ブルアカ世界に男で転生したのでロボットになります 作:あーけろん
誤字脱字報告、感想、評価、閲覧、ご指摘の全てに感謝を。
「───これは、また随分と壮大なことを考えたね」
手元にあったタブレットから目線を上げ、流れる景色が映る車窓へ視線を移す。
「良い案だと思わない?都市整備の専門家として意見が欲しいんだけど…」
微かに揺れる車内────ミレニアムサイエンススクールへと向かう車の中で早瀬会計から受け取ったミレニアムの再開発計画案……というより、その中の目玉に目を通して小さく息を吐く。
「ミレニアム本校にキヴォトス全域を網羅できる高層電波塔を作る……まぁ確かに良い案だね」
「そうでしょ?電波の技術についてはエンジニア部からお墨付きが出てるし、建設予定地はすぐにでも選定するわ」
「ず、随分とやる気だね早瀬会計」
「そりゃやる気にもなるわよ。完成させた時の経済効果は凄まじいし」
「ミレニアムとしてはなるべく早く行動に移したいんですが…クロキさんのご予定はどうでしょうか?」
「……その前に、さ。ちょっと言いたいことがあるんだけど良いかな?」
なにやら食い気味で話を進める二人に対して待ったをかける。
「なんで俺たちは3人で後部座席に座ってるんだ?助手席が空いてるだろ?俺が移るから一旦車を止めてくれ」
「こうして一緒に座ってた方が合理的でしょ?話しやすいし」
「そうですよ?あんまり我儘いわないでくださいね」
「この状況で俺が悪者になることなんてあるの⁉︎至極真っ当なことを言ってるつもりだったんだけど…⁉︎」
先ほどご臨終してしまった偉大なるコハルシステム亡き今、至近距離の二人から耳元で左右から話しかけられるのはいささか情緒的によろしくない。適切な距離感を保つためにまずは物理的な距離を取りたいのだが…。
「それよりクロキさんの装甲冷たいです。外せないんですか?」
「外したら配線が剥き出しになるだけだから温度は変わらないよ…」
「ちょっと試しに剥いでみようかしら?」
「やめてね、死んじゃうから」
心が死んでしまうので嘘は言っていない……なんて、くだらない冗談を宣っている場合じゃない。
「電波塔、ねぇ…」
「もしかしてあんまり乗り気じゃない…?」
「いや、そうじゃないんだ。乗り気じゃないわけじゃなくて……」
ミレニアム本校に設置されるキヴォトス全域を網羅できる巨大な電波塔───なぜだろう、文字列を見ただけで爆発四散する未来しか想像できない。
建築資材をコユキが横流しして強度計算に問題が生じ、エンジニア部がとんでもメカを警備メカとして配置して大暴走。なんなかんやあって陸八魔が白目を剥いてタワーがしめやかに爆発する未来がありありと目に浮かぶ。
「…うーん、技術的にはなんとも言えないかな?ちょっと検討したいから時間を貰っていい?」
「どれくらい必要?できれば急ぎたいんだけど…」
「…?」
なにやら急かす様子の早瀬会計の姿に疑問符が浮かぶ。はて、なぜ彼女はそこまでして電波塔の建設を急ごうとしているんだ…?
「どうしてユウカちゃんが急いでるのか気になっているようですね、クロキさん?」
「生塩書記、別にそんなわけじゃ…」
「わかりますよ。こんなに密着しているんですから、クロキさんの考えてることなんてお見通しです」
彼女の柔らかい手のひらが太ももの装甲に載せられるのを感じ、機械の仮面の下で渋い顔を浮かべる。最近やたらと接触が多いし、触り方がいちいち妖艶なんだよな彼女…俺がロボットじゃなければ誘われているとなんど勘違いしたことか。
「密着したからって人の心は読めないでしょ…」
「読めますよ?クロキさんの視線や息遣い、後は装甲の中から聞こえる鼓動────なんなら、この車中で私の首元を見た回数を今ここで言いましょうか?」
「…かんべんしてください」
目を細めて微笑む生塩書記にがっくりと項垂れる。色々とあって失念していたが、彼女はキヴォトスでも屈指の魔性の女なのだ。俺なんかが真正面から口で勝てるわけがない。
「ちょっとクロキ?なんでそんなにノアばかり見てるの?」
