

その能力は使い方を変えれば驚異であろう。

 

見ていないところではどんな使い方をしているか等知りたくないけれど。

 

「愛、さなくて良い──!」

 

神経と体力を使い果たし、意趣返しは終えられる。

 

表情を動かせないがニヤリとなる出来だ。

 

ほくそ笑んでいると身体がドンと押されて向かい合って相席していたソファの背が背中に当たる。

 

ローに押しつけるように乗せられて今度は逆にルシアの太股に彼の身体が乗る体勢となった。

 

身長は歴然なので上に頭が有り身体の影が視界を薄暗くする。

 

舌舐めずりをした獣の唸り声が脊髄を通った。

 

「最高だよてめェは」

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