ブルアカ世界に男で転生したのでロボットになります 作:あーけろん
誤字脱字報告、感想、評価、閲覧、ご指摘の全てに感謝を。
多分な評価を得て正直困惑していますが、これも醍醐味とはっちゃけようと思います。
感想欄に何人か名探偵がいたのは正直笑いました。
※2024/4/10日追加 ヒヨリ→ヒマリ 1文字違うだけで全然ちゃう生徒や…
『────楽園の存在証明?相変わらず桐藤さんはずいぶん難しいことを考えるんだね』
暖かな日差しが差し込む庭園で、ティーカップを傾けながら彼は珍しいものを見た様に笑う。
『笑い話ではありません。貴方は楽園を作ると言いましたが、そもそも楽園なんてものが本当にあると思っているのですか?』
『あるよ。楽園はある────間違いなくね』
表情の見れない機械の能面を付けているが、その口ぶりからそれを信じきっている様だ。
『思考停止しているとしか思えません。そもそも、誰がどうやって楽園であると証明できるのですか。所詮、楽園なんて子供が描く絵空事です』
『相変わらず意固地だね。まぁ、そういうところがいいところでもあるけど』
『馬鹿にしているんですか?口にロールケーキをぶち込みますよ?』
『急に物騒だな……』
カップを置くと『うーん…』と首を傾け、空を見上げる。
『俺が思うに、楽園には入れ物と中身が必要なんだと思う』
飲み干して空になったティーカップを持ち上げ、それをこちらに見せてくる。
『例えば……うん、このティーカップ。見た目は綺麗だし手触りも良い。まさしく一級品だと思う』
『そうですね。一流の所から仕入れていますから』
『仮に、これを楽園の入れ物としよう』
『…ずいぶんと小さい楽園ですね』
『例えだよ。それで、これが楽園の入れ物だとしよう。そうなると中身には何を入れればいいと思う?』
『────読めてきましたよ。つまり、そこに一流の紅茶が入らなければ楽園とはなり得ないと言いたいのでしょう』
『…まぁ、うん。その通り』
言いたいことを先に言われてしまって悔しいのか、少し言葉に詰まる彼に微笑み気分を良くしながら紅茶を嗜む。急に例え話を用いてきたと思えばありきたりな話だ。
『そもそも前提があり得ません。そのティーカップの様に完全な入れ物なんてこの世に────」
『俺が作ってみせるよ』
『………えっ?』
私の言葉に被せる様に、普段らしからぬ口振りで断言する。それは、ある種の宣誓の様だった。
『誰も飢えることない、寒さに震える事のない、蔑まれることのない。そんな楽園を、俺が作ってみせる』
『…そんな、夢物語を』
まさしく夢物語。子供が小さい時にコミックのヒーローに憧れる様な、そんな荒唐無稽な話────なのに、なぜか信じてしまいそうになっている自分がいる。
『だから、桐藤さんには中身を作って欲しいんだ』
『中身?』
『そう。俺が作る楽園に入る、その中身を』
彼の言う楽園──────それはきっと、人と人が手を取りあって恒久的に繁栄するキヴォトスのことだろう。全く、随分と無茶を言ってくれる。
『無理難題を言ってくれますね』
『できないかな?』
『約束はできません………ですが』
『ですが?』
『────貴方も、私の作る中身に負けない世界を作ってくださいね』
──────────────────────
『ピピピッ。ピピピッ』
「───朝、ですか」
機械音によって意識が覚醒する───随分と、良い夢を見ていた様な気がする。
「もうすぐです、クロキさん。私達の願った楽園は、もうすぐ………」
願う様に、媚びる様に1人呟く。アラームを切った通信端末。そこには、茶髪の少女と黒髪の少年の写真が写されていた────。
─────────────────────
「─────よし。報告書はこれで大丈夫ね」
「お、終わった~……」
ユウカの手によって書類の角を机で揃えられると、その左上にクリップが止められる────何とか今月も乗り切ったらしい。
「いつも言っていると思うけど、普段から計画的に進めていれば期日前に慌てなくて済むんだから、来月はもっと早めに頼むわよ」
「…まぁ、来月から善処するよ。うん」
「善処じゃなくて実行してよ…。まったく、ノアからも言ってよ」
「うーん…。まぁ、クロキさんも普段からお忙しいですし。あんまり責めたら可哀そうですよ?」
「ちょ、ノアはクロキの肩を持つの⁉」
「ふふっ。さあ、どうでしょうね」
困ったようにこちらを見て微笑んでいるがとんでもない。部活より厄介な案件を持ち込まれているのだ、こちらとしては苦笑いするしかない。しかし、そうなるとおもしろくないのが対面にいる早瀬会計だ。
「な、なんだか怪しいわね…。さっきも給湯室でなにかやっていたようだし…」
「あぁいや、さっき生塩書記と話していたのは─────ッ」
柔らかな感触が左足の甲に触れ、その感触に思わず言葉が詰まる。下手人が誰かなど考えるまでもなく、視線を左隣にいる生塩書記に向ける
「?」