「み、見てない!断じて見ようと思って見たわけじゃないぞ⁉︎」
「ふふっ、見てる回数はユウカちゃんの方が多いですよ。ね?」
滑らかな指がミレニアムの制服から露出した首の装甲を撫でる────ちくしょう、こんな事になるからやっぱりコハルシステムの存在は偉大だったのに…。
「………」
「あら、黙ってしまいましたね。もしもーし?鈍感ロボットさーん?」
「………あの、何をしたら許してくれますかね?」
「ふふっ。おかしなことを言いますね?私はなにもしてないのに…」
キヴォトスに完全な男子生徒がいなくてよかったと、彼女を見ていたら思わずにはいられない。こんな可愛くて妖艶な女の子、同級生にいたらきっと授業になど集中できていないだろうから。きっと同じクラスの男子生徒はみんな彼女に夢中で、仮に俺が同級生だったとしたら俺も彼女に惹かれていただろう。もっとも、恋心とも言えない淡い感情を抱いただけで何事もなく終わるだろうが。
「ん、ん!話を戻そう。それで、早瀬会計はなんでそんなに電波塔の完成を急いでいるんだ?何か訳があるのならできるだけ協力するけど…」
「訳って、それは、その……」
「まぁまぁ。そんなに急かさなくともいいじゃないですか。もうすぐミレニアム本校に到着しますし」
生塩書記の言葉に促されて正面のフロントガラスの景色を見ると、そこには我らが母校であるミレニアム本校の校舎が視界に映る──────我らが母校なんて言ったが、最近はほとんど帰っていないから母校感が薄れているのが玉に瑕だが。
「────ふーん」
「…?何かあったか、早瀬会計?」
「別に?なんでもないわよ」
「そうか?それなら良いんだが…」
何か気に食わないことでもあったのか、不機嫌な様子で頬杖を突く様子の彼女に首を傾ける。しかしその原因を探る時間もなく車はミレニアム本校前の校門前に停車し、その扉がようやく開く。
長かった早瀬会計と生塩書記に挟まれての打ち合わせも無事に終わった。総括すれば辛勝と言った所だろうか、俺がロボットじゃなかったら危なかった。
生塩書記が外に出るのに合わせて俺も静かに車から外に降り立つ。固くなった身体を伸ばし、軽く息を吐くと思考を今後に向けて切り替える。とりあえずは部室に向かって急ぎの仕事データを回収しないと始まらない。
「さっきの話は前向きに検討するよ。俺のパソコンに概要を送ってくれれば、来週にはデザイン案を3つ位仕上げるから、そこからブラッシュアップして────?」
つらつらと言葉を並べている最中、背中に軽く衝撃を覚える。挨拶にしてはやや強めなその感触にはよく覚えがあったのだが…。
「よっ、ようやく帰ってきたなクロキ。会いたかったぜ?」
その衝撃に背後を振り向くと、そこには八重歯を覗かせて屈託のない笑みを浮かべている美甘部長───ミレニアム最強の生徒が制服を着崩した出立で立っている。
「み、美甘部長⁉︎な、なんでこんな所に……」
「あ?変なこと言うな。わたしが友達を迎えにくることがそんなに変かよ?」
「いや、変じゃないけど…むしろ会えて嬉しいよ、最近会えてなかったから」
「そうかそうか。そう言う素直な所は嫌いじゃないぜ?」
俺の言葉に一層機嫌を良くする彼女に笑みが溢れる。あぁ、やっぱり彼女といると安心する。いつでも彼女の屈託のない笑みを見ていたいとすら考えてしまう。
「美甘部長も、そう言う明るい感じは安心するよ。それにしても、また少し痩せたんじゃないか?ちゃんと食べてる?」
「おま、そう言う保護者面はやめろって言ってるだろ!今日は他の奴らもいるんだからよ」
「他の奴ら─────ん?」
そういう彼女の視線の先に俺も向き、思わず口が止まってしまう。
「やっほ〜クロキ!久しぶり!元気にしてた?」
「アスナ先輩、今抱きつきに行くと怖いから止まってくれ…」
「ふふっ、相変わらずお元気そうで何よりです」
「……ほほぉ?」
そこにいたのは我らがミレニアムを守護するエージェント……つまりはC&Cの主要メンバーが勢揃いしていた。この異常な状況に思わず変な感嘆を溢してしまうが、そう言えば彼女の姿が見えないような……?
