ブルアカ世界に男で転生したのでロボットになります 作:あーけろん
閲覧、感想、御指摘、誤字脱字報告の全てに感謝を。
※作者後書きを掲載しております。お暇な方は一読頂ければ幸いです。
「────────こんなところにいたのか、クロキ」
アビドス高等学校の空き教室の一室で一人机に向かっていると、バンダナを頭に巻いたサオリが扉から顔を出す─────セリカ程じゃないけど、彼女もバンダナ姿がよく似合うなぁ。
「…なんだ、その夥しい量の紙束は?」
「これ?今回勝手に出て行った罰として書かされている反省文」
「そんな非現実的な量が…?」
「むしろこれだけで済んでほっとしてるよ。先生の温情に感謝だね」
横に積まれている紙束を見て慄いているが、こんな量など俺からしたら日常茶飯事である。横につきっきりで監視する早瀬会計がいないだけで天国のようなものだ。
「…それより、カレーは上手くできた?」
「……まぁ、それなりだな」
気恥ずかしそうに顔を逸らす彼女に微笑む─────あまり料理などしてこなかった筈だ、いきなり完璧とはいかないだろう。
彼女達に俺から伝えたお願い……アビドスのみんなや先生、阿慈谷さんや飛鳥馬さんと一緒に夕飯を作って欲しいという我儘な願いに愚直に向き合ってくれたのだろう、ありがたいことだ。
「それは良かった。アビドスの皆んなとは仲良くやれた?」
「…黒見という生徒から正面から嫌味を言われたよ。『私は絶対に認めない』とな」
「……そっか」
…まぁ、正直わかっていたことだ。いきなり仲間を襲われて、話がついたから今日からは友達なんて事は起こり得ない。こんな硝煙漂う世界なら尚更だ。
「錠前、それでも俺は────」
それでも、俺は彼女達に─────アリウススクワッドのみんなに、スクワッド以外の繋がりを持って欲しいと願わずにはいられない。だって、今ここにはいない
再び口を開こうした時、彼女が続ける。
「…だが、彼女には色々と助けてもらったよ。調理器具の場所や食器の場所を教えてもらった」
「─────そっか」
────後で、黒見にはお礼を言わないといけないな。
「それより、小鳥遊委員長がお前のことを呼んでいるぞ。一旦反省文は置いておいて、こちらに合流しろとの事だ」
「ん、わかった。すぐに向かうから先に行っててくれ」
静かに教室から消えていく彼女を見送り、「……さて、と」と身体を伸ばす。
「……良かったなぁ」
────ふと、口から言葉が漏れる。きっと、錠前にはわからないだろう。さっきの言葉にどれだけ俺が歓喜し、感情を震わせたか。ここに彼女たちが来てくれて、俺がどれだけ安心したか……まぁ、素直にこの気持ちを伝えることはしないんだけど。
勿論、アリウススクワッドの合流が今後絶対に良いことしか起こり得ないと言うことではない。ベアトリーチェ─────あのクソ野郎が秤のことをこのまま野放しするとも思えないし、原作との乖離が決定的になってしまったこともある。だが、何よりも憂慮すべき事は………。
「………いや、今考えても仕方ないか」
「…さ、とりあえずは家庭科室に向かうか」
描き途中だった反省文を簡単にまとめて机の端に置き、木製の椅子から立ち上がる─────それにしても、若干の不安もある。黒見はなんだかんだ面倒を見てくれたらしいけど、他の皆んなが友好的だとは思えない。これで家庭科室に入ったらみんなギクシャクしててお通夜です、なんて状況だったら胃が死にかねない。
「こう言う時一発ギャグのセンスが俺にあればな……」
過去に一度ミレニアム主催の一発芸大会に参加した時、首をすっぽ抜いてデュラハンごっこを披露したのだが、なぜか会場が阿鼻叫喚に包まれたのだ。早瀬会計や生塩書紀には飛び付かれるわ、美甘部長からは激怒されるわ、ヒマリからは泣かれるわで散々な目にあったのは記憶に新しい─────あの時の反省文の量はまさに殺人的だったと言えるだろう。
それ以来ヒマリから金輪際一発ギャグ禁止令を出されてしまい、それがセミナーにも承認されてしまったので俺はその大会に出ることができなくなってしまったのだ……今年こそリベンジに燃えていたのに誠に遺憾である、優れた芸術は世に批判されると言うのは本当だった。
『良いですかクロキ。貴方には建築の神様が宿っていますが、残念ながら笑いの神様にはトコトン嫌われているようです。なので、金輪際こう言った催しには出ないでください。そしてそのネタも絶対にやらないでください、良いですね?』
鬼気迫る表情で早口で捲し立てる彼女の顔は今でもたまに夢に見る────ううむ、なんだか釈然としないがお願いされた以上は仕方ないだろう。
「…お、良い匂い」
月明かりで明るい廊下をスタスタ歩きながらろくでもない事を考えて歩いていたせいか、いつもより家庭科室につくのが早く感じる。多少離れたここでもカレーのいい匂いがする────なんで家庭科室で作るカレーってあんなに美味しいんだろうなぁ…。
【うわーん!指切っちゃった!クロキ君絆創膏貼って〜!】
【絆創膏なら私が貼りますから!クロキはユメ先輩に近づかないで!】
【うーむ、百合百合しぃ…眼福だな、うん】
───────ふと、脳裏に騒がしくも暖かい、春のような記憶が再生される。
「……はぁ。ほんと、なんでこんな時に思い出すのかね」
歩いていた足を止め、目の前で光る家庭科室の教室を見る────あそこに梔子先輩がいたら、それ以上はないのになぁ。
頑張り屋なホシノが唯一甘えられる先輩がいて、彼女を慕う可愛い後輩と、それを見守る先生がいて………なんだそこ、天国か?天国だな、うん。
「俺に神様のような力があればよかったのに……」
いや、別に神様のような、なんでも叶える奇跡の力なんてなくたって良い。ただ一人、心優しい少女を襲った悲劇が無くなるだけで、それだけで俺は満ち足りるのに。その為だったら、地獄に落ちるのだって構わないのに─────。
「…やめやめ。考えたってしゃあない事だ」
俺は先生と【楽園】を────ハッピーエンドを目指す。どうしたって死者は蘇らない、覆水は盆に帰らない……それがこの世界の摂理なのだから。
それより、目下の問題は今の家庭科室である。もしここで冷たい鉄のカーテンよろしく冷戦が繰り広げられているのなら俺は禁じられた一発ギャグを披露することも辞さない──────うん?