何もしらないと言わんばかりの態度だが、その実、机の下で自分の脚の甲に乗せているのは彼女だろう。いまでも柔らかな感触が甲の上で動き回っており、可愛らしく小首をかしげたところでバレバレである───というより、柔らかい感触ということは……こいつわざわざ靴を脱いだのか⁉
「どうしたのよ?」
「いや、なんでもない」
なぜ靴を脱いだのかはともかく、彼女の意図は理解した───つまり、早瀬会計には話すなと言いたいのだろう。なぜ黙っていなければならないのかは不明だが、あえて逆らう必要もない。
「さっき給湯室で話していたのはあれだ、生塩書記の好きなフレーバーのインスタントコーヒーが切れていたから代わりに取っただけだ」
「…本当なの?」
視線が生塩書記の方へ向く。口から出まかせを吐いたが、それっぽいカバーストーリーは出来上がった。後は生塩書記が合わせてくれれば───。
「あれ?私はてっきり口説かれているのかと思ったのですが…」
「生塩書記⁉」
「口説っ……クロキあんた!私が資料を確認している間に……!!」
みるみる内に顔を真っ赤にして怒りの矛先を突き付けてくる早瀬会計に首関節のモーターをフル稼働させて横に振るう。こんな冤罪で絞られるのなんて冗談じゃない。
「違っ、本当にそういう話をしていたわけじゃないぞ!生塩書記も、こういう時に揶揄うのはやめてくれ。心臓に悪すぎる……」
「ふふっ、ごめんなさい」
「…怪しい」
訝しげな視線を向けてくる彼女を敢えて視界から外す──正直もう胃に穴が開きそうだ。
「そ、それより。生塩書記から話があったんだよな。そっちの方が気になるんだが」
「……そうですね。これ以上クロキさんを揶揄うのはやめておきましょうか」
仕方ない風を装って珈琲を口にする──その一瞬、流し目で妖艶に微笑んで見せた。どんな生活をしていたら学生がこんな色気を醸し出せるんだよ、あれか?峰不二子に鍛えられでもしたのか?
正直もうどんな内容でも構わない、この会話から解放されるのならなんだってしてやる、と半ばやけになっている中生塩書記が鞄からクリアファイルに挟まれた紙を取り出す。そしてそれを全員が見れる様に机の上に置きながら、こう宣った。
「えーとですね。まずクロキさんは、連邦捜査部シャーレという組織はご存知ですか?」
───シャーレ?聞き間違いか?いや、けど確かに連邦捜査部と言っていた。シャーレだけならともかく、連邦捜査部の名を冠する組織はこの世界には一つしか存在しないはずだ。
「………勿論。最近発足した、連邦生徒会長肝煎りの組織だよな。確か他の自治区への強制捜査権を持っている、色々と物騒な所だった筈」
「流石、時勢には詳しいですね。そうです、そのシャーレからクロキさん個人宛に協力要請が来ています」
シャーレからの協力要請、そのフレーズだけでも心臓が痛くなる。正直こうして平静を装えているのだけでも奇跡と言ってもいい。おそらく今の俺の顔は白を通り越して青くなっている事だろう、こういう時はロボットで助かったと思う。
「それは本当にシャーレから?また行政官あたりがちょっかいかけてきたんじゃないでしょうね…?」
「今回は違いますよ。ちゃんと先生の直筆サイン付きです」
「どうだか。それを口実にそのまま連邦生徒会で確保ー、なんて洒落にもならないわよ」
「確かにリン行政官の入れ込み具合からその可能性もなくはないですが……これはあくまでもシャーレからの要請ですから」
「───それで、内容は?」
2人の会話に割り込む様で申し訳ないが、敢えて声を上げる。問題はそこだ、結局どんな内容なのか。俺の評判を連邦生徒会から聞いたのであればおそらく都市整備関係だとは思うが─────。
「…それがですね。特に依頼内容とかは書いていないんですよ」
「……つまり?」
「つまるところは………貴方と会ってお話がしたい、との事です」
「───────成程」
振り絞る様に相槌を打つ。あ、あかん。胃に穴が開きそうや。
お話し?態々セミナーを通した正式な依頼で?そんなわけはない。大体話すだけなら態々シャーレに呼びつける必要はない────つまる所、結論は一つな訳で。
「────異分子を殺しにきたか」
ミュートモードで2人に聞こえない様1人つぶやく。実際、そうとしか考えられない。この2年間で原作にそこそこ介入したのだ、先生がもし転生者なのであれば異分子である俺の存在に気がつくのは道理と言えるだろう。ましてや生徒達とのハーレムを目論んでいるのであれば男の生徒など益々生かしておく必要がない。────成程、これは詰んだな。
「────ふーん。クロキ、どこかで先生と会ったんだ?」
「まだ着任したばかりなのに、もう粉をかけたんですね。流石手が早いと言うか…」
まだストーリーの序盤だからそこまで交友関係は広くないはず。そうなると仕掛け人はワカモか…?うん、七囚人相手に生き残れるわけがない。いよいよ準備していた引継ぎが役に立ちそうだな。ちゃんと役に立ててくれれば良いのだが───────ん?
