推しの子『日本国民からの認知度50%』トロフィー獲得RTA 作:朝日と夕陽
「あんたみたいなガキ、産まなきゃ良かった!二度と私の前に現れないで!」
これがお母さんとした最後の会話だった。それからお母さんは窃盗で捕まり、私は施設に預けられた。
「星野アイです」
「彼女が今日からみんなの友達になる星野アイちゃんです。仲良くしてあげてね〜」
でも、施設の居心地も良くなかったな〜。施設に来たばかりの私は今よりもずっと暗い感じの性格で、だからかもしれないけど周りの女の子たちから毎日いじめられてさ。酷いよね?
前の家にも居たくなかったけど、施設の生活も嫌だった。二年くらいは施設で過ごしたけど、楽しかったと思える記憶なんてほとんどないかな。
「私は
でも、あやかちゃんとの思い出は別!
私が初めて施設に来た時にみんなに挨拶したんだけどね?遠目から見ててもあやかちゃんだけ別格の、一人だけ光り輝いた女の子だった!
「アイ、貴女って結構かわいいわね。まあ、私には及ばないけど」
あやかちゃんはすごい自信家で強い女の子。肩にまで伸ばしたボブヘアの茶髪で、小学生なのに胸も大きい大人びた美人さん。それに同い年くらいの女の子なのに、私を無視したり叩いたりしないでくれた。
それもあって「私もあやかちゃんみたいになりたい!」って思ったの。それで施設に来て一週間くらい経ったある日、夜に施設を抜け出して歌を歌ってたあやかちゃんに聞いてみた。
「どうやったらあやかちゃんみたいになれるかな?」
そしたらあやかちゃんはこう言ってた。
「アイには
「輝き?」
「そう、アイには輝きが足りない。アイは暗い。もっと明るくなってみたら?ほら、そこのアイドルみたいに」
そう言って、たまたまテレビの画面に映ってたニコニコと笑う女の子を指差したあやかちゃん。
「えっと、こう?」
私は画面のアイドルみたいに笑ってみると、あやかちゃんに私の両頬を片手でグイッと掴んで持ち上げてきてね。私はびっくりして目を白黒させちゃった。
「違う、もっとこう!」
でも口元をもっと緩ませろってことなんだと分かって、私はさらに大きな笑顔を浮かべると、あやかちゃんは私の頬から手を離してにっこり笑ってくれた。
「フフフ。やればできるじゃない。普段からそうしていればいいのよ」
私も憧れの女の子に褒められて嬉しかった。あやかちゃんの胸元に頭をぐりぐり押し付けて甘えてみたら頭を優しく撫でてくれて、もう今思い出すだけで「幸せ〜!」って感じ。
その後は急に恥ずかしくなって、ついいじわるなことをあやかちゃんに言っちゃったりしたっけ。
「でもあやかちゃんもいつも笑ってるけど、私と同じように嫌がらせされてるよね?輝くことって、意味があるの?」
「別にいじめが減るなんて言ってないわ。眩い輝きがハエの注意を引くのは仕方のないこと。むしろ、これからいじめは増えるでしょう。でもね、アイ────」
そんな私にもあやかちゃんは全然怒らないの。私の目を見て真剣な表情で話しかけてきてね。あの時は本当にすごかったなあ。
「代わりに私が貴女を愛してあげる」
あやかちゃんに熱さを感じるくらい輝いた太陽のような目で見つめられて、ドロドロに溶かされているような気分にさせられて。それから耳元で甘い言葉を囁かれたら、誰だってどうにかなっちゃうよ。私は悪くない!
「周囲の有象無象など無視しなさい。私は輝いてる人が好き。アイ、貴女が輝き続ける限り、私は貴女を愛してあげる」
こういうわけで、私はあやかちゃんが大好き。強くてかっこよくて優しくて大人っぽくてかわいくて、キラキラに輝いてる女の子。そして私の人生を変えてくれた大切な人。
それがあやかちゃんなの!
まあ、でも────
「……虐待されてた母親に見捨てられたから泣いてるってこと?それだけ?」
「私の見込み違いだったのかしら?アイ、やはり貴女は何処にでもいる普通の少女ね。その程度の存在が私の横に並び立つのは相応しくない」
「私が求めるのは完璧で究極の人間。いつも笑顔でネガティブな感情を一切表に出さず、綺麗で清楚で純粋でどんな人間も深く愛し裏切らない、誰もが愛せる愛玩動物のような人間」
「そんな
「私は明日東京へ行く。そして手始めに芸能界の頂点に立つ。アイ、貴女が私の求める人間になったのならば会いに来なさい。そうでないのなら、二度と私の前に現れないで」
ちょっと私が悪いことをしてあやかちゃんに怒られて、最後は喧嘩別れみたいになっちゃったんだよね〜。でも、今なら仲直りする自信はあるよ?
どうしてって?そんなの決まってるよ。
だって私は溢れて出るオーラが隠せない究極美少女だから☆
スカウトさんも東京の人混みの中ですぐに見つけられるくらいの完璧美少女だから☆
ああ、早く会いたいなあ☆
「そういうわけで、あやかちゃんを探すのを手伝って?あやかちゃんが東京に来たのは間違いないからさ!」
「それが、君がアイドルになるための条件ってわけか。良いだろう、任せておけ」
こうして苺プロダクション社長の
斉藤壱護は歓喜した。東京の街中で見つけた未だ11歳の原石を無事手に入れられたことに。その歓喜によって、アイから話を聞いていた際に何故か浮かんだ『本元あやかへの違和感』はあっという間に吹き飛んだ。
これ以降、アイの加入によって苺プロダクションおよびB小町は大きな飛躍を遂げることになる。