ちなみに今話は主人公視点がありません。
キヴォトスではとあるゲームが一世を風靡していた。そのゲームの名は“テイルズサガクロニクル プレver.”。レビューでは「プレイしたゲームの中でダントツで絶望的」「一番足りていないのは正気」などの酷評が続き、一部のプレイヤーは「ヘイローが砕けかけた*1」やら「突然銃を部屋において外に出た*2」やらの異常を訴えている模様。
それだけではそこまで有名にはならなかった......というよりもゲームの被害は一部の界隈だけで収まっていただろう。しかし!! 知名度が急上昇した原因があったのだ!!
その原因とは..................かの連邦生徒会長が開発に携わっていたのではないか! という噂である!!
皆様もご存じ連邦生徒会長は当時一年生であったのにも関わらず前任の会長が私よりも優れている。といった理由で会長職を引き継いだことから始まり、会長対会長以外の連邦生徒会メンバーで模擬戦を行って弾一つも当たらずに制圧したこと*3、不良を一睨みで壊滅させたこと*4、ドラゴンを一人で討伐したこと*5等々、嘘か真かとんでもない逸話を数多く持つ超人である!
そんな連邦生徒会長が開発した噂によって普段ゲームをしない一般層にも広く知れ渡り犠牲者が加速度的に増えてしまったのだ。
我がクロノススクールはなんと! この度連邦生徒会長に真実を聞く機会を得られたのである! はてさて! いったいどんな真実が明らかになるのか! 超人はどんな謝罪をするのか!! こうご期待である!!
突然連邦生徒会長から連絡が来たときは驚きましたが......まさかまさかのインタビューを受けるですって!?
最新話題の良ネタとしてダメ元でだしたインタビュー依頼を受け付けてもらえるだなんて思ってもいませんでしたね。
ふっふっふ。超人の裏の顔、ぜひぜひ拝見させていただいて面白おかしく拡散してあげましょう! 見出しはそうですね......“連邦生徒会長、ゲーム開発の才能ゼロ!?” もう少しインパクトが欲しいですね。“すべては連邦生徒会長の手のひらだった!! テイルズサガクロニクル ゲームの裏に隠された衝撃の真実!!” ふふふ。なかなか良い感じではありませんか?
おっと、そろそろインタビューの時間ですね。にこやかな笑みを浮かべて印象をよくしましょう。そのほうが口を滑らせてくれそうですし
「初めまして会長。お忙しい中お時間をいただきありがとうございます。今日はよろしくお願いします!」
「ええ、よろしくお願いしますね。実は今日が初めてなの。優しくしてね?」
和やかに始まったかと思いきや初っぱなから上目遣いでこちらを見てくる会長は色気がヤバすぎますとても可愛挑発的な目をしてこちらを威圧してきます。
ですが私はそんな誘惑圧力には決して屈しません! ......ところで初めてってナニがですか? 私とっても気になります!
「早速ですが......今回のゲームの件、会長はどのように責任を取るつもりでしょうか?」
「そうですね......逆に聞きますがどんな責任をとれば良いと思いますか?」
ずばっと本題に入る私に対して指を唇に当てながら明言を避ける会長。その表情とっっってもエッチです!
これはやはり噂は真実で後ろめたさがあるのではないでしょうか!
「そうですね......。まずは被害者への謝罪。それから会長職の辞職でしょうか......。それと会長の誠意を見せることが重要だと思います!」
もちろん理屈の通らないことを言ってるのは承知の上です! これで妥協案を出したら。“なんらかの悪いことをした”って認めたことにできなりますからね! “どあいんざふぇいす”*6って技術です。え? ちょっと意味が違う?
「貴重な意見をありがとう。そうね、私の意見を述べる前に今回のゲームの件......についての説明をお願いできるかしら」
「もしや会長......責任逃れのために“記憶にございません”なんて言うつもりはありませんよね?」
「ふ、ふふふ。そんなことしませんよ」
どうやら最初は誤魔化そうとしたようですが私には効きませんよ!! 笑顔の破壊力やばぁい......
「では、簡単にですが説明しましょう。カクカクシカジカ。*7」
「なるほど、ありがとう。よく分かりました」
まさかカクカクシカジカだけで分かるとは......これが超人......ですか......。すでに負けた気分です......。
「では、理解できた。ということで会長は何をなさいますか?」
「そうですね。まずは問題点の究明をしたいと思います。今一番大切なことは同じことを繰り返さないこと。そのためにも何が悪かったかを考えた方が良いでしょう。そこで私に非があればひとまず謝罪......ですかね」
流石会長。見事な切り口ですね。確かに謝罪だけしても思いは何も伝わりません。しっかりと何が悪かったのか明言することが大事です! 権力者は都合の悪いことを隠して報道の自由を抑圧してきますが会長は一味違うみたいです! というかどさくさに紛れて”どあいんざふぇいす”も容易く破られてしまいました。ぐぬぬ、強敵です。
「ではずばり! 会長が考える問題点とはなんでしょうか!?」
「焦らないでちょうだい。まずは問題点になり得ない所を排除していきます」
べ、べべべべつにあせってなんかいませんが!? なんでも良いから“非”をこじつけようだなんて考えてませんからね!
