――ピンポーン
「はーい」
――ガチャ
「……」
「よォ」
――パタン……
「よし、今のは見なかった事にしよう」
私はうんうんと頷きながら自分にそう言い聞かした。
「さて、ご飯の準備……」
「今日はなんのご飯だ?」
「えっとね……オイ」
「あァ?なんだ」
「なんだ、じゃない!一体どこから入って来たの!?」
「ベランダからに決まってるだろ」
「不法侵入ゥゥー!!」
「開けてくれなかったリーシャが悪いだろ」
「いや、私の判断は正しかった!」
「どこがだ?」
「普通の人はローみたいな人を部屋に入れない」
「ハッ、俺みたいないいやつは滅多にいないからだろ?」
「自分で言うな!あと出て行け!」
「腹減った、飯作れ」
「話聞けやゴラァ!」
「あァ、忘れてた」
「え、帰るって?どうぞどうぞ~!」
「ベランダにこんなもん干しといたらダメだろ?」
――ピラッ
「……!――私の下着ィー!」
私はローから下着を奪い返した。
「俺は白より黒が好みだ」
「誰も好みなんて聞いてねェ!」
「それより飯はまだか?」
「だから話聞け!」
「俺的には料理するときは裸エプロンが……」
「シャラップ!」
「さっきから注文が多いな」
「ローのせいだってことに気づこうね?!」
「そんなことより今日はここで寝てもいいか?」
「いやダメに決まってるじゃん、ていうかローの部屋隣でしょ?!」
「そうか……それよりリーシャ」
「な、何……いきなり真面目な顔になって…鳥肌立つんだけど」
「リーシャは裸エプロンよりメイド服が似合うと今気づいた」
「警察の番号って何番だったかな……」
「待て、悪かった」
「わかったんなら早く行けよ」
「はぁ……わかったよ」
「ちょっと待って」
「なんだ……今更引き止めても無理だからな」
「はぁ~……作ったご飯余ってる分ならあるけど?」
「……!!」
「別にいらないなら――」
「リーシャ、大好きだ!」
「ちょ!抱き着くな!」
「お礼に一緒に添い寝してや「いらないから!」
(今日も騒がしい隣のローくん)
【料理】
その日は、私の言葉から始まった。
「……ねぇ、ロー」
「なんだ」
ローは医学書から目を離さずに返事をした。
「ローの料理が食べたい」
「……は?」
やっとのことでローは医学書から目を離して怪訝な顔をしながら私を見た。
「だから、ローの作った料理が食べてみたいなって言ったんだけど……」
私はもう一度そう言うとローの眉間のシワが深くなった。
「うぅ……別に嫌ならいいけど……」
私がそう言うとローは考えるように顎に手を当てた。
「……わかった」
「……え」
ローはそう言うと本をパタリと閉じ、立ち上がった。
「あの、ロー……?」
「先に行ってテーブルに座っとけ、キッチンには入ってくるな」
「う、ん……」
ローはそれだけ言うと扉を閉めた。
私は唖然とそれを見ていたが、慌ててローに言われた通りにテーブルの椅子に座って待つ。
しばらくするとローが料理を運んできた。
「本当に作ったんだ……」
「まァな」
ローはそう言うと私と同じように椅子に座った。
「とりあえず食べてみろ」
「うん……」
私はローに言われて料理に手を伸ばし、それを口に入れた。
「……!美味しい……」
「フッ、当たりまえだ」
ローはニヤリと笑いながら料理を食べ始めた。
そしてすべて食べ終わった私達はソファで寛いでいた。
「料理美味しかったよ。ありがとね、ロー」
「礼なら貰うからいい」
「……は?」
私がそう言った瞬間、視界が反転した。
「えっ、ちょ……聞いてないんだけど!」
「ククッ……そりゃ言ってないからな」
ローはニヤリと笑いながら私を押し倒していた。
「そ、それに食べたばっかだし……んんっ!」
私が反論しようとすればローに唇を塞がれた。
「……んぅ……はぁっ!」
やっとのことで解放された唇。
私が酸素を取り込んでいる中、ローはとびきり甘い声で囁く。
「食後の運動があるだろ……?」
私はその言葉を聞いた瞬間もう逃げられないと悟った。
(もう彼には一生頼むものかと誓った)