PERSONA3×Blue Archive~Re:Tales Of Our Youth Days   作:花極四季

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ちょいと詰め込みすぎたかもだけど、これぐらいしないと話進まないねんな……。


22話

 目を覚ました瞬間に視界に入ったのは、見慣れたというには日の浅い自室の光景と、以前見たときと何一つ変化のないこちらを見下ろす氷室セナの表情だった。

 彼女はベッドに横たわるこちらに寄り添うように備え付けの椅子に着座しており、こちらの容体を見守っていたであろうことが想像つく。

 次に感じたのは、掌に感じる細く暖かな感触。

 感触を頼りに視線を向けると、掛け布団の上に投げ出されていた手にはセナの掌が優しく添えられていた。

 変わらずの無表情からその心境を読み取ることはできないが、その些細ながらに優しい振る舞いからは人間性が垣間見えた気がする。

 

「結城さん、意識はハッキリしていますか?指が何本に見えますか?」

 

 掌の感触が離れたと思うと、その手が数を指し示すべく指を立てていく。

 それを皮切りに幾つかの質問を投げかけられたり、ベッド上で簡単な動作を求められたりされ、それらに素直に従うとその都度彼女はカルテに何かを記入していく。

 

「バイタル、五感ともに異常なし。意識も明瞭。思考に異常性もなさそうですね」

 

 そう言うが否やセナは立ち上がり、淡泊に人を呼んできますとだけ告げて退出していった。

 手持無沙汰から周囲を見渡すと、荷物置き場にシッテムの箱が置かれているのを見つけたので起動すると、飛び出す勢いでアロナが話しかけてくる。

 

『マスター、目を覚ましたんですね!』

 

「うん。アロナ、状況の説明をお願い」

 

『はい。まず、マスターは影時間の脱出後に気絶して半日は眠っていました。原因は過労――ペルソナの連続使用に伴う負荷に精神が追い付いていなかったと推測しています』

 

「まぁ、オルフェウスの一体から五体となればね」

 

『それもありますが、マスターは記憶喪失のせいで本来使用できるペルソナの質の上限に対して精神が未熟な状態に逆行しているという、非常に珍しいケースに陥っています。ゲームで例えるなら、強くてニューゲームってやつでしょうか』

 

「ふぅん」

 

 ゲームならシステムの処理で色々不都合な要素は誤魔化せるが、同じ条件を現実に落とし込んだらそういう不都合も増えるのも当然のことだ。

 

『マスターの全力がどれほどなのかは不明ですが、制御はマスターの意思のみなので、その気になれば先程以上の出力を開放できる可能性もあるのと同時に、それに耐え切れずに気絶だけでは済まない被害を受けることも考えられます。精神の成熟に伴いその溝は埋まっていくでしょうが、一朝一夕でどうこうできる問題でもないので、マスターはその辺りを意識して今後はペルソナを使用してくださいね!』

 

「了解」

 

 最後には強く念を押される形で話題を締められる。

 とはいえ、了解と言ったはいいが状況次第では使わざるを得ないことは今後起こらない保証はない。

 幸か不幸か、あの時出したペルソナの扱い方は感覚で理解できたので、運用そのものに問題はないだろう。

 後はアロナの言った通り、精神の成長と制御を学ぶことが今後の課題になる。

 万が一限界を超えてペルソナを行使するにしても、気絶するレベルの消耗の境目ぐらいは心得ておく必要もありそうだが、アロナの目が黒いうちはそんな無茶は仮に練習でも許さないだろう。

 とはいえ、あれはユメとのツーマンセルでの戦闘かつ相手が強大だったからこそであって、進んで自爆めいた行為などしたいとは思わない。

 

「……そういえば、ユメさんは――」

 

 思考の端にかかった疑問を口にしようとした瞬間、ドアの開く音が響く。

 反射的に視線を向けると、そこにはヒナが心配そうな表情で立っていた。

 

「結城君、調子はどう?」

 

「まぁ、それなりに」

 

 挨拶代わりの会話を交わし、ヒナが先程セナが座っていた椅子に腰かける。

 

「マコトは?」

 