「なんの話だ?粉もなにも、俺は先生とやらと会ったことはないぞ。と言うより、早瀬会計から俺のことを話したんじゃないのか?」
「私から話すわけないじゃない。その………あんたみたいな女誑しを紹介したら色々と悪影響じゃない」
「そうですよ。態々そんなことをするはずがありません」
……不味い、嫌な予感がする。
「───そういえば、まだ早瀬会計から先生の第一印象を聞いてなかったな。どんな人だったんだ?」
「どんなって………うーん、外見は普通の大人の人だったわ。この前ノアも一緒にシャーレに行った時に会ったわよね」
「はい。どことなく雰囲気が違う様に感じましたが…普通の人でしたよ?」
「いや、そう言う意味じゃなくて───」
動画は確認した。ヘイローのついていない後ろ姿、ワイシャツにスーツのズボン、特に変哲のない姿────けど、俺はその顔を見たわけじゃない。だがそんなことはあり得るのか?いや、あり得ないわけじゃない。そういう作品だって前世では多くあった。けれど…………。
どうか違っていて欲しいと、この世に居もしない神に祈る様に──────絞り出すように、その口を開いた。
「───────先生って、女性だった?」
多分突拍子もない様に感じただろう。2人は互いに視線を向け合った後、なんでもない様に言い放つ。
「そうよ」
「そうでしたよ」
「────スゥ」
────鏑木クロキ、享年17歳と6ヶ月。死因は突発性現実直面による心臓ショック。その死に顔は、とても穏やかだった…………。
「ちょ、クロキが固まった!ちょっとクロキ、クロキー⁉︎」
「あらあら…とりあえず医務室に搬送しましょうか?幸い気絶しているだけの様ですし」
「な、なんでわかるのよ?」
「ふふっ。ユウカちゃんもいずれ分かるようになりますよ」
──────────────────────
「─────やっぱり、いきなり呼びつけるのはまずかったかな?」
手に持っていた書類を机に放り出し。座り心地の良い椅子の背もたれに体重を乗せながら呟く。呼びつけたのは、とある生徒のことだ。
「いえ。こちらから出向くとミレニアムの方々が色々と妨害してくると思いますから。適切な処置だったと思います」
「そうかな〜。やっぱり誠意とか見せないとじゃない?大人としては」
「あくまで協力要請という体を取りましたから問題はありません────まぁ、彼が断るとは思えませんが」
横に立っているメガネをかけた理知的な生徒───連邦生徒会主席行政官の七神リンへと視線を向ける。
「けど意外だったな。リンちゃんがこれだけ人の事を評価するなんて。言い方は硬いけど、これ結構ベタ褒めしてない?」
「リンちゃんは止めてください。私は他人の評価に自分の感情は入れませんし、彼を評価できないのであればそこまでの人材という事でしょう」
「評価ねぇ……」
先程まで見ていた資料───それには、とある生徒のプロファイルが記載されていた。ここに赴任してから数日、七神行政官から用意された資料の中にこれはあったものだ。他の書類が現在のキヴォトスの問題や状況などの報告書だったにも関わらず、これだけが異彩を放っていた。
「───鏑木クロキ君、ね」
報告書の表題曰く───『楽園の設立者』。
ミレニアムサイエンススクール管轄の『都市整備部』の部長。同校の生徒会組織である『セミナー』の行政開発担当顧問を務め、僅か2年足らずで広大なミレニアム学区の3割を改修、改善した稀代の天才。
彼が手がけた学区は通称『楽園学区』と呼ばれ、他の地域と比較し土地や賃貸価格が2倍に差し迫るなど、その完成度および住みやすさが伺える。
なにより特筆すべきは着工から完成までの速度と言える。とある行政区が区画整理を含む大規模都市開発計画を決議した際、彼は僅か2日で都市予想図および予算推移表を書き上げてそのまま代表業者の立場を獲得。その後はミレニアム郊外に保有、管理する工業地帯から膨大な建築資材を投入し、僅か3ヶ月で事業を完遂させた逸話もある。
「……うん、凄いね」
「そうでしょう。本来ならミレニアムという一組織に所属するべき人材ではないのです」
「あはは…」
本当に私的な感情は入っていないのかと勘繰ってしまうほどの入れ込み具合だが、そこは触れないでおくのが花だろう。
「それで、どうして七神行政官は彼のことを紹介してくれたの?確かに特筆するべき才能を持っているとは思うけど……」
「それは…彼がこのキヴォトスで最も信頼することができて、尚且つ危険な人物だからです」
「…?」
信頼できて、尚且つ危険?いまいち要領を得ない答えだ。私が怪訝な顔をしたのがわかったのか、一度咳払いをする。
「──すみません、すこし言語化に失敗しました。言い換えます。彼は現在、このキヴォトスでも少々異質な立ち位置にいるんです」
「異質な立ち位置?」
