かがみ川女子高校スクールアイドル部   作:記録部

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Side:乃々羽
サブタイトル:Go Our Way


2024/08/10:史上最強のスクールアイドル

 新宿中央公園から歩いて数分。駅近くの賑やかさから少し離れると、通りを行き交う人の数もややまばらになる。それでも、ここは東京。高知と比べると、その人の多さは信じられないほどだ。久々に感じる都会の喧騒に、乃々羽はほんの少し辟易としていた。

 とはいえ、この辺りには東口の賑やかな繁華街とは異なり、高級ホテルやオフィスビルが並ぶ、少し落ち着いた雰囲気が漂っている。その一角に、目的のビルは建っていた。

 

 ビルの前で、乃々羽にとって見知った顔がたたずんでいる。

 170cmを超える高身長に腰まで届く長い黒髪。ビルの前を行き交う人々は、その佇まいに目を引かれるようで、ちらりちらりと彼女を見ていた。彼女のことを知らないであろう人たちでさえ、つい目で追ってしまう。小田桐瑠璃の放つ圧倒的な存在感が、周囲の空気を支配していた。

 久しぶりに見る瑠璃を、乃々羽はじっくりと観察する。

 美しい、可愛い、綺麗、華やか、かっこいい、魅力的。そのすべてが詰め込まれたスクールアイドルとしての完成されたビジュアル。はじめや櫻子といった最近出会ったホンモノの芸能人たちでさえ、この瑠璃の持つオーラには到底及ばない。彼女からほとばしる何かが、ただそこにいるだけで特別なものを感じさせる。

 その圧倒的なオーラの塊は、乃々羽に気づくと、ニヤリと笑って歩み寄ってきた。

 

「久しぶりじゃーん、おちびちゃん。ちょっと見ないうちに、また背がちっちゃくなったんじゃねーの」

「なわけないでしょ。1cmのびましたよ。瑠璃先輩こそ、みないうちにまた身長伸びたんじゃないですか?」

「173cmなう」

「2cm伸びてるし……」

「相対的にちびが1cm縮んだな」

「身長を相対値で語らないでください」

 

 1年ぶりくらいの会話だと言うのに、自然な掛け合いが生まれる。普段、年上には礼儀正しく接する乃々羽が、唯一遠慮せずに話せるのが小田桐瑠璃だった。そして、もっとも遠慮する必要がある相手でもあった。

 

 瑠璃は「ついてこいよ」と言いながら、くるりと踵を返し、自動ドアをくぐり抜けた。パフォーマンスには邪魔になるのに「見栄えがいいから」という理由で伸ばしている瑠璃の長い黒髪が、夏の陽光を反射してきらきらと輝いていた。

 ビルの中は冷房がしっかり効いていて、少し寒いくらいだ。天井の高いロビーを通り抜けると、一般人が立ち入れないセキュリティゲートがある。乃々羽は瑠璃から手渡されたビジター用のカードキーをかざして、制限エリア内へと進む。

 エレベーターに乗り込むと、瑠璃はカードキーをかざして16階のボタンを押した。

 

「こんな高校、初めてです」

「下の階には飯屋とかショップが入った商業施設で、上の階にはオフィスがあるの普通のビルっちゃビルだけど、学校としてはだいぶ特殊だよな、ここ」

 

 ほどなくしてエレベーターは16階に到着した。扉が開くと、「日成女学園高等学校」という文字が目に飛び込んできた。

 

 日成女学園高等学校。

 

 芸能人御用達の全日制学校として一部のオタクの間で有名だったこの学校が、全国に知られるようになったのはつい半年前のことだ。創部一年目でラブライブ!優勝を成し遂げた初めての学校という事実は、それほど世間に衝撃を与えたのだ。いまや、小田桐瑠璃の名前と同じくらい、日成女学園スクールアイドル部の名は全国に轟いている。

 

「ようこそ日成女学園へ」

 

 瑠璃は大げさな身振りで乃々羽を学園へ迎え入れた。少し演技じみたパフォーマンスも、瑠璃が行うとナチュラルに見えるから不思議だ。

 

