短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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メイド長という女性たちのお世話をする仕事


女の園誘拐事件

異世界トリップしたは良いものの、治安の悪い世界に癒やしを求めて旅をした。

 

辿り着いたのは女しか居ない島。

 

しかし、一つだけ特大の欠点がある。

 

「ま、またなの?」

 

「はい」

 

治安維持の騎士がすまなそうに伝えてくる。

 

この島でメイド長という女性たちのお世話をする仕事に自分で作って、せっせと働く私は頭痛がして呻いた。

 

騎士の彼女が罪悪感を抱く必要はない。

 

悪いのは、そう──男だ。

 

この島には惚れっぽいというか、スパダリならぬ、スパ女が殆どなのだが、男が現れると必ずその男についていく。

 

この島に来るのがそこそこのステータス達なので、人格はまぁ大丈夫なのだけど、問題は仕事っていうか、肩書と言うか。

 

普通じゃないのだ。

 

基本札付き達とか、兎に角女達の惹かれる要素がそこらしい。

 

ワルとか皆好きなの?

 

現実的に宜しくしたくないよね。

 

で、基本、ついていくと言い出す女に周りは大反対で結果的に駆け落ちされる。

 

この島ではそれを誘拐と呼んでいる。

 

誘拐事件が起きる度にこうして頭を抱えているわけ。

 

大事に大事にお世話をしてきた女等が男に狂って連れ去られるのは精神的にダメージが酷い。

 

せめて、説得してから旅立ってくれ。

 

反対されたから駆け落ちは流石に突発的過ぎる。

 

ため息を吐きながら仕事をこなす。

 

数日後、また海賊が現れた。

 

こういう場合女に会わせぬ様に男たちには禁止区として限定的なところにしか生かせないように説明している。

 

それでも運命の出会いが起こるのはなんなのだろうか。

 

メイド長なので今回も説明をする為に部屋へ行く。

 

指定してあるホテルへ入る。

 

今回は人数も多いので余計に警戒しておかないと。

 

ドアを開けて頭をさげる。

 

「このお部屋の掃除を担当いたします。皆様には快適に過ごしやすいように決まり事をご説明いたします」

 

スラスラと説明していく。

 

いつものことなので、彼らを見なくても淀みなく説明出来る。

 

なので、相手の男達を全く見てない。

 

もうどうでも良すぎて見てないのだ。

 

説明し終わると部屋を出る。

 

しかし、外に出たのに直ぐに後をついて外に出た音がして振り返る。

 

「いかがしましたか?」

 

「おれの事を覚えてないか?」

 

「え?……お顔には少し覚えがありますが」

 

突然ナンパされたが、相手は無表情なので本気で聞いているなのかもしれない。

 

「一度怪我をして、お前が看病した」

 

「そんなことがあったような」

 

なかったような……。

 

あやふやだ。

 

「さっさと看病をして去っていったから驚いが」

 

「急いでいたのですね、きっと」

 

もう行っても良いだろうか。

 

「癒やしを探していると言っていたが、この島で見つけられたのか?」

 

「!……それはもうっ!」

 

聞かれてテンションが上がる。

 

「素晴らしいことこの上ないです。この島は特殊なので女性のお世話がとてもしやすく、なにをしても可愛らしいお顔でありがとうと言われたときの至福といったら」

 

云々感、云々。

 

5分も語られて、ローは止められないまま棒立ちで聞いていた。

 

(これはあとどれだけ続くんだ)

 

「それでですね」

 

「クレイモアさん。ご相談があります」

 

「あ、はーい」

 

(助かった)

 

マシンガントークから逃れられたローは去っていく女に安堵した。

 

会えたのは嬉しいが、一方的に止まないものをぶつられる心の準備が整ってなかったのだ。

 

去っていく姿を尻目に船員達の所に戻ると船員等に質問されて詳しく説明。

 

あのときのことかー、とぼんやり思い出す彼らを見て、幾つか聞きたいことがあったのだとローは思い出した。

 

己が患った病を治せたのは彼女の知識故だ。

 

自分さえ対処法を知らない病だったのに、彼女は淀むことなく的確に判断していた。

 

医者なのかと聞いたが違うと言われた筈。

 

それで、気になって聞こうとしたが既に消えていた経緯。

 

「運命だな」

 

団員の一人がそう言うので、確率的にそれはピッタリな言葉である。

 

「見張っている女に聞きましょうよ」

 

