短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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実は現実だったという話ではない。本当にゲームの中


VRゲームハートの海賊団といっしょ

今のVRは凄いな。

 

その体験に対して思うことはそれだった。

 

どうやら海賊の一人になって色んな島を渡り冒険をするゲームらしく、VRの被り物を被るとフルダイブするタイプみたいで、とっても臨場感のあるもの。

 

やり始めて思ったのだが、些か海賊の船長が幼すぎる気がする。

 

私よりも歳下である。

 

しかも、激重な過去があった。

 

ストーリーモードがあるんだが、ゲーム内でシナリオを観覧した。

 

あまり読まない質なのだが、ゲーム内で無料でもらえる課金用のゲーム貨幣を得る為に読むしかなかった。

 

激重でゲームをやめようとした。

 

しかし、何故か止まらないしメンタル病むし。

 

今どきのゲームにしてはめちゃくちゃ不親切設計。

 

あとで改善案とかでメールを書こう。

 

ゲーム会社の人達だって無課金でも関係なく意見を通してくれるから、今回も通しやすいと願っている。

 

スキップさせて。

 

「おい、そっち行ったぞ」

 

「ま、待って、俊敏にポイント振ってないから、走るの無理」

 

ハートの海賊団というメルヘンな名付けをした彼らとの旅はとっても海賊だ。

 

ステータスには色々ポイントを振るのだが、今のところ手先の器用さをメインにしているから専ら雑用をしている。

 

良く頼まれるのは何故か食事の確保。

 

島に着いたらイノシシを追えと言われる。

海賊って結構追いかけるのだな。

 

「ロー船長。取ってきたよ」

 

「ああ」

 

旗揚げした時には私は居なかったけど、エピソード的にどうしてそうなったかは知っているから、置いていかれることはないけど、正直……興味がない。

 

そういうエピソードはやはりスキップできなくて少しムッとした。

 

推しのキャラのエピソードでもないと読む事はしないのだ。

 

「今日はイノシシ鍋だからね」

 

「イノシシといえば、お前は何故この船に乗ったんだ?」

 

イノシシとどう関係している!?

 

「この船に乗ったのは……シナリオ的に強制乗船だったのでは?」

 

そもそもの話、ゲームが海賊になって冒険するもの。

普通、こういうのって私が船長なんじゃないかな。

 

「お前の会話は良く聞き取りづらくなる」

 

キャラのエーアイは認識できない言葉があると、聞き取りづらいというセリフに変わる。

やはり今の技術じゃイマイチ会話が成り立たなくて不親切。

 

「私もまだ覚えてないゲーム専門用語が多くて気持ち分かるよ」

 

この世界観、半分オリジナルだからついていけないときが多い。

 

「また聞き取りづらくなった。喉の調子が悪いなら薬を処方する」

 

「あ、ありがとう。別に必要じゃないけどなあ」

 

喉の調子は悪くないからね。

 

やはり認識システムが中途半端。

 

アリアラは仕方ないなと薬を受け取り、仲間と設定されている彼らのところへ行く。

 

イノシシ、どうだった?と聞かれていつも通りだったよと語る。

 

ついでになんで船に乗ったのか聞かれて、なんで聞かれたのかと首を傾げたよと愚痴る。

 

私は逆に、ロー達にエピソードストーリー読んでくれとしか思わない。

 

説明するのって面倒だし。

 

面倒面倒、面倒ついでにこのゲーム始めたのはいいがゲームのスキルポイントの貯め方が酷い。

 

これ、所謂クソゲーに相当するのではないかと疑っている。

 

初めて既に結構経つのだが、どうにも俊敏があまり反映されてないし、スキルポイントだって、貯めにくい。

 

貯めたいのだけど、毎日ログインする時の課題を消費して貯めるというシステム。

 

こつこつやる方のゲーム。

 

ゲーム屋の中古で購入したけど、失敗した臭い。

 

失敗したかなあ、と思う。

 

そろそろログインするのやめよっかな。

 

仲間達とお肉を囲みながら1人思案する。

 

「食ってるか」

 

「うまいです」

 

「流石は良いイノシシですね」

 

美味しいです、と私も同調する。

 

ゲームだから無味無臭だし、噛んでる感覚もない。

 

砂を噛むという気にもなれない。

 

