短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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アホアホの実でもお食べになりましたか?


アホな幼馴染

こんにちはの時間に起きてきた私は慣れた足どりで食堂への道を進む。

途中で扉が開き半裸の我らが船長が現れた。

いや、訂正しておこう。

彼は半裸ではなく全裸一歩出前手前だ。

 

 

「船長おおおお!?ズボン履いてえええ!!」

 

 

目を手で隠しつつ叫ぶ。

するとローは「昨日女とヤってたから履いてねーんだよ」と言い訳を言うが貴方のその脱ぎ癖は昔からだよ!

と内心ツッコむ。

ていうか私の前でそういう話を持ち出すなどポリシーがなってない。

もう地獄に沈んでしまえ。

 

 

「どうしたの?ロー」

 

 

と部屋の奥から姿を現したのは下着姿の女の人。

つい二日前にローが船に乗せると言って乗船した娼婦だ。

もうお約束かと思うほど性格は高飛車でプライドが高い。

ベポと私は初対面であ、この人嫌いかも、と感じて意図的に近づかないようにしていた。

だが、恐らく彼女はまだ知らないであろう。

ローが、ドのつく程のアホだということを。

未だにトランクの姿で筋肉質な腰に手を当てているローは後ろを向き面倒そうに言った。

 

 

「気安く名前を呼ぶな。数回ヤっただけで彼女面すんじゃねェ」

 

「なっ、だ、だってあのときは……!」

 

「お前が勝手に呼んだだけだろ。許可した覚えはねェ」

 

 

また始まったと女の人を憐れに思う。

ローは女をただの道具としか思っていない。

それで勘違いした女の人は泣いたり癇癪を起こしたりする場面をもう何度見たことか。

彼は本を逆さにして読んでいたり、いつの間にか服を脱いでしまったりとアホの申し子だが何故か女関係はリアルで生々しい。

そんな中で私が普通に接している理由は単純に幼馴染みという関係だから。

顔を真っ赤に染めた女は声を上げてローに文句を言うと荒れながら廊下に消えていく。

 

 

「ロー、邪険に扱うのはやめてって何度言えばいいの?ここは海の上なんだから、空気が悪くなるでしょ」

 

「あの女の早とちりだ。おれに非はねェ。それより今から食いに行くんだろ、おれも行く」

 

 

懲りないローは先程の修羅場を既になかった事にして部屋に戻っていく。

待ってろと安易に言われ待つこと五分。

そろそろ出てきていいころなのに出てこない男に首を傾げ中をそろりと覗く。

そこには手鏡片手にリップを塗る男がいた。

 

 

「乙女か!いやいや何してるのかなローさん!?」

 

「これから洗顔タイムだからもう少し待て」

 

「だから乙女か!じゃなくてそんなことは今はやらなくていいからっ、先に食べようごはんを!」

 

「顔マッサージしてからじゃねェと外に出られねェ!」

 

「お願いだから死の外科医のイメージを守って!後生だからあああ!!」

 

 

 

 

起きたばかりに叫ぶのは辛い。

だが引き摺ってでも連れていこうと攻防すること十分で漸く食堂に入れた。

息を乱しながら席に座れば椅子にしては柔らかい感触とデコボコした座り心地に下を向くと豹柄のジーンズが見え後ろを見る。

 

 

「……………何で私が座る場所に座ってんの?ロー」

 

「痛くないだろ?」

 

 

それと何の関係があるのだろうか?

疑惑に満ちた目を向けていれば然も凄いだろうとばかりにフッと笑う船長。

 

 

「硬い椅子の上なんておれの太ももと比べりゃあ天国だ」

 

 

それはローの頭の中が天国って意味合い?

いつ私が椅子の固さにクレームつけたんだと言いたくなる。

でもローは思い込んだらなかなか頭を切り替えない。

でもまぁ私の為に椅子になってくれた気持ちは嬉しい。

でも、先程からローと言い合ったあの女の人がこちらを凄い目付きで睨んでいて恐いからもうそろそろやめて欲しい。

何も知らない人間が見たらただイチャイチャしているようにしか見えないだろう。

向かい側にいたペンギンが苦笑しながら話し掛けてきた。

 

 

「また船長やらかしたのか」

 

「うん。お陰で昼から修羅場見ちゃって」

 

「お前も紅一点ながら苦労してるな」

 

「あはははは、」

 

 

乾いた笑い声を出すとローがまたアホなことを言った。

 

 

「これじゃあおれ動けねェじゃねーか、非常事態だリーシャ」

 

「…………………………」

 

 

 

やっぱりアホな幼馴染みでした

 

 

 

娼婦の女の人が前の島で降りて安堵の日常が帰ってきたと嬉しくて泣きそうな私にはまだ試練が残されていたなどキッチンに向かうまで思いもしなかった。

喉が乾いて水でも飲もうかな、と扉を開けると先客がいて何かをやっていたので声をかける。

 

 

「ロー何やってんの?」

 

「米磨いでる」

 

「米を洗ってるのか、へえ………………………は?」

 

 

今ローは米を洗っていると答えて一瞬だけ感心したが途端に嫌な予感を覚えそろそろと彼の隣に近付き容器の中身を見ると………………泡立っていた。

 

洗うのやめてええええええ!!!