「貴方のメイドはここですよ、クロキさん」
「うわっ!?」
そんな疑問も束の間、右腕に柔らかな感触と人肌の温もりを感じる。
流麗な声に似合わないアグレッシブな仕草の彼女は相変わらず表情の変化に乏しい顔にピースサインを掲げて俺を見上げている────そう、飛鳥馬さんだ。
「い、いつからそこに…?というか、いつのまにか?」
「駅の構内からずっと見てましたよ。クロキさんの視線を掻い潜るのなんて楽勝です」
「え、えぇ…」
「それより昨日帰ってくるはずだったのに一日も遅れるとはどういう了見ですか。貴方のメイドは寒さに震えて待っていたのに…」
「この春の陽気で寒さに震えることはないんじゃ……いて」
「そこは気の利かせた言葉を言うんですよ。トキちゃんポイント減点ですね」
「出たなトキちゃんポイント…」
加点と減点の時に現れるそれだが、総数を教えてくれないだろうか?今後生徒達からの評価を改善するために役立てるのだが…。
「…クロキ?いつまで飛鳥馬さんとくっ付いているのかしら?」
なんてくだらないやり取りをしていると、横から冷ややかな視線の早瀬会計の棘に晒される。そうだった、こんな所で漫才に興じている場合じゃない。
「あっ、はい。ごめんね飛鳥馬さん、一旦離れてくれ」
「やです」
「そういうと思った…じゃなくて、頼むよ。土下座でもなんでもするから」
「いつも思うんですけど、クロキさん頭を下げる速度が速くありませんか?もっと駆け引きというか…」
「俺の頭ほど軽いものもないからね。土下座と言わず土下寝まで躊躇いがないよ」
下げる頭が軽いのは良いことだ。なにせ下げるのに労力を割かなくて良いのだから。
「……トキちゃんポイント大幅減点です。次そういう事を言ったら問答無用です」
「何が問答無用なのかな⁉︎」
「具体的にいうとぐるぐるの簀巻きにして私の家に監禁します。私自らクロキさんの自己肯定感を高めて見せましょう」
「え、遠慮します」
渋々と言った様子の彼女が俺から離れるのを見越してようやく息を吐く────それと同時に忘れていた嫌な予感が脳裏に舞い戻ってくる。
────セミナーの二人にC&Cの主要メンバーが勢揃い…?どうしたって状況が不可解だ。何かあったのか?
しかし、そんな俺の懸念を他所に「さ、行きましょう」と先導する我らが会計殿に合わせて歩を進める。その最中、俺の横を歩いている美甘部長に声を掛ける。
「な、なぁ美甘部長。今日って何か重要なことでもあるのか?俺何も聞かされてないんだが…」
「あ?なんだお前、聞いてなかったのか?今日は…」
「美甘部長、事前に説明しましたよね?大丈夫です、後で私たちからちゃんと説明しますから」
「う、生塩書記…?」
「っ、そうだった。悪ぃな、後でセミナーの二人から聞いてくれ」
「聞いてくれって…」
バツが悪いのか視線の前で両手を合わせる彼女に渋面を作る。
先ほどの車の中とは打って変わり、どことなく真剣な表情の二人に何か言葉を掛けられるような状態じゃない。かと言ってどこか別の場所に行こうにも、周りはC&Cに固められていて抜けられるような状況じゃない。
「───?」
なんだか物々しい雰囲気にまるで重要参考人として護送されているみたいだ、なんて見当違いな感想が浮かぶ。それにやたらと周りからの視線が痛い。何やら俺に対して注目しているようだが……。
『ピピピッ、ピピピッ』
俺は一体どこの処刑場に連れて行かれるのか、なんてくだらない事を考えていると胸元の通信端末が鳴る。その音に気づいた早瀬会計がこちらに一瞬視線を飛ばす。なるほど、電話はとって良いのか。
「宛先は……梔子先輩?」
光る端末には『梔子先輩』と名前が表示されている。この時期に彼女からの電話ともなれば要件など一つしかないだろうが、早瀬会計からお許しは出ているので躊躇いなく通話ボタンをタップする。
「はい、シャーレ分室未来展望室の鏑木です」
『あっ、クロキ君?ごめんね、今大丈夫?』
「えぇ、大丈夫ですよ。何かありましたか?」
電話先の声─────俺の大切な先輩である梔子ユメ先輩の申し訳なさそうな声に大体の状況が掴めてしまったが、敢えて要件を聞く。
『あ、あのね?怒らないで聞いて欲しいんだけど……じ、実はさっき秘密のはずのクロキ君の楽園の設計図を全体メールで返しちゃって…ほ、本当にごめんなさい‼︎」
概ね予想通りの謝罪の言葉に思わず笑みが溢れる。良かった、これで何か別の要件だったらそっちの方が肝が冷えた。
「はい、聞いてますよ。さっき関係先からこれ流れてるけど大丈夫?って確認のメールが来ました」
『や、やっぱり!本当にごめんね!な、なんて償ったら…』
彼女の口から出てくる償い、なんていう言葉にいち早く返す。
「謝らなくて大丈夫ですよ、ミスは誰にでもある事ですから。とりあえず間違えて送った場所にメールの削除と口外しないで欲しい事をお願いしておいてくれればいいので」
『そ、それだけで良いの?』
「えぇ、どうせ来週には公開する予定だったものです。ちょっと発表が早まっただけですよ」
『で、でも…』
「本当に大丈夫ですから安心してください。むしろ、俺のほうこそ手伝わせてしまって申し訳ありません。カタカタヘルメット団のみんなを纏めながらの作業は大変でしょう?」
『それは全然!職人のみなさんも手伝ってくれるし…むしろ私こそクロキ君の邪魔になってない?』
「邪魔なんてとんでもない。俺にとって先輩はいるだけで有難いんですから」
