PERSONA3×Blue Archive~Re:Tales Of Our Youth Days   作:花極四季

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帰宅してソシャゲのデイリー終わらせて、いざ執筆しようとして疲労で寝落ちしまくって投稿が遅れてしまった。慣れないことするとこうなる典型ですわ。


4話

 

「こちら、結城さんの所持品一式となります。音楽プレーヤーはキヴォトス製と比較して品質こそ劣りますが、特別な仕様もない、一般に流通している程度の代物でした。しかし――」

 

「おっと、ここからは私が説明させてくれないかな?」

 

 リンの言葉を遮ったのは、ラベンダー色のロングヘア―とヘイローの左右に浮遊するアンテナらしき物体が特徴的な少女だった。

 

「……ウタハさん、発言の際は挙手をお願いします」

 

「そんなに肩肘張る必要はないだろう?形式ばってそれらしく振舞って自分を大きく見せたいのだろうけど、彼にそんな虚栄は通用しないのは接する機会の多かった君ならわかっていたのではないかい?」

 

 ウタハと呼ばれた少女は、おどけるように肩をすくめる。

 緊迫した空気など気にも留めず、自分の淡々と語るその姿は威風堂々そのもの。

 

「別に、そんなつもりは――」

 

「なら、どうしてこんな仰々しい場を設けたのかな。正直このレベルの案件ならリモートでも事足りる。かつて頻繁に起こっていたテロ行為にも各学校の代表が雁首揃えて対策を講じるようなことはなかったのに、出席人数の不足になることを理解しながら、それでも直に集合しての会合を選んだ。私には敢えて危機感を煽るように事を大きく見せようとしている風に感じたけど」

 

 対して、リンは図星を突かれたからだろうか。言葉に窮して反論しようとしても、矢継ぎ早に繰り出される言葉に対応できないでいる。

 

「違います、そんな意図は決して――」

 

「大事なのは客観性だよ。君の立場上そう振る舞うのを間違いと言うつもりはないが、彼を弾劾するのではなくあくまで相互理解したいのなら、もう少し緩い雰囲気で臨んでもいいんじゃないか?客観的な事実のみで何も知らない筈の彼に不審や警戒の目を向けるのは、あまり健全な関係とは言い難いし、改めるべきだよ」

 

「…………」

 

 ウタハはそう発言するとともに、一帯を見渡す。

 意見に何を思ったのか、リンを始めとした一部の人間はバツが悪そうな仕草を取る。

 

「ウタハさん、そこまでにしてもらえませんか?」

 

 透き通るような声色が室内に響く。

 声の主は、紺碧色のショートヘアーと尖った耳が特徴的な、そしてリンと同じ制服を着た少女だった。

 

「扇喜アオイ財務室長……」

 

「それこそこの場は会長の責任問題を追及する場ではありませんし、彼女の不徳は我々連邦生徒会全体の問題です。ですので、まずは結城理さんの件に集中べきかと」

 

 それだけ言い切ると、アオイは閉口して瞳を閉じる。

 これ以上の言葉は不要だと態度が物語っていた。

 

「……それもそうだね。いや、申し訳ないね結城君。彼女、一連の事件の対処や立場からの重責でキャパオーバー気味なところがあるだけで、決して悪人ではないんだ」

 

「別に、気にしてないよ。色々世話にもなったし、むしろ感謝してる」

 

「それならよかった。――改めまして、私は白石ウタハ。ミレニアムサイエンススクールのエンジニア部で部長をやらせてもらっている。そして、このハンドガンとタブレットの解析担当者でもある」

 

 ウタハがアタッシュケースの中から拳銃を取り出す。

 光に反射してスライド部分に刻まれた【I.F.I.C.】の文字に視線が集まる。

 

「見た目はなんの変哲もないハンドガン。独立連邦捜査部の名が刻まれているのは置いておくとして、スタームルガーMK3をベースにモデリングされたオリジナルモデルという以外は特別な要素はない。外見上は、ね」

 

 そう言いながらグリップの下部を見せる。

 マガジンを排出する動作をするが、何も起こらない。

 次いでスライドを引くと、装填スペースらしき空洞が露になる。

 

