短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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祓いしちゃん

──ガガガガ

 

私、高校三年になる普通の。

 

──がしゃん

 

普通の女子高生。

 

──ギャアア

 

兼、祓い師。

とはいっても好きで祓い師になったのではなくやむ終えず。

でも、最近高校で噂を鵜呑みにして変な儀式をする人が増えて予期せぬ仕事が舞い込んでしまい、学業に支障が出ている。

ので、今は休業している。

もっとうでの良いベテランでも派遣されるだろうと放置している。

学校で一度こういうのが流行ると際限がないので、構ってらんない。

 

しかし、学校全てが怪異に覆われるという大規模な事件に巻き込まれてしまう。

因みに己のクラスは異世界転移に巻き込まれて全員今頃異世界だ。

こういうのは異世界部門が担当するので自分には関係ない。

今は怪異に誘われうようよ居る怪異の駆除を優先せねば。

 

「スノウ!早くしないと間に合わないよ」

 

どこかの星のプリンスみたいな甘い声なのにぬいぐるみがくどくど急かす。

このぬいぐるみはれっきとした王族らしいが出会った頃から胡散臭いので疑っている。

 

「わかってるよ」

 

しかし、便利なので今のところ聞くことはしまい。

便利なので。

 

「さぁ、このステッキを」

 

和風のホラーなのに途端にファンタジーでカラフルなポップであるてらてらしたぷりぷりなステッキを目の前に出されて躊躇する。

決して私はクラスの中心人物になれるような性格でもなく、クラスの端にいるような目立たぬ女。

こんなものを制服で振っているのを見られた日には全員の記憶を焼き払おう。

 

ぎゃあぎゃあと耳にダメージを与えてくる不浄の存在にステッキを振りかざす。

しゅわしゅわとわたあめみたいに消える。

それにしてもこの異変、昨日辺りにどこかのバカが夜中に学校で大人数のなにかをやったのかもしれない。

こんなことにならないと反省しないのでは記憶は消さない方が良いのかも。

やらせないためには記憶はあった方が抑止力になる。

それにしても、多くてとてもではないが無理だ。

そうそうにギブアップを感じて中断する。

 

プリンスが休憩している暇はないというが、ブラック企業ですとでも言いたいのか。

暗黒面に属した目でぬいぐるみをじとりと見る。

 

「私がなんでアホやらかした人達の尻拭いをして、それで休憩するのも許されない?」

 

ぬいぐるみとの契約を忘れたのか、と質問する。

福利厚生などをホワイトでどんな時でも約束すること。

助ける助けないも自由というものの為にこんな風に浄化して回っているというのに。

バカにするにも考えが足りないというのか。

ぬいぐるみプリンスはうっと言葉に詰まる。

約束の契約が思い出されたのだろう。

体育座りをしていると影が見えて、人形としるとステッキを手にして前へやる。

面倒になってきた。

 

「これが終わったら廃業だよ」

 

「そんなっ、困るよ!」

 

「プリンスの困るって大袈裟なんだよね」

 

このステッキは適正レベルがあって、プリンスの出会った中で私が一番適合しているらしい。

その条件が人をバカにしていて、妄想の強さがあるみたい。

つまり、空想を考えるのが得意なという。

こんなの知れたら全員炭火焼きハンバーガーになってもらわなきゃ。

とはいっても政府は知ってるみたい。

廃業になったら政府と政府にあるデータを全てなくすつもり。

恥ずかしくてやってらんない。

なんだ妄想の強さって。

乙女心と言え。

 

「あ、ローの気配」

 

空気を変えようとしたプリンスは関知したことを伝えてくる。

 

「えっ、えー」

 

咄嗟に髪型を整える。

 

「来たよ」

 

その台詞と怪異が大量に滅されるのは同時。

 

「どこか怪我はしてねェよな」

 

声と姿も鮮明にうつる。

祓い師として自分の方が長いのに実力では上を行くローにうん、と答えるのが精一杯。

彼はトラファルガー・ロー。

高校二年の他校の子。

年下にフォローされることには何とも思わないけれど、心がキュンとする。

そういうことだ、そういう。

しかし、今は怪異をぶっ飛ばす仕事なのでローに乱暴なところを見せ続けなくてはならないのが苦しい。

この仕事止めたい。

これが終わったら某有名店のファーストフードを食べに行こうかと言われてやる気がみなぎった。

乙女心の強さは凄いとプリンスは思った。

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