「───!───!!」
「───?」
「────!────‼︎」
「─────────⁉︎」
なにやら家庭科室が騒がしいようだ。恐れていた静かな戦争が行われていないことには安堵したが、それにしたって騒がしいような……?
「おーい、なんだか騒がしいけど一体何が──────」
何やら姦しい扉を開け、家庭科室の中に入る。
「私はクロキからお姫様だって言われたんだよ?お姫様って物語だと一番可愛い存在だから、これが答えでしょ?」
扉を開けた瞬間、全員の視線が無数の槍となって俺の身体に突き刺さる──────あっ、なるほど。これは不味いやつだな?
「────ん、本人がやってきた」
「ノノミちゃん、アヤネちゃん。確保よろしく」
「わかりました〜!」
「動かないで下さいね、クロキさん!」
「あ、うん。抵抗の意思なんてないけど……なんか最近多くない?」
こうも同じ展開が多いと先生から天丼だと思われてしまうのではないかと心配だ……いや、先生の視線にはそんな感情はない。純粋に信じられないと不思議な生物の生態を見る目で俺のことを見ている──────あ、今口元で「信じられない…」って言いましたね?
「……それで、一体何があったんです?」
並べられている二つの大きな寸胴鍋からはそれぞれカレー特有のスパイスの利いた良い匂いが漂い、机には色鮮やかなサラダと山盛りの福神漬けが並べられている─────まさに目の前にご馳走があるのだが、そんな料理を傍目に俺は十六夜さんと奥空さんに連れられ、慣れた手つきで教室の真ん中にある椅子に縛り付けられる。
「えー、と…どこから話せば良いのか…」
「ん、発端はそこにいる自称お姫様が言い出した事が原因」
「お姫様………あぁ、秤さんが?」
視線を秤さんに向けると、そこには少し自信ありげに微笑む彼女がいる────そういえば彼女、意外と茶目っ気があるんだった…。
「それで、秤さんはなんて言ったの?」
「私が一番クロキのタイプだって」
「凄いこと言うね君……」
こんな眉目秀麗な人達が集まる場所でそんな事を宣えるとは…流石、アリウススクワッドのおもしれー女枠は格が違うな────って。
「いや、違うからね⁉︎そんな事一言も言ってないからね⁉︎」
「ほら見なさい!やっぱり違うっていってるじゃない!」
「クロキは恥ずかしがり屋なだけ。それに私のことをお姫様って言った事は否定してない」
「いやそれは……」
自信満々に言い返す彼女だが、君がお姫様なのは事実としか言いようがない。だって実際高貴な血をお持ちだし…。
「むしろお姫様って言われた事に危機感を持った方がいい。クロキは誰よりも社会的な生き物だから、身分違いの恋愛なんて絶対しない」
「─────そんな事ないよね?クロキ?」
彼女の艶かしい視線が俺の首元に向かう────頼むからやめてくれ。ホシノからの視線が痛いから。
「あれ?でもナギサ様とは許嫁の関係だって…」
「阿慈谷さん、それは真っ赤な嘘だから信じないでね?」
「えっ?でもナギサ様は特に否定はしてなかったような……?」
疑問符を浮かべている彼女だが、それを浮かべたいのはこっちの方である。ブラックマーケットの時のゴタゴタで有耶無耶になっていたが、今度ちゃんと桐藤さんに確認しないといけないな……。
「はいはい。シロコちゃんもとりあえずは一旦落ち着いて、ね?」
「姫もあんまり刺激しない方が良い。クロキが困っているだろう」
「……ん、先輩が言うなら」
「…わかった」
錠前とホシノの言葉に双方が引き下がる────流石、部長クラスになると落ち着きが違うな。安心感が違う。
「とりあえずは配膳を進めようか。錠前さん、手伝ってもらえる?」
「わかった、ミサキとヒヨリも手伝ってくれ」
テキパキとみんなが手分けして料理を配膳していく───────うん?
