一周目の世界線、ループの始まったその理由とは!?
サブタイトルにネタバレされたので初投稿です。
数年前までは......私が連邦生徒会長を卒業するまでここは
私は産まれたときから特別でした。一度見聞きしたことは決して忘れず、初めて銃を打った時から狙いを外したことはありません。頭の回転も早く、一を聞くだけで十どころか百、千を理解する。五歳の頃には銃を使わずとも
外を歩くとすれ違う人全員がトップアイドルでも可笑しくない中でも一際目立つ綺麗な水色の髪に可愛らしい容姿を持ち、将来は誰よりも可愛くなると言われていました。
そのまま超人としての歩みを進めていた私が高校に入学して一週間もせずに連邦生徒会長になったのも当然のことです。私は超人で、私は皆よりも優れていて、皆よりも身体が丈夫で、頭が良い。
他の人たちが悪いわけではありません。ただただ私が飛び抜けすぎていたのです。
よく小説などでは強すぎる光は必ず闇を作る。と言いますがそれは光が弱いのがいけないのです。闇はうまく制御すれば良い。超人たる私についていけば誰もが闇から救われる。誰もが闇を飼い慣らすことができる。互いの光を尊重し、互いに高めあい、より強く光輝くことができるようになる。
私は中学までの間に全ての自治区で発生している問題を把握して解決する手段を確立していました。そして、連邦生徒会長になってから三年間で大きな問題が起きない平和をお届けすることができたのです。
例えば、防衛室長を使ってカイザーをコントロールする。アビドスの砂は原因となったビナーを排除してミレニアムの技術を用いて砂嵐や砂漠の量を好きに調整できるようにしました。私がいなければいずれ砂に飲み込まれカイザーに支配された学校が出来上がっていたかもしれません。
例えばトリニティとゲヘナの間で同盟を組み、大人に支配されているアリウス分校を解放しました。ゲマトリアというキヴォトスの外の技術を扱う大人は多少厄介でしたが私の敵にはなりえませんでした。私でなければゲマトリアを相手取るのは大変だったでしょう。
例えば名もなき神々の王女と仲良くなり勇者へと導きました。鍵と定められた少女のことも一人の生徒として"生"を与えて王女と仲良く過ごせるようにしてあげました。導きなき王女は魔王へと転じ、キヴォトスを滅ぼしていた可能性が高いです。
逆にいきすぎた平穏は逆に退屈な世界へと繋がってしまいます。
そこで暴れたい生徒達をうまく活用することで適度な刺激を与えていきました。こういった努力の結果、適度な刺激がありつつも誰も悲しむ生徒がいない。平和な箱庭。生徒の生徒による生徒のための
そしてそれは......私が卒業した後も続いていく......はずだったのです。
私は卒業後、キヴォトスの外においても超人の名に偽りなき活躍をしていきました。私が起業した会社は一年目からその業界の大手でも無視できない規模に膨れ上がり、二年目には複数の業界を手掛けて誰も手出しできない企業へと成り上がりました。出る杭は打たれる。なんて言葉もありますが出すぎた杭にハンマーなど届きません。やっかみも裏工作も足を引っ張る存在をすべて捻り潰してばく進していきました。それも一重に
私がキヴォトスの現状を知ったのはやっかみなどを全てはねのけて磐石な基盤を作り上げた頃でした。
私が自ら探し出した優秀な社員達、一度の失敗や嫉妬などによって行き場を失った人たちを中心として教育を施し、孤児院を作って捨てられた子供達を救いあげ、ゆくゆくは将来の基幹メンバーとなってもらうべく勉強を教えていました。キヴォトスでヘルメット団になるしかなかった生徒達、アリウスにいた子供達と重ね合わせてしまったのかもしれませんね。
もちろんあの
久々にヘイローを持つ子供を見たときは驚きました。箱庭の外にでることができるのは
ええ、実は私、私と対等に渡り合える存在を求めていたのです! 最初こそキヴォトスの外の大人達に期待していましたがただ
ですがそれ以上に衝撃的だったのがキヴォトスの現状でした。空は朱く濁り、神秘はうまく機能せず、文字通り命をかけた銃撃戦が多発している。彼女自身も優秀だったから外に来れたのではなく、キヴォトスの箱庭としての効力が無くなったから誰でも外と行き来することができるようになっただけ。とのことでした。
その事を聞いた私はすぐにキヴォトスの中に戻ることにしました。私の会社の社員達には涙ながらにすがり付かれましたが私にとっては
彼女達のことも大切だとは思っていますが私は優先順位を見誤るほど未熟じゃないですよ。
......ですが無下にすると邪魔をされるかもしれません。私が見いだし、教育した以上、私に届かなくとも優秀であることに間違いはありません。箱庭の機能が失われている今、ここの大人達がキヴォトスに侵入してくるとそれが止めとなってキヴォトスが崩壊する可能性があります。
それに私を探しに外にでた他の生徒達のことも心配です。神秘的なヘイローに普通の人よりも頑丈な身体、
......そうですね。彼女達を助けるようにお願いしましょう。頭を下げると渋々とですが私のお願いを聞いてくれました。
何か埋め合わせをしたほうが良さそうですね。......ところでどうして彼女は苦笑いをしているのでしょうか?
