短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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過保護な貴方も困りもの

「ねぇねぇパパ、今日は絵本読んでくれるの?」

 

「……あァ」

 

「え!サラだけずるいぞ!おれもしてほしい!」

 

「シンはさっきパパと木刀で遊んでたでしょ!」

 

ハートの海賊団の船に元気のいい双子の言い争いが聞こえる。

 

パパと呼ばれる男は、その若さにおいて2億ベリーという懸賞金を首に掛けられている海賊の船長、トラファルガー・ローである。

 

「ふふ、ローパパは今日も人気ね」

 

子供の喧嘩を見ていたローの視界に現れたのは双子の母親であるリーシャだった。

 

「あ、ママ!」

 

「どうしたのママ?」

 

二人の子供が母親の腰に抱き着く。

 

「もうそろそろ島に着くって伝える為よ」

 

「もうか……」

 

「ええ」

 

ローは座っていた樽から立ち上がると愛しい妻の腰を抱き寄せる。

 

「パパだけずるいぞ!」

 

「シンだめよ!“妻は夫の物”なんだから!」

 

どこで覚えたのか、双子の姉であるサラがそんな発言をしたことにローが尋ねる。

 

「サラ、お前どこでその言葉を聞いたんだ?」

 

「昨日の夜にキャスケット達が話してるのを聞いてたの」

 

サラの言葉にローは、あいつらにはお仕置きだな。と呟いた。

 

「ロー……貴方悪い顔してるわよ……」

 

リーシャが苦笑いしながら指摘するとローは、クク……と笑う。

 

「元からだ」

 

ローがそう言うと見張りが、島に着いたぞ!という声が聞こえ、リーシャと子供達は留守番をするために自室へ戻りロー達を見送る準備をする。

 

「行ってくる」

 

「いってらっしゃいパパ!」

 

「お土産忘れないでよパパ!」

 

「フフッ……わかってるさ」

 

我が子の頭を撫でたローは妻の方を見る。

 

「気をつけてねロー、皆も」

 

「あァ」

 

クルー達も口々に言うとローは彼女の頬ではなく唇にキスをした。

 

キャス「相変わらず見せつけてくれるぜ」

 

ペンギン「全くだ」

 

ベポ「でも船長も嬉しそうだね」

 

ベポの言葉に二人のクルーは、そうだな。と暖かい目で4人を見た。

 

「ちゃんと留守番してろ。護身用の銃は持っているか?あァ、電伝虫も……」

 

「もうパパ!それはちゃんとわかってるからァ!」

 

「そうか、ついな……」

 

こうゆう時のローの過保護っぷりにはさすがの妻や双子、クルー達も苦笑いせざるおえない。

「行くぞ」

 

ローの言葉を合図にクルー達は船を降りていった。

 

 

 

***

 

 

 

「ママー!これはどうするのぉ?」

 

「それはあそこに置いてね」

 

「あーい、」

 

ロー達が町に出ていった後、リーシャ達は自分達の部屋であるローの自室を掃除していた。

 

そんな時だった──

 

 

「敵襲だぁ!!」

 

見張りの声が聞こえリーシャは二人をベッドの隅へ移動させる。

 

「お、お母さん……」

 

「お父さんいないのに!」

 

怯える双子をリーシャは優しく宥める。

 

「大丈夫よ。パパがきっと助けにきてくれるわ、だからなにがあっても絶対に声を出してはだめよ」

 

母親の言葉にサラとシンは涙ぐみながらもしっかりと頷く。

 

そんな子供の頭をリーシャは、いい子だと撫でる。

 

「ママはちょっと様子をみてくるわ」

 

リーシャは立ち上がるとテーブルにあった護身用の銃を持ち部屋を出る。

 

 

 

***

 

 

 

リーシャはクルー一人いない廊下を歩く。

 

おそらく全員戦闘で外に出払っているのだろう。

 

「私があの子達を守らなくちゃ……」

 

海賊船にいる限り、何度でも危険が伴う。

 

リーシャが小さく呟いた時だった、突然視界に人が写りリーシャは銃を構える。

 

「あ?女ぁ……?」

 

そこにはローよりも体中に刺繍がある長身の男。

 

その男はリーシャを見て怪訝な顔をすると、銃に目を向ける。

 

「おいおい……そんな物騒な物を……」

 

男が言い終わる前にリーシャは、ズガン!と男の横にある壁を打つ。

 

すると男の目つきが鋭くなる。

 

「へぇ、ただのお飾りで持ってるわけでもなさそうだな」

 

「当たり前」

 

男の言葉にリーシャは淡々と答える。

 

それに対して男は「気に入った」と言うとリーシャの銃を蹴り落とす。

 

「っ!」

 

(速い……!)