「…な、なぁ。小鳥遊対策委員長?」
「ん?なぁに?」
「あの、この拘束はいつ外れるの…?」
可愛らしく小首を傾げる彼女だが、俺にはわかる。いまの小鳥遊は非常にご機嫌斜めだ。俺の拘束を全く気にする事なく、俺の膝の上にカレーを装ったお皿が載せられるが、勿論指一本動かせない今の状態ではスプーンを持つことすら叶わない。
先程から窓際で待機している飛鳥馬さんに助けての意を込めて目線を送るが、静かに首を振るだけだ────君、俺の従者を自称してなかったっけ…?いまその主人が縛り付けられているんだけど…?
「……さ、色々と含む所もあるとは思うけど。とりあえずは食べようか」
小鳥遊の言葉を合図にみんなが思い思いに食べ始める───槌永さん、さっきあんなにお弁当とかお菓子を食べたのにまだあんなに食べるんだね…。
「それじゃ……クロキ」
徐に小鳥遊が俺の膝の上におかれるカレーを手に取ると、鉄製のスプーンにカレーを掬って俺の前に持ってくる。
「はい、あーん」
─────瞬間、家庭科室から音が消えた。
「ほ、ホシノ…?一体なんの冗談だそれは…?」
「だって、そのままだとクロキは食べられないでしょ?だから私が食べさせてあげようかなって」
「いや、拘束を解いてくれれば俺が自分で…」
「─────私のあーんじゃ、いや?」
─────────今日の夕飯、俺が指一本たりとも動かす事なく終えたことを明記しておく。
────────────────────────
「───────丁度良い機会だから、今ここで今後の方針について話しておこうと思う」
拘束を解かれ、家庭科室の黒板の前でチョークを手に持ったお面の少年───クロキ君が声を上げる。だが心なしかその声には張りがなく、疲弊しているように感じる────まぁ、原因はさっきのホシノちゃんのあーんから始まった、ほぼ全員による代わる代わるのあーん攻撃だろう。クロキ君の対応から全くの同情の余地なんてないけど。
「その前に、一つ良いだろうか」
「錠前さん、何かあった?」
「今後の私達の処遇────というより、今後のアリウス分校への対応について聞いておきたい。何か考えがあるのか?」
彼女の言葉に「あー…」と言葉に詰まる────アリウス分校。リンちゃんから聞いた学校名簿の中に名前のなかったそこは、今現在『マダム』と呼ばれている生徒会長によって暴力と憎悪による統治がされているらしい。
クロキ君はそこの環境改善に乗り出したらしいのだが、そのマダムと敵対関係になってしまったらしく、スクワッドのみんなと殺し合いをしていたとの事だ─────本当に、彼の伸ばす掌には際限がないらしい。
「もし対応策がないのなら、私達が迎撃に当ろう。アリウスのやり方は熟知している、早々に遅れは取らない筈だ」
「今の問題が片付いたら私達も手伝うよ。クロキの作った楽園を瓦礫の山になんてさせない」
彼女達を縛り付けていた呪い────裏切った場合、その他の生徒達が楽園を総攻撃するという呪い。
大切に思っているからこそ従わざるを得ない状況を作り出す悪辣さ──────私にはわかる、このやり口は『大人』の手法だ。
「助かるけど…いいの?アビドスから離れることになるけど」
「ん、アビドスも大事だけど、クロキの楽園が壊されることのほうが問題。さっさと潰して帰れば済む話」
「そ、そんなに簡単じゃないですよ…。私たちアリウスは戦闘技術を叩き込まれてますから、そこらの生徒よりよっぽど手強いです…」
「だからって何もしないわけには行かないでしょ。クロキの楽園を壊すなんてこと、絶対にさせないんだから!」
セリカちゃんの言葉に各々が頷いている────けど、私にはどうしても拭えない疑問がある。
「クロキ君。少し良いかな?」
「なんですか先生?」
「例えばの話なんだけど、クロキ君の作った楽園を完全に崩壊させるためにはどれくらいの戦力が必要になるの?」
「────流石先生。良いところに目を付けましたね」
「流石だなぁ」と彼が頷くと、黒板につらつらとチョークを走らせていく。そこには簡単な楽園の図と帽子を被った生徒達の絵────アリウス分校の生徒達を模したそれを書く。
「まず、錠前さんが言ったアリウス分校に対する結論から話すけど─────何もしない、という事になるね」
あっけらかんと、まるでそれが当然だと言わんばかり彼が言う。
「なっ……どう言うことだ⁉︎お前は自分の作った楽園が消えても良いと言うのか⁉︎」
「そんな事は言ってないよ。俺だって楽園が壊れるのは嫌だし、なによりそこで暮らしている人々が犠牲になるのは耐えられない────けど、その為に君たちが再び暗闇に戻ることはもっと許容できない」
「だが、そうなったらお前の楽園は────!」
「楽園なんてものはまた作れば良いだけだよ────それに、今のアリウス分校にそこまでの戦力があるとは思えない」