「本来マガジンリロードを行うスペースが存在せず、スライド部分にショットシェルより一回り小さいサイズの弾丸が一発入る仕組みになっている。これだけ見れば玩具かと疑う構造だが、本質はそこじゃない」

 

 ウタハがこちらに視線を向けると、指で銃の形をつくり、人差し指をこめかめに宛がう。

 

「報告によれば、結城君がこの銃を同様の所作で構え引き金を引いた途端、途轍もないエネルギーが観測された。そして、謎の巨人が君の背後に現れてシャドウを圧倒したんだ。――しかし同時に、その反応の性質はシャドウのものに類似していた。これが、彼女たちが君を警戒する一番の理由だよ」

 

「巨人、シャドウ……」

 

 漠然とした情報を咀嚼しつつ、パズルのピースを整理する。

 影時間という空間ではヘイローが消失し、同時に力を失う。

 弱体化した身体ではシャドウの討伐もままならず、銃火器を始めとした機械類は使えないため近接戦闘を余儀なくされ、戦力において劣勢を強いられている。

 そんな中で突如現れた謎の人物は、未知の技術で巨人を召喚し、かろうじて撃退してきたシャドウを鎧袖一触した。

 まるで正義のヒーローの初舞台。ともすれば賞賛の嵐による歓待という、輝かしい未来が待っていたのかもしれない。

 しかし現実の立場は、魔女の誹りを受け異端審問にかけられる村人をマイルドにした程度のそれ。

 知らない記憶のことで詰められ、疑念を持たれ、完全な味方と信じられる相手もいない。

 絶体絶命な状況のはずなのに、自分の心は変わらず柳のように凪いでいる。

記憶喪失が由来の異常性なのか、元からこういう人間なのか。それさえ判然としない。

 

「その様子だと、やはり記憶にないようだね。ミレニアム製の医療器具に優秀な医療チームを派遣した結果、それが事実であると証明できているが、それでも疑り深い者もいるようでね。なんにせよ、君に心当たりはなくとも巨人の出現は事実だし、嘘を吐く道理もない。その辺りの説明は、私より目撃者に説明してもらうのが適任だろう」

 

 ウタハの言葉に最初に反応したのは、先程ピックアップされていた砂狼シロコだった。

 

「アビドス高等学校シャドウ対策委員会(・・・・・・・・・)所属、砂狼シロコ。よろしく」

 

 シロコの挨拶の内容に気になる部分があったので、疑問を口にする。

 

「シャドウ対策委員会?」

 

「シャドウ対策委員会は、I.F.I.C.が各学校に支援して成立させた、対シャドウの武装組織。キヴォトスは広大な面積を私有している関係上、I.F.I.C.だけが走り回って対応するのは不可能だから、そのための措置らしい」

 

「……付け加えるなら、各校とパイプを持つことでよりシャドウへのアンテナを高める目的もあります。とはいえ、シャドウの存在どころか影時間さえ現状トップシークレットなので、規模はどうしても小規模になってしまっています。いたずらに事実を公表しても混乱を招くだけで良い方向に流れるとはとても考えられませんので、妥協の末の結果です」

 

「そのバックアップの一環として、我々ミレニアムは影時間でも運用できる武器類の提供を行っている。銃による撃ち合いがセオリーだったキヴォトスでは近接武器など御守りにすらならない代物だったのだが......潮目が変わったと言うべきか。不謹慎を承知で言わせてもらうと、まるで物語の中の出来事みたいでワクワクしているよ」

 

 いつの間にか落ち込んでいたリンが、補足のために言葉を挟む。

 リンは何百、何千とある学校から得られるシャドウの情報を纏め上げる毎日なのだろう。

 彼女ひとりで賄っているわけではないのは明白だが、それにしても最終決定を下すのは彼女である以上、その責務は相応に覆いかぶさる。

 ウタハの指摘は尤もだったが、そんな立場の彼女を責めることは確かに酷だろう。

 早期解決したいと気持ちが逸るのも無理からぬことだが、足並みが揃わなければ意味がない。

 

「表向きにはアビドス砂漠化(・・・)対策委員会としてるけど、他の学校とかは治安維持組織と合併する形で纏まっているって聞いてる」

 