 

リーシャが驚きに隙ができると、男はリーシャの溝に一発入れる。

 

「うっ!」

 

「よかったね、おれは女殺さない主義なんだよ」

 

男の言葉を聞きながらリーシャは朦朧とする意識の中で最愛の夫の姿が過ぎった。

 

「ロー……」

 

「おい!リーシャっ!サラ!シン!どこにいる!」

 

船に残っていたクルーから敵襲だと電伝虫から伝えられたおれは、急いで船へ戻ると、クルー達がほとんどの奴を倒した後に船が離れて行ったと聞きくとリーシャと子供の安否を確かめるように叫ぶ。

 

だが反応がない。

 

「くそっ!」

 

すべての部屋を探したが誰一人見つからなかった。

 

 

 

***

 

 

 

「帰して……」

 

「まだそんな事を」

 

「っ!」

 

リーシャは悔しさに唇を噛み締めた。

 

そんなリーシャの両脇には双子の子供が。

 

私が気を失った時に連れてきたのだろう。

 

子供を守れなかった……。

 

リーシャは男を睨む。

 

「無駄無駄」

 

男は嘲笑う。

 

「マ、ママぁ!」

 

「大丈夫よ、シン。必ずパパが……」

 

「ガキは黙ってろ!」

 

男の声に二人は泣き出す。

 

「っ、この子達だけも逃がして……」

 

リーシャは子供を抱える手にギュッと力を入れる。

 

「だめだ。そのガキは人質なんだよ?」

 

口調は柔らかいのに目が冷たい。

 

リーシャがどうしようと思案を巡らせているときだった。

 

「せ、船長!」

 

「なんだ」

 

クルーらしき男が部屋に駆け込んできた。

 

「ハートの海賊団が来ました!!」

 

「早いな」

 

リーシャはその言葉に密かに安堵する。

 

二人の子供も同じように笑う。

 

その時だった──。

 

──ドカッ!

 

「ぐあっ!」

 

今しがた扉の前にいた下っ端の男は呻きながら床に倒れ込んだ。

 

「返してもらおうか」

 

「ロー……!」

 

「「パパ!!」」

 

どうやらローが気絶させたようだった。

 

「ぐっ……させるわけにはいかないなっ!」

 

男は剣を抜いてローに切り掛かる。

 

──ガキン!

 

刃と刃が交差する。

 

「何枚に卸されたい?」

 

ひやりとする声

 

だがその金属音が聞こえなくなるのは時間の問題だ。

 

「なっ!?」

 

ローが能力を発動して相手がバラバラになるのを見据えるとローは私達の元へと歩み寄る。

 

「パパっ!」

 

「怖かったよぉ!!」

 

「頑張ったな。えらいぞ」

 

涙ぐむ双子をローは優しく迎え入れる。

 

そしてローは私に顔を向けて、双子を抱いたまま私ごと抱きしめた。

 

 

 

***

 

 

 

「パパ!絵本読んで!」

 

「サラだけずるいぞ!僕も!」

 

いつもの光景にリーシャは口元を緩める。

 

「わかったから今から言うことに答えろよ?」

 

「「はーい!」」

 

 

ローは何やら真剣な表情で二人を見据える。

 

「シン、サラ、この前みてェに誘拐されることがまたあるかもしれねェ。だからお前達はそれぞれ自分達に合った戦闘術をおれが教えてやる。わかったか?」

 

「わかった!」

 

「もちろんだよパパ!」

 

なるほどね。

 

リーシャはローの言葉にこれからの色んな危機に備える準備をさせるのだと察した。

 

本当は戦闘なんてさせたくはないが、これも生き残れるようにするための教訓だ。

 

私がそう考えを巡らせているとローはふいにニヤリと笑って子供たちの頭を撫でる。

 

「えらいぞ。ご褒美に欲しいもん買ってやる」

 

(ローも所詮我が子には甘いのよね……)

 

ローの言葉に苦笑いしながら子供に目を向けると、二人はお互い顔を見合わせ同時に声を揃えた。

 

 

 

 

「「兄弟がほしい!!」」

 

過保護な貴方も困り者

 

 

(なぁっ!!)

 

(そうか、なら楽しみにしとけよ?)

 

((うん!))

 

(なに言ってるのっ!?)

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