今の言葉に嘘はない。梔子先輩が生きてアビドスのみんなと一緒にいる、その事実がどれだけ俺を救っているのか彼女にはわからないだろう。そんな偉大な事実に比べたら彼女のミスなど一ミクロン程の痛手も感じない。
『えっ、そ、そうなの?私って、クロキ君にとってそんなに大切なの?』
「そりゃ大切ですよ。かけがえのない存在です」
『へ、へぇ、そうなんだ……って、ダメだよクロキ君!そんなことを軽率に言ったら‼︎そんな事を気軽に言ったら、女の子は勘違いしちゃうよ⁉︎』
「事実だから言ったまでですよ。ユメ先輩は、それだけ大切な存在って事です」
『う、うぅ…‼︎』
なんだか電話先で悶えているが、何か変な事を言っただろうか。まぁ俺のことだから変な事は言ってないだろう。
「さ、そういう訳なので本当に大丈夫ですよ。俺の方でもフォローしておくので」
『うん、わかった。本当にありが……って、ちょ』
急に梔子先輩の声が遠くなり、代わりに『…もしもし?』と不機嫌を隠しもしない様子の親友が通話口に出る。
『クロキ?何いきなり先輩を口説いてるの?』
「その声はホシノか。別に口説いてないぞ?至極当然のことを言っただけだ」
『その先輩は今顔真っ赤で悶えてるよ?私の顔は冷たくなってるけど』
「そんな悶えるようなこと言った覚えはないんだが……まぁ、先輩が男性に免疫がないだけさ。問題ないと思うよ」
『…はぁ。本当に刺されちゃうからねクロキ』
なんて呆れを隠しもしない彼女に疑問符を浮かべるが、「…まぁいいや」と向こうが切り出す。
『それよりクロキ、今度はいつアビドスに来れそう?できれば早く来て欲しいんだけど』
「ん、何かトラブルか?」
『そう言う訳じゃないんだけど……色々と慣れないことだらけで後輩達が参っちゃって…かく言う私もちょっと疲れ気味なんだ』
「そっか…。いや、けど俺も中々時間が────」
自分の脳内に詰め込まれた正確なスケジュール表には一部の隙もない程予定がびっちり埋められている。後削れるところと言えば食事と睡眠の時間くらいのものだ、ましてアビドスまで行くとなると移動時間も掛かる、易々と予定を動かす事は─────。
『───お願い、できない?』
────だけど、それは彼女の縋るような言葉の前には全部些事だ。
「…わかった。なんとかして時間を作るよ。今週はこの後ずっとトリニティに出張だから厳しいけど、来週にはなんとかしてそっちに向かうよ。皆んなにもそう伝えてくれ」
『…ごめんね、無理言っちゃって』
「良いんだよ。元々アビドスの再開発を主導してるのも俺だし、ホシノの我儘を聞く事だって俺の大事な生き甲斐の一つなんだから」
そう言っている間にも脳内でスケジュールを組み直す。どう足掻いても二日程度は徹夜しなければならない日がありそうだが、まぁそこはなんとかなるだろう。
『……うへ〜。まいったなぁ』
「ん、どうした?何がまいったんだ?」
『別に?クロキってば本当に悪い男だなって思っただけ』
「嘘でしょ、こんなに頑張ってるのに…?」
『クロキが頑張ってるのは私が一番知ってるよ。でも、あんまり無理しないでね。クロキに倒れられたらおじさんどうなっちゃうかわからないから』
「ロボットが過労で倒れる訳ないだろ?心配しなくとも大丈夫だよ」
そんな俺の軽口に、彼女は優しげな声で返す。
『…うん、信じてるよ。私のロボットだもん』
『それじゃあ、また連絡するね』と明るい口調になった彼女に別れの言葉で締めて通話終了のボタンを押す。久しぶりにパーフェクトコミュニケーションを取ってしまった、最近休めているからか頭の回転が良いのも相まって非常に清々しい気分だ。やはり生徒達との関係はこうでなくては。
「──────随分楽しそうね」
「そりゃ友人からの通話だからね。やっぱり気の置けない友達との会話は─────ん?」
意識を通話から現実に戻し、周囲を見渡す───なぜだろう、みんなからの視線が心なしか冷たさを帯びているように感じる。早瀬会計や美甘部長はわかりやすく口を曲げているし、生塩書記や一ノ瀬さん、室笠さんの笑みも寒さを感じる。角楯さんに至ってはどうしようもないダメ人間を見る目で俺を蔑んでいるようにすら感じる。
「……さ、着いたわよ。早く入ってちょうだい」
「会議室?なんでこんな所に…?」
「良いからとっとと入れ。話が始まらないだろうが」
「わ、わかったって」
早瀬会計に促されるまま、その会議室の扉を開ける。するとどうやら先客がいたようで、扉を開けた瞬間に声がかけられる。
「やぁクロキ、待ち侘びたよ」
「白石部長?どうしてここに」
「私たちも呼ばれたのよ。今後のミレニアムに関わる重大な話があるからって」
「各務副部長まで…?」
先に席に座っているのはミレニアムでも有数の実力を持つエンジニア部部長と最強のハッカー集団であるヴェリタスの副部長だ─────そうなると。
「今ここにはミレニアムの実力者が集まっているって事か……ん?」
しかし、そうなると一人足りない人材がいるように感じる。
「それなら、明星……じゃなくて、ヒマリ部長はどうしたんだ?姿が見えないが」
「知らないわよ、ここには会長の判断で集められた人がいるだけだから」
「会長……調月会長か?まさか見つかったのか?」
砂漠で俺が起こした不始末の一件以降、神隠しにでもあったかのように俺たちの前から姿を消してしまった彼女。その会長に集められたと言う事は、ここに彼女も来るということか?
