小学生から片思いしている女がいるなんて知ったらきっと悪友の赤チューリップは馬鹿にするのだろう。
「え~、そうなの?」
「まァな」
くすくすと笑うマリリはまだ小学生のあどけなさを残すが中学生の女らしい体型や顔付きになり綺麗になったと思う。
ローはもう中学二年生だが今だ彼女に思いを告げる事ができなかった。
今自分の視線の先には同じクラスの男子と楽しげに話す彼女の姿でありローはそれに黒い醜い感情が胸を支配するのを感じ無意識にマリリの名を呼ぶ。
「どうしたのトラファルガーくん?」
「資料室にこれ持っていくこと忘れてるだろ」
「あ、そうだった。ごめんね、私も当番なのに」
「…………行くぞ」
素直に謝られ少し罪悪感が生まれ目を合わさずに歩きだせば彼女の足音も一歩後ろから聞こえた。
「ここに置いとけばいいよね」
「そうだな」
資料室に着けばドサリと紙の束を机の上に置き一息つくとマリリの後ろ姿から白いうなじが見え息を呑む。
「あのさ」
「なんだ?」
一瞬下心をつかれたとドキリとしたが平然を繕って返事をする。
「トラファルガーくんって好きな人、とかいる?」
「お前こそどうなんだ?」
質問の意図なんてこの際どうでもよくて、マリリの答えを知りたくなった。
「いるよ。でも、モテるんだその人」
「へェ、告白しねェのか?」
そいつが羨ましくて、告白するなら止めようと考えるおれに彼女はゆっくりと振り向いて笑った。
「無理だよ……私なんて眼中にないか──!」
悲しげな表情に勝手に体が動いてその柔らかな唇に自分の唇を押し付けた。
しばらくそうしていればゆっくりと体と唇を離し相手を見れば驚いているのが見えどうでもよくなった。
「な、なに……?」
「そんな男忘れろ」
そう言いながら首筋に舌を這わせて制服を脱がせようとすれば慌てて上から待ったがかかった。
「ち、ちょっと待って!」
「待てねェ」
「んっ」
プチッとボタンを外しスカーフを取ればまた抵抗してくるマリリ。
「そんな、こんなのっ」
「忘れるか?男を」
ニヤリと笑いながら問えば彼女は首を横に振って、
「忘れるもなにも、ト、トラファルガーくんの、こと……なんだけど……」
彼女の口から出た言葉におれの手がピタリと止まり相手も恥かしいのか頬が赤くなっていた。
「おれ……?」
「うん……」
ゆっくりとしっかり頷く姿に彼女の制服を整えおれは少し考えると息も整えた。
「おれもお前が好きだ。いきなりこんなことして悪かった。付き合ってくれ」
悪かったの次に付き合ってくれ、というのはどうなのかと自分でも思ったが嬉しそうに笑って頷くマリリを見ておれも口元を上げた。
始まりはめちゃくちゃだったけれど、幸せに感じる心は穏やかだった
(手、繋いでいいか?)
(うん……)
((今の表情やべェな……))