「ゲヘナ学園においては【万魔殿】と【風紀委員会】がそれに当たるわね」

 

「正確に言えば【万魔殿】ではこのマコト様のみが関係者であり、【風紀委員会】こそが実働部隊だな」

 

 シロコの言葉に対し空崎ヒナともう一人、流し読みした資料には羽沼マコトと記載されていた少女が追従する。

 図らずも同じ読みの名前だったから印象に残っていた。

 

「とはいえ、影時間適性は【風紀委員会】ではヒナしか持っていない以上、シャドウ討伐には偶に私も参加している。他の奴らは現実の治安維持をすることでヒナがシャドウ討伐に集中できるようサポートするのが役目みたいなものだな」

 

「無気力症のおかげで破壊活動を行う人物が減少したことで、キヴォトス全体の治安は逆に良くなったけど、事が事だけに素直に喜べないのよね」

 

「というわけで、良かったな?以前のキヴォトスの治安だったら貴様は日陰で生きるしかできなかっただろうが、今なら往来を歩いても割と安全だぞ?」

 

 意地悪な笑みと共にマコトが視線を向けてくる。

 果たして、その安全とやらが誰の視点での基準かは定かではないが、いちいち流れ弾を気にする必要がないのであれば素直に喜ぶべきことだろう。

 

「そんな脅かすような真似はやめなさい。結城くん、うちのバカが申し訳ないわね。この通りの考えなしのバカだから、あんまり気にしない方がいいわよ」

 

「おい、天下の【万魔殿】トップであるマコト様に向かってバカとはなんだ!年中疲れたOLみたいな顔しているくせに!」

 

「……はぁ。公的な場でぐらいまともにしなさい。イブキに言いつけるわよ」

 

「い、イブキは関係ないだろぉおおお!!あの子はなんでも信じる年頃なんだから、いらんことを教えるな!!」

 

 マコトの罵声によって急に部屋が騒がしくなる。

 一見して険悪な関係に見えるやり取りをしているが、二人が纏う雰囲気は良くも悪くも普通。

 恐らく、このやり取りも決して特別なものではなく、日常的に行われているものなのだろう。それこそ、動物がじゃれ合うみたいな感じで。

 

「お二人ともお静かに。特に羽沼マコトさん、痴話喧嘩は余所で。私も含め、この場に居る者達も暇ではないでしょうし、進行の妨げになるような愚を犯さないでくれます?」

 

「ぬっ!桐藤ナギサ、貴様……!!」

 

「やめなさい、彼女が正しいわ」

 

 マコト達を静止した鶴の一声は、桐藤ナギサだった。

 表面上は笑顔、しかし雰囲気は刺々しい。

 白と黒。見た目も天使と悪魔を想起させるビジュアルの二者は、果たしてその通りの関係なのか。明らかに互いの間に生じる空気が険悪なものであるとわかる。

 

「――そろそろ話纏めてくれねぇか?こっちは時間捻出してやってきたんだからよ」

 

 テーブルに頬杖をついてそうぼやいたのは、美甘ネルだった。

 平静を装うとしてはいるが、苛立っているのか眉間に皺を寄せている。

 

「なぁ、アンタ記憶喪失なんだってな」

 

「うん。そうとしか思えないって程度で、それを証明なんて出来ないけど」

 

 ネルに突然話しかけられて少し面食らうも、正直に答える。

 

「……あたしも記憶喪失には多少理解があるが、そんな状況で堂々としてられるのは素直にスゲェと思うよ。最初からゴッソリ抜け落ちてるからってのもあるかもだけど、自分が何者なのかも、家族や知り合いもわからない中で、さもお前は危険人物だなんて目で見られて、それでも動揺ひとつ見せずここにいる。対してテメェらはどうだ?」

 

 ネルの小さな身体が途端に大きく見えるほどの圧を放ち、生徒たちを睨みつける。

 

「寄ってたかって右も左もわからねぇ相手に集団で囲んで、何様のつもりだ?ミレニアムの技術やらを駆使して記憶喪失が嘘じゃねぇって証明したにも関わらず、そんな相手に配慮の欠片もなく好き放題テメェの利益ばかり押し付けようとして――良心ってもんがねぇのかよ。アァ?」