「言っておくけど、会長はここには来ないわ。仕切りは私とノアに任されてるから」
「仕切りって…一体何をはじめようってんだ?」
あまりに物々しい雰囲気に思わず口を開いてしまうが、その前に早瀬会計が「その前に」と俺の言葉を潰す。
「セミナーから都市整備部へ正式に質問するわ。さっき話した電波塔の件、実現は可能なのかしら」
セミナーから都市整備部へ、という言葉に顔が強張る。つまるところ正式な依頼と言うことか、それなら俺に断れる道理もない。
「……技術的に不可能はないよ。キヴォトス全域をカバー出来る電波塔と言っても、要は通信を妨害されない高さを保てれば良い訳だ」
「具体的にはどれくらいで作れるの?今ここで説明できる?」
「……タブレットを貸してくれ。そこのプロジェクターに写しながら説明する」
生塩書記が手渡してくれたタブレットを受け取り、メモアプリを開く。それと同時にプロジェクターにタブレットの画面をリンクさせ、この場にいる全員に見えるように話し始める。
「結論から言えば、都市整備部の総力を使えば高い電波塔を作ること自体は別に難しくない。今の都市整備部には巨大建造物を作るノウハウがいやと言うほど蓄積されているから、軽くデータを打ち込めば強度計算はすぐに出せる」
指先でつらつらとメモに数式を連ねていく。
キヴォトスを半分作り替えた膨大なデータやノウハウが都市整備部には蓄積されている。流石に1000mを超える建造物を作った事はないが、他のデータを概ね流用できるだろう。
「肝心の地盤についても、ミレニアム本校に隣接される形なら問題ない。ここら一体は一度都市整備部で地盤改良を行なっているから、宇宙エレベーターを作ろうとしない限りは支障はない」
ミレニアム本校に隣接する楽園区画────第14楽園区画を作った際に今は亡きクラフトチェンバーを使って大規模な地盤改良は済ませてある。盤石な基礎があるから高層建築物を作ること自体は難しくない。
「建設に関しても今の都市整備部には規格外とも言える資材ストックがある。地上200m級のビルを千本建ててもまだ余る程だ、途中で10回程タワーが爆発四散しても笑って済ませられる。都市整備部の総力を上げるのであれば、動かせる職人の数は100は下らないし、声を掛ければもっと集められる。ドローンだってミレニアム本校なんだから万を超える数投入できるし、以上のことを踏まえると────」
つらつらと数値や簡単な図解を書いていき、最後に1.5〜2という数字を書いて下に二本の線を引く。
「都市整備部の総力を使うのであれば、キヴォトスを網羅する電波塔を1ヶ月半から2ヶ月もあれば完成させられる」
俺の提示した数字に、各々が反応していく。
「……2ヶ月で地上1000m級の電波塔か、常軌を逸してるね」
「最早狂気の沙汰でしょ。言い換えればキヴォトス全域に作用する通信網を2ヶ月もあれば作れるって言ってるようなものよ。控えめに言って狂ってるわ」
「ま、1ヶ月で街どころか都市を作り上げた奴だ。今更そんな驚かねぇよ」
「…ありがとうクロキ、助かったわ」
プロジェクターに映る数字を見て早瀬会計が静かに頷く。しかし、しかしである。こんな数値には何の意味もないと言わざるを得ない。
「けど、これはあくまで都市整備部の総力を挙げた場合の仮定に過ぎない。今だって各地で都市開発は進んでいるし、来月にはアビドスの再開発だって本格的に始まる。こんなあり得ない数字なんて何の意味も………?」
瞬間、聞き慣れた機械音が背後の扉から聞こえる。緑色の解錠状態から赤の施錠状態への移行……つまり鍵をかけられた訳だ。
「な、何のつもりだ?」
「クロキ───いいえ、都市整備部部長鏑木クロキ。ミレニアムサイエンススクールの生徒会組織であるセミナーから伝達事項があります」
最先端を行くミレニアムにしては珍しい紙の書類。A3の用紙が半分に折られて中身の見えないそれは、傍目から見ても非常に質の良い紙に見える。まるで何かの儀式に使うような紙だ。
「……拝領します」
非常に、非常に嫌な予感がしつつもその紙を受け取る。そしてパンドラの箱のように思えるその紙を開き、中身に目を通す。