さらに黒板に何かを書き連ねていく。楽園の下には53の数字と、アリウス分校の下には約500名と言う数字だ。
「今現在、このキヴォトスには大小の差異はあれど53個の楽園区画が存在している。一つの楽園区画の規模を、一番小さい規模の5個の学校からなる行政区と仮定すると─────ざっとブラックマーケット800個分の面積が楽園区画と言うことになる」
──────なんかとんでもない単位が出てきた。なんだろうブラックマーケット800個分って。
「対するアリウス分校の生徒で十分に戦闘行動を行える生徒の数はどんなに多く見積もっても500名程度─────単純計算だけど、アリウスの生徒一人が1.6ブラックマーケット相当の面積の楽園を破壊しないといけない。一人一人が核弾頭を担げばなんとかなるかもしれないけど、ちょっと現実的とは思えない」
私からしたらブラックマーケット800個相当の面積を2年程度で作り替えたクロキ君の方がよっぽど現実的とは思えない。周りを見てもあまりの数字の大きさにぽかんとしてる。
「え、えぇと…?ブラックマーケットって小さかったんですね…?」
「落ち着いてヒヨリ。ブラックマーケットはキヴォトスでも有数の裏市場だよ。小さいわけないでしょ」
「うへ〜。改めて数字を聞くと本当に現実離れしてるね…」
「ん、本当に頭がおかしい数字としか言えない」
「私達も何個かの現場は手伝いましたけど、ちょっと規模が大きすぎますよね…」
「流石クロキさんです。従者として鼻が高いですね」
ふふんと自信ありげに笑うトキちゃんに苦笑いする────今日が初対面だけど、なんだか彼女の立ち位置がわかったような気がする。
「だが、その戦力で一つの楽園区画に攻め込まれたら厳しいだろう。マダムが戦力分散の愚を犯すとは思えない」
「それはそうだね。けど、一つの楽園区画といっても規模自体は巨大なものだよ。それに、そうなったら他所の楽園区画から生徒の派遣をお願いすれば良いだけだ。伝手だけは山のようにあるからね、そこは任せてくれて大丈夫だよ」
そこだけ言うとクロキ君が一度息を吐き「…だから、さ」と続ける。
「君たちが進んで仲間と戦うことはないんだよ。ここにいる事に責任を感じる必要もない────だって、それは俺が望んだ事なんだからさ」
「……なら、私はどうやって恩を返せば良い。私たちには何もするな、と言いたいのか?」
「そんな事はないよ。錠前さん達にはやって貰いたいことが山ほどある。それを、今から話していくんだよ」
「…わかった」
それだけ言って椅子に座った彼女を見てから彼が続ける。
「話がそれちゃったけど、今から今後の対策────具体的にはカイザーとの戦争の方針を決めていこうと思う」
「ん」
「はい、砂狼さん」
「向こうの代表を攫って降伏宣言をさせる。これが一番手っ取り早い」
うーん、流石シロコちゃん。卑怯な方法の選択に余念がない。
「それができたら苦労しないけど…流石にそんなに簡単には行かないと思うよ。向こうだってよっぽど有利な状況じゃないと代表が出てくるとは考えられない」
「やっぱり正面から撃ち合うしかないのかしら?けどPMCと正面から撃ち合うなんて…」
セリカちゃんの言葉に「…いや」とクロキ君が首を振る。
「実は、俺はそれが一番の正解だと思っているんだ」
「はぁ⁉︎あんた本気で言ってるの⁉︎」
「そ、そうですよ!相手は軍隊ですよ!私達みたいな少数では…」
「確かに、今日の昼まではドローンを前面に押し出して時間を稼いで連邦生徒会の調停を待とうとしていたけど……今、こっちには飛鳥馬さんとアリウススクワッドがいる。飛鳥馬さんはこのキヴォトスでも有数の火器兵装の使い手だし、アリウスのみんなは軍事行動に造詣が深い────正面から戦っても負ける布陣じゃないよ」
空いた黒板に再びチョークを走らせ、カイザーの文字にバツをつける。
「けど、欲張ってこっちが無理をすることはない。当初の予定通り連邦生徒会からの調停を待つのは前提として、カイザーの連中にアビドスに手を出すと碌な目に合わないと叩き込めればそれで良い。それで俺たちの勝ちだ」
───────────────────────────
─────静かなアビドス砂漠の夜の空に、水の音が響く。
「うー、この時間だとやっぱり水は冷たいな…」
アビドス高等学校の屋上────家庭菜園程度の農場があるそこに設置された蛇口を捻り、冷たい水を頭から被って一人呟く。ロボットスーツを着ていない以上、こうして水浴びだけでもしないと行けないのが不便だ。
「……いよいよ明日、か」
予想されるカイザーPMCの規模から、あらかたの作戦は考えた。兵糧は十分、武器弾薬はヘルメット団から徴収した物を含めてクラフトチェンバーで作成できるからほとんど無尽蔵、唯一の懸念点だった兵力もこのキヴォトスでも有数の実力者が幸運にも集結している─────さらにここに先生の指揮も加わるのだ、状況は悪くないと言える……いや、むしろ良いといって良い。