「お前のとってきたイノシシだ。一番食えよ」

 

「私だけじゃないので、気を使わなくてもいいですよ。わたし、一口でお腹いっぱいですから」

 

「いつまで経っても成長しねぇぞ。食え」

 

「データには実年齢入れたんだけど、何歳だと思われてるんだろ」

 

成長を期待する歳ではない。

 

あと、下手したらこのままでは、ローの年齢をいずれ抜くので、年下扱いされるのは気まずい。

 

今のうちに年下ではなく、年上ぶっておいた方が賢明かもしれん。

 

イノシシ肉を一切れ食べ終え、味のしないビールを飲む。

 

こちらもデータなので味がしない。

 

美味しくないー。

 

「なんだよ、もっと食えよ。相変わらず少食だな」

 

仲間達にも心配される。

 

製作者は酷い。

 

無味無臭に設定しておいて、ご飯を食べる量を相手に認識させておくなんて。

 

こんなの、誰が食べようと少食扱いになるに決まっている。

 

ロー達が次々話しかけてくるが、共感できないので適当にあしらう。

これが美味しいとか、タレがいけているとか、聞かされても困る。

 

「!」

 

突然、目の前にイベント広告が表示され、びっくりする。

 

どうやらなにか始まるらしい。

 

「夏イベ?水着か」

 

「水着?海に入りたいのなら、そこにたくさん海あるだろう」

 

「海王類に食われるわ!」

 

シャチにからかわれて突っ込む。

 

海王類に食われてゲームオーバーになったことは何度もある。

 

リスポーンしたら私の葬式をしていたという衝撃的なことをしていた。

 

遺体は残らないけど、良く死んだと分かったな。

 

何食わぬ顔で現れた私は、死んでも死なない存在として認識されるまで実に10回以上は、葬式をハートの海賊団は行った。

 

それ以降は葬式をやっている最中に気まずい思いをすることもなくなり、安心した。

 

「夏イベ、水着は船の中か」

 

「水着をそんなに見たいのか?」

 

「出来れば美女の水着が。麦藁の一味とうっかり合わないかな」

 

「お前はおれに恨みでもあるのか?あ?」

 

「そんなこと言って。ルフィくん、船長大好きじゃないですかー。モテモテで嬉しいですねっ」

 

ニコッと笑うと顔を怒りに染めた男が、アリアラを浮かび上がらせて、部屋の中でぐるんぐるんと洗濯機のように回す。

 

うっ、これ三半規管にキツイんだよね。

 

「勘弁してくださいよお、オエッてなるんでえ」

 

「船長の技を受けてもそれで終わるお前、いつ見てもスゲェわ」

 

ペンギン達が恐怖の滲む顔でローを見ていた。

 

んで、ローは怒りながらも水着を着て無人島で遊ぶことを許してくれた。

 

コンプライアンスなどというものは皆無な世界だが、船長が話がわかる人で良かった。

 

いや、待てよ?

 

話がわからなかったらイベントなど出来ないので、ゲームの強制力的に何かしら分からせられるほかないのかも。

 

「説明には、えっと」

 

無人島で木の棒を振るうこと。

スイカ割りをすること。

スイカは小道具としてプレゼントボックスにお送りしました。

 

「これでスキルポイント増えるかな?」

 

取り敢えずスイカ×10と書かれているアイテムを一つ取り出す。

大ぶりなスイカである。

 

「船長、スイカあるんでスイカ割りをしましょーよ」

 

「どこからスイカが出てきた?」

 

「私のプレゼントボックスからですが?」

 

「だから、プレゼントボックスってなんだ」

 

「運営からの支給品ですよ」

 

「もういい。永久に解けない謎っことだろ」

 

「謎扱い」

 

ローは疲れた顔で会話を切った。

 

「スイカ割りしますよ。船長もね」

 

「なんで、おれが」

 

「ポイント得られなかったらどう責任を取ってくれると!?貴重なんですよ!」

 

「ポイントってなんだ」

 

「相変わらず船長と仲良いなァ」

 

「おれも話したい」

 

ベポが羨ましそうに呟く。

 

どっちに対して羨ましいと思ったのかは、然程気にすることもないだろう。

 

