短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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トリマー


はちみつのあじ

ローさんは私の彼氏だ。

彼氏という事以外にも意外なことがある。

 

「まさかローさんが……トリマーだったとは」

 

「つーか何でここいんだ」

 

「たまたま立ち寄ったからですよ、ペットショップに」

 

たまたま立ち寄った店でローさんがエプロンを付けて犬の毛をカットしていた。

そりゃもうびっくり。

だってまだ恋人になって二週間しか経ってないんだから仕事を詳しくは知らなかった。

秘密主義が主成分みたいな彼は本当に色々とわからなかったことが多くて最初は戸惑ったが、これで謎が一つ消えた。

 

「ローさんのエプロン姿に萌えました」

 

「……誰にも言うなよ」

 

「私の彼氏は何の仕事をしているのかって聞かれたらどう答えればいいんですか?」

 

「そうだな……誇りある仕事って言っとけ」

 

「怪しさ百パーセントですね。別れた方が良いって説得されそうです」

 

「…………怪しい仕事じゃねェって言っとけ」

 

「余計に怪しくなりました」

 

会話がおかしな方向に向かいそうな中、ユエはペットショップの主役達を眺めた。

 

「かわいーな、子犬」

 

「好きなのか」

 

「はい。ローさんがトリマーなんでもっと好きになりました」

 

そう言うとローさんはびっくりしたように目を見開いて向こうを向いた。

 

「お前な……本当に天然」

 

「よく言われます」

 

ローさんと付き合ったのは偶然出会う機会があったから。

その時、何回か話して気があった。

 

「恥ずかしい台詞、よく言えるよな」

 

「?……どこが恥ずかしいのかわかりませんが……」

 

「はぁ……わからなくていい。おれだけわかってれば十分だ」

 

「?……はい」

 

取り敢えず頷いておいた。

ローさんは切り終えた犬をゲージに入れると少し待っていろと私に言い残し店の裏へ入っていく。

言われた通に犬や猫をガラス越しに眺めながら待つ。

 

「行くぞ」

 

「え?……あ、私服」

 

「仕事が丁度終わったからな。今から食いに行くつもりだが、もう食べたか?」

 

「いえ、まだです。私もお腹ペコペコです」

 

お腹を押さえて空腹を訴えるとローさんは喉で笑って私の手を握った。

 

「くくく……じゃあ腹いっぱい食わしてやる」

 

まさに楽しげに笑みを浮かべるローさんの手の温もりにドキッと胸が跳ねた。

こんなに優しくてかっこいい人が自分の彼氏だなんて今でも信じられない。

 

信じられないから私はギュッと確かめるように手を少し強く握ってみた。

 

「……!」

 

「あの、ダメ……でしたか?」

 

「そんなわけないだろ……むしろ大歓迎だ」

 

私よりも強く握ってきたローさんはニヤリと笑う。

不適な表情に顔が赤くなり俯いた。

 

「やべェな……」

 

「え……?」

 

「なんでもねェよ」

 

ローさんは私の顔を見ずに向こうを向いて顔を手で覆った。

その時、赤い耳が見えたことは私だけの秘密にしようと思います。

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