持参している安い使い捨てのシャンプーの封を切って髪を洗い、冷たい泡が思考を明確にしてくれる様な感覚を覚える。
カイザーのことはこの際考えなくて良い─────問題は、未だ尻尾すら掴めていない黒服………ひいてはゲマトリアの動向だ。
彼らは先生しか眼中にないとは思うが、それ故に先生の活躍を阻害する俺の事を恨めしくおもっている可能性も捨てきれない。それにホシノにちょっかいをかけているのかすら把握できていない…それは明日にでも確認しておいた方が良いだろう。
「……ふぅ」
再び冷たい水で泡を洗い流すと、かけてあったタオルで身体を簡単に拭いてから息を吐く。────結局、ゲヘナとの繋がりについても良い方法は思いついていない。いっそ普通に紹介した方が良いのか……。
「こうして思うと、本当に行き当たりばったりだな…」
原作の先生もこんな行き当たりばったりの状況でも生徒達を導き、ハッピーエンドに導いたのだからその才覚には舌を巻く他にない。…いや、本当に凄いな、化け物かよ原作先生。
着替えと一緒に持ってきていたペットボトルの水のキャップを捻って一息に半分程呷り、満点の星が浮かぶ空を見上げ手を空に伸ばす─────あの空から【色彩】が降りてくると思うとゾッとしないな。
─────ガチャ。
「─────あれ?誰かいるの?……って⁉︎」
そんなくだらない事を考えていたら、金属の音と共に屋上の扉が開かれる。
声と共に姿を見せたのは、少し小さいアビドス高校の指定ジャージの上に灰色のカーディガンを羽織った先生だった。
そんな先生と視線が合うと、みるみる顔を赤くして視線を俺から逸らす─────あぁ、そっか。今俺は上に服を着てないから。
「ご、ごめんクロキ君!まさか水浴びしてるなんて知らなくて…!」
「そんなに気にしなくて大丈夫ですよ。こちらこそ、お見苦しいものを見せてしまってすみません。すぐに服を着ますから」
まだ多少濡れている体で白いシャツに袖を通し、ひょっとこのお面を被る。
「もう良いですよ先生」
「…あ、お面は被るんだね」
「えぇ。私のアイデンティティですから」
俺のことを見てそんなことを言う先生に笑い、彼女に近づく。
「それより、どうして先生はここに?寝られないんですか?」
「寝られないと言うより、逃げてきた感じかな…」
「?」
逃げてきた?はて、敵襲でもあったのだろうか?
俺の不思議そうな視線に気がついたのか、「あ、いやね?」と続ける。
「その、今みんなで恋バナをしてて……」
「ははぁ、成程。甘酸っぱい青春に当てられてここまで逃げてきたんですね」
したり顔で宣うと、全くの無表情で先生が首を振る。
「うん、全然違うよ?」
「……それじゃあ、一体?」
「クロキ君との関係を根掘り葉掘り聞かれたの。特にヒフミちゃんやアツコちゃんの食いつきが凄くて…」
「女子高生らしくて良いじゃないですか。良いですね、きっと、彼女達にとって今日は忘れられない1日になると思いますよ」
同じ部屋で寝て、寝る前に恋バナをする─────修学旅行の夜のような、本当に素晴らしい青春の1ページだと思う。いっそ眩しいと思うくらいだ。
しかし、先生は俺の言葉に何か言いたいことがあるのか、不満そうに口を開く。
「なんだか一歩引いた目線で見てるけど、君も学生なんだよ?クロキ君こそ何か青春っぽい事しなくて良いの?」
「私は見た目こそ学生ですが、中身はいい年をした大人ですよ。青春なんて必要ありません」
そもそも冷静に考えて欲しい。今このアビドス高等学校には総勢12名がいるのだが、そのうち男は俺だけである。ブルーアーカイブと言う物語の性質上登場人物はほとんど女性だし、これで青春を謳歌なんてできようがないと思うのだが……。
そんな俺の心境を知ってか知らずか、「…ねぇ」と彼女が意を決したように話し始める。
「クロキ君は、ちゃんと気づいているんだよね?」
…なんの事ですか、なんて言えたらどれだけ楽だっただろうか。いや、そんなことを言ったら目の前の先生に説教されてしまうか。
「…それは、生徒たちからの気持ちについて、ですよね」
「実際どうなの?もし気づいてないなんて言うなら────」
「まさか。私は感情の機微には疎いと自負していますが、流石に気づいていますよ」
─────これは、俺の腹の中をちゃんと話しておいた方が良いかもしれないな。
屋上に設置されている自販機────水とお茶、後はスポーツドリンクしか置いていない簡素なそれに近づいてお茶のボタンを押し込む。多少の時間が経つと取り出し口から音を鳴らしながらペットボトルが落ち、それを取り出す。
「どうぞ、先生」
「あ、ありがとう」
「もう夜も遅いですけど、少し話しませんか?多分、先生の聞きたいことに答えられると思うのですが…」
「…うん、わかった」
自販機横の木製のベンチを指差し、「あそこで話しましょうか」と促すと特に抵抗もなく先生が頷き、二人で並んでそこに腰掛ける。