女の島だからかすきのない監視をしている見張り役に聞くと、蔑むように個人情報ですからと取り合わない。

 

かなり慕われていた様子だったのでそうなるよな、と分かっていた。

 

「直接問うのがはえェなこれは」

 

ローは七面倒な事態に息を吐いた。

 

 

一方、クレイモアはというと、先日やってきた戦闘家と宣う男と恋に落ちた二人に説得を試みていた。

 

「あ、あれだけ用心していたのに」

 

「こうなったら男性禁止にするしかないのでは」

 

「もうそれしかないのかな」

 

頭を悩ませる問題。

 

「お願いです。彼と共に居たいのです」

 

「貴方、2ヶ月前にカフェを経営すると言って借金していたでしょ。どうするのそれは」

 

「そ、それは」

 

流石に事業を開始していた手前、切り捨てられないと感じたらしい。

 

「私達も貴方のプレゼンを認めたから貸したこのに、いきなり島から出たいなんていわれて、そういう事をされるとプレゼンのこと事態がなくなってしまうの」

 

酷く責め立てることになっているが、この世界では遠いところから働くなんて出来ないから、古く不便な事態になる。

 

「僕が返します」

 

「貴方ね、返すだけで終わりって訳にもいかないのよ。貸した側が損を感じたら今後同じことにならないように誰にも貸してくれなくなるってこと、理解しているの?」

 

現代ならやり方を変えたりして対応出来たが、この世界じゃ無理だ。

 

「ごめんなさい」

 

悲しげに謝る彼女。

 

「大丈夫だ、おれがなんとかする」

 

「え?」

 

ハテナが浮かぶのは私達も同じ。

 

彼は一歩前に出ると戦いを挑みたいと述べ、目を細めた。

 

「ねぇ、貴方は狡いね」

 

彼は首を傾げるのに笑う。

 

「私達に戦う程の戦力を感じないのに、戦うことを選んで私達に勝とうとしてるのよ?恥ずかしくないのかな」

 

男性はぐぬぬ、と黙り込む。

 

程度の低さにがっかり。

 

女の方はと言えば、男に頑張ってと伝えていて、何故今のやり取りで覚めないのか。

 

私なら幻滅して少しだけ考えちゃう。

 

そんなこちらの冷静な対応に気づかないで、男は問答は無用とおそかかってくる。

 

すかさず蹴りでみぞおちをストレートに落とす。

 

(入った!)

 

「ぐほ!」

 

男は呻いて少し転がる。

 

この世界の人間でない私の戦闘力などこんなまのだ、とほほ……。

 

この世界の人間はらばとっくに壁にめり込ませるなりなんなりしていた。

 

「ぐ、まだだ」

 

男は軽症だったのか立ち上がると私達に再び近寄る。

 

「いい加減にしないと罪人として島の牢屋に入れますよ」

 

二度目は許されないのに、なにを攻撃しようとしているのだ。

 

周りに人が居ないのは幸いだが、建物の中なので狭くて避けるのが難しい。

 

こんなの怪我をして終わるだけだろう。

 

怪我をしてしまえば仕事も出来なくなる。

 

死活問題に目を鋭くさせた。

 

相手がぐおお、と熊のように突進してくる。

 

構えて立ち向かおうと足を──。

 

「アイイイ!」

 

──ゴォ

 

掛け声と共になにかが男とぶつかり、吹き飛ばされる。

 

男を吹き飛ばすと地面にスチャっと華麗に着地するナニカ。

 

よくよく見ると熊だった。

 

「くま!?」

 

隣に居る彼女も驚いた顔をしていた。

 

旅をしていた私は色んな種族、そして異世界という存在でなんでもかんでも受け入れるので、なんでもありと思っている。

 

故に熊だからといって、異世界だからで済ませられた。

 

くまに何故か助けられるメルヘン。

 

くまは躍り出るとこちらへやって来て首を傾げ、こちらの怪我の有無を聞いてくる。

 

助けてくれた彼にお礼をいう。

 

すると、彼は船長に言われたからとなんでもない風に言う。

 

船長に言われた?