 

 腹の底に響くようなドスの効いた声に、全員が押し黙る。

 思えば彼女の態度は最初から一貫して不真面目で、その理由はこの集まり自体に納得が行ってなかったからと考えれば納得がいく。

 不義を嫌い、仁義を貴ぶ。立場的弱者であるこちらを憐れんでか、義侠心を奮い立たせて意に沿わない者達に牙を剥く。

 人相や雰囲気とは裏腹に、他者を思いやれる優しい人間なのだろう。

 一連の行動だけ見て、少しだけ彼女の人間性が見えた気がする。

 

「……今の彼が正しく善人だったとして、それが彼が出した巨人の安全性が担保される理由にはなりません。それに、記憶喪失の前後で彼の認知が変わるのは当然であり、以前の彼がどのような人物であったかは別問題です。万が一彼が暴走するような状況を想定するのは当然のことでは?」

 

「ああそうだな、正論だよ。だがよ、そこで感情を切り離して考えられる程非情にはなれねぇんだわこちとら」

 

 苛立ちが頂点に達したのか、ネルがテーブルに拳を振り下ろす。

 振り下ろした衝撃でテーブル上の物が飛び跳ね、拳の中心からヒビが端から端まで伸びていき、いとも容易く数十人を囲えるテーブルが半壊状態となる。

 

「だったらもっと誠意を見せれば良かっただろうが。最初から不発弾を扱うような対応して、似たような力を使うからって情報ひとつで、ハナからコイツがシャドウと同じ化け物だとでも確信してたのか?そんな風に闇雲に疑わしきを罰するようじゃ、いずれ取り返しのつかない事態を招くだろうな」

 

「……ご忠告感謝しますわ。結城さん、無礼な言葉の数々お許し下さい」

 

 そうして、ナギサは深々と頭を下げた。

 ネルの覇気に中てられながらも、気丈に合理を説くナギサ。

 ナギサの意見もまた正論で、その冷徹なまでに合理を説くのもまた必要な考え方だ。

 立場も変われば意見も変わる。結局のところ何に重きを置いているかに過ぎない。

 そもそも自分は、キヴォトスに起こっている影時間問題とやらがどれ程の被害を与えているのかを把握していない。

 そんな自分では、彼女達のどちらの意見に正当性があるかなど判断はつけられない。

 医療や化学も数々の実験の果てに実現した技術であり、その裏では人道に悖る行為で発展したものも少なくないはず。

 犠牲なくして発展なし。破壊と再生は表裏一体。

 行き着くところが同じでも、こうして意見は対立する。

 問題は、どう折り合いをつけるかにある。

 

「……ネルさんの言う通り、最大の懸念点を解消することは確かに大事なことですね。皆さん、この意見に賛成であれば挙手をお願いします」

 

 これ以上の問答は蛇足と判断したのか、決を採り始める。

 それに続くようにひとりずつ手を挙げていき、最終的に全員が挙手をしたことによって可決された。

 

「では、今夜0時に影時間内で検証作業を行います。影時間突入組は、参加可能かの是非をモモトークの専用アカウントに送ってください。集合場所は追って連絡します」

 

「結城君の銃は私が預からせてもらうよ。とはいっても、下手に弄ると不備が起きそうだしあくまで最終確認のためだけど、それがエンジニア部の役目だからね」 

 

 そういってケースを回収していくウタハ。

 結局、持ち物に関しての説明は中断される形になってしまったけど、銃はともかくあのタブレットはなんだったんだろう。

 音楽プレーヤー同様ただの一般機器なのかもしれないが、何故かそうではないと心の中で否定する自分が居る。

 それこそ銃なんかよりも、もっと重要な――

 

「あ、それ以外は返すよ。とはいってもタブレットは何故か電源がつかないんだけどね。壊れている感じではないんだけど、銃の解析を優先しててそっちはほぼ手つかずなんだ。なんだったらこっちで回収するけど」

 

「いや、返してほしい。もしかしたら、記憶が戻る切っ掛けになるかもしれないし」

 

