「前方に海賊船を確認!こちらへ向かってきています!!」
ルーキーであるユースタス・キッドの船の見張りから敵であろう者が迫ってきていることが容易に想像できた。
「だそうだ、キッド」
この船の船長に話し掛けるマスクを被った男、殺戮武人キラーはキッドの言葉を待つ。
「はっ、とんだ命知らずだな」
キッドは鼻で笑うと椅子から立ち上がった。
「野郎共!存分に暴れろ」
その一声で周りのクルー達は一斉に戦闘の準備を始める。
そして二つの船がお互いに同じ位置に着いた時だった。
「相変わらず血の気が多いな、ユースタス屋」
「てめぇかトラファルガー」
もう一つの船はキッドと同じくルーキーと巷で騒がれているトラファルガー・ローだった。
お互いに船長とクルー達に険悪なムードが立ち込め始める。
「お頭~、海賊船が近づいてるって本当です……か?」
そんな時キッドの船の扉から、この場に似つかわしくないコロコロと鈴の音のような声が響いた。
「ちっ……リーシャ!てめぇ、勝手に出てくるなっつっただろうが!」
「うっ、すすすいません!」
リーシャと呼ばれた女性はこの船の雰囲気と全く異なった服装で慌てて謝っていた。
「お前……看護師か?」
「あ、はい……」
リーシャは突然トラファルガーが話し掛けてきたことに戸惑いつつも言葉を返した。
「おいリーシャ!返事すんじゃねェよ!!」
「ご、ごめんなさい、お頭ぁ!」
キッドに怒られたリーシャが恐縮していると
「ROOM」
キッドの目の前にいたリーシャが一瞬で樽になる。
「えぇ~!」
すぐにトラファルガーの能力だと理解したキッドはびっくりして叫んでいるリーシャの体を抱いている主犯を睨みつけた。
「なんのつもりだトラファルガー……」
「フフ……そう睨むなユースタス屋ァ、ただこいつが気に入ったから貰っていくだけだ」
「は!?ちょ、待ってください!私の意見は……!」
リーシャが言い終わる前にキッドは、させるかよ!とナイフを投げてきた。
しかしトラファルガーはそのナイフを軽く避ける。
「クク……じゃあな、ユースタス屋」
トラファルガーはそう言葉を残すと潜水艦へと仲間共々と入っていく。
「キラー!」
「わかっている」
キラーはリーシャの後を追おうとするが、扉が閉まった瞬間、船が浸水していった。
「遅かったか……」
キラーは呟きながらキッドのところへと戻っていった。
「絶対逃がさねェ」
キッドの言葉は誰にも伝わることなく海に溶けていった。
その頃のハートの海賊団。
「あの……下ろしてもらえますか……?」
「あ?……そうだったな」
ローはそう言うと、リーシャを自室のベッドへ下ろした。
「あの、なんでこんなことを……?」
「ちょうどナースが欲しかったんだ」
「は、はぁ……?」
リーシャはローの言葉に曖昧な返事をする。
「それに、お前自身も欲しかったからだ」
「はぁ……え?」
リーシャは驚きを隠せないままローの顔を見ると、本人は、嫌か?とニヤリと笑う。
「っ、いえ、あの。実は貴方を手配で見た時から知っていて……それで」
好きになりました。
リーシャがそう呟くように言うとローは彼女の頬にスルリと手を滑らせた。
「クク……じゃあ交渉成立だな」
「はい……」
リーシャが返事をするとローは彼女の唇に自分のそれをゆっくりと重ねた。
真実と喜びと複雑
(じゃあ続きはベッドでするか……)
(ええ!?)
(優しくしてやる)
(一気に飛びすぎです!)