 

大声で叫ぶとローはキョトンとした顔をして何でだと聞くから取り敢えず何を容器に入れたのかと尋ねてみれば案の定隣に置いてあった皿洗い用の洗剤を指したので素早く彼からもう食べられないとした米を容器ごと奪う。

ローは訳が分からないと不機嫌になるがお米を洗剤で洗うなどやってはいけないことなのだと言うと当人は暫し黙り洗剤のボトルを手に取ると裏に記入された説明書きを読む。

そして元あった場所に戻すと一言。

 

 

「洗剤は汚れを落とす成分があるって書いてあるぞ」

 

「意味ちがああああう!!」

 

 

確かに汚れを落とすが食べ物に使うものではない。

米一つ洗えない男に洗剤と米研ぎの解説や説明を小一時間かけてやった私はよくやったと思う。

 

 

 

 

 

朝からくたくたな説教をしてやっと落ち着いたのは昼頃だった。

本当にローはブレないアホだと思う。

そんな男を放っておけずにあれこれ世話を焼いてしまう自分も自分だが。

だがまだ自分に第二の試練が待ち構えていることなど知らない。

 

 

「カッパ釣り上げるぞお前ェら!」

 

「おおおー!!」

 

 

甲板の真ん中に立ちローと共に腕を逞しく上げて雄叫びを上げる船員達をただただ呆然と見ているばかり。

誰だローにカッパなんて空想かつ伝説の生物を教えた人間は。

そんな面白いカッパなんぞ教えた日には正に今起こっている事が起こるというのに。

なんて頭の中で思っていると各自釣糸を垂らし始めたアホな男達。

船長がああなら船員もこうなんだろうか。

元々彼等はトラファルガー・ローが大好きだからこそ入団したのだから 仕方がないと言えば仕方がないのだが。

ペンギンもやはり垂らしていてベポはヨダレを垂らしていた。

どう見てもアレだ、カッパを食べる気だ。

お腹を壊すかもしれないのに。

いやその前にあの生物はそもそも存在しないのだから無理だろう。

唯一考えられるのは悪魔の実を食べてカッパになった能力者だ、良くて、の話しだが。

そんな都合の良い実もない現代はきっとこの捕獲作業をしている彼等にとって世知辛いものになるだろう。

そして、世知辛さを実感した彼等はまたまた変なフォローを計画したりする。

 

 

「やべー、やべーんだよ。何がやべーってカッパなんていないのに船長が釣れると思い込んでることだ」

 

 

シャチが船員達と私を集め円卓を囲んでいた。

因みにローは疲れたのか自室で寝ている。

やっと事のいい加減さに気付いた男達は何か良い案はないかと相談し始めた。

私は率直に事実を話せば、と言ったが全員が一気にグワァ!とこちらを凄い形相で見てきたのでびっくりする。

シャチが「船長のピュアな心を踏みにじる気かっ」と言ってくるがローはぶっちゃけもう二十四だから教えて上げた方が後から恥をかかなくて済む。

それにこんなことで航海が妨げられるのであればローは海賊王何かになれない。

妖精がいるお花畑にでも永住するといい。

 

 

「と、いうわけでシャチにカッパ役をしてもらうことになった。はい全員拍手だ」

 

 

自分の世界に浸っている間にシャチは床を濡らし泣いていてペンギンはなに食わぬ顔で仕切っていた。

パチパチと周りが拍手していくので私もやっておく。

何となく予想がつく内容に最早ツッコむ気力は湧かなかった。

 

 

 

どうやら作戦が始まるようです

 

 

 

 

 

作戦はこうだ。

まずシャチが書物に記されているカッパの扮装をする。

頭にはお皿とギザギザに切り緑に塗ったシャンプーハット。

背中には円く大きめのボールをコックから借りて緑に塗った亀の甲羅擬き。

手足には潜水する時に使う水掻きと背中の中には水中で使う水中ボンベ。

それらを装着したシャチを見て全員ゲラゲラと笑う。

 

 

「笑うんじゃねーっ!」

 

 

顔を赤くしたシャチは格好がつかない姿で怒るので更に笑える空気を誘発してしまう。

一頻り笑い終えた集団は早速作戦を始め各配分された地点へ行く。

ローはバカだからまぁ失敗することはないのだが、ある意味命を掛ける人間が出るだろう。

 

 

「ロー。ロー起きてっ」

 

 

先ずはローを起こす担当の私から。

ゆるゆると優しく起こし目をうっすら開けた彼に焦り気味に教える。

 

 

「カッパ、さっき見かけたんたけどっ。ロー探してたんで」

 

「何してる早く行かねェと遠くにいっちまうだろ!」

 

「うわあ、はやー」

 

 

能力でさっさと扉の所へ移動したようでベッドはもぬけの殻。

思わずその俊敏さに半眼になりながら付いていく。

いつもそのくらいシャキッとしろよ。

というツッコミを済ませる頃には潜水艦の外へ出た。

待機していたシャチが飛び込んだ音にローは直ぐに反応し手すりの方向へ走り寄る。

リーシャも見ると既に何もなく気泡もなかったが彼は興奮したように叫ぶ。

 

 

「おい見たか今の!」

 

「一歩惜しかったから見てない」

 

「今確かに緑色の甲羅が見えたぞ!あれは間違いねーっ。カッパだ!」

 

他の海賊団に転職したい。

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