「……多分、先生の懸念はこうでしょう。つまり、いろんな生徒達の事を誑かしているけど、今後どうするつもりなのか?と」
「そうだね、間違ってないよ」
「ありがとうございます。こう言う時の勘は冴えてるんですけどね」
むしろこんな状況にならないと勘が冴えないことが問題か─────いや、それは本筋とは関係ないな。
「結論から申し上げるのであれば───────私は、誰とも結ばれるつもりはありません。いえ、結ばれる資格がないというのが正しい表現でしょうか」
はっきりと、聞き間違いのないように口に出す。言ってることは最低だな俺…。
「っ、クロキ君それは─────!」
「先生の仰っている事は最もです。本当に、少女の純情を弄んだ罪は大きいですよね。時代が時代なら斬首でも文句は言えなかったと思います」
半分ほど残っていた水のペットボトルの封を開け、再び呷る。傍目から見たら、きっと俺は少女の純情を弄ぶ極悪人に見えるだろう。それだけのことをしたのだから、当然と言えば当然だ。
「先生にはすでに話していましたよね。私が未来の事を知っていると」
「…うん、聞いてるよ」
「そうです。未来を知っていると言うことは、そこに生きている人が抱えている悩みや性格も知っていることになります」
悩みや性格を知っている─────それはつまり、何をすればその人から関心を引くことができるのか知っていることと同義だ。
「私は、そんな彼女達の特殊な事情につけ込んだ卑怯者………いや、この表現すら生ぬるいな…まぁつまるところ、とても真っ当な人間ではないということです」
【楽園】を作るために、いろんな人の助けを借りるために俺は彼女達の気持ちを利用したのだ。俺にその気がなかったのだとしても、まだ年端もいかない少女達の、なによりも変え難い純粋な気持ちを弄んだのだ。この罪悪は一体なんの対価で支払えば良いのだろうか?
「…言い訳に聞こえるかも知れませんが、これはあくまで自分のことを客観的に見た時の評価です。当時の自分はそんな、彼女達の気持ちを考える余裕すらありませんでした」
目の前にある困難の種を取り除く──────ただそれだけに邁進していた。それがどう言う結果をもたらすのか、そんな簡単なことすら考えられなかった愚か者なのだ。
「私は正当な手続きを踏んだ上で彼女達の心に入り込んだわけじゃないんです。今風に言うとチートを使った卑怯者なんです。そんな私に、今を生きる彼女達の横を歩く権利があると思いますか?」
彼女達の前を歩くのは良い────それで彼女達に降り注ぐ不幸を少しでも減らせるのなら。
彼女達の後ろを歩くのも良い─────誰からも認識されることなく、全ての事象を見守ることができるのだから。
でも、横だけは駄目だ。それだけは、彼女たちが許しても俺が俺を許せない。
「─────クロキ君。その話、私以外に話した?」
若干の沈黙の後、俯いた先生が口を開く。
「いえ、こんな事を話すのは先生だけですから。それが一体──────」
─────瞬間、破裂音と共に視界が横にずれてお面が地面を滑る。頬を叩かれたと感じたのは、頬を襲う鋭い痛みがやってきた時だった。
「────良かったよ。もしこの話を私以外の誰かに話していたら、その子の前に引き摺ってでも謝りに行かせなきゃ行けなかったから」
「せ、先生─────?」
綺麗な黒髪が垂れて見えていなかった視線が俺のことを貫く─────誰が見てもわかる、彼女は、非常に怒っていた。
「さっきから聞いていれば!先輩は自分の気持ちばかりですね‼︎」
力強く自分の両肩を掴まれ、正面の藤色の綺麗な瞳に自分の情けない顔が映る。
「未来を知っている?生徒たちの事情を知っている?それで、それが生徒達の気持ちとなんの関係があるんですか‼︎」
「せ、先生…?」
「今は先生じゃありません!今は可愛い後輩として、先輩の酷い勘違いを正しているんです‼︎」
「え、えぇ…⁉︎」
今この人、自分の事可愛いって言った⁉︎いや、確かに生徒達に引けを取らない可愛さだとは思うけど…⁉︎
「大体、先輩は不用心すぎるんです!すごい努力家で、お人好しで、何か困ったらすぐに助けてくれて、相談に乗ってくれる同年代の男の子を女の子が好きにならないわけ無いじゃないですか‼︎」
「そもそもこの世界、普通の男性顔の人が先輩くらいしかいないんですから!」と続ける────それは本当にその通りだと思う。だからロボットスーツを着込んでいたんだけど…いや、そもそもバレバレだったか。
「例え先輩にその気がなかったとしても、もう先輩は2年間…いえ、3年間もその生き方を見せつけちゃったんです!どうするんですか!もう生徒達の男性観はぐちゃぐちゃですよ⁉︎」
「これから先、誰か別の男性と出会ったとしてもずっと脳裏に先輩がチラつくんです!それって酷いことだと思いませんか⁉︎」と続ける。な、成程……?