 

なぜだろう。

 

その人とはと内心疑問に感じ、襲いかかってきた男を捕らえる。

 

怪我をさせる気で襲ってきたのでもう島から出られる事はなくなり、女も彼を許してやってと言い募る。

 

彼女は男がこちらを襲うのを見ていた。

 

悲しいけれど、共犯として裁かれることになる。

 

止めていたならば情状酌量があった。

 

もう遅い。

 

残念に感じたが、決まりなのだ。

 

襲ってきたことは紛れもなく、擁護しようもない。

 

女の方も男を助ける可能性があるので軟禁される。

 

連れて行かれるのを見送っていれば、男が隣に立つ気配。

 

「助けてくださり感謝します」 

 

「まァ、必要なさそうに見えたが念の為だ」

 

こちらの戦力を把握していたらしい。

 

「聞きてェ事がある」

 

「なんですか?」

 

「おれはかつて病に伏していた。お前がおれでさえ知らない病と治し方を知っていた理由を知りたい」

 

「なんという名前ですか」

 

聞くと直ぐに言う彼へ少しして考える。

 

さて、どう言うべきか。

 

転生したからなんて言うわけない。

 

「ある人が、旅をしている人が教えてくれました」

 

the、嘘。

 

付きまとわれる気配もするし、早く開放されたいしー。

 

「ええ。でも、彼女とは直ぐに別れたので……行方は私も知りません」

 

「……本当だな?」

 

念押しされるがもちろんと頷く。

 

当然である。

 

私のことで嘘を言うのは許される!

 

例え彼が聖人であろうとなッ。

 

ニヤニヤして、いや、顔を生真面目に変えて真剣に頷く。

 

しかし、彼はこちらを見たまま、他に何も言わない。

 

どうして黙ってるのだろう。

 

さっさと他に探しに行くほうが建設的。

 

教えてあげた方が優しさというものなのかな。

 

口を開こうとした時、男の観察眼が光る。

 

(え)

 

「お前だな」

 

「いえ、違います。困りますお客様」

 

いつまでもネチネチとしつこい奴だ。

 

「いや、少しずつ思い出してきた」

 

「思い出されようと違うので」

 

何度も同じことを言っても納得されないのでこうなったら実力で追い出そうかなと脳裏をすぎる。

その気配に気付いたのかこちらを見つめては眉をひそめる。

その顔やめてほしい。

見たくないなら見なきゃ良いのに。

 

海賊なだけあって言葉一つ聞きやしない。

 

スッと避けてもスッと寄ってきてしまい距離が全く離れない。

 

ここまでくると怖い。

 

この人なに。

 

怖さがより深くなる。

 

女の世界で女をナンパするなんて度胸ありすぎ。

 

ハイキックをお見舞いするが避けられる。

 

この島で正当防衛は認められるので遠慮しない。

 

何故か危機感を感じる。

 

ぞわっとしたので思わず。

 

ローはにやりと笑う。

 

わー、たのしそー。

 

女と闘ってニヤつくとは変な男。

 

つくづくこの島は変人を引き寄せる。

 

くたくたになる頃には、なんのために動いているのか分からなくなっていた。

 

ゼェゼェとしていると酸欠だなと言われ、苛つく。

 

諸悪に言われたくない。

 

なぁにが酸欠だ。

 

誰のせいでと睨みつけると、男はニヤついた顔をまだ浮かべていて、こちらを観察していた。

 

どうして、この男は私なんかに構ってるのか。

 

「医学の知識が欲しい」

 

「私にそんなものはないと言っているでしょう」

 

なんなのだ、この男はしつこい。

大体、それを知ってなんだというのだ。

 

「それは大変ですね。では金輪際会う事はないでしょう」

 

お別れを告げる。

 

開放をされる空気ではないが無理矢理押し通る。

が、相手は私より早くに隙きを埋めてきた。

全く読めない。

 

そして、威圧感が全身を染めてくる。

苦しくないけど、話さなければなにがなんでも通さないと言いたげだ。

 

「……いいでしょう。特別に一度だけ本当の事を言ってあげます。それで開放してくださいね。こちらはいつでも通報する事が出来ますから」

 

告げれば男の威圧的な空気が和らぐ。

 

「それなら、そうだな……おれを助けたのはお前か」

 

仕方なく、嘘偽りなく答えた。

 

「助けたという善意は塵もありません。助けたのではなく、検証するために治療した事実はあります」

 

 

ほら、答えたよ。

 

「よくわかった。通っていい」

 

 

開放され、ホッとした。

 

後ろから「お前を連れて行く」と聞こえてからの記憶がない。

 

島から出たくないのに強制的に連れて行かれた私の序章である。

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