短編集(夢小説)   作:苺のタルトですが

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30歳超えのトラファルガー・ロー


歳を経て色気が酷い

お料理をしようとしたら、足をなにかに救われて転び、頭を打った。

その瞬間、瞳に、頭の中に、瞬時に映像が流れた。

走馬灯だろうか、と思ったがどうも違う。

これは、そう違う世界の記憶だ。

己のひとつ前の人生。

この世界はそもそもアニメ、小説の世界だった。

そして、今の自分は信じられないことに、その世界に来てしまった肉体。

 

「かは!」

 

呻いた、そして、目が開いた。

料理場の天井ではなく少し亀裂のある天井。

 

「……あ……なに?」

 

混乱している中で、混乱させる要素が顔を見せた。

 

「やっと起きたか」

 

それは、アニメよりも確実に歳を重ねた男のイケすぎた渋い顔だ。

確か、36歳だったかな。

 

「ロー、さん」

 

アニメでは確か24だ。

それが、更けてるぅううううう!?

カッと眼を開けて飛び起きる。

 

「えっ、貴方は、ローさんなの??」

 

タイムスリップとかじゃないよな!?

飛び起きた際に勢いで相手の顔に飛び寄り、顔を触る。

本物か、この人っ。

というか、ローじゃなくてローの父親とかだったりしてな。

 

「記憶障害なのか……おれはおれだ」

 

それじゃ証明にもなってないよ。

信じられん気持ちで顔を触っていると落ち着けと肩を掴まれ距離を離される。

顔から手を離してぽけっと現実を整理するが、まだ混乱中。

ふけてるな、間違いなく。

いけてる男が色気を迸らせてやがる。

 

「ローさん。かっこいい」

 

思わずといった風に呟くと彼は眼をまんまるにして、そんな顔も可愛いなと肉食系思考。

 

「記憶障害ではなかったか」

 

いや、記憶に障害が発生してる。

二つ所持してるから。

彼は極自然な動作でウルマリアにおはようのキスをした。

 

「な、ぁっ」

 

恥ずかしくなり赤面するとローはくつりと笑う。

くっ、結婚して6年以上経っているのに未だに恥ずかしさを感じてしまう己が憎い。

彼だって結婚した頃は初々しさを残していたのに、なんだか上から目線で腹が立つ。

彼は真っ赤になるウルマリアを気にしないで、腰より下にあるお尻に手を伸ばして撫でた。

そこは撫でるとこじゃない。

ぶるりと羞恥心で震える。

 

「他にも記憶がなくなってないか調べた方が良いな」

 

果実を食すように耳へ甘い声を流す夫にまた震えた。

体は男を己よりも覚えている。

男がそうしたのだ。

 

「ん」

 

耳を食まれて手を相手の肩へ乗せた時、医務室であった部屋の扉が激しく叩かれる。

 

「キャプテン!ウルマリアは平気だったんですか!?鍵閉めないで下さい!頭を打った相手になにかしたらベポに言いつけますからね!」

 

この声はペンギンである。

ずばり図星でしかない所業をしようとしたローはため息をはいて手を尻から剥がして、こちらを座らせると、扉へ向かう。

ヤバイ、止めてくれて助かった。

流されるところであった。

自分で言ってしまったら終わりなのだが、ウルマリアはチョロいん属性なのである。

扉を開けてた先にこれまた、更けた男の一人がこちらへ走ってきた。

渋くて、真面目系。

こちらも素敵だ。

視線が双方に向く。

 

「大丈夫だったか?キャプテンに襲われるなんて本末転倒になるしな」

 

「襲ってねェよ」

 

「おそう寸前でしたよね。証拠は上がってるんですよ」

 

証拠は、己の今にも弾けそうな赤い顔色である。

長年のことで、彼らもお見通しな事だ。

 

「特に異常はない」

 

「そうでしたか。船長の医者としての判断は、信用できるな」

 

「おれは一船の船長だ。全て信用するべきだろ」

 

このやり取りも既にお手のもの。

やり取りを見て、感動する。

ナゼかいつの間にかローの妻というポジションに収まっていたことに関しては驚きだが。

 

「料理の最中でした。あ、料理今から間に合うかな」

 

不安になる。

船員達は大食いだもん。

おろおろしているとペンギン達は苦笑して料理ならシャチ達がしていると言う。

それなら間に合うなと思うと同時にこの海賊団の中での役割がやっぱり誰でも出来るという現実にうちひしがれる。

記憶が増えたって出来ることなんてない。

 

「お前のことが気がかりだったんだ。良かったよ」

 

ペンギンはそう言って直ぐに仕事へ戻る。

忙しい合間を塗ってきてくれたんだな。

優しいイケ男だ。

 

「一度寝ろ。安静だ」

 

ローはさっきの事を棚上げした。

 

「ローさん、さっきあんなことしたのに」

 

良くも言えたよねとジト目。

ベッドに寝かされて布団を被る。

 

「望むのなら続きしてやろうか」

 

医務室のベッドに体重をかけて顔の横に手を置いて顔を寄せてくる色気魔神。

息を呑んで、しかし、やられっぱなしな今世がくるりくるりと思い出され、してやられてばかりだと目を開く。

そして、ローの顔が間近にあったのでえいや!と唇を触れさせた。

してやったりだ。

リップ音すら出ない軽いものだけど、こんなことされたことないだろ。

そして、布団を顔まで被る。

 

「は?おい、寝るな……!」

 

「私は頭を打ってしまったので寝ます」

 

手を出すわけないよな、とめちゃくちゃ遠回しに牽制して眠った。

ローは悶々としながら午後を過ごし翌日、快眠に気持ち良く起きたウルマリアに迫る。

 

「あ、朝ごはん作らないと」

 

悶々としていると知っていながらもケロッとローを飛び越えて調理するキッチンへ。

それにのしのしと気迫を背負いついてくる男。

料理を始めようと鍋に触れかけた手を取られて壁にトン、と体を押し付けられる。

 

「昨日のことは覚えてるよな」

 

「ん?えっと、忘れました」

 

「……忘れただと」

 

ローはウルマリアの発言に驚いて、ニヤリとそれから笑う。

唇をウルマリアのそこに触れさせてゆるく腰を撫でる。

手が慣れてる。

夫婦なんだ、と改めて思い出される。

これは、刺激が強い。

 

「ローさんはもう36なんですから、無理しないで下さい」

 

この世界の医療を考えたら彼の腰が気になる。

そういう年齢だし。

もし、だめになったら海賊引退しなきゃダメになる。

という身体の問題について言ったのだが、彼にとっては違う方へ思考が動いたらしい。

ピシッと固まったかと思えば次いで荒々しい口付けと鍋が彼の手によりガシャンガシャンと下に落とされキッチンのスペースを無理矢理確保。

 

「え!?いや、ちが、そういう意味で言ったわけじゃ」

 

「上等じゃねェか。心配されるような隙はなかった筈だが、おれもまだまだだな」

 

彼は獰猛な雰囲気でふとももを触り、船員達に朝食がいつまでも出てこないという、割りと良くあることを体験させた。

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