「昨日ゲヘナ地区でも発生したシャドウ対処その事後処理に当たってるわ。かくいう私もそうなんだけど、貴方を理由にサボりよ」

 

「いいの?」

 

「良くはないわね。でも、普段から深夜にシャドウ関係で駆り出されてるのに日中まで仕事なんてやってられないわ。それに、私は今年で卒業する身。勿論早期解決を目指してはいるけれど、それが叶わなければその負担は自然と後輩へとスライドする。それまでに彼女達に場数を踏ませたいのよ」

 

「それで、一番の本音は?」

 

「めんどくさい。早く寝たい」

 

「そんな気はしてた」

 

 もう雰囲気の段階から気怠げというか、めんどくさいオーラが溢れている。

 影時間の時の凛々しい雰囲気はどこへやら、真逆の怠惰な雰囲気が嫌でも伝わってくる。

 

 

「それより話は聞いたけど、随分と無茶したようね」

 

「その必要があったと判断したからね」

 

「そう。――それで、何があったか聞いても?」

 

「ユメさんから何も聞いてないの?」

 

「彼女は事情説明のために連邦生徒会に駆り出されたから、詳しい事情はまだ把握してないのよ。せいぜい、貴方と彼女と二人で巨大シャドウを退治したってことぐらい」

 

 ヒナの発言に納得し、言われた通り説明を始める。

 ビル内に大量のシャドウが発生、偶然訪ねていたユメが先行して孤軍奮闘とは名ばかりの大立ち回りをしていたこと、二人で巨大シャドウを討伐し、その後に現れた黒服と名乗るゲマトリアなる組織の一員、巨大シャドウはゲマトリアによって改造された産物だったこと、満月が巨大シャドウ発生のトリガーということ。

 

「……まぁ、ざっくりとだけどこんな感じ」

 

「なるほどね……。大変だったぶん、かなり収穫はあったようね」

 

「ヒナ達はゲマトリアという名前に心当たりは?」

 

「ないわね。取り敢えず情報部に動いてもらうことになるのは確定として、気になるのは黒服という男の行動ね。シャドウを改造できる、その一点のみにおいても私達以上にシャドウに精通しているうえ、私達とゲマトリアとやらの進む道がいずれ交わるという発言。私達とは視座がそもそも違うからして、情報戦で圧倒的に遅れを取っているのはもはや疑いようもないわ」

 

「でも、悪いことばかりでもない」

 

「ええ。私達に不足していたもの――影時間を解決する上での明確な大目標が向こうからやってきてくれた。今までは散発的なシャドウ討伐と脈絡のない捜査で悪戯に時間を浪費するばかりだったところに、ゲマトリアの影を追うという一本の動線が引かれた。これひとつで効率が段違いに良くなるでしょうし、学園間でも情報の共有がしやすくなる。良いこと尽くめね」

 

「それと、満月とシャドウの関係だね」

 

「貴方との初対面の時のインパクトで忘れていたけれど、あの時現場にいたのも巨大シャドウと思わしき奴だったし月も満月だった。そして、巨大シャドウが観測されたのもその時が初。偶然というには少々出来過ぎよね」

 

「巨大シャドウと同じタイミングで、か」

 

 初めて知った情報に、自らへの猜疑心が募る。

 シャドウの被害は小規模ながらに十数年と続いており、長らく変化のなかった状況に訪れた巨大シャドウとペルソナ使いの出現というふたつの変化。

 話の様子から、この変化はこちらが考えている以上に大きなものであると推測できる。

 それ故に、各校の首脳陣はその中心である自分を当然警戒する。

 

 改めてこうして情報を整理すると、自分は彼女達の善意――というよりも甘さによって生かされているに等しい。

 これが自分の記憶する社会体制ならば、絶対にありえない裁量だ。

 キヴォトスが大人の意思が介在しない運営をしており、人生経験の浅い学生が政治を動かしているが故の歪みが発生し、そこに彼女達が生死とは縁遠い丈夫な肉体を持つ故に生まれた危機感が希薄さが併さり、結果今の薄氷の上の立場が成立している――そう考えるのは些か拡大解釈だろうか。