「そんな先輩が、誰かと付き合うこともなく、俺には資格がないからって生徒達をバッタバッタと振るんですか⁉︎私、このキヴォトスに来てからまだ日が浅いですけどこれだけはわかります。そんな理由だったら、彼女たちは絶対に諦めませんよ⁉︎」
「そ、そんな事ないんじゃ…?」
「いいえ!間違いありません!つまり、先輩は必ず誰かと結ばれなくちゃいけないんです!そうしないとこのキヴォトスが愛憎渦巻く昼ドラ空間になっちゃいます!」
「酷い世界だ⁉︎」
なんだその世界…?透き通る世界観とは程遠いだろ…。
「ちょ、ちょっと落ち着いてください先生。そもそも、恋愛はお互いの気持ちが大事でしょう。俺の気持ちが追いついていないのにそんな…」
「そこはもう腹をくくって下さい。先輩だって言っていたじゃないですか、年端も行かない少女の気持ちを弄んだって。傷物にした女の子の責任を取るのも大人の男性の責任の一つですよ」
……しまった、ぐうの音もでない。
「とにかく!先輩はそんな甘っちょろい考えは捨ててください!女子高生なんて恋愛に盲目なんですから、もう手遅れかもしれませんけどこれからは最大限気をつけてくださいね‼︎」
「……は、はぃ」
「全くこの人は…!」とぷんすこ怒っている先生を傍目に一息吐く─────どうやら終わったらしい。変な事を話して地雷を踏んでしまったようだが…。
「先輩、なんだか終わったような感じ出してますけど、まだ終わってませんからね?」
「…えっ」
「いい機会です。ついでに先輩の女性関係とかもろもろ聞かせてもらいますから」
新品のお茶のペットボトルを一息で半分飲み切った先生が自分のことを睨む………ここは伝家の宝刀を使うしかないか…!
「……か」
「か?」
「勘弁してくださ〜い‼︎」
─────────結局、朝日が登るまで先生の事情聴取は続いた。
────────────────────────
「──────それじゃあみなさん、短い間でしたけどお世話になりました!」
アビドス高等学校の最寄り駅で、ペロロのカバンを背負った彼女─────ヒフミちゃんが深々と頭を下げる。それをアビドスやスクワッド、トキちゃんのみんなで見送っている。
「こっちこそ、色々と巻き込んじゃって悪かったね」
「いえ、私もクロキさんのお手伝いをできて嬉しかったです!」
「そういってもらえると助かるよ。桐藤さんによろしく」
「はい!任せてください!」
クロキ君からヒフミちゃんへの頼み事────トリニティからの物資の援助だ。物資は今でも問題はないとの事だが、使わなかった分は返せば良いとのことで援助のお願いをしてもらうらしい。なんでも彼女はティーパーティーの桐藤ナギサさんと非常に仲が良いとのことで、多分間違いないだろうとはクロキ君の意見だ。
「……すまないヒフミ。どうかアズサの事をよろしく頼む」
「任せてください!何かあったらすぐに連絡しますから!」
「恩に着る。この恩は必ず返すから」
サオリちゃんからヒフミちゃんへの頼み事─────今トリニティに潜入しているアリウススクワッドのメンバーである白洲アズサちゃんの様子の確認と、もしアリウス分校による粛清の気配があった場合の連絡だ。今スクワッドのみんなから連絡すると報復される可能性が高まることから、彼女をメッセンジャーにするらしい。クロキ君の案だけど、何か他に思惑があったりするのだろうか…?
「アビドスの皆さんや先生も、色々とお世話になりました!今度トリニティにも遊びに来てください、歓迎します!」
「ん、色々片付いたら絶対行く」
「絶対みんなで行くからさ、それまで待っててよ」
「約束ですよ!」
その言葉の最後に、駅から電車の到着を知らせるベルが鳴り響く────彼女を見送ったら、いよいよカイザー達との戦争が始まるのだ。
「それじゃあ私はもう行きますね!みなさん、頑張ってください‼︎」
パタパタとペロロ様のカバンを揺らして駅構内に消えていく背中に手を振り、そしてその電車がホームから発車するのを確認してから辞める。
「──────それじゃあ……いよいよだね」
ホシノちゃんの言葉に全員が頷く。それを合図に私がタブレット────シッテムの箱を起動させて口を開く。
「シロコちゃん達やサオリちゃん達は予定通り、住民の避難を進めて。移動用のバスは既にクロキ君がチャーターして各ポイントに配備してあるから、誘導よろしくね。障害は任意に排除して」
「了解した。任務を全うしよう」
「ん、任せて」
「トキちゃんは既に展開しているであろうPMCの削りだけど……大丈夫?単独行動になるけど」
「問題ありません。寧ろ単独行動は専門分野ですので」
自信ありげにお辞儀する彼女にクロキ君が続ける。
「……避難誘導の可否は飛鳥馬さんに掛かっていると思う。負担を掛けて申し訳ないけど、どうか頼むよ」
「お任せください。必ずやご期待に添えてみましょう」
そういって微笑むと、視界から突如として消える。
「私とクロキ君、アヤネちゃんは学校に戻ってみんなのサポートを行うよ。…クロキ君、原稿の準備は?」
「大丈夫です。時間になったら各動画投稿サイト、モモトークに一斉に声明を発表するよう設定済みです」