「そうです。彼の所属はその報告書の通りミレニアムですが、その活動範囲はミレニアムだけに留まりません。トリニティやゲヘナ──あとはアビドスといった他の地域にも多大な影響力を持っているのです。それこそ、水面下で彼の転校を目論む勢力がいる程に」
「…なるほど。つまるところ、彼の扱いを間違えるとどこかの勢力の地雷を踏み抜く可能性があると」
「そうです。彼にはそういった危険な側面もあります───しかし、彼自身は信頼に値する人物と言えます。それに、先生はきっと気に入りますよ」
どことなく自信満々に言い切る彼女は、これがとどめと言わんばかりに締めの言葉を吐き出す。
「だって、先生は夢に向かって全力投球の生徒が大好きでしょう?」
「──降参。流石リンちゃん、短い付き合いなのに私のことをよくわかってるよ」
「それでは、詳しい日程が決まったら連絡を下さい」とだけ残して部屋から退出する彼女を見送る────さて。
【……起きて、アロナ】
瞬間、目の前の空間がオフィスから崩れかけの教室へと変貌する。半ば砕けた壁からは透き通る様な青空を望み、白い雲がまばらに散っているのが見える。
「あちゃー。また寝てるよこの子…」
そんな教室の机で、青い髪の少女が突っ伏して寝ている。すよすよと寝息を立てて眠りこける姿は可愛らしいが、今は調べて欲しいことがあるのだ。
「アロナ、アロナってば」
「うーん…バナナミルクにはチョコクッキー……」
「もぅ、また食べ物の夢なんて見て……。アロナ、アロナ!」
「にゃ⁉︎」
申し訳ないとは思いつつ、強めに肩を揺すって彼女を起こす。飛び起きた彼女は猫の鳴き声の様な声をあげて椅子から飛び起きると、少し焦点の合っていない視線で私を見る。
「…あっ!先生!来ていたんですね‼︎」
「うん。ごめんね、お昼寝中に」
「お、お昼寝なんかしてませんよ!ちょっと休憩していただけです!」
「はいはい。それで、ちょっと調べ物をして欲しいんだけど良い?」
「勿論!このアロナに全てお任せください!」
小さな身体に手を当てて胸を張る姿に微笑み、頭を撫でる。
「アロナは頼りになるね」
「えへへ〜。それで、何について調べれば良いんですか?」
「この生徒について調べて欲しいんだ」
何もなかった空間に先程まで自分が手にしていた彼の報告書が現れ、それを彼女へと手渡す。
「えーと…鏑木クロキさんですね。少々お待ちください、今検索を掛けますから」
資料を虚空へと飛ばすと「むむむ〜」と唸り出す。
「うわっ。ちょっと検索をかけただけでもすごいヒット数です、余程有名人なんですね〜」
「普通の検索データベースに載っているような情報より、ちょっと深めな奴が良いな。中々扱いが難しい生徒みたいで」
「わかりました!むむむむ〜」
こめかみに手を当ててさらに検索を深めていく。すると「あれ?」と声をあげる。
「この方、学生証のデータに改竄された痕跡があります」
「改竄?」
「はい。特に経歴とかはいじってない様ですが……あー‼︎」
「ど、どうしたの⁉︎」
急に大声を上げて立ち上がると、空にディスプレイを浮かべる。
「この人、学生証の画像データを改竄してます!」
「画像データの改竄?」
「そうです!見てください!」
空にクロキ君の画像が映し出される。このキヴォトスでは特に珍しくもない、どこにでも居そうなロボットの風体だ。しかし、それが徐々に姿を変えていき────。
「…これは、人?」
そこには、やや気怠げに写真に映る男子生徒が浮かび上がっていた。
「これは大事件ですよ!学生証の画像データを改竄するなんてとんでもないことです!」
「…確かにそうだけど。これ、改竄されたのはいつかわかる?」
「大体2年前ですね。かなり腕の良いハッカーのようで、形跡が巧妙に偽装されてます」
「2年前…。つまり、都市整備部として活動する前」
態々学生証の画像データを改竄してまでやることが社会貢献?意図が読めない。
「アロナ、他にも情報を拾ってくれる?」
「わかりました。少々深く探ってみますね」
こめかみに指をあてて「むむむ〜」と唸ってから数秒後、私が見える様にデータがスクリーンの様に映し出される。
「大体調べ終わりました。この人、部活の他に起業もしてますね。法人名は『楽園造園室』、本店所在地はゲヘナ行政区です」
「起業?部活があるのに?」
「はい。態々ゲヘナで起業しているところも気になりますね」
「───他には?」
「ええっと……その会社を通じてアビドス高等学校に出資をしています。名目はセメント工場の設立ですね。実際にアビドスで経営顧問としても活動しているみたいです」
「アビドスにも…」
七神行政官から渡された資料にも名前があった高校だ。そんなところにも手を伸ばしているなんて───。
「あとは───夥しい数の施工記録ですね。これ、普通の人だったら一生掛かっても関われない件数ですよ」
「関わった建物を地図に写せる?」
「お任せください、今から写しますね」