 なんにせよ、現状の温い裁量を当然のものとしない方が良いだろう。

 結果はどうあれ、この採決が満場一致で受け入れられたというのは楽観視が過ぎる。

 実際、例の代表が集っての会合の時にもこちらを危険視するような意見は散見されたし、そういう目で見られている自覚もあった。

 むしろ割と最初から好意的なシロコやヒナ達が特別なのだ。

 

「……どうしたの?」

 

「いや、人に恵まれたなって」

 

「よくわからないけど……ともあれ貴方も無事で事態も大きく進展しそうで良いこと尽くめ。今後もこれぐらいスムーズなら楽なのだけれど」

 

 ヒナの言葉に同意すべく頷くと、彼女は小さく笑みをこぼす。

 彼女との絆の繋がりを感じる……。

 

 

 

 我は汝…… 汝は我……

 

 

 

 汝、新たなる絆を見出したり……

 

 

 

 絆は即ち、まことを知る一歩なり。

 

 

 

 汝、"法王"のペルソナを生み出せし時、

 

 

 

 

 我ら、更なる力の祝福を与えん……

 

 

 

 ひと段落ついたことで気が緩んだのか、ヒナが小さなあくびをする。

 深夜のシャドウ討伐に加え、日中も学生としての本分を全うしなくてはならないのだから、睡眠不足になるのも仕方ない。

 むしろ自分はその辺平気というか、単純に慣れているのか特別負担になるような感じはない。

 

「そういえばここって私用の部屋もあるのよね。せっかくだしそこで仮眠させてもらうわ」

 

「大丈夫なの?」

 

「平気よ、時間管理は徹底しているから。貴方はもう少し安静にしていなさい」

 

 それだけ言い残しヒナは退出していく。

 日中はゲヘナの風紀委員長として、夜中はペルソナ使いとして東奔西走している彼女には頭が下がる思いだ。

 ふと、以前マコトが漏らしていた疲れたOLという揶揄を思い出す。

 ヒナには失礼を承知で、確かにその例えには正直納得しかない。

 

 そんな益体のない思考に耽っていると、部屋にノック音が鳴る。

 ヒナが忘れ物でもしたかと返事で入室を促すと、ドアを開いた先にいたのはまさかのヒフミだった。

 

「お、お久しぶりです」

 

「久しぶり」

 

 軽い挨拶を済ませると、おずおずといった様子で控えめな所作で部屋に入ってくる。

 警戒、とも違う。どちらかというと遠慮だろうか。

 なんにせよ立ちっぱなしにさせるのも座りが悪いので着席を促すと、室内を視線のみで見渡しながらもヒナが座っていた椅子に着席する。

 場所こそ違うが、構図としては初めて会ったときの焼き増しだが、ヒフミはあの時と違い身体を強張らせてどこか余裕を感じられない。

 

「さっきからどうしたの?」

 

「あ、いや、えっと……お、男の人の部屋に入るのは初めてなので……」

 

 顔を赤くさせながらそう語る姿は、年相応の少女の反応としては非常にまっとうなのだが、逆にそれが新鮮に感じられた。

 その理由はやはり、キヴォトスで知り合った少女達の大半が大人びていたからだろうか。

 立場が人を作るというならば、大人に依存しない自主性を重んじられるキヴォトスでは自然と精神が成熟しやすいのかもしれない。

 ……いや、アビドスの過酷な環境で生活しているシロコ達やヒナ達のような地位の高い人物が周りに多いから麻痺しているだけで、彼女を始め才羽姉妹やシミコは十分普通寄りだと思う。

 ただ、ヒナがプライベートだと割と怠惰だったという事実を先程知ったように、あくまで日常の彼女達しか知らないからこその解釈なので実際はどうかは分からない。

 一側面だけ見て全体を知った気になるのは、人間関係を構築する上では良くないことだ。

 

「自室といってもまだ大して住んでないけどね。なんならヒフミ用の部屋も用意されてると思う」

 

「そ、そうなんですか?結城さんやツルギ委員長と違って、私はそんな資格はないと思うのですが……」

 

