短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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文鳥

我らがハートの海賊団。

なぁんて、別に正式なメンバーでないので声だかに言うこともない。

私はあくまで居候みたいなもの。

 

「でさ、おれは女に言ったわけ」

 

ボーイズトークを何故か女である私にも聞かせるというお構い無さ。

特に損はないから参加しているが。

 

「なっ、おまけに」

 

慣れた声音にぼんやりと聞いていると話していた男が急にこちらへ寄越す。

 

「お前、確か」

 

「えっ、あ、はい」

 

ぼんやりしていたので反応に遅れた。

話を投げ掛けられて最低限の言葉を加える。

話しかけられる度に返事をすると可愛いなと言われる。

なにを隠そう、話す言葉は人とおなじではなく、ピヨピヨという音となって伝わり正確に届いてなどないのだ。

ピヨピヨでお分かりだろうがアルルは文鳥という鳥類だ。

人間並みの頭脳を持っているのは人間だからで、文鳥になれる人間。

この人たちは自分のことを文鳥と思い込んでいるから、人間になれるのは内緒。

 

なぜ内緒なのかというと、自分でも何故鳥になれるのかとか、色々分からないのでリスクを取れないからだ。

彼らとは長らく旅を共にしていたが、だからといって鳥が実は人だったなんて酷い裏切りに感じるに違いない。

それがとてつもなく怖い。

そんなわけで只の鳥として生きている。

元はこの船の船長の幼少の頃からの飼い鳥なんだけど、寿命について誰も疑問に感じないのはこの世界が異世界だからだろう。

異世界で良かった。

現代なら妖怪として見世物になる。

そんなのは嫌なのでこの世界では年齢は良いとして、変なのをばれたくない。

そのためにはいかに鳥として擬態出来ているかにかかっている。

 

「あ、船長~」

 

ペラペラ話していた男が機嫌良さげに今しがた扉を抜けた男に声をかける。

嬉しさに羽がぱたぱたする。

感情が毛に出やすいのも鳥っぽい。

ぴるぴるしているとローが手をこちらにやる。

篭を開けて手に乗る。

 

「逃げないなんてイイ子だ」

 

船員の羨ましそうな声に胸を張る。

そうだ、良い鳥だろ。

 

「いくぞ」

 

船員達にお別れを告げて連れてこられたのは男の部屋だ。

昼寝でもするのかな。

大体休憩するときに添い寝している。

鳥なので離れているけども。

手を向こうへやるので一旦離れる。

このままいけばローを毛ずくろい出来そう。

足をたじたじさせて待っていると本を読んでから、その姿をうっとりと見る。

ローはぺらりと本を捲りその音に幸せを感じる。

のほほんとしていて平和。

最高の日常だ。

もし人として生きていたら常に人との関係に悩んで上手く生きていられないに違いない。

 

「ねみィ」

 

あくびを豪快にした男はベットに乗ってそのまま横になる。

昼ねだ。

いつものようにその横に飛んで羽を畳む。

ローもなれた様子で笑う。

そのままスヤァと眠り、夢を見て羽をパタパタさせて男はそれを見て可笑しそうにくすくす笑う。

 

「くく……」

 

船長たる男は鳥の姿がやがて女の姿に代わるのを見て、来たか、とニヤリとなる。

 

「気付かねェモンだな」

 

服を着ている状態で現れた女。

実は幼い頃からこの状態を知っていた。

今になってもいっこうに気づかないのは彼女が起きる前には鳥に戻るからだ。

それに、ロー以外知らないのもある。

彼女は何故かローの前で眠るときだけ元に戻るのだ。

他の奴が寝ているときに寝ているときもあるが、戻る気配もなく。

かなりの優越感もあり長年知らぬふりをしてきた。

男は目を閉じてそのぬくもりを腕に閉じ込めた。

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