誰が為の世界に滅びぬ夜明けを   作:ぽたもち

1 / 5


もしも明日、世界が終わるとして。

人とは何を望むのだろうか。

家族と共に最後の晩餐を望むか、

親愛なる恋人との夜を望むか、

明日全てが終わる恐怖に絶望を覚えるか

やり残したことを成せぬ怒りを噛み締めるのか。

 

もしも明日、世界が終わるとして。

人は何をするのだろうか。

その滅びを受けいれ最後の時まで祈るのか、

滅びから逃げようと思考に思考を重ねるのか、

最後の時まで己のやりたいことをなすのか、

理不尽な終わりに抗うために戦いを選ぶのか。

 

もしも明日、世界が終わるとして。

人はその滅びにどのような理由をつけるのか。

人類が受けるべき咎であると考えるのか、

神々の悪戯または理不尽な天罰だと考えるのか、

世界の分岐点に到達したのだと考えるのか、

新たな始まりのための終わりと考えるのか。

 

もしも明日、世界が終わるとして。

人は滅ばないという一縷の希望を信じるのか。

絶望しながらも僅かな望みを抱けるのか、

根拠の無い希望を見出すことが出来るのか、

僅かな望みのために行動できるのか、

希望したその結末を叶えることが出来るのか。

 

もしも明日、世界が終わるとして。

人はまだ見ぬ明日に名をつけることは出来るのか。

 

 

もしも、世界が終わるとして。

 

もしも、終わりを変えられる者がいたとして。

 

もしも、終わりが無くなってしまったとして。

 

もしも、自分でない自分が明日を生きるとして。

 

 

人は、これまで通りの時を生きるだろうか。

 

人は、今までの通りに歴史を紡げるのか。

 

人は、終わりから救った者を称えられるのか。

 

人は、誰が世界を救ったのか分かるのか。

 

 

誰も知らなかった物語

誰も讃えなかった英雄

誰も知ろうとしなかった神話

 

これは理不尽に抗えぬ神から

終わりを告げられた人類が

終焉の間際から今に繋がる世界の救いを求め

その救いに答えた《ある王》のお話

 

誰もが忘れてしまった英雄譚

誰もが失った王のいた証

誰もが今を生きる世界に確かにいた人間

 

この世界の悲劇は誰のせいか

この世界の絶望は何が理由か

この世界の因果とは何なのか

 

滅びとはいつからこの世界に付き纏うのか

滅びとは誰によって齎されるものなのか

滅びとは何故人類に牙を剥くのか

滅びとは神が人類に与える罰なのか

 

知らぬことを許しましょう

無知に救済を、その愚かさに免罪を

許された人類とは何なのか

滅ばぬことが許しなのか

 

我ら人類は、如何して滅びずに居られたのか

 

 

予定調和は人類を見放した

神は人類に牙を剥き

理不尽にも終わりを告げる

 

人類はその滅びを拒絶した

故に祈り、希望し、懇願した

 

救いを、希望を、深き慈悲を

 

祈れ、しかして希望せよ

希望せよ、されどゆめゆめ忘れるな

 

 

奇跡などこの世界にありはしないことを

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。