「なんだか、学校って感じがしませんね」

 

 ふたりは土足のまま校舎に入っていく。校舎と言っても、学校というよりはオフィスのような設備やデザインだ。しかし、部屋の前に「職員室」、「1年教室」と書かれたプレートがあり、ここがオフィスではなく、本当に高校なのだと分かる。

 瑠璃はカードキーをかざして、廊下の一番奥にある部屋の扉を開けた。中に入ると、そこはレッスンスタジオだった。清学やセン学と比べると広いスタジオではなかったが、一人で練習するには十分すぎる広さだ。

 

「もともと芸能人向けの学校ってこともあって、芸能系の設備はちゃんと整ってるのが日成のいいところだよな。ま、ホンモノの芸能人ちゃんたちは特殊な事情がないかぎり、ここじゃなくてちゃんと事務所関連のスタジオとか稽古場使ってるから、今は実質オレ専用スタジオみたいになっちゃってるけど」

「生徒って何人くらいいるんですか?」

「一学年20人くらいで、全部で60人くらいだな」

「少なっ! それで学校として成り立ってるんですか?」

「日成は芸能人が全日制高校に通うためだけの学校みたいなもんだし。いくつかの芸能事務所が出資してるんだってさ。いまこの学校に通ってる中でオレ以外は全員、プロの芸能人だし」

「そんな学校なのに、なんで瑠璃先輩はそこに通えてるんですか」

「まあ、オレはちょっと特殊だからなぁ。小田桐瑠璃プロジェクトとしてここに通ってるわけよ」

「小田桐瑠璃プロジェクト?」

「そ。小田桐瑠璃を高校3年間スクールアイドルの象徴として育て上げて、高校卒業後にプロ転向させるプロジェクトな。オレと日成と事務所が組んだ、史上最強のアイドル育成プロジェクトだよ」

「ってことは、先輩は事務所所属なんですか?」

「所属はしてないよ。スクールアイドルはプロ活動禁止だし。卒業後の所属は確定してるけどな。今、事務所は単にプロジェクトチームを派遣してくれてるってだけ」

「それってルール的にOKなんですか?」

「ルール上は商業活動しなければ、別にプロから指導受けること自体は問題ないんだよ」

「なんか、ルールの穴ついてる気がする」

「ルールはルールだろ? つっても、商業価値を生み出せないスクールアイドルに将来性だけを信じて投資するような狂った事務所なんて普通は存在しないから、オレみたいなのは他にいないと思うけどさ」

「ていうか、先輩、もうラブライブ!優勝したんだから、さっさとプロ転向しちゃってくださいよ。後進に道、譲りましょ?」

「やだよ。ちびも知ってんだろ。オレ、スクールアイドル大好きなんだよね」

 

 瑠璃はスタジオの電気をつけた。鏡張りの壁面に、並んで立つ瑠璃と乃々羽が映し出される。横並びになると、瑠璃との格差がはっきりわかって、乃々羽は少しだけ惨めな気持ちになった。

 

「スクールアイドルはプロと違ってビジネスとか人気取りを考えずに、自分のやりたいスクールアイドル像をひたすら追い求められる。それって最高の青春じゃん」

「言いたいことはわかりますけど」

「あとはオレみたいな『絶対強者のヴィラン』がいた方が、スクールアイドル業界も盛り上がるっしょ」

「相変わらず、歪んでますね」

 

 乃々羽の返しに、瑠璃はきししと笑った。そういえば、こういう変わった笑い方をする人だったな、と乃々羽は思い出す。がははと笑う深夜にどこかしら懐かしさのようなものを感じたのは、この人をその向こうに見ていたからかもしれないと乃々羽は思う。

 

「そういや、ちびもスクールアイドル再開したんだよな?」

「なんで知ってるんですか?」

 