全員が静まり返り、固唾を飲んで俺の方を見るある種以上な光景────そして、俺はそれを文量にしては多大な時間をかけて読み終えた。一部の読み飛ばしもなく、一言一句見逃さないように。
「─────なんだ、これは」
そして、俺が一番最初に吐き出した言葉はこれだった。
「早瀬会計、一体君は何を考えてる?本気で言っているのか?」
「えぇ、本気よ」
「だとしたら馬鹿げてる……生塩書記はこれの内容を知っているのか?」
「知っています。その文章を推敲したのは私ですから」
神妙に頷く彼女を他所に、半ば放り投げるようにその悪魔の文書を机に置き、セミナーである二人に向き直る。
「都市整備部及び楽園造園室を解体し、鏑木クロキを正式にセミナーの一員にする───本気で、そんなことをやろうと思っているのか?」
色々と書いてあったが、この文章に書いてあるのは要はそう言うことだった。都市整備部と楽園造園室を解体し、俺を正式にセミナーの所属にする。拒否した場合は機密保持のため身柄を拘束すると言う強権まで綺麗に並べられているときた。これで反発しない方が難しい。
「思っているから、その文書を渡したのよ」
「そんな。対外的にはセミナーと離れた組織である都市整備部だからこそ受注できる仕事がどれだけあるか、早瀬会計や生塩書記だって知っているだろう…?」
より具体的に言えば、トリニティやゲヘナ、あとは山海経と言った巨大組織のことだ。こう言った場所はそもそも規則で対外校の介入を認めていない。当然と言えば当然の措置だ、学校が国であるここキヴォトスでは他校に介入を許せば外患誘致になりかねない。それを規則であらかじめ禁じておくのは当たり前の話と言える。
「俺がセミナー所属になったらトリニティやゲヘナ、山海経やレッドウィンターの公共事業の入札には関われなくなる。そうなったら────」
「わかってるわよ、そんな事」
早瀬会計のその言葉に、一瞬顔が強張る。
「わかってるって…ならなんで…!」
「おい、ちょっと落ち着けクロキ」
「っ、美甘部長…」
「良いから落ち着けって。二人の顔をよく見てみろ」
強く腕を引っ張られ、ようやく二人の顔をちゃんと見る────そこには、今にも崩れそうな程弱く立っている二人の少女の姿があった。それと同時に、俺が途方もなく酷いことを言っていたことを自覚する。
「…ごめん二人とも。俺が熱くなっていた」
「良いのよ、いきなりこんなこと言われて、納得できないのも無理はないと思うから」
「気にしないでください、クロキさんの気持ちはわかるつもりですから」
加熱していた思考が冷えて冷静になり、横で止めてくれた美甘部長にも頭を下げる。
「美甘部長もごめん、そしてありがとう」
「気にすんな、お前もつい熱くなる時があるのは知ってるからよ。それより、二人はこうなった理由を説明しなくて良いのか?」
「理由……そう、理由だ。なんでこんな決定を、しかもいきなり」
そう、理由だ。俺をいきなりセミナーの所属にするのなんて何かあったとしか思えない。
「きっかけはゲヘナの万魔殿の総統が原因なんです」
「万魔殿の総統…?彼女が何で」
「実は最近、モモトーク上でこんな噂が立っていて」
「噂?」
そう言ってモモトークの画面を見せられる。忙し過ぎてSNSなんてチェックしていなかったが、あの馬鹿一体なにを……。
【万魔殿 羽沼総統『間も無くキヴォトスで最も偉大な建築士が傘下に加わるだろう』と発言。ラブコールのお相手は言わずとしれたあの人⁉︎】
「……………ごめん、ちょっと用事を思い出した。すこしゲヘナまで行ってくるよ」
「待ってくださいクロキさん、落ち着いてください」
「これが落ち着いていられるか!あの野郎、まーたトンデモ発言かましやがって!今度という今度は許しておけない‼︎」
ロボットは激怒した。必ずあの邪智暴虐のバカアホマコトを除かねばならないとバールを手に取った────なんてことはなく、生塩書記に羽交締めに止められる。
「落ち着いてください、どうどう」
「ふぅ…!ふぅ…!」
「落ち着きましたか、クロキさん」
「なんとかね……。それより、この噂が原因で俺は都市整備部を取り上げられそうになっているのか?だとしたら勘弁して欲しいんだけど…」
「えぇ、私もそう思います。ですが、現在は状況が特殊で…」
「特殊?」
はて、何か特殊なことがあっただろうか…?
