地球親善大使アリスティア   作:生焼きマンガ肉

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魔石の力

 私が気が付けば前回と同じ木々に囲まれた場所で前回と同じ場所だった。

 今回は詳細な地図を用意して外務本省直行を目指したはずなのに、また座標がずれているのはどういうことだろう。

 星間ワープだけではなく、あの研究者にも問題があるのではないか?

 しかし、地球との交流の為に魔法省がまともな設備を使わせてくれることはないだろう。

 欠陥品の星間ワープでも我慢して使うしかない。

「まあ、前回と同じ場所ならば、同じようにいけばいいわ」

 飛行魔術で市街地に出ると地上に降りて、私が前回お世話になった警察署に向かう。

 警察署で外務省から渡されたパスポートを見せる。

「すぐに外務省に連絡します!」

 私が外務省に連絡するように言うと警察官が慌てて対応してくれた。

 気にせいか他の警察官が気まずそうにしていた。

 まあ、前回のトラブルがあったから仕方ないかな。

 意味もなく相手の落ち度を責めるつもりはないので、私はそれを意図的に無視した。

 そして私はパトカーに乗って外務本省に向かった。

 

 外務本省に到着すると朝倉さんがいて、すぐに会議室に通された。

 今回は外務省の幹部たちはいなかったが、代わりに複数の職員たちがいた。

 この職員たちはあくまでサポートで朝倉さんがメインで話をするとのことだった。

 そこで縮小ボックスと魔石を朝倉さんに渡した。

「前回よりも多くの品を頂きありがとうございます。そこで具体的に貿易に関して話し合いたいのです」

 朝倉さんが早速本題に入る。

「その前に魔石について補足説明があります。前回は複数の魔石を使って簡単な奇跡を実現しましたが、魔石の力はまだまだそんなものではありません。使用する魔石の数が増えれば増えるほどより大きな奇跡を実現できます」

「より大きな奇跡ですか?」

 朝倉さんは私の話に興味を持ったようだ。

「日本に限らず地球では様々な災害に悩まされている筈です」

「そうですな。地震、津波、台風、噴火など災害に事欠きません」

「実はマルデアではそれらの災害はほぼ未然に防ぐことができています」

「それは本当ですか!」

 朝倉さんのみならず会議室にいた職員たちは皆が驚き体を乗り出す。

「はい。マルデアでは二千年前から大規模な災害の被害はありません。例えばマグマや竜巻でも災害対策省の魔術師たちが常に管理して鎮静化しています」

「それは魔石でも可能なのですか」

「はい。マルデアでも魔石を用いた災害排除を千年前までやっていました。私一人でも十分な魔石があれば実行可能です」

「貴女一人でも可能とは素晴らしいですな」

 災害を排除できる可能性に朝倉さんは喜んでいるようだが、ここで釘をさしておく必要がある。

「ただし、台風なら魔石が数万個、大災害なら魔石が百万個以上は必要になります。それだけの量の魔石を用意するのは簡単ではありません」

「確かに違う星から大量の魔石を持ってくるのは容易ではないか」

 朝倉さんが輸送力を指摘してきた。

 確かに宇宙船ではなく生身の人間が一人で商品を運ぶとなると輸送力に不安に思うのは無理もないだろう。

 しかし、マルデアではこの問題は大したものではない。

「専用の輸送機を使えば今の千倍以上の量を運ぶことができるので、輸送力は問題ありませんが問題はお金です。魔石や縮小ボックスを調達するにはマルデアのお金が必要です」

 現在のお土産は私のポケットマネーから出しているから金額に限りがある。

 魔石や縮小ボックスを渡すにしてもこれ以上は無理だろう。

「これまでは私の資産で用意していましたが、これ以上となると交易をおこなわないと魔石を用意できません」

 勿論、父に頼めばある程度の資金は貰えるが流石にそれは拙いから交易でマルデアのお金を手に入れないといけない。

「そこで早めにマルデアに輸出する商品を用意する必要があります」

「商品は宝石や貴金属類などはどうでしょうか?」

「それは難しいですね。マルデアでは魔力こそが最高にして万能の資源なので地球の資源では商品になりません。技術力も同じく必要としないでしょう」

「それは難題ですな」

 朝倉さんは考え込んでしまう。

 ここからが私の提案だ。

「ですが、娯楽品は別です。マルデアは確かに優れた技術と芸術を持っていますが、大衆向けの娯楽には力を入れていないです」

「娯楽ですか、具体的にはやはりビデオゲームですか?」

 やはり私が露骨に任〇堂の商品を求めた事からその辺りは予想がついていたらしい。

「ええ、ビデオゲームは素晴らしい娯楽です。あれはマルデアにはない娯楽です。地球のビデオゲームをマルデアで販売して魔石や縮小ボックスを購入する資金を稼ぐべきでしょう」

「他の娯楽、音楽や映画などはどうでしょうか?」

 朝倉さんは別の提案をした。

 確かにそれらも魅力があるが、商品になるかは微妙だろう。

「残念ですが、それらは既にマルデアでも既存の市場が存在します。新規参入をして地球の商品を売ろうとすれば大手に邪魔される筈です」

 ただでさえマルデアは既存の市場に新規参入する者には厳しいのだ。

 そこに野蛮認定されている地球の商品を売ろうとすればどうなるかなんてわかりきっている。

 そんな無謀な試みなど最初からやる気はない。

「ビデオゲームはマルデアに存在しない物です。つまり既存の市場が存在しなくて同業他社は存在しないわけです。マルデアでビデオゲームを販売しても邪魔をしてくる者はいないでしょう」

 邪魔をする者がいないのは確かだが、地球の商品がマルデア人に受け入れられるかはわからない。

 こればかりは『いい物なら売れる』と言い切れるものではないのだ。

 それでも他の商品よりは可能性はあるだろう。

「それではゲームメーカーと連絡を取らないといけないですな。連絡を取る企業は任〇堂でいいですか?」

「確かに任〇堂が適任でしょうが、連絡するだけでなく私自身が直接メーカーに出向いて話し合いをする必要があります」

「貴女が? どうしてですか」

「地球と違ってマルデアは魔力を主なエネルギーにしているので、マルデアで商品を売るにはゲーム機そのものをマルデア向けに改良する必要があります」

「それは面倒ですな」

 電力ではなく魔力をエネルギーにしているという互換性のなさは問題だと認識してくれたようだ。

「それと並行してゲームハードとゲームソフトをマルデア語にローカライズする必要がありますが、その前にマルデア語向けのフォントを作成してコンピュータで使えるようにしないといけないですね」

 言うまでもないがマルデア語は地球の言語とは違うので新たにフォントを作らないといけないのだ。

「まあ、これに関してはどのみち必要ですから、まずフォントを作成を優先するべきでしょうね」

「確かに今後はマルデア語のフォントを必要になるでしょう。分かりました。早速そちらのメーカーと話を通しておきます」

「よろしくお願いします」

 こうして私は紹介された日本企業とマルデア語のフォントを作成してから任〇堂に向かう事にした。

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