 清学スクールアイドル部を辞めた後、瑠璃から何度か連絡が来ていたが、スクールアイドルと距離を置くことを決めていた乃々羽は、なんとなく返事を返せずにいた。今回、乃々羽が瑠璃に会いたいと連絡を入れた際も、特にスクールアイドルを再開したことについては伝えていなかったので、瑠璃がそのことを知る術はないはずだった。

 

「こーこちゃんから聞いたんだよ」

「こーこちゃん……重野先生? え、瑠璃先輩、今も重野先生とつながってるんですか?」

「当たり前じゃん。こーこちゃんは、ふつーに恩師だよ」

 

 乃々羽が見てきた瑠璃と重野先生の関係と、今の瑠璃の返答には、明らかにギャップがあった。乃々羽は清学時代の記憶を思い返してみる。

 

 ***

 

 憧れの清学スクールアイドル部に入部した日、乃々羽が初めて出会ったのは、正真正銘の化け物(スクールアイドル)だった。

 彼女は、乃々羽が思い描いていた「理想のスクールアイドル」をそのまま具現化したかのような存在であり、圧倒的なビジュアルとパフォーマンスを誇っていた。当時中学2年生だった瑠璃はその実力の高さから高等部の練習に参加していたにも関わらず、高校生の中に混じってもなお、ひときわ輝きをはなっていた。

 もちろん、当時の清学のレベルが低かったわけではない。実際、清学はその年のラブライブ!で全国決勝大会に進み、5位入賞を果たしている。

 つまり、小田桐瑠璃は中学2年生にして、すでにスクールアイドルとして完成していたのだ。

 

 ただ、乃々羽の目から見て、瑠璃は明らかに清澄白河女学院スクールアイドル部の中で浮いていた。

 ステージに立てば、観客の視線は自然と瑠璃に引き寄せられる。その圧倒的な才能は、裏を返せば、彼女以外のメンバーを「脇役」にしてしまう力でもあった。つまり、瑠璃の存在は、周囲を曇らせる影となっていたのだ。

 その圧倒的な才能と実力に裏打ちされた自信満々のメンタルや言動は、自然と彼女を孤立させる原因となった。部員たちから尊敬と畏怖の念を集めていた重野先生を「こーこちゃん」とあまりに親しげに呼ぶようになっても、誰も彼女をたしなめることができなかったのはそのことを象徴するエピソードだったように乃々羽は記憶している。瑠璃は次第に部内で腫れ物のように扱われるようになり、「王道のグループスクールアイドル」を良しとする清学には、少しずつ彼女の居場所がなくなっていった。

 

 それが決定的になったのは、瑠璃が中学3年の定期公演だった。本来であれば注目されるのは大トリの「ユメ色コンチェルト」だったはずなのに、スポットライトを浴びたのは無名の中学生(オダギリルリ)のソロパフォーマンス。観客が撮影したショート動画がSNSでバズり、千万回単位で再生されたことで、瑠璃は部内での孤立を加速させ、最終的には清学を去ることを選んだのだ。

 

 清学で最もスクールアイドルらしかった人が、実力以外の理由で名門校を去ることになったという事実は、乃々羽の心に重くのしかかっていた。

 

 ***

 

「ちびが何を勘違いしてんのか知らねーけど、オレ、清学を辞めさせられたわけじゃないからな。こーこちゃんの紹介で日成を選んだんだよ。グループでやっていく清学だと、オレを中心に据えるのは難しいって話になって、ソロでプロジェクトを組んでくれる学校がいいんじゃないかってなったわけ。だからこーこちゃんが人脈を駆使して、今の事務所とかも紹介してくれてさ。小田桐瑠璃プロジェクトの立ち上げに奔走してくれたんだよ、あの人は」

 

 瑠璃は呆れたような顔で話す。

 初めて聞く話に、乃々羽は驚き、目を見開いた。それは、彼女がこれまで見てきた現実とは全く異なるものだった。

 

「オレが中3の定期公演でバズったの覚えてるか? アレもこーこちゃんの仕掛けなんだよ。あのバズがあったからこそ、今の事務所も日成も、オレの受け入れを承諾してくれたんだ」