「つまりはよ、そのバカみたいな噂を信じ始める奴が現れ出したんだ」
「噂を?でも、前にも俺が転校する噂なんて何度も……」
「言ったろ、状況が特殊だって。何を言われても靡かなかったお前が連邦生徒会に所属したってことで、今回の噂は本当なんじゃないかって信じ始めてる奴らがいるんだよ」
「ま、アホらしい話だと思うけどな」と続ける彼女に同意の感情しかない。俺がゲヘナやトリニティに所属するなんてあり得ないことだ。俺が連邦生徒会に所属したのだって罪滅ぼしの意味合いが強い。公式にも罪を帳消しにするための奉仕活動とされているはずなのに、へんな邪推をする輩はどこにでもいるものだ。
「生徒や企業の中に不安に感じる人が何人もいるんです。ここ数日で噂に対する質問も加速度的に増えていて……」
「…大体状況は掴めてきたよ。そういうことだったのか」
「理解してくれて助かるわ…」
そう言って疲れ切った顔を浮かべる早瀬会計に苦笑する。いや、俺が言えた話ではないのは間違いないのだが…。
「流石にセミナーとしてもこれ以上動揺が広がるのは避けたいの。だからお願い、この書類にサインして」
「けど、だからってなぁ…。なんとか都市整備部を残したまま上手くできないか?」
「上手くできたら苦労してないわ。最近はトリニティの動きもきな臭いし、あんまり隙は作りたくないの」
「…うーん、でもなぁ」
「────やっぱり、だめ?」
不安そうにこちらを見上げる早瀬会計の珍しい弱気な態度に思わず息を吐く。
「ダメって言ったら俺は拘束されるんだろ?どのみち、俺の選択肢は一つな気がするけど」
「拘束とは書いてますけど、ようはミレニアムの敷地内での軟禁です。ミレニアムの敷地内でしたらクロキさんの自由は約束します。もちろん、何か要求があればできるだけ叶える用意もあります」
「要求、というのは?」
「クロキさんが望むものがあれば、できるだけ用意します。莫大な影響力を持つ都市整備部としての権限を剥奪するんです、それくらいしないとフェアじゃないかと」
そういう彼女に思わず「いや、それは違う」と毅然と答える。
「生塩書記の言うそれは良くない、君らしくもない発言だよ。俺は都市整備部になんら特権なんて感じていないし、たとえあったとしてもそれを君たちセミナーが慮る必要はない。俺はロボットだ、このキヴォトスを楽園に変えるためだけに活動するロボットだ。そして君達セミナーはそれを管理しているに過ぎないんだ。だから、俺に特別な配慮をするのはどうかやめてくれ」
「ですが、それでは…」
「いくら生塩書記の言葉でも、この要求が飲めないのであれば俺は自己の尊厳を守るために最大限努力しなくちゃいけなくなる───だから頼むよ、さっきの発言は取り消してくれ」
敢えて強い言葉を使って話す。すでに心を痛めている彼女には酷だが、これは必要なことなんだと自分に言い聞かせる。
「……クロキさんって、本当に変なところで強情なんですから」
「自分でも面倒くさいと思うよ。でも、ここは曲げられない。誰に何と言われてもここは曲げられない」
「でも、そういう厳格なところは私としては好感が持てます。端的に言えば、非常に好きです」
好き、なんて言葉を言う彼女に仮面の下で苦笑してしまう。このキヴォトスには男の子を勘違いさせる魔性の女子が本当に多いことで。
「……で、どうすんだよクロキ。お前の返答によっちゃ、今すぐにお前を拘束しなくちゃいけないんだが」
「そんな辛そうな顔で言うなよネル。大丈夫だよ、君に手荒なことはさせない」
「っ、お前な…!」
大きく息を吐き、天井を見上げる。まぁ、自由にやるにしては都市整備部は大きくなり過ぎてしまっていた。それに、みんなを不安にさせるようなことばかりしてしまった負目もある。
「…ま、潮時だったんだろうな」
「それじゃあ───」
「ん、わかったよ早瀬会計。その要請、正式に受諾するよ」
俺のその言葉を皮切りに、会議室全体に張り詰めていた空気が一気に弛緩するのを肌で感じる。早瀬会計に至ってはその場に深く座り込んでしまうほどだ。俺、そんなに断りそうな雰囲気出してたのか…?