キヴォトス全域の立体地図が机の上に表示される。
「今から都市整備部および楽園造園室が関連した建物を赤く表示しますね。えーと…」
地図上の建物がポツポツと赤くなっていく。しかし、その赤色は指数関数的に広がり─────。
「………………これは」
─────そこには、半分程が赤く染まったキヴォトスが広がっていた。
「うひゃ〜。凄いですね、半分くらい真っ赤っかです」
「これだと、ほとんどキヴォトスを作り変えるつもりみたい。けど、一体何の為に………まさか」
そこで、先程の表題の部分が思い起こされる。『楽園の設立者』、最初は楽園の様に居心地の良い街を作ることから付けられた異名かと思ったけど、これは違う。そんな規模の話じゃない。これはもう一種の狂信と捉えて良い。
「……彼は、このキヴォトスを楽園に作り替えるつもりなんだ」
「え?何か言いました?」
「ううん。それよりアロナ、ミレニアムまで一番早く行ける方法を教えて貰える?」
「一番早くですか?それだったら連邦生徒会が保有しているヘリコプターを使うのが良いと思いますけど…」
「良いね。じゃあ早速準備しようか」
「えっ⁉︎今から行くんですか⁉︎」
「うん。こういうのは早い方が良いからね」
聞かなければならない。17歳の少年がこの世界を楽園へと作り変える、そう思い立った理由を。そして今も走り続けている理由を。
「待っててねクロキ君。今、会いに行くから」
──────────────────────
モニターが開かれると同時に視界に白い天井が映し出される────見慣れない天井で目覚めるのはこれで2度目だ。
「…今は11時、大体3時間くらい気絶してたのか」
身体を起こしてベッドから起き上がる。しっかり眠ったはずなのに嫌に疲れは取れていないが、寝ていても体調が良くなるとも思えない。軽く辺りを見回すとベッドボードに見慣れた青色の付箋と白色の付箋が貼られており、それが早瀬会計と生塩書記が普段使っているものだと気づくのに時間は掛からなかった。
「なになに──『無理は禁物!今週の予定はリスケしておくから!』…ありがたい」
青の付箋には厳しいながらも優しいことが書いてあり、思わず頬を緩める。
「こっちは……『シャーレへの返事が決まったら連絡下さい。どうか無理はしないで』……夢じゃなかったか…」
白の付箋には絶賛頭を悩ましている事案が書いてある。夢であってほしかったが、現実というものはいつも残酷だ。
ここでふと考えを巡らせて見ようと再び枕に頭を沈める。考えというのは勿論、シャーレからコンタクトがあった点だ。
まず認めなければいけない事案として、この世界線の先生は女性であった────うん、苦しい。別に悪いことではないのだが、どうにも先生は男であるという前提意識があってうまく感情を飲み込めていない。そっか、女性だったか……。
「じゃあロマンス要素はどうなるんだ…?百合か?百合表現なのか?まぁ無くはない─………いや、寧ろありか」
少しだけ芋っぽいけど強い信念をもつ大人の女性に眉目秀麗な少女達が惹かれていく……うん、ありだな。全然ありだ。脳内で行われる解釈会議の結果、それはありという裁定となった。というわけで先生が女性であるという事実は受け入れよう。
「そうなると俺を指名してきた理由か…」
これに関しては本当にわからないとしか言いようがない。そもそも前提条件として、この世界の先生が転生者なのかそうでないのかで大きく変わってくる。それこそ転生者なら異分子である俺というモブに接触して処分を下すだろうし、転生者でなくともそこそこ顔の広い自分と繋がりを持とうとすることは理解できる。結局、一度確認しないことには判断ができないという事実は覆りそうもない。
「…生塩書記に連絡しておくか」
幸い通信端末も一緒に運んでくれていた様で、枕元にあったそれを開いてすぐさま生塩書記へ倒れたことの謝罪も併せてメッセージを飛ばす。ものの数秒で既読が付き、それからすぐに着信が掛かってくる。特に悩むこともなく通話ボタンを押すと『もしもし?』と不安そうな声が聞こえる。
『目が覚めたんですね。急に気絶するから驚きましたよ』
「ごめんごめん。どうやら疲れが溜まっていたらしい。早瀬会計からの書き置きにもあったけど、今週は少し休ませてもらうことにするよ」
『それがいいと思います。それで、先ほどのシャーレの件ですが』
「うん。日程調整はお願いしちゃっていいかな?日程はなるべく先生と合わせるようにするから」
『…本当にいいんですか?あくまで協力要請、任意での招集ですから、無理に行かなくても』
「無理はしていないさ。俺自身、失踪した連邦生徒会会長の肝煎りの組織の長がどんな人か知りたいしね」
会ってみたい気持ち自体はあるのだし、嘘は言っていない。会いたい気持ちを1とするならば会いたくない気持ちは100だが。
『…わかりました。そこはお任せください』