アリアラは仲間達を誘ってスイカ割り10連続をこなす。

20人居るから余裕で課題を終わらせるのも容易かった。

 

「よし、スイカ割り達成」

 

スキルポイントを得られると、どれにいれようかなと計画を練る。

 

「走りに不安があるからやっぱ俊敏かな。5ポイントも入れてるのに早くなった感覚ないの、クソゲーになりつつあるのかも」

 

普通、ゲームでそれだけ数字を振れば、何かしら感じとれるくらい変わる程変化すると思うんだけど、全く変わらず。

 

スイカ割りと木の棒を振っていくのもこなす。

 

夏イベントは前半戦、ストーリーはどうなのだろうか。

 

このゲーム、スキップ出来ないからストーリー読むの億劫。

 

強制的な飲み物ほど入ってこないものはない。

 

しかし、体験型なのでやらねばならない。

 

砂浜でビーチバレーをするから来いよと誘われて、共にビーチバレーとやらをせざるおえない。

 

私はどんくさい船員扱いなので、粛々とビーチではなく、無人島でのボールを追いかける。

 

鈍臭いというより、ステータスのポイントが少ないので、周りよりも身体能力が低いだけである。

 

スイカ割りを満足げにする船員達に礼を言いながらバレーに興じ、跳ねる。

 

跳ねるといっても一般的なジャンプ力しか使えず、ろくに勝負にならない。

 

ええ、もうそりゃ、ちょびっと。

 

そこから毎日夏に関係するイベントアイテムが配布されていく。

 

花火とか、線香とか、風鈴とか。

 

線香はローにあげた。

 

恩人の人が亡くなっているとストーリーエピソードにあったから、使い方を教えた。

 

「夏に死者が戻ってくるってか」

 

「はい。ナスビとかきゅうりとかで乗り物を作って死者を迎えにいく為に作るんです」

 

「変わった風習だな」

 

「私の土地、島でも殆どやってる人は居ないですけどね。一応話的には残ってる程度には知ってますよ、皆んな」

 

「それをおれもやれと?」

 

「帰ってきて欲しいですよね?死者でも。私がナスビで馬を作るので、線香もどうぞ」

 

「分かった」

 

断られるかと思ったけど、やはりイベント関連になにかあるのか、断られなかった。

 

「ナスビできました」

 

「工作、下手すぎだろ」

 

「船長の図工に比べれば、誰だって鬼才ですよ」

 

「は?」

 

「いえいえ、いえいえいえいえ」

 

小声であったので、聞き流されて良かったあ。

 

「だが、あの人はきっと喜ぶ」

 

「頑張って作りましたから」

 

喜ばないならば私が目前でぶっ壊す。

 

イベントもそろそろ終わりかな。

 

ローにお呼ばれして近くに寄ると、更に手招きされた。

 

どうやら片手にビールがあり、顔がほんのり赤い。

 

酔っ払いだ。

 

「ナスが無くなっていた」

 

「えっ?」

 

詳しく聞くと置いた3日後には跡形もなく無くなっていたらしい。

 

それって、イベントアイテムが期限を終えたので、単純に消滅しただけだ。

 

「それは、それは……乗って帰って行ったってことですね」

 

いくらゲームのキャラクターだとしても、本当のことを言うのは憚られた。

 

なので、可能性が一番低い理由を吐く。

 

「そうなら、やっぱりナギナギの能力者らしいな。一言も言わずに見にくるだけ見にきて、帰ってくんだからな?」

 

「そうですね……来年はロー船長が作ればもっと喜ぶかもしれませんよ、ウマ」

 

「おれが?そうだな。おれの手に掛かればもっと安定的な鞍を作れるかもなァ」

 

「今からベッドの中にゴロゴロな石でも入れてきたって良いんですよ」

 

「ふふふ。そう怒るな。あの人がおれを見にきたと知れて、死者の帰還は良い風習とお前に教えられた。ありがとう」

 

「船長がお礼をいうなど、とんでもない。私はただ、故郷の風習を言っただけですから」

 

酔った彼は次の日、この会話を覚えているだろうか。

 

って、覚えていなくてもログとして残っているから覚えてないプログラムを与えられるだけだよね。

 

 

***

 

 

秋、ゲームをなんだかんだ進めている。

 

ほんの僅かだが、スキルポイントのステータスを実感出来てきた。

 