「アレで部内で孤立したんじゃないんですか?」

「んなわけあるか。その前にこーこちゃんだけじゃなくて、後輩(お前ら)以外の部員とも話し合って、高校は別の場所に行った方が、お互いにやりたいことがやれるって結論になったんだよ。だから、定期公演でみんな協力してあのバズを作ってくれたんだ。そもそもオレが特別だとしても、清学の定期公演で中3がソロパフォーマンスするとか、冷静に考えたらおかしいだろ」

 

 言われてみれば確かにそうだと乃々羽は思う。清学は「グループスクールアイドル」のメッカだ。たしかにあのとき以外、定期公演でもソロパフォーマンスを見たことがなかった。あのセトリの異様さが、今になってようやく理解できる。

 

「でも先輩、その後部活にもあんまり出てこなくなって、最後の大会もメンバーに選ばれなかったじゃないですか?」

「あれは、事務所の面接とかオーディションを受けたり、受験に向けた準備が忙しくて、それどころじゃなかったからだよ。最後の大会も他の奴らは出たらって言ってくれたんだけど、練習してないやつがステージに立つのは筋が通らないから、オレが遠慮したわけ。つか、お前、オレが清学でぼっちだったとか思ってた?」

「違うんですか?」

「ちげーよ。普通に他のやつとも仲良かったから。ステージに立つとどうしてもオレが目立っちゃうし、練習も飛び級してたから、部活んときは距離があるように見えてたかもしんねーけど、普段は普通に仲良かったからな。練習休みの時にはみんなでディズニーに行ったりしてたし、今でも普通に連絡取り合うくらいは仲良しだよ」

「瑠璃先輩が? うそでしょ?」

「くっそ、失礼だな、お前。オレは能力がぶっ飛んでるだけで、性格は普通だよ」

「性格が普通な人はそんな喋り方しませんよ」

「それはそうかも」

 

 きししと瑠璃は笑った。

 

「まさか、お前勝手にオレのことを勘違いして、勝手に病んで清学が嫌になって辞めたわけ?」

「さすがに違いますよ! 私もそこまでバカじゃないですから。まあ、あ、憧れてた瑠璃先輩がいなくなったのは、ちょっときっかけにはなりましたけど。どっちかというとマネージャー転向を勧められたから、辞めたんです」

「ちびはマネージャー向いてるもんな。清学でマネージャーやるくらいなら、オレの専属マネージャーやった方が良かったろうけど」

「先輩のマネージャーみたいなメンタルに来る仕事はできませんって」

「ちびがスク部を辞めたって聞いたとき、優しいお姉さんが迷える後輩ちゃんを救ってあげようと手を差し伸べようとしたら、突然高知に行くんだもんなぁ。しかも、DMとかも普通に既読スルーするんだもんなぁ」

「それは、すいません」

「いったんスクールアイドルやめるって飛び出したのに、普通にスクールアイドルはじめちゃったから、言い出しにくかったんだろ、どうせ」

 

 乃々羽は頭に軽く衝撃を感じる。瑠璃がチョップを素振りしている姿が鏡に映っていた。既読無視はこれでチャラだな、と瑠璃は笑って言う。

 

「身長縮んだらどうしてくれるんですか!」

「もっと可愛くなるんじゃね? 知らんけど」

「そういう意地悪言うんだったら、お土産渡しませんよ!」

 

 そう言いながら乃々羽はリュックからお土産の変Tを取り出した。「katsuodesu」と描かれたTシャツに、瑠璃は目を輝かせる。

 

「おまえ、そんなこと言う!? しゃーないなー。じゃあお土産もらう代わりに、特別に今年のラブライブ!用パフォーマンス見せてやろう」

 

 そう言うと、瑠璃はその場で軽く屈伸を始めた。準備体操のようだ。

 

「ラブライブ!の曲、もう完成してるんですか?」

「当たり前だろ。去年のラブライブ!が終わってすぐに作り始めたし、来年分もほぼほぼできてる」

「さすがですね」

「つっても、実際に曲を作ってるのはオレじゃなくてチームだよ。オレはコンセプトを決めたり、歌詞の大筋を書いたりしてるくらいだけどな」

「それでもすごいですよ」

「そうか? 今は定期配信に合わせて月一で新曲作ってるから、もう慣れたよ」

 