「そう?ヒフミだってシャドウと戦えてたし、問題ないと思うけど」

 

「ですが――私はペルソナを出すことができなかったんです。結城さんがアビドスで療養している間に、私達もペルソナが扱えるかもしれないという検証の過程で私も試したんですが、駄目でした」

 

 ヒフミは膝上の拳を握り締め、目線がわからなくなるほどに俯く。

 

「私みたいな普通の女子が影時間適正があったことだけでも奇跡なんだと思います。それ以上は望む方がお門違いだってわかってるんです。でも、結城さんが巨大シャドウに襲われて倒れたって聞いたとき、確かに思ったんです。そんなの嫌だって。納得できないって」

 

 ヒフミが静かに語る姿を前に、ただただ静かに聞き入ることしかできない。

 持たざる側の不安は、持つ者が何を言ったところで軽薄なものにしかならないだろう。

 

「これが影時間に適性が一切なかったなら諦めもついたかもしれません。でも、中途半端にも私にはシャドウと戦える資格があるせいで、欲が出ちゃいました。なんの取柄もないくせに、思い上がった考えだって頭ではわかっているのに、それでもって考えが頭から離れないんです」

 

「……ひとつ、聞きたいんだけど」

 

「……なんでしょう」

 

「ヒフミがどうしてそこまで戦う力に拘るのかがわからない。自分が特別であるという自惚れもなければ、わかりやすい悪を相手に正義の味方を気取りたい様子もない。君は仮にペルソナ能力を得たとして、何を為したいの?最悪、死ぬかもしれないのに」

 

 死ぬ、という言葉にヒフミの身体が跳ねる。

 体が微かに震えているのもわかる。

 それでも、自身の言葉を取り消す様子はない。

 本来、戦うということは恐ろしいことだ。

 それはペルソナを得たところで変わることではなく、むしろ強い力を持つことでより危険に引きずり込まれることだってあり得ない話ではない。

 彼女とてペルソナを知らない以前からシャドウとの戦闘経験者だ、命のやり取りによる恐怖を知らないはずがない。

 

 恐怖というのは簡単に吞み込めるものではない。

 死と縁遠いということは、本来その過程で知りうる痛みなどによって得られるはずの感情を学ぶ機会が少ないということ。

 彼女達が持つ身体能力を劣化させる影時間での死闘は、未知への恐怖も含めこちらが考える以上の恐怖を加速させる要因であるはずだ。

 銃弾一発とはいかずとも、打ちどころが悪ければ簡単に大怪我は必至なのだ。彼女達の常識との乖離も合わさって、確固たる理由もなく死地に飛び込もうなどとそう考えられるものではない。

 

「友達を、護れるようになりたいんです」

 

「友達?」

 

「はい。私は別に、キヴォトスの危機をどうにかしたいなんて自惚れはありません。でもせめて、私の目の届く範囲の日常だけは平穏であって欲しい。些細でも、ちっぽけでも、そんな当たり前を護りたいだけなんです」

 

 顔を上げたヒフミの表情は覚悟の色を宿しており、そこに恐怖はあれども迷いは見当たらない。

 

「それさえも分相応だと言われても、それが出来る誰かに任せればいいと言われても、そんな他人任せで取り返しのつかない結果になってしまうかもしれないって考えたら、やっぱり納得できません」

 

 強い、と思った。

 戦闘能力ではなく、心がだ。

 

 自身にとっての日常――つまり、友達との平穏な毎日を護りたい。確かに言葉にすれば些細なことだろう。

 でも、きっと彼女にとってはそうではない。

 彼女にとっての当たり前の日常とは、命を懸けるに値するほど尊いもので、掛け替えのないもの。

 本当に些細でちっぽけなものなら、誰だって自身の命を優先する。

 そして、そんな当たり前を享受する立場に終わらず、護る立場になろうと覚悟を抱ける彼女の心は間違いなく強い。

 陳腐な表現だが、彼女の精神性はまるで戦隊もののヒーローのようだ。

 例え規模が小さかろうとも、その精神性が損なわれるなんてことはない。隣人を愛するという在り方に優劣などありはしないのだから。

 