「ごめんね、助かるよ」
『いい機会なんですから、今日くらいは休んでくださいね。医務室は明日の昼まで利用できますから』
「ありがとう。それじゃ」
『はい。どうぞお大事に』
その言葉を最後に通話を切ると、再び天井を見る。目が覚めた時に見た荒れ果てた天井とは比べるまでもなく整った天井である───つい3ヶ月前に俺が立て直したんだからそれはそうか。
「さ、今日は寝るぞー!」
昨日だってほとんど寝れていない上に収支報告書の提出も終わった。しかも今週の予定はリスケしてもらったのだ、これはもう寝るしかない。
「久しぶりのまとまった睡眠だ。24時間くらいは寝たいなぁ」
布団を被り、深く枕に頭を沈める。そうするとだんだんと眠気が訪れて─────。
『ピピピッ。ピピピッ』
「…………」
無慈悲な着信音。取るか否か脳内で一瞬の思考。そしてその判断は────。
「………もしもし」
『もしもし?アビドス対策委員会の奥空です。今大丈夫ですか?』
声を聞いた瞬間、眠気が吹っ飛ぶ。一瞬の葛藤のうちに電話を取った自分を内心褒めつつ、慌てて医務室から廊下へと出る。
「あぁ、大丈夫だよ」
『…なんだか眠そうでしたが、もしかして夜勤明けでした?』
「まさか。ちょっと寝過ぎてね、その欠伸だよ」
『それなら良いんですが…』
なんだか今日は心配されてばかりだなと苦笑しつつ、「大丈夫だよ」と念を押す。通話の先にいる彼女────奥空アヤネ。というより、彼女の所属しているアビドス対策委員会には色々と関わっているのだから、情けないところを見せるわけには行かない。
「それより、この時期に電話って事は月次報告の日程の相談かな?」
『あっそうです!いつアビドスにこれそうですか?」
「そうだな…少し早いかもしれないけど、今週の木曜日はどうだろう。ちょうど明後日なんだけど」
『えぇ、と……はい、大丈夫です!用意する資料はいつも通りで大丈夫ですか?』
「うん、それで大丈夫。悪いね、そっちから連絡してもらっちゃって」
『いえいえ!クロキさんには色々と助けて貰ってますから!』
「そう言って貰えると助かるよ。報告会の後はお店を予約しておくから、また皆でご飯でも行こう」
『良いんですか!それじゃあ楽しみにしてますね!』
「うん。じゃあ木曜日に」
その言葉を最後に通話を切り、溜まった感情を吐き出す様に深い息を吐く。先生が着任した以上、俺の表舞台での役割は終わった。役割の終わった舞台装置は速やかに舞台袖に行かなければ舞台の邪魔になる。そんな事はわかっている、わかっているんだ。
「……やりたくねぇなぁーーーッ⁉︎」
口をついて出た言葉だった。だれよりもそれを口にした自分に驚いた。
やりたくないだと?俺は何を言っているんだ?これは俺が始めた物語で、主人公がいない場合の代役だと決めていただろう。彼女達と関わって、話して、自分が舞台に上がっても良い存在だと勘違いしたのか?
だとしたら思い上がりもいいところだ、俺の存在など端役ですら烏滸がましい。…いや、多少は頑張ったんだから道端の木の役位は欲しいかも。
「──やめだやめ。こんなこと考えても仕方ない」
予定通り、メインキャラクター達との関係を徐々に精算していこう。いきなり関係を断つと怪しまれるから徐々に連絡の頻度を減らして、後は部室にもいない様にしないと。対策委員会の顧問も辞任して、後はゲヘナに作った法人の代表から降りて─────。
「───なにかよからぬことを考えていますね。貴方が倒れたと聞いて様子を見にきたのですが」
ふと、誰かに声をかけられた。収音スピーカーが正しくその音を拾い上げると、声の主の方へ振り向く。
「なんでも抱え込もうとするのは貴方の悪い癖ですよ。偶には、この天才美少女ハッカーに頼み事をしてもいいのでは?」
そこには、自らを天才と称する車椅子の少女が困った様に微笑んでいた。
──────────────────────
───昼の日差しが暖かい廊下を、車椅子を押されながら進む。押してくれているのはいうまでもなく、先程まで難しそうな顔をしていたロボットだ。
「随分とミレニアムの街並みも動きやすくなりました。あれですね、バリアフリーというやつですね」
彼がこの学舎に来てからミレニアムという街並みは様変わりを見せた。古くなった建物は新しく、最新設備のものはより新しく。他の学区からこの街に住みたいからと転校を希望する生徒も出るほどだ。
「……バリアフリーはともかく、本当に倒れたって聞いたの?」
「あら。疑うんですか?」
「いや、また勝手にペースメーカーをスーツに埋め込まれているんじゃないかって」
「さぁどうでしょうね?」
「やれやれ…」
実の所、彼の指摘は正しい。彼の身体───というより、彼を守る外装に取り付けられたパーソナルメーターが異常な数値を叩き出したので、こうしてお見舞いに来た次第だ。目覚めるタイミングを見計らったのも、こうして2人で散歩するためだ。