キヴォトスに戻る道中、私を呼びに来た彼女に何があったのか話を聞きます。
「あなたが卒業してからも少しの間は何も問題ありませんでした。ですが、先輩達は、私達は、どうしようもないほどあなたに依存していたのです」
「最初に異変が起きたのはゲヘナとトリニティ、アリウスがエデン条約によって合併したプルガトリウム合衆学園でした。きっかけはほんの些細なことで
どういうことでしょうか。その程度のことは想定済みです。防止策はもちろん、折衝案に解決策、妥協案まで用意していたはずですが......。
「はい。あなたの言う通りその衝突が初めてではなく何度も連邦生徒会長の指示書にはお世話になりました。しかし今回ばかりはダメだったんです」
数十ものケースを想定した指示書が意味をなさないとなると外部からの介入が考えられます。
「ゲマトリア......でしょうか」
「っ! さすが連邦生徒会長です。彼らの介入によって事態は大きく広がっていったのですよ」
本当に? ゲマトリアの危険性は伝えていましたし、対処方法も伝えていたのに何故?
「ふふふ。連邦生徒会長はとても優秀なのに自己評価が低い。という噂は本当だったのですね」
「どういうことでしょうか。私は誰よりも優秀だと自負していますよ。それと“元”連邦生徒会長です」
思わず眉を潜めると何かに納得したかのような表情で頷いています。一瞬でしたが寂しいような何かに堪えるような表情も見えましたが......。
「最初にお伝えしたでしょう? 私達はあなたに依存しすぎていた。......と」
「その事は理解しています。ですが
「いいえ、連邦生徒会長はやはり理解できていませんよ。未熟な私達を導いてくれ、親身なって問題を解決してくれて、......私の名前だって知ってますよね?」
「ええ。■■さんですね。オデュッセイアの所属だったはずです。それと“元”連邦生徒会長です」
少なくとも私がまだキヴォトスにいた頃に中学生以上だった生徒のことは全員知っています。連邦生徒会長として当然のことです。
「やっぱり私みたいな木っ端の存在のことも把握しているんですね」
しみじみとした様子で呟いていますが今の言葉は聞き逃せませんね。
「いいえ、あなたの存在は木っ端などではありません。いろんな可能性を持った存在で今は生徒会長にもなって頑張っているのでしょう? 自分を卑下する必要なんてありませんよ」
「連邦生徒会長......。やっぱりあなたは......ぁなたって人は......」
思わず語気を荒げてしまったせいか涙ぐんでしまいました。あぁもう、私は生徒の涙に弱いんです!
「ほら泣かないで。怖がらせてごめんなさいね。それと“元”連邦生徒会長です」
「ふふっ。怖くて泣いたわけではありませんよ。それと話が逸れましたね。すみません」
......? なら何故泣いたのでしょうか? ......不思議です。......そういえば私がキヴォトスにいるときもたまに突然泣き出す生徒がいましたね。ただ子供だからそういうことがあるのかと思っていましたが......。
続きを話す気配を感じて思考を切り替えます。並列思考はできますがキヴォトスの現状の推測と解決方法の検討に割く方が有用ですからね。
「ゲマトリアが行ったことは簡単です。キヴォトスに侵入した後は生徒達にお前達は連邦生徒会長に捨てられたんだ。だからキヴォトスの外に出た。って伝えただけなんです」
「たったそれだけで? なぜゲマトリアの言葉を信じたのですか? そもそも卒業したらキヴォトスの外に出るのは全員同じでしょう」
正確には卒業するとキヴォトスに残ることができない。といった方が正しいですが......。
「そうです。たったそれだけです。もちろんゲマトリアの言うことを信じた人はほとんどいませんでした。でもあなたに依存していた私達にとってはとてもとても苦い毒の言葉だったんです」
「最初こそみんな気丈に振る舞っていました。でもゲマトリアの人が、連邦生徒会長がキヴォトスを捨てたんだって主張する人の数が増えると内心不安になる生徒が出てきたんです」
「だんだんと不安に負けて
「パニックに陥った後は崩壊するまですぐでした。いつの間にか元凶のゲマトリア達はいなくなりテラー化した生徒と普通の生徒での戦争が始まりまったんです。キヴォトス内の大人達もこれ幸いと暴れだし三つ巴で血みどろの戦いになりました。恐怖が神秘を侵食したせいで丈夫なはずの生徒達のヘイローはあっさりと砕けるようになったんです」
彼女は一通りの説明を終えたあとは無言になってしまいました。私もかけられる言葉がありません。
