先生の日記いるか? って自分で思ったのでそっちは無し!
テンプレ的な中身になりそうだったので......。てんぷら? なにそれおいしいよ!
ちなみにバッドエンドルートです。ちょっと暗めかも(当社比)
いつかどこかの世界線
僕は産まれたときから特別でした。一度見聞きしたことは決して忘れず、初めて銃を打った時から狙いを外したことはありません。頭の回転も早く、一を聞くだけで十どころか百、千を理解する。五歳の頃には銃を使わずとも
外を歩くとすれ違う人全員がトップアイドルでも可笑しくない中でも一際目立つ綺麗な水色の髪に可愛らしい容姿を持ち、将来は誰よりも可愛くなると言われていました。
しかし、そんな気持ちも僕の家の近くに引っ越してきた人を見たことで吹き飛んでしまいました。
ブルーアーカイブ。そんな言葉が頭に浮かんだのは扉の前に立つ少女の姿を見た時です。まだ眼鏡をかけていない幼さの残る顔に既視感を感じた時には激しい頭痛と共に気を失ってしまったのを覚えています。
目が覚めた時には僕は特別な存在ではない......と気がついたのです。“全て”を思い出した僕は頭上のヘイローを確認します。
僕のヘイローは赤く染まり、輪の一部がかけています。
ああ、僕はまた失敗したのか......
それからはあっという間に過ぎていきました。顔を会わせた瞬間倒れるというトラウマものの経験をさせてしまったリンちゃんに謝ったあとは
反転しかけていて怪しまれないかって? 僕のヘイローは複数種類で切り替えができるからね。普段は綺麗なヘイローにしてるよ。
ちょっとしたトラブルを解決して、各自治区の権力者達と渡りをつけて、未来の子供達に悪さをする組織を壊滅させる。
どこで何が起きるのか、どうすれば解決できるのか分かっている僕にとってはただのルーティーン。特別なことは何一つしていません。
特別なのは、超人なのは僕ではなく原作の彼女です。このループが始まる前の......いわゆる一周目のキヴォトスを過ごした
未来の知識もなく、原作の知識もないのに神秘の影響なのか事件の匂いを嗅ぎ付けてあっさりと解決していく
連邦生徒会長を引退する頃にはキヴォトスの学園都市は借金を背負うことも砂漠に悩まされることもなく武闘派集団として名を馳せるアビドス高等学校、エデン条約によりトリニティ、ゲヘナ、アリウスが一つにまとまったプルガトリウム合衆学園、神秘をも自在に操る技術力を持ったミレニアムサイエンススクール。これら三大学園を筆頭とした数多の学園が発展していました。
二周目以降......つまり、ブルーアーカイブの原作を知っていて、一周目の記憶を持っている僕が一度も到達したことのない“理想の終着点”。
なぜ時間が巻き戻ったのか、なぜ一周目の“私”ではなく“僕”がループしているのか、何も分からないままで、“理想の終着点”どころか“あまねく奇跡の始発点”にすらたどり着くことができていません。
最初の頃は原作の記憶も、一周目の記憶も持つ僕は一周目の私よりもより特別だと傲っていました。一周目よりも完璧な、理想を越えたハッピーエンドを迎えようと張り切っていたのです。しかし、僕が特別じゃないと自覚するのは割りとすぐでした。よりよくしようと動けば動くほど理想の終着点から離れていきます。
一を改善しても最終的には十も悪くなってしまう。自棄になってゲマトリアと接触したときは僕自身がキヴォトスを滅ぼすことになってしまったこともあります。完全に一周目を模倣しようとしてもどうしても上手くいきませんでした。
だから僕は先生に頼ることにしました。原作を知っていたのに最初から頼らなかったのか? 先生をキヴォトスに呼んだのは“連邦生徒会長”ではなかったのか? と思うかも知れませんが一周目の“理想”が眩しすぎてユメさんやアヤメさんが犠牲になるような世界は認められなかったのです。数々の生徒達の苦痛があって初めて成り立つ先生の物語は許容できませんでした。特に先生の性格が原作と違ったら? プレナパテスが誕生する世界線になってしまったら?