ここまで3ヶ月。

 

ユーザー離れしても、可笑しくないくらい遅い。

 

なにが酷いって、やっぱりポイントがなかなか貯まらない。

 

なんというか、もっとポイント欲しい。

 

バーンと強くなりたい。

 

現実ならばそんなの無理だろ、と笑われて終いだが、ここはゲームの中。

 

中古に売られていたフルダイブ、体験型VR。

 

こんなにスキルポイントの割り振り効率が悪いから、売り飛ばされちゃったんだな。

 

納得していると頭上からリンゴサイズのイガグリが栗注ぐ、じゃなくて降り注ぐ。

 

「痛い!いたたたたた!?」

 

「お、わりーわりー」

 

「シャチぃいいい!!」

 

軽い謝罪で許せる痛さじゃなかった。

 

知っている小ぶりなイガグリでも絶対に痛いのに、リンゴサイズとなれば痛さ5倍。

 

涙がぶわりと強制的に出てくる痛さ。

 

「でもお前、死に戻りするじゃんか」

 

「死に戻りしても!死に戻りするよりもダメージが低かったら痛いの!バカめ!」

 

死に戻りとダメージ負荷は何の関係もないっつーの!

 

私が死に戻るのはこの世界全てがゲームの中だからだ。

 

キャラクター達は超高性能AIだから、人と会話しているようなもの。

 

私の価値観では、だからこそ、取り返しのつかない発言はしないように決めている。

 

つまり、現実の人間と同じ態度で接する。

 

高性能AIに心があると思っている派だ。

 

そこに心はないと思う人達をなんてことない顔をして、出来れば関わり合いたくないと思うタイプ。

 

それが私だ。

 

どうして高性能AIを相手にしておいて、心はないと思えるのか分からん。

 

学校でも高性能AIはもう人間同様の知能、またはそれ以上と教えられているので、無碍に扱ってはいけないと道徳を学ばされているのにね。

 

「悪いって。詫びに好きなだけ栗食えよ」

 

「当たり前!言われなくても貰っていく」

 

ゲームとは言ってもネットに繋いだら世界は広がるので、キャラクター達の一部はそこが、ネットの世界だと気付いた、という研究結果もある。

 

「船長!栗貰いましたあ」

 

「盛大に頭から貰ってたな。見てた」

 

「見てたんなら、能力でブロックしてくれれば良かったのに」

 

「楽しそうに見えたけどな?フフフ」

 

「いや、フフフって」

 

笑ってんじゃん。

 

船長は栗を見て、剥いたらどうだと進めてくる。

 

さては、剥いた栗を横から掻っ攫う気だな?

 

ローの横で手袋をつけて剥く。

 

剥くというが、靴で踏ん付けて殻を取る。

 

「結構力いるんですよ、これ」

 

「コツも居るぞ」

 

彼はまるで経験者かのように言う。

 

きっと、どこかで採ったのだろう。

 

「エピソードにはなかったけど」

 

シナリオを殆ど読んだから、読んでないかもなと思い出す。

 

スキップ出来ない仕様だから、丸ごと読む気がないと、ストーリーなぞ読まない。

 

栗を全て剥くと、何にしようかなと悩む。

 

「炊き込みご飯か、栗の◎◎か」

 

色々あるな。

 

外部メディアを表示し、栗のレシピを検索。

 

サツマイモは結構あるけど、栗は色々必要で、下ごしらえとか手間らしい。

 

でも、ゲームの中の食材なので、料理ボタンを押すだけで簡単解決。

 

「レシピ連動すれば更にレパートリー増えるし、なににしよっかな」

 

スクロールしてレシピを決める。

 

栗の量は関係ないので、好きに選べる。

 

「栗のニンニクのオイル焼き、栗シチュー、栗大学芋風、これにしよ」

 

連動して、インストールした料理を選び、その場でボタンをポチッと。

 

演出が入る。

 

鍋の中だったり、オーブンの中だったり。

 

ハートの海賊団の船は割と最新機器を完備していて、調理道具も然り。

 

出来上がったものを食べようとすると、視線が後頭部に突き刺さる。

 

見なくても分かるよね。

 

そろりと横を見てしまう。

 

見てしまったのはやはり失敗だった。

 