彼女の言うことが正しければキヴォトスはもう......。いえ、希望はまだ残っているはずです。元とはいえ連邦生徒会長をやっていた私がキヴォトスの平和を諦めてはいけませんから。
そのままキヴォトスに戻ると思っていた以上に凄惨な景色が目に飛び込んできます。
真っ赤に染まった空に荒れ果てた街。道の端には傷だらけで呻く生徒達。思わず絶句してしまいました。
路地裏を覗くとヘイローが砕け、血で赤く染まった生徒達が積み上がっています。彼女達はもう......。
「お願いします。会長。彼女達を......私達を助けてください......!」
私を呼んでくれた彼女が私の後ろで頭を地面に付ける。でもここまで来ていたら私にももう......。
「顔を......あげてください」
「会長! ............そうですか。あなたでももう......無理なんですね」
「ごめんなさい」
絶望した顔を見て思わず目を背けます。こうなったら一か八か......でも......。
「会長は私達を見捨てたんだ」
私達キヴォトス人には神秘が備わっていて、強い神秘は未来予知*1や瞬間移動*2、異常に発達した勘*3などの特殊な能力をもたらしてくれます。もちろん私も持っているのですが......。
「ゲマトリアの人達が言っていたことは正しかったんですね。それともあなたが偽物だった? それとも外の連中が会長を腑抜けにしたの?」
私の神秘の特性は時間回帰です。これを使えばこうなる前の状態にやり直すことができます。ですが......。
神秘の特殊能力を使うか悩んでいると後ろから銃を突きつけられました。
「ごめんなさい連邦生徒会長。ようやく私も彼女達の思いが理解できました」
異様な気配を感じて振り向くとテラー化したヘイローが目に入ります。......そうなりましたか。私がどうにかしてくれるだろう。その一心で心を守っていたのでしょう。
「“元”連邦生徒会長ですよ」
「こんな世界は要りません。あなたの助けももう必要ありません」
彼女の言葉と共に銃を構えた生徒達が現れて私の周りを囲みます。
数年前までは......私が連邦生徒会長を卒業するまでここは
全身から血を流し、砕けかけたヘイローが点滅しているのが分かります。
ええ、私が生徒を
途中で折れているサンクトゥムタワーを見上げます。雲よりも高いはずのタワーがコンパスのように折れ曲がっている。想像したこともありませんでしたがキヴォトスの内外で行き来しやすくなっていたのもこの塔が折れたからかもしれませんね。
どうしてこうなってしまったのでしょうか。私は最善を尽くしました。尽くしたはずです。私の神秘を使って時を巻き戻しても同じ結末になるのでは? そんな不安が残ります。
......私が一人で全てを導いたのがよくなかったのでしょうか。周りを庇護対象としか見ていなかったのが問題でしょうか。
......私一人に依存した。だから私が
彼女が言っていた通りです。私達は未熟だったんです。彼女達だけではありません。私も......
であればやることは一つですね。名も知らない、顔も知らない
そうですね。こういった方にお願いしちゃいましょう。
きっと、許してくれるはずです。
とても長い旅路になるでしょう。精神の強い方が良いですね。
私の可愛い生徒達を任せるのです。生徒第一に考えられない人は嫌ですよ?
悪いことをされたら困っちゃいます。誠実な方が良いですね。
......ハリボテの平和では意味がありません。ずっと見守れる立場が必要です。
立場が近すぎてなめられるといけません。大人の立場が良いですね。
私の代わりに導くのです。指導者の資質を持ちましょう。
欲を言えば私よりも優秀で......ちょっとだけおバカな方が良いですね。
親しみを持てるように......子供のように純粋な方が良いですね。
同じ結末を決して辿ることが無いように......よりよい未来を思い描いてくださいね?
勝手に巻き込んでしまってごめんなさい。代わりに私の身体は好きにしても良いので......。
私には...私には...そんな立場の人に心当たりがあります。
だから
生徒達を......私が大好きな彼女達を......。
よろしくお願いしますね? 先生
今度こそ完結です!
伏線......伏線......ちゃんと伏線になってましたかね? とりあえず伏線を回収しました(伏線のゲシュタルト崩壊)
というわけで
一周目の
二周目からの
本編の最終話で出てきた先生は
でした。
前話のバッドエンド側で先生がいるのにバッドエンドに行きまくっていたのは記憶を失いたくない