 仮に彼女にその力がなかったとしても、その真心を汲んで手助けしたいと思う人が彼女の周りには集まるのだろう。かく言う自分がそのひとりだ。

 彼女の悩みに正しく寄り添うことはできずとも、その一助となれる相手が身近に集められる人柄というのはそれ以上に得難いものだと思う。本人は納得しないだろうし、その自覚もないだろうが。

 

「ありがとう」

 

「へ?」

 

「俺のこと、友達だと思ってくれてるんだね」

 

「そんなの、当たり前じゃないですか」

 

「当たり前……か」

 

 その信念を抱えた上で、その当たり前を貫徹するということのどれほど難しいことか。

 ただの友達認定ではない。そこに友達を命を懸けて護るという要素も付け加えられるとなれば、それは生半可な覚悟ではない。

 その一点において彼女に迷いを感じられない。足りないのがそれを為すための力だけで、精神性は完成していると言って良いのではないだろうか。

 

 敢えて露悪的解釈をするならば、彼女の言い分は現実を知らない子供の戯言。

 一見完成したメンタルも、少しの挫折でメッキが剥がれる程度の代物でしかない可能性だってある。

 だが、メッキだろうと本物の宝石だろうと、それに価値を見出すのはいつだって第三者だ。

 悪戯に心の領分を侵すなんてことは何人であっても許されることではないし、メッキだろうとその祈りが美しいものならばそこに惹かれる人は現れるし、その逆も然りだ。

 少なくとも自分は、彼女の在り方に強い感銘を受けているし、可能ならばその一助になりたいと思っている。

 

「なら、モモトーク交換しよう。友達なんだし」

 

「あっ、そうですね!」

 

 ヒフミはペロロのステッカーを貼ったスマホを取り出し、こちらもモモトークを開くと通知履歴が複数あることに気付く。

 相手はシロコを始めとしたアビドスの生徒達を始めとした事情を知っているメンバーで、各々こちらの安否を心配する言葉が寄せられている。

 些細なやり取りだが、それだけでも暖かい気持ちになる。

 内容を眺めているうちに、ヒフミのIDが追加される。

 

「登録完了、ですね。何度も顔合わせしてるのに今更交換なんて、変な話ですよね」

 

「まぁ、そんな状況でもなかったし」

 

「あっ、それとこれ、お見舞い品です」

 

 そうしてペロロのリュックサックから取り出されたのは、青白のストライプのパジャマとナイトキャップを被ったペロロぬいぐるみだった。

 

「このペロロ様はただのぬいぐるみではなくて、マイナスイオン効果があるということで、結城さんにはリラックスしてお休みして頂きたく選ばせてもらいました」

 

「ありがとう、大切にするよ」

 

 そうして手渡されたペロロぬいぐるみを胸に抱えるように持つと、ヒフミは嬉しそうにはにかんだ。

 

 

 

 我は汝…… 汝は我……

 

 

 

 汝、新たなる絆を見出したり……

 

 

 

 絆は即ち、まことを知る一歩なり。

 

 

 

 汝、"恋愛"のペルソナを生み出せし時、

 

 

 

 我ら、更なる力の祝福を与えん……

 

 

 

 突如ヒフミのスマホが振動し出し、彼女はそれを確認すると慌てたように立ち上がる。

 すわ悲報かと思ったが、表情からは不安などは欠片もなくむしろ歓喜を抑えようと取り繕っている風にも見える。

 

「ご、ごめんない!モモ友から生産終了した限定ペロロ様グッズの再販の情報が届きまして、真偽を確かめにいきたいのでこれで失礼します!」

 

 ヒフミは早口でそう捲し立てると、素早い一礼と足捌きで颯爽と退出していく。

 わかっていたつもりだったが、ペロロのことで明らかに目の色が変わった辺り、本当に好きなんだろう。

 そして、そんなグッズのひとつを手渡された自分は、それに値する程度には好意を持たれているのだろう。

 更なる来客の気配はないと判断し、ナイトキャップペロロを胸に抱えながら多数のモモトークの返信で暇を飽かすことにした。

 

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