「…こうして2人で話すのは久しぶりですね。前はもう少しこういう機会があったと思うのですが」
私と彼───鏑木クロキの関係を一言で表すのであれば【共犯者】が適切だろうか。なにせ私が彼の着ているスーツを動かしているシステムを作り上げ、学生証のデータを改竄したのだから。
「…万が一会話を聞かれたら困るからな」
「あら?まだロボットの振りをしていたのですか?てっきり諦めたものとばかり」
「諦めてないけど?俺はロボットだけど?」
「ふふっ。その言葉を聞いて、いったい何人の生徒が信じてくれますかね?」
「…す、少なくとも半分位は信じてくれるだろ」
「残念。私の見立てですと、多分7割の生徒にはもうバレてますよ」
私の言葉に「嘘でしょ…」と天を仰いでいるが、逆にどうしてバレないと思っているのだろうか。見る人が見れば所作が人間らしいし、データを改竄したとはいえ人間だった頃の記録は残っているのだから。
「もうそのスーツも脱いでは如何です?維持費だけでも馬鹿にならないでしょうに」
「それはできない。自分のアイデンティティに関わるから」
「強情なんですから……」
眩い青が映える外を眺める───初めて彼と会った時はもう少し曇っていたか。
「……それで、一体何を悩んでいたのですか?貴方にしては珍しい」
「そんな、普段は悩みなんてないような…」
「そうでしょう。貴方は悩む前にまずは行動するような人です。私の様に冷静になって考えて欲しいと幾度思ったことか」
「そんな無鉄砲なことしたっけ…?」
「あら。私の制止を無視して生徒会長に直談判した回数を教えてあげましょうか?」
「…すみません」
クロキさんとセミナーの生徒会長──調月リオはあまり仲が良くない。というより、彼女が一方的にクロキさんを敵視しているような感じだ。といってもその理由にはおおよそ見当がつく。
詰まるところ、彼女は見ていられないのだ。自分が切り捨ててきた理想を拾い上げる彼のことが。
まぁ、生徒会長が嫌いな私にとってはいい気味なんですが。実験中の事故が原因で彼女が復旧を諦めた自治区を彼が僅か一週間で再建したと報告した時の彼女の顔は今でも忘れられない。あれは本当に胸が空く思いでした。
「もういいでしょう、さっさと話しちゃって下さい。天才美少女病弱ハッカーかつ貴方の最高の相棒が華麗にその悩みを解決してあげましょう」
「そんな横暴な…」
「うじうじ悩んでいる貴方を見ていると気分が悪くなります。さ、早く」
「うーん……まぁ、明星部長にならいいか。強ち無関係とも言えないし」
何だか随分軽い扱いに苛立ちを覚えますが、まぁここは堪えましょう。しょうもない理由だったらスーツをハッキングして腰の骨を折るまでです。
ゆっくりとしたペースで歩きながら、彼はなんでもない様に口を開く。
「引退の時期を考えていたんだ。なるべく早い方がいいんだけど、明星部長ならどの時期がいいと思う?」
「ふむふむ。成程、引退ですか。なるほどなるほど────は?」
「あ、別に都市整備部を辞めるわけじゃなくて。もう少し規模を縮小して、最終的には設備維持だけをやっていこうかなって────」
車椅子の車輪にブレーキをかけ、彼の脚を止める。彼が引退する?このキヴォトスで、最も美しい夢を持っている彼が?
「────駄目です」
「……えっ」
「認められません。不許可です。容認できません」
「あ、明星さん?」
「その明星という他人行儀な言い方も嫌いです。早速ヒマリと呼び直して下さい。さぁ早く」
「い、いやそんな急に───」
「できなければ貴方の元の顔画像をキヴォトス中にばら撒きます。良いですね?」
「横暴だな⁉︎さっきもやったぞこの流れ⁉︎」
「天丼でも何でも構いません。いいんですか?本当に流しますよ?3、2 ───」
「ひ、ヒマリさん!これでいいんだろう⁉︎」
「さん付けが気に入りません。カウントを続けます。いーち…」
「ヒマリ!」
よほど慌てたのか、名前と同時に両肩を掴まれる。────なるほど、強引なのも案外悪くはないです。また学びを得てしまいました。
「な、なんだよ急に、らしくない。いつもみたいな余裕はどうしたんだよ?それじゃ天才病弱……えぇと……天才ハッカーの名が泣くぞ?」
「らしくない?それは貴方の方でしょう。引退?未だ夢半ばの貴方が?私、面白くない冗談は嫌いなんです。2度と言わないでください」
「い、いや。だからそれは……」
彼の手から離れ、正面に向き直る。
「良いですか。私は自他共に認めるミレニアムの超天才清楚系病弱美少女ハッカーです。そしてこのキヴォトスのあらゆる情報を観測できる天才美少女ハッカーでもあります」
「…うん?何か違った?」
「つまり、私は貴方がこのキヴォトスにどれだけ貢献してきたかを誰よりも知っているんです。他の誰よりも、です。はい復唱して下さい。ヒマリがいちばんの理解者だ、と」
