短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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ストーカーをしてもらおうと 短編

ストーカーをしてもらおうと男を浚ったのだが、今、予定が大幅に狂い頭を抱えていた。

何故なのか、と何度も唸っていると気絶して居た男が小さく呻いて気が付いた。

ギクリと肩を揺らして後ろを振り返ると男がむくりと起き上がっていた所だ。

どう声を掛けようとしていると男の視線が定まりこちらを向く。

舌が上手く回らなくて戸惑っていると男は手が縛られているのを知ったのか睨みつけている痛い物がグサグサと刺さる。

いや、狙っていたのは貴方じゃないんだ。

人違いなのだ。

心の中では説明出来るのに現実では唇が乾いて口に出せない。

あ、そうだ、こっちも浚われている設定にして家から出そう。

それならどうこうなることもないかも。

名案だった、良い案だと彼に話しかけた。

警戒されるより先に話を進めてしまおう。

 

「もしかして、貴方も浚われてきたんですか?」

 

不安げに、意識して、口を聞く。

相手はこちらの台詞に反応してくれた。

 

「も?ということはおれは浚われてきたんだな。お前もか。お前は縛られていないようだが」

 

「浚ってきた人か分からないんですけど、指示されたんです。貴方が起きるまで見ておくよう。今の会話も聞かれていると思います。全て私の憶測なので、実際とは違うかもしれませんが」

 

おどおどして、これを意識し相手の同情と共感を得る。

ほら、笑みを浮かべてくれた。

どうやら作戦は功を成したようだ。

安堵しながらまだ演技は続ける。

不安な顔は維持しなければいけない。

この人の名前を知らないから知らねば。

ブノアは名前を先に名乗り敵意が無い事を伝わる様に工夫してやらねばこの危機を脱出出来ん。

うう、これ結構ストレス溜まるなぁ。

鬱っぽい気持ちになりながら受け答えしていると段々相手の情報が入ってきた。

彼はローという名で歯医者、歯科医らしい。

マスク付けていたら顔が見えないけれど、今は付けていないので顔が良いというのが分かる。

全く無関係な人を浚ったのだとじわじわと罪悪感が募るが、それを後悔するのは後から出来る筈。

 

「あの、今から縄を外せるように試すので触れても構いませんか?男手があると私的に安心するんで」

 

最もな理由を付けて言うと彼は渋々ながら承諾して後ろを向いてくれた。

何故人を浚ったのか、というと、単に復讐が絡む話だ。

到底許せぬ人に対してストーカーをしてほしいからだ。

別に危害を加えろというわけじゃない。

ただ、その人を付けたりして相手に精神的な攻撃をしたいだけなのだ。

本来はもっと中年でそれらしい格好をさせてストーカーをさせようとしたのだが。

ここは仮契約を結んだ訳でもない空き部屋のアパートで、本来誰も住んでいない上に管理がずさんで住んでいる人もほぼ居ないので安心して誘拐出来ると踏んだが、暗かったのでターゲットの年齢を外した。

彼はどこからどうみても若いし、騙せそうにない。

 

「巻き込まれてしまうなんて本当に最悪」

 

さも被害者ですよな言葉を繰り返す。

 

「本当にそう思ってんのか?(実名の苗字)・ブノア」

 

演技をしていると出る筈のない己のフルネームにピタッと固まる。

え、あれ、苗字は教えてないのに、何故。

 

「何故知ってるかって?」

 

心をまるで読まれたように言う彼。

いや、自分の反応なら誰だってそう思ったと推測出来る筈だ。

まだ焦る段階ではない。

 

「優秀なストーカーを探しているそうだな」

 

ちょ、おい、なんか予期してない事態が。

ローは口角を斜めに上げて不気味に目を光らせる。

 

「良いぜ?やってやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

ストーカーをやってもらう為に浚ったらもっと上が居た。

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