......もしや会長は時間稼ぎをしている? わざわざ遠回りをするってことはもしかして......。
「......もしや今考えているんですか?」
「当然ですよ。結果だけ伝えても納得できない人も多いでしょう?」
「その通りですね! ですが会長なら先に答えを用意しているものだと思ってました!」
ふっふっふ。まだまだ慌てる時間じゃなかったようですね! これはチャンスですよ!!
「では、一緒に考えていきましょう」
「はい! よろしくお願いします!」
これはこれは、私にとって都合の良い展開にテレビの先の皆さんにも公平な情報をお届けできるのではないでしょうか! ところでそんなに綺麗な笑顔を私に向けてくれるって私に惚れてます?
「ではまず、ゲームを開発、公開することに問題はありますか?」
「いいえ。そんなことはありません。......プレイヤーに悪影響を与えなければ......ですが」
「なるほど。道理です。では、テストプレイを実施していて悪影響がないと判断できていれば問題なさそうですね」
「その通りです」
なにか納得できませんが間違ってないですね......。
「であればユズさんが今回のゲームを公開したことに問題はありませんね」
「いいえ! 実際に悪影響が出ています! そこが問題点になるはずです!」
「テストプレイで問題が起きていなければ公開しても問題なかったのでは? それとも自分の世界を表現する自由はないのでしょうか?」
「それは......いえ、そんなことはありません......」
ず、ずるいです!! 表現の自由を出されると報道の自由を掲げている私たちには反論できません......。
「では、次に問題点になりそうな点はどこでしょうか?」
「え~と......そうですね......。公開されたゲームを遊ぶことには問題点はありませんし......」
ど、どうしましょう。答えを間違えると即ゲームオーバーになりそうな気配が......。
連邦生徒会長の裏の顔とか言ってる場合じゃありません! このままではクロノスが悪者になってしまうかも......。
......そ、そうだ!
「テストプレイで問題なくとも市場に出てすぐに規制をしなかったのが今回の問題点だったのではないでしょうか」
「規制......。つまり一定の人たちに悪影響が確認できた時点で対処すべきだったと......」
さすが私です! 連邦生徒会長を狙い撃ちするのは諦めましょう! けっしてその可愛さに屈したとかではありませんからね。連邦生徒会長の話術に丸め込まれてるわけでもなくて......えーっと、そう、連邦生徒会長を悪者にするなんて命知らずじゃありませんから! いえ、もともとそんなことイチミリも、全く、考えていませんから!
「その通りです! これは連邦生徒会の職務怠慢と言えるのではないでしょうか?」
「なるほど。確かに悪影響が出ていると分かった場合、連邦生徒会として販売停止や自主的な取り下げ勧告をした方が良いかもしれませんね」
お~っと~? よもやよもや! これは大逆転ですね! 勝った! 第三部 完!
「でも残念ながら私たち連邦生徒会が悪影響が出ていると判断する前に悪意をもって拡散した存在がいたみたいなんですよね」
「それは自分たちの動きが遅かったことへの言い訳でしょうか! 責任を逃れるために外部を悪者にすると! そういうことでしょうか!?」
ふっふっふ。逃がしませんよ~。追い詰められる連邦生徒会長! これは非常に良いネタになります!!
「そうではありませんよ。そもそも悪影響が出るかどうかの確認はだれよりも早く行っていましたから」
「どういうことでしょうか......。なんでだれよりも早く確認できるなんて断言できるのですか?」
連邦生徒会長がニヤリと笑います。なんだか背中がゾクゾクします。なんだか癖になりそそういえば笑顔って本来攻撃的な表情だって......。
「クロノススクールさんならよ~くご存じだと思いますよ? だって、私が開発者の一人。だなんて情報を拡散していたじゃないですか」
「そ、それはデ......いえ、その通りですが......」
割りとそれっぽく書いただけですよ!? 会長がゲーム開発に関わっていたって認めるんですか!?
あれ? それはそれでラッキーで......!?
「とはいえ実際には開発に直接関わったわけではなくてテストプレイヤーの一人として遊ばせていただいていたんですよ」
「な、なんですってー!?」
確かにこのゲームを最初に
「確かに、最初から、いえ、始まる前から見ていたなら誰かに遅れをとるなんてあり得ませんね......」
「そうなんです。規制をするもなにも私はテストプレイをした上でユズさん同様問題ない。と判断していたのですよ」
「なので、
「......いいえ、ありません」
強いて言えば問題点は判断基準ですかね! でも、それを言っちゃうとクロノスが
「それはよかったです。今回の一件は大変な事件にこそなってしまいましたが誰かが悪い......などは一切ありませんでしたね?」
「......はい。おっしゃる通りです」
「私としても、少しユニークな所はあれど心の籠った素敵なゲームだったと思っています。ですが、人によっては難しいゲームだったことは否定できません」
「今回の教訓を糧にして、開発者は公開前のテストを見直す。購入者はレビューやあらすじをしっかりと確認する。
そして不用意に、面白おかしく喧伝しない。といったことに注意していきたいですね」
「では、そろそろ時間なのでこの辺でインタビューを終わりにしますね?」
「......はい、ありがとうございました......」
楽しかったですよ。と手を振りつつ外へ出ていく会長の後ろ姿はとっても素敵でした......ええ、とっても素敵でしたとも!! チクショー!
(4月11日おひるくらい)
日間ルーキー......1位!!
日間総合......9位!!
ど、どこまで順位があがるのか......
私は書くのとめねぇからよ、高評価、お気に入り登録、止まるんじゃねえぞ...。