「ひ、ヒマリが一番の理解者だよ…?」
「そうです。そんな一番の理解者が夢を諦めてはいけないと言っているんです。なら、貴方がやる事は一つですよね?」
疑問符を浮かべる察しが悪い彼の両頬に手を添え、自分の顔の前に持ってくる
「変なことをいってごめんなさい、ですよね?」
「…え、えぇと」
「どうしたんですか?ちなみにカウントは継続してますよ?」
「へ、変なことを言ってすみませんでした‼︎」
半ばヤケになっている彼の謝罪を聞いてその頭を「よく出来ました」と撫でる。ちゃんと謝れた事は褒めないといけない。
「これに懲りたら2度と同じことを言わないでくださいね?次同じことを言ったら問答無用です」
「……は、はい」
「それに、貴方も自分の気持ちに嘘を吐くのを止めた方が良いですよ」
私の言葉にキツネに摘まれた様な顔をする。その表情が面白くて、つい笑ってしまう。
「さっきの話をした時の貴方、随分苦しそうにしてましたよ。何があったかは知りませんが、もう少し自我を出しても良いのでは?」
「────自我、かぁ」
何かを飲み込む様に呟くと、「…ま、考えておくよ」と言葉を濁す。
「さ、こんな話をしていたらお腹が空きました。折角ですし、付き合って貰えますよね?」
「…はいはい。付き合いましょうか」
「私前から行ってみたいお店があったんです。クロキさんが作った大型複合施設に入っているイタリアンの美味しいお店で───」
「あぁ、あそこか。けどあそこお昼は結構並ぶと思うけど?」
「大丈夫です。予約システムにハッキングして順番を変えますから」
「不法行為はやめてくれ…。しょうがない、あそこの店長には顔が利くからちょっと頼んでみるよ」
「流石、持つべき者は顔の広い共犯者ですね」
「調子のいいことを言って……。折角だし、和泉元さんにも声を掛けようか?」
「そうですね。そうしましょうか」
再び後ろに回った彼に押されながら誰もいない廊下を進む。楽園を作る彼の手によって押されている私はさながら女神ですね、なんて至極当然なことを考えるのだった──────。
鏑木クロキ
解釈の広さが太平洋よりも広い男。百合は特段好きというわけではないが別に嫌いというわけでもないので、彼女たちの青春が見れればそれで満足だと思っている。ヒマリ嬢を見て雲行きが怪しくなってきたと危惧しているが、雲行きどころかお先真っ暗である。引退した後は柴崎ラーメンに弟子入りしてラーメン屋でも開こうかな、なんて甘い考えを持っている。
学名:ミレニアムラクエンヅクリ
霊長目ヒト科ロボット属ユメガタリ種。ミレニアムと名前があるがその生息域はキヴォトス全域であり、各所に現れては建物を作り続けている。関わった生き物の脳を徐々に焼いてく特性も有しているが、センセイオンナタラシが出現したらひっそりと姿を消す。
先生
キヴォトスに配属されて一週間程度のピカピカの新人。サンクトゥムタワーの権限復旧から生活の基盤を整備し本格始動とした矢先に問題児の存在を知らされた可哀想な存在でもある。年齢は20代前半、髪型は肩口で切り添えたウルフカット。性格はどちらかというとさっぱりとした感じだが、ミレニアムラクエンヅクリと出会う前であるという点に留意すべし。
アロナ
学生証の改竄なんてとんでもないです!先生、ちゃーんと叱って下さいね!
白い翼が綺麗なトリニティ生徒
トリニティ生徒会『ティーパーティー』の現ホスト。本来のホストが行方不明となった為に代理としてこの席についている。権謀術数に長けているが、周りに頼れる人間がいない為精神的にかなり追い詰められている。だが、今の彼女にも縋れるものがある。かつて友人と交わした『楽園』を作り出す為に、エデン条約の締結を目指す。その障害となるものは、どんな手段を持ってしても排除するだろう。
明星ヒマリ
鏑木クロキの共犯者にして相棒を自称している、ミレニアムが誇る超天才清楚系病弱美少女ハッカーであり、「全知」の学位を持つ眉目秀麗な乙女であり、そしてミレニアムに咲く一輪の高嶺の花である「特異現象捜査部」部長。初めはクロキの話に面白そうという理由だけで協力していたが、その姿勢を見て次第にその夢を応援する様になった。これは余談だが、クロキが手掛けた建造物の写真をドローンで撮影してそれをコレクションしている。
楽園造園室
ゲヘナ行政区に本店を置く法人。設立から一年弱という短い期間で万魔殿公認業者としての地位を確立しており、行政地区の修繕や区画整理といった大規模事業も行っている。現在はアビドス高等学校地区への開発に尽力しており、同校を悩ませている砂の建築資材への転用を研究している。カイザーコーポレーションとは犬猿の仲であり、同社の系列企業である住宅開発事業を干上がらせて撤退に追い込んでいる。広大な敷地を持つ非合法市場であるブラックマーケットにも一定の影響力を持つと言われているが、詳細は不明である。