 乃々羽はこの一月半で曲作りの大変さを身にしみて感じていた。だからこそ、チームの補助があるとはいえ、瑠璃がどれほどの努力をしているのかがよくわかる。しかも、瑠璃の場合は単に曲を作るだけでなく、パフォーマンスを完成させるまでの一連の作業をこなしているのだ。

 

「しっかり目をかっぽじって見てろよ」

 

 簡単な準備運動を済ませると、瑠璃はスマホを操作し始めた。部屋の上部にあるスピーカーから、少しレトロな雰囲気のイントロが流れ出す。瑠璃はスマホを壁際に置き、ゆっくりとスタジオの中央に立った。その立ち姿には、重野先生とはまた違った種類の強さが漂っている。

 

 瑠璃はいったん目を閉じ、軽く息を吐いてから再び目を開いた。深く沈んだ瞳の色が、乃々羽の心をぐっと引き寄せる。

 

 久しぶりに目の当たりにする、スクールアイドル小田桐瑠璃の姿。

 

 乃々羽は一瞬たりとも見逃すまいと、目を見開いた。

 

 ***

 

 曲が終わっても、乃々羽は瑠璃から目を離せなかった。

 

 圧巻。

 

 ただ、その一言しかなかった。全ス選四国決勝で見たセン学の素晴らしいパフォーマンスでさえ、今の瑠璃の、ライティングひとつない練習パフォーマンスには到底及ばない。もちろん、セン学にはセン学の良さがあって、本質的にはそこに優劣はないと乃々羽は理解している。それでも、もしパフォーマンスを絶対的な基準で測るとしたら、そこに大きな差があることは明白だった。

 

 やっぱり瑠璃先輩はすごい。

 

 初めて瑠璃のパフォーマンスを目の当たりにした日の記憶が鮮明に蘇る。

 

 この人はずっと私の憧れで、

 だから、この人の隣に私は立てない。

 

 そう思った瞬間、心の中の何かが解き放たれるような感覚に襲われた。重野先生が言っていたことの意味が、ようやく心の底から理解できた気がする。

 

「相変わらずエグいことしますね」

 

 乃々羽が、少し笑いながら言うと、瑠璃は満足げな表情で汗を拭った。

 

「だろ?」

「ちびはどうなんだよ、ラブライブ!」

「やっと曲ができたくらいです」

「どんな曲だ?」

「私の好きなもの欲張りハッピーセットみたいな曲です。まあ、瑠璃先輩みたいなレベルじゃないし、正直、県大会を勝ち抜けるかも分からないですけど、でも、今のスク部が大好きだって胸を張って言えます!」

「ばーか。なに当たり前のこと言ってんだよ。好きなことを好きなようにやる。自分の好きなスクールアイドル像をつきつめる。それがスクールアイドルの本質だろ? ラブライブ!でどうこうみたいな、どうでもいいことに惑わされんなよ」

「ラブライブ!優勝者がそれ言っちゃいます?」

「ラブライブ!優勝者だから言えんだろ」

 

 乃々羽と瑠璃は顔を見合わせて笑った。

 

「でも、最初から勝ち抜けないなんて思ってないですから。絶対に先輩の目に、耳に、私たちのパフォーマンスを届けてみせます!」

「まあ、せいぜい頑張るんだな」

 

 瑠璃らしい応援の言葉に、乃々羽は「はい」とうなずいて返した。

 乃々羽は、瑠璃に会いに来てよかったと心の底から感じている。

 勘違いしていたことが正され、そして心の底から、乃々羽がなりたいスクールアイドルの形が明確に見えてきたからだ。

 

 はやく高知に戻って、みゃー先輩とラブライブ!に向けて練習したい。

 

 胸の奥から湧き上がる情熱が、熱く燃え上がるのを乃々羽は感じていた。

 

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