「ふむ、確かに道理だね。もし動かせたなら教えてほしいな」

 

 返却された音楽プレーヤーを制服のポケットに忍ばせ、ヘッドホンを首から下げる。

 懐かしい感覚というか、とにかくしっくりくる。

 そして、次に手渡されたタブレットは小脇に抱える形で収める。

 逆にこっちは違和感が大きいが、持っているだけでどうしてか安心感がある。

 

「結城さんは時間までの間、コンディションを整える意味でも部屋で待機でお願いします。何かありましたら、部屋の子機で対応します」

 

「わかった。もう戻っていい?」

 

「はい。帰り道ですが、わかりますか?」

 

「大丈夫、一応頭に入ってるから。そこまで複雑じゃないし、なんとかなると思う」

 

「――な、ならまた私が送ります!」

 

 突然、会議中終始無言だったヒフミが声を上げる。

 彼女は何かに焦っているように挙動がせわしなく、視線も揺れている。

 先程とは違い、まるで義務感に駆り立てられているかのような反応。

 しかし、何故そんな反応をしているのかはまるで理解できない。

 

「――いえ、ヒフミさんは実働部隊なのですから、彼同様少しでも英気を養うべく私と戻らなくてはなりません」

 

「で、ですが……」

 

「べ、別に意地悪で言っているわけではありません。私からの誠意の形、とでも言いましょうか。ただ来た道を戻るだけのことでヒフミさんがまた傍に居ては、先の謝罪が上辺だけのものと思われかねません。【トリニティ】の代表として、今の私にできることはこれぐらいしかありませんので」

 

「そう、ですか」

 

 ナギサにそう諭されて納得はしたのか、それ以上何も言うことはなかったが、ヒフミは目に見えて落ち込でいる。

 一体なにが彼女を突き動かしているのは不明だが、言外にヒフミの案内はナギサの思惑であるという発言は聞くことが出来た。

 生徒会の報告だけでは信用できず、故に信頼しているであろうヒフミに監視の役割をつけた。

 もっとも自分を警戒しているのはナギサであることは疑いようもない。

 

 トリニティの名前は、キヴォトスを学ぶ過程で目に付いた。

 アビドス、ゲヘナ、トリニティの三校はその規模から三大学園のひとつとして名が知れ渡っており、トリニティはその中でいわゆるお嬢様学校としての地位を確立している。

 もっとも、アビドスは砂漠化の影響でその地位から引きずり降ろされているようだが、それは問題ではない。

 トリニティは【パテル】【フィリウス】【サンクトゥス】の三つの主要の学園が連合し、【トリニティ総合学園】として成立しているらしく、恐らくナギサはその各学園のうちひとつの代表とか、相応の地位に居ると考えられる。

 連合結成の経緯は知らないが、結成から日が浅いことを鑑みれば、各派閥同士の結束が緩いことは想像できる。

 2つではなく3つだからこそ、辛うじて三すくみが機能して表面上対立が激化していないのかもしれないが、水面下では果たしてどうか。

 すべては憶測でしかないが、彼女の疑心暗鬼の裏には政治に携わった経験や立場の重さを理解しているが故かもしれない。

 代表としてこの場に臨んでいるのであれば、彼女の反応がもっとも健全と言えるし納得もいく。ただ、露骨に対応しすぎた結果、いらぬ対立を生んだというだけで。

 

「ヒフミ」

 

「は、はい!」

 

「また後で」

 

「は、はい……」

 

 ヒフミとの簡潔な語彙でのやり取りを終え、部屋から退出しようと入口付近に来た直前、シロコと視線が交差する。

 相変わらずの無表情で思惑は読めない。しかし、何か言いたげな雰囲気だけは伝わった。

 とはいえ、あんまり今の自分がこの場に残るのは相応しくはないだろうと、敢えて見なかったことにして退出する。

 会議室の扉が親指よりも小さくなった距離になったころ、そちらの方からネルの悲鳴に近い怒号が聞こえた気がした。

 




正直、展開が強引な部分もあったけど、ここで長々やるのも本意じゃないからどうにか纏めた感じ。悩み過ぎて筆が止まる方が問題だってことは嫌でも思い知ってる。
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