大切な人と世界を守るため従魔に人間を喰わせた悪役( 作:アルビノ指
私がテイマーを目指したきっかけは、ほんの些細なことだった。
すでに剣士職に進んでいた姉が、犬の魔獣を撫でたがっていたからである。
別にテイマーの適性があったわけじゃない。そのころの私はただの一般人で、突出した才能なんてものはなかった。
私が従魔に人間を喰わせたのも、ちょっとした諍いからだった。姉に関することで冷静でいられないのは、私の悪いところだ。そんなことは分かっている。
姉を泣かせるような相手に容赦できるわけもなく、私は怒りのあまり、つい、可哀想な私のノーマに相手を喰わせてしまった。
姉が喜んで撫でるノーマ。無邪気なわんこに罪はない。
命を奪った瞬間、私の中の隠しスキルが覚醒し、結果的にノーマは相手のステータスをそのまま吸収した。
私は友人と共闘することが少なくなった。ソロでダンジョンに潜る。どうしてもパーティーを組まないといけないときは、ノーマを見せないよう注意する。これも私の過ちと、姉の美貌のせい。
姉さんは大学生で、魔法剣士。中級冒険者。とてもかっこいい。何でもできる優等生。誰にでも優しいけど、たまに私のことを特別扱いしてくれる。線が細くて、どこか儚いところがあって、肌も透き通っているような気がしてしまう。私が守らないと。
それから数ヶ月して、唐突に世界中で上級の魔物が町中に顕れるようになった。
彼らには、極端に強力な攻撃か、外法でしか対応できない。つまり、私は後者を会得している。ある建物に数人と隔離されたとき、私は周りの人々から『奪う』ことで、魔物を退けることに成功した。それで他の殺されるはずだった人を救えたとも考えれるし…。
それに、ここでの人死には侵略者のせいにできる。
それから私は、姉(と姉が好きなこの町)を守るために、隠れてこういう魔物(町湧き)を退治するようになった。
この町には、やけに町湧きが多い。
Side:日野ヤマネ
ある日、上級冒険者である私は、異能科の偉い人に急に呼び出されました。エレベーターに乗って高めの階に移動して、一見普通そうに見える部屋に入ります。この部屋の結界は私でも感知が難しい代物です。
「ここ数年、魔物の被害は増加の一途を辿っています」
「そうだ。日本全土のほとんどの土地で、『町湧き』と呼ばれる上級魔物が確認されており、これらの討伐が間に合わない場合も多い」
「しかし、隣町の蓑河原町では、これが減少しています」
「何者かが届け出を出さずに魔物を殺して回っていると考えるべきだ」
なるほど、調査ですか。
「とりあえず、隠密に長けた君を送り込もうと思っている。異存はないな?」