「でも、今まで都市整備部で請け負った仕事は全部終わらさせてくれ。それとシャーレでの奉仕活動の継続も。それが条件だ」
「…まぁ、それは当然よね。わかったわ」
「その後は電波塔の建造か。高い建造物は久しぶりだな」
「あ、その件だけど…」
「わかってる。要は俺がミレニアムの生徒であることを証明する程に立派な奴を作れば良いんだろ?腕が鳴るなぁ」
俺の言葉にきょとんとした表情を浮かべる。
「知ってたの…?」
「いや、何となくそうなんじゃないかって。確かにミレニアムに俺を代表する建造物ってなかったからさ。ランドマークを作るには良い機会でしょ」
「……そう言うところは気が利くのね」
「まぁね。とりあえず目先の仕事を終わらせつつ色々と段取りは進めておくよ。あ、ランドマーク的な奴だし、予算に糸目はつけなくて良いんだよね?」
「えっ、それは────」
「うんうん、折角だし予算も高く行こう。景気良く1000億から始めようか、足りなくなったら俺のポケットマネーから出すし」
「ちょ、クロキ?」
そうなると色々とやれることは多そうだな。ただ高く組み上げるんじゃ面白くないし、素材からこだわってみるのも良いかもしれない。楽園は常に予算との戦いだが今回に限ってはその壁がないのだ、試せることは片っ端から試していこう。
「高いタワーを建てるんだし足元には複合施設も欲しいな。今のうちからテナントの募集もかけないと、あとは高所作業が得意な職人さんに声をかけて……そうだ、資材の製造ラインも変更しないと。後は……」
「……ユウカちゃん、今期の予算策定頑張ってくださいね?」
「ちょ、ストップクロキ!予算についてはもうちょっと────」
「いやぁ、夢いっぱいの電波塔になりそうだ!完成が楽しみだねユウカ!」
脳内に完成後の電波塔の賑わいを想像し、俺は引き攣る彼女の笑みに満面の笑みで答えるのだった──────。
鏑木クロキ
都市整備部改めセミナー都市開発担当へとクラスチェンジしたロボット。やることは特に変わらないが、予算管理という面倒くさい作業を全て早瀬ユウカに投げつけることでより一層開発に熱心になる────はずだったが紆余曲折あってそんなことにはならない。すぐに都市整備部部長に返り咲いてしまう悲しい身分。
早瀬ユウカ
今回の騒動で一番胃を痛めた少女。突然鏑木クロキの転校を仄めかす情報が錯綜し始めたことに違和感を感じているが、とりあえずの対抗策として調月リオが提唱した通りクロキをセミナー所属とした。ゲヘナやトリニティ、山海経からの策略は全て完璧に捌いているが、世界を渡ってきた竜少女の思惑は看破できていない。
生塩ノア
鏑木クロキから魔性の女認定を貰っている少女。クロキに対して好きと言った時、白く長い髪に隠れた耳は真っ赤だったと某ロボット専属を自称しているメイドが証言している。彼女がクロキに伝えた提案は苛立ちを自分に向けて解消して欲しいというある種歪んだ感情であったが、某唐変木はそう言った感情には滅法疎いので通じるはずはない。そのため、彼女の好きという言葉はある種鈍感なロボットに対する意趣返しの意味もあったのだろう。
調月リオ
電子戦特化型領域支配機『Caspar』を名乗る少女の言葉通り鏑木クロキをセミナー直属の生徒とした。自分の計画した要塞都市エリドゥが鏑木クロキの作った楽園防衛機構に何一つ勝る要素がなかった事実だけでなく、彼がそんな楽園防衛機構を世界を救うに値しないと早々に放り出した事実に絶望している。飛鳥馬トキにも離反され、自分の作った要塞都市すら意味がないと突きつけられた彼女の元に、歯車の翼を付けた少女が現れる。機械仕掛けの十字架により洗礼を受けた、灰色の聡明な龍が。
砲戦特化型領域支配機『Balthasar』
機械仕掛けの十字架による洗礼の後、即座にトリニティ地区地下墳墓へ直行。アリウス分校を統治するベアトリーチェを襲撃し四肢を引き裂いて拘束。自らを聖人の伝導者と名乗り、ベアトリーチェによって停止されていた鏑木クロキの作ったライフラインを復旧し、抑圧と暴力によって支配されていたアリウス分校を解放した。暴力と教義による支配から聖人への信仰と狂信による支配へとシフトさせている。黒い歯車の翼を湛えた彼女は願わずにはいられないだろう、この世で苦しみ続けている聖人の解放を。
コハルシステム
鏑木クロキの傑作システム。瞬時かつ自動的に生徒の服装を判定することからその性能の高さが窺える。なお、機械仕掛けの十字架は生徒達の服装やお洒落は本来先生が見るべきものであって俺は見るべきものではないと考えており、このコハルシステムを応用して作り上げた記号化システムを採用してる。これを使用する間は視界に生徒達の姿は入らず、ただ名前や記号が映し出されるだけとなる。晩年の失敗者は常にこれを起動していたとか。コハルシステムは生徒との繋がりを希薄にする恐れがあるため早々に削除することが望ましい。