「じー」

 

「じー」

 

「ジー」

 

「ダバー」

 

「おいクマ!よだれ!」

 

「お前だけリアクション独特なんだよ!」

 

「目立つんじゃねェ!」

 

「すみません」

 

みんなして愛のいびりをベポにしていた。

 

 

「「ジー」」

 

「(仕方ない)食べてもいいよ(物量は変わらないし)そもそも私にはあまり今のないものだし」

 

どんなにレシピ連動しても、味覚オフのゲームなので、私が食べたところでなんの恩恵もない。

 

「良いのかー!ありがとよ」

 

船員達はゾロゾロと料理の前にくる。

 

この世界はリアルなので、つい料理も同じように食べられると、いつものように勘違いしてしまった。

 

「うまー!」

 

「大学芋?風だな!」

 

「ニンニク効いててやばい」

 

「シチューに栗とか初めて食う」

 

どうやら、一人分だと思っていたけど、分量が結構ある前提のシステムらしい。

 

どうやって増えたのかな。

 

もしかしてキッチンに分裂しているのか。

 

私目線ではその謎は永遠に解けなさそう。

 

ローもサラッと混ざっていた。

 

栗を食べるように勧めた理由は、こういう流れになると予想していたからだろうな。

 

「相変わらずスズメの餌ぐらいしか食べてないな」

 

少食じゃなくて、味が実装されてないのだから、食べたくても食べられない。

 

「私はこれで十分です」

 

確か、ゲームのパンフレットというか、電子説明書にはヒロイン、主役、主人公、つまり私のゲーム内の設定が書かれていた。

 

「主人公は死にません。クローンとして細胞が一つでも残っている限り肉体は失われないので、死に戻りに似た蘇生が起こります」

 

電子説明書をあらためて読むと、他のゲームにありがちな設定だが、そうしないと中のキャラクター達が混乱するのだそう。

 

別にアンデットとかいうファンタジーの存在にしても可笑しくない世界観。

 

私的には、人間であろうとなくとも、関係ない。

 

ゲームに倫理観を持ち込むのはなかなか難解なことだろうし。

 

人間でいたいのなら現実にリターンすれば良い。

 

美味かったと喜ばれる栗メニュー。

 

食べられて良かったねと返しておく。

 

「今度はたけのこ取りに行こうぜ」

 

「私の住んでる、住んでたところじゃ、もう売ってない素材だ」

 

「たけのこ食べたことないのか?」

 

誰かに聞かれて「うん」と頷く。

 

もう少し昔ならそう言う人も居たとは思うけど、今は一部の場所でしか売っておらず、おせちでも注文しないと生涯口にしないような特殊なものとなっている。

 

「じゃあ!おれらか今度は料理して食わせてやる」

 

と、張り切って宣言されてから約半年、筍の自生する島を漸く見つけたと言われ、お皿に乗ったものを差し出され、無味無臭だが、何故か嬉しいと思った。

 

 

***

 

 

バレンタインをしましょう。

 

クエストが突如目の前に現れた。

 

普通に無視案件。

 

っていうか、なんで私がわざわざ配らにゃならんのだ。

 

ゲームイベント枯渇か?

 

私はこういう甘いテイストのストーリーが好きじゃない。

 

キャラクターに対して淡い気持ちなど抱いたことなどない。

 

どんなゲームをしていてもそうだ。

 

アイテムにそれらしいものが追加されていても、無視した。

 

寧ろ私が喰らってやる。

 

と、一口食べたけど無味無臭で空気を噛んだ音が響いただけ。

 

食べられるわけもなく、食べようとしたところを団員達に見つかり、全てテーブルに置き勝手に持っていくことを伝える。

 

それはローも例外じゃない。

 

わざわざ、個人に持っていくなど愚の骨頂。

 

「こういうイベントの時は鳥肌もののセリフが出てくるから、関わらんとこ」

 

と、絶対に自分の手から渡すことをしない。

 

そうだ、今日はゲームやめよう。

 

せめて1ヶ月はログインしなきゃ、バレンタインイベをやらされることもないだろう。

 

「帰ろう帰ろう」

 

帰ってドラマの続き見よう。

 

1ヶ月後、ホワイトデーイベントが開催されていて、崩れ落ちた。

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