彼の言葉に頷く────まさか、キヴォトスで一番初めにやる大仕事が大企業との戦争だなんて思いもしなかったけど。でも、生徒達のことを食い物にする大人には私だって含むところが多分にある。やるからには徹底的にやるべきだ。
「──────それじゃあみんな、作戦開始と行こうか」
──────────────────────
──────お昼の始まりを告げる鐘の音と同時に、各情報サイトに一斉に都市整備部からのお知らせが投下される。
表題は『アビドス地区再開発業務の受託及び再開発範囲のお知らせ』
普段の都市整備部の公表と何ら変わりない表題だが、そのお知らせに目を通した人の多くは驚愕に目を見開いた。添付された計画図には広大なアビドス砂漠すら網羅した莫大な再開発予定地が明記されており、規模だけで言えば従来の都市整備部の最大規模であったD.U.区画一斉開発の凡そ3倍のそれを誇っていたからだ。
そしてその公式発表の僅か2分後。まるで予測していたかのような速度でカイザーコーポレーションが公式に声明を発表する。曰く、現在のアビドスの土地の殆どの所有権は我々カイザーコーポレーションが保有しており、このような一方的な再開発は到底受け入れることができない。もしこれを強行するのであれば我々は実力行使も辞さない、と強い言葉で占められたその声明によって一気に緊張感が跳ね上がる。
この声明を受けた連邦生徒会、ひいては現在の行政執行者である七神リン主席行政官は今回の事態に対して記者会見を開き、情報収集にあたるとした上でヴァルキューレの投入も辞さない旨を明言した。
都市整備部の所属するミレニアムサイエンススクールは今回の件について具体的なコメントは差し控えるとした上で、都市整備部部長の身に危険が及ぶようであれば実力行使もやむなしと事実上の都市整備部寄りの声明を発表した。
尚、今回の騒動の発端人である都市整備部部長兼楽園造園室社長である鏑木クロキは事態が収集されるまで一切の取材に応じないと明言した上で、一言コメントを残している。
『来年にはアビドス砂祭りが再開できると思いますので、是非皆さん遊びにきてくださいね』
鏑木クロキ
普通のカレーが好きなわけではなく、アビドスの家庭科室で作るカレーが好きなだけの情けないロボット。かつて梔子ユメや小鳥遊ホシノと共に作ったあの時の眩い記憶が忘れられていないだけ。もし目の前に奇跡があって、あの頃を取り戻せると言われた時、彼はその選択を迷わないだろう。
失敗者
彼は、聖園ミカを導くことも、ただ一人の王子様にもなれなかった。
先生
人知れずバッドエンドポイントを潰していく天才。尚、ミレニアムラクエンヅクリにはまだまだ無数に転がっている模様。暗に相手は生徒じゃなくても良いと言っていたが、当然の如く某生物には届いていない。
単位:ブラックマーケット
たまに鏑木クロキが使う単位。こんな単位使う頭のおかしいロボットは彼だけなので使っても誰も規模感が伝わらない。
ミレニアムの失われた1日
ミレニアムの行政機能のほとんどが停止した悪夢のような1日。メインサーバーがダウンしたとか解析不能なウイルスに侵されてサーバーそのものを交換したなど憶測が飛び交っているが、事実はロボットの振りをした一般男性が生首を模した芸を披露しただけである。
カイザーPMC理事
鏑木クロキの作った領域支配機に精鋭部隊が薙ぎ払われて戦々恐々している。アビドスにアリウススクワッドやミレニアムの最高戦力に匹敵するエージェントが合流したことなど勿論知らない。
ゲマトリア
誰名義で鏑木クロキに招待状を送るかベアトリーチェを除く全員でじゃんけんして決めたところ、黒服がこの権利を勝ち取った。後日、彼の下に【奇跡】を謳う手紙が届く。
※以下作者あとがき
ここまで閲読いただき、誠にありがとうございます。
さて、早いところでこの作品も10話を越え、今話で12話を迎えました。ここまで作品が続いているのも、読者の皆様の感想や評価があってこそです。この場を借りてお礼申し上げます。
さて、今回あとがきを書いた理由なのですが、今話を区切りに投稿頻度を週一投稿から隔週投稿へと変えさせていただく旨のご報告となります。
筆者のリアルが忙しくなってきたのが主な原因となりますが、これから登場人物等が増えてきますので、今一度キャラクター像の再確認のための時間を頂きたく思います。
それと最後に、この作品の目指している着地点についてお話していきたいと思います。
結論から申し上げますと、この作品はハッピーエンドを目指して進んでおります。いや、もうこの状況から無理やろと思っているそこのあなた、大丈夫です。私も若干厳しいんじゃないかと思っていますが、そこはなんとかします。
これから先、ミレニアムラクエンヅクリには多くの重石を背負ってもらうことにはなるかと思いますが、最後は大団円に向かいますので気楽に読み進めて頂ければ幸いです。主人公が苦悩したり、悩んでいる姿は見たくないという方がいらっしゃれば、申し訳ありませんがお気に入りを解除してそっとブラウザバックしていただければ幸いです。
長々とした長文になってしまいましたが、これで作者後書を終わります。
それではみなさま、3年間じっくり熟成されたゲヘナアマアマシロモップ回でまたお逢いましょう。