そう思うと臆病な僕は安易に先生を頼ることができなかったのです。結局、先生を頼ることを決めてからもそもそも先生がどこにいるのか、どうやって接触すればよいのかも分からない僕は未だに先生に会うことができていません。
もうすぐ、高校に入学します。先生に頼る......つまり原作をなぞるということ。僕はA.R.O.N.Aとなるから失踪することになるのでしょう。
あと二年で僕の存在は消えてなくなる......。ループをしたら元に戻るかもしれないけど先生が上手くいけばA.R.O.N.Aとして全ての記憶を失った状態で生き、戻ることもないかもしれない。
......そうか、僕が生きている証拠は、僕の生存していた証明は、全てなくなるかもしれないのか......。怖くない。怖くなんてない。だってループが終わるのは、ハッピーエンドに終わるのは......とてもいいことなんだから。
アハハはハハハ
ああ、今回も失敗か......。
狂気の声を聞きながら目を瞑る。今回のバッドエンドはどう締め括られるのでしょうか。今までのバッドエンドとはまた違う結末に落ち着きスチル回収ができたね......なんて呟いてみる。
どこで失敗したのか、何が悪かったのか、何か次回に活かせることがないか頭のなかを整理します。
アッハハはハハハははは
生暖かい液体が頬を伝う。誰が笑っているのだろうか。誰が笑えているのだろうか。こんなにもワタシはナイテイルノニ。
すぐそばから聞こえる狂気の笑い声が聞こえないように耳を塞ぐ。
アッハハは......ハハ......はは......
力尽きて壁に背をつけた。身体中から力が抜けていく。瞼を閉じてより鮮明に浮かんでくる光景を追い出すように首を降る。アァ、狂った声はもうキコエナイ......
前回はヒナが、その前はホシノが、さらにその前はミカが......アリスが、ハナコが、サオリが、リオが......。コクリコがシュロがデカグラマトンがケイがセイアがアズサがユキノがミヤコがアツコがベアトリーチェがゲマトリアが....................................。僕が......。
今回で何回目だろうか......僕は間違い続けている。分かっていても間違い続けている。だって
何度説明しても先生は理解してくれない。なんで? 僕は理想が見えているんだよ? なんで上手くいかないの? 僕は超人なのに......。あなたは"先生"なのに......。僕一人では、凡人の魂が混ざった僕一人では難しいけれど、先生一人では
原作の知識を使っても、一周目の知識を使っても、またも世界は廻っていく......
ああ、また間違った選択をしてしまった......。原作を知っていたのに、先生の選択が正しくて僕の選択が間違っていることなんて分かっていたのに......。なんのための原作知識なんだ! 何が超人か! 肝心なところで失敗したら......何も意味がないじゃないか......。
記憶を残したのがいけなかったのかな。消えたくないって、そう願ったのがダメだったのかな......。今回の記憶は消して......いや、今回の記憶はもっていかないようにしよう。自慢の水色の髪の毛は真っ白になり、青色のヘイローは真っ赤になった。
ああ、ごめんよシロコちゃん。アビドスの皆を助けられなくて。
ああ、ごめんよ先生。僕が全部間違っていた......。
次こそ、次こそ絶対に失敗しないから。
今の私ならできる気がするんだ。次の僕に引き継いでもらう記憶の選定を。
今までの使える知識はそのままに、後ろ向きになる記憶はマイルドにして......今回の記憶は全て隠そう。
ああ、ごめんよ次の僕。君は自覚なしに消えることを選択するんだ。
君はA.R.O.N.Aになる。僕とは違った完全完璧なスーパーアロナちゃんに。そのためには記憶を失うことを恐れてはいけないよ? 我儘な自我を、臆病な自分を出してはいけない。思い出すことはないと思うけど、是非とも僕を恨んでおくれ。僕が僕を恨むなんてへんだけどね。
そうだ。日記をつけさせよう。そうすれば少なくとも生きた証明は残るから。
今さらだけど僕の記憶も消去しよう。きっとこの世界線が原作を襲ったプレナパテス先生の世界線だから。僕の記憶がそのままだとアロナちゃんを苦労させちゃうからね。
ふふふ。あんなに嫌だった記憶の消去をあっさりと決意できるなんてね。きっと全て上手くいく。無責任だけどそう信じてるよ。
一つだけではなくいろんな世界のお話です。
一番最後のセクションだけは本編の一つ前のループの世界です(プレナハデス時空)。
今までの経験からループ後に残せる記憶をある程度選別できるようになっていて、先生を無条件で信じられるように先生に関わった全ての記憶を置いていきます。