お前ら世界の闇やれ(脅迫)   作:ナナの四六三

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我が厨二力を高めてくれそうな期待作『リバースブルー×リバースエンド』を楽しく遊ぶ今日このごろ。9話の展開にもっといいのを思いついたので書き直した。ってか前回がひどすぎた。蘇生失敗したので再蘇生ってわけだ!反省してます。一応前のは保管してます。いやほんと書き直すなんて最低なことしてすまんやで


再誕すまねえ

「ま、そういうわけでこのスレを見ての通り、お前狙われてるんでな。捕まれば解剖コースだから、向こうに戻ってもせいぜい警戒しとけ」

 

 俺の手の中にあったスマホを取り上げ、懐にしまうマトメさんに俺は反論する。

 

「お、俺そんなこと出来ないですよ?」

「今は出来なくてもいずれできるようになる。ばあさんの占いは外れたことがない。それで相談なんだが、取引をしないか?」

「……取引、ですか?」

 

 急な話に微妙な表情になるとマトメさんは慌てたように手を振った。

 

「あーいや、今は信用できんだろうし、話半分に聞いておいてくれ。俺たちはお前をそういうやつらから守る。その代わりにお前は俺たちに力を貸して「見つけたぁ!!!!」話の途中だろ……順序の分からん奴め」

 

 マトメさんの話を遮って、辺りに大声が響いた。声のした方を見ると、ビルの壁面から突き出た黒い足場に白衣の女性が佇んでいた。

 

「って、お前!柏木(かしわぎ)!この人類の裏切りモンがぁ!!!!」

「裏切り者とは人聞きの悪い!!私はショゴスちゃんのためを思ってこっちについたんだよ!!!」

 

 その女性の姿を見た途端、マトメさんが叫び、女性はそれに反論する。ショゴス、つまりはさっきの化け物のこと。あれと何か関わりがあるのだとすればマトメさんの人類の裏切り者発言と合わせて、ロクな人物ではなさそうだ。いやまあそもそも白衣になんか黒いモノがまとわりついてるし、メガネも髪も真っピンクだし、普通にお近づきになりたくない人種なのだが。

 

「コホン。今日はマトメ氏に用は無いんだぁ。私はそっちの君に会いに来たんだよ!!」

「俺に?」

「その通り!!でもその前に魔王軍鉄の掟その1!!初対面には自己紹介!!ん゛ん゛っ!!やあやあ!!我こそは!!魔王軍四天王の一人!!!『狂粘体愛好家(マッドショゴティスト)柏木(かしわぎ) 紅羽(くれは)!!!魔王様の命とかでは無いけどうちのショゴスちゃんをぶっ殺した謎パワーの研究のため、お前を誘拐させて──はひゃっ!!?」

 

 堂々と誘拐宣言をしてドヤ顔する女──柏木さん、いや柏木でいいや──の顔の隣を見えない何かが通り過ぎ、柏木の腰が抜け、見えない何かはそのまま凄まじい音を立ててビルの壁を貫通、空に消えていった。隣を見ると右手をピストルの形に構えたマトメさんが険しい顔をして立っている。その様子から見るに、今の攻撃はマトメさんの異能なのだろう。

 

「……想定外だ。もう魔王軍にまで知られてるとは」

「魔王、って現代ファンタジーじゃなかったんですか」

「残念だったな現実世界はそうだがこっちは異世界ファンタジーだ」

 

 思わず漏れた、ともすれば現実を見ていないのではないかと思われるような発言はタイムラグ無しで返された。

 

 魔王──異世界ファンタジー定番の敵役。近年はいい魔王とか人間との対話を望む魔王とか人間に恋をする魔王とかそういう作品も増えてきたが、この世界ではどうだろうか。単に魔術の腕が優れているから魔導の王ということで略して魔王と呼ばれているなんて、パターンもあるし、一概に悪いやつだと決めつけることはできない。そもそも現実にそんな物差しを持ち込むなとこの時の自身の頭を引っ叩きたいところだが、急に魔王って言われたらそっちの想像しちゃうじゃん。うん。まあ今回は誘拐するとか言っているわけだし、少なくとも柏木は明確な敵だ。

 

「魔王については後で教えてやる。戦闘準備だ。来るぞ」

 

 何が、と問う前に柏木に動きがあった。ゆらりと立ち上がり、ぶつぶつと何事かを呟いている。やがて徐に懐に手を突っ込み、取り出したるは一本の試験管。そしてそれを振りかぶって──

 

「君に〜決めたァアアアアア!!!!!!」

 

 俺目掛けてぶん投げられた試験管を反射的に右に跳んで避ける。俺の左にいたマトメさんは反対に跳んだようだ。当然の如く試験管は地面にぶつかり、ガチャン、と音を立てて割れた。それと同時に中に入っていた黒い液体がうぞうぞと動き始め、体積を増大させていく。数秒もしないうちに見上げるほどの大きさの玉虫色に煌めく漆黒の粘体──ショゴスが現れた。すると当然俺の前、マトメさんとの間にショゴスの壁ができるわけで。最初の一手で瞬く間に俺たちは分断されてしまった。

 

「チッ、佐護ぉ!!バリア張っとけ、こっちから潰──あっぶね!!!やっぱそっちでどうにかしてくれ!!!」

 

 マトメさんの方からもパリンパリンパリンと連続で何かが割れる音が聞こえてきた。というか今もずっと聞こえる。ショゴスに隠れてしまって、柏木の姿は確認できないが、奴が髪を振り乱して試験管を投げまくる姿は簡単に想像がついた。もしその全てにショゴスが入っているとすれば、まず援護は期待できないだろう。つまりはこのショゴスを、どうやら俺一人で倒さなくてはいけないらしい。

 

「……やってやる」

 

 あのスレを見せられて少々の危機感は覚えていたが、まさかこんなにすぐに俺の力を狙う敵が出てくるとは思わなかった。察するに今回は俺が超能力でショゴスを倒したからやって来たのだと思われるが、そんな些細なきっかけで襲われるほどこの力は特別なのだろう。まさかいつまでもマトメさんに守ってもらうわけにはいかなかったし、むしろこの状況は都合がいい。

 

 そう、俺はこの世界でどう生きるか、まだ何も知らないし、決め切れてはいないけど。もし一緒に戦って欲しいと言うマトメさんの提案を断るにしても、この世界から離れる気はなくなった。それくらい俺はこの世界こそ俺がこの力で何かを成すことのできる唯一の世界だと強く感じている。ならば、一人で生きていくくらいの気概を見せるべきだと思う。

 

 こんな時のために役に立つかも分からない訓練をこなして来たんだ。さっきみたいに叩き潰すだけでも全然いい。俺の力が役立っているというだけで望外の喜びだ。覚悟を決めれば、次に湧いてくるのは闘志だった。俺は目の前のショゴスに宣言する。

 

「叩き潰してやるよこの野郎」

 

 ショゴスはそれに答えるかのようにギョロリと目玉を剥き、うねうねと触手を揺らした。その動きに攻撃の予兆を見てとった俺は体の表面にネンリキンで薄い膜を張り、それを動かすことで普段の練習通りにバックステップをキメた。その眼前を触手が貫き、その威力と速度に内心舌を巻く。敵が想定していたよりもずっと早い。一般人の動体視力では目で追いかけ、反射的にバリアを張るのでやっとだ。しかし、それだけできるなら上出来。何が何だか分からないうちに殺されていることはなさそうだ。

 

 念力の塊をぶつけつつ、安全な立ち位置を模索する。無駄に体力を使う回避を諦め、全身をバリアで包む。ベチベチと激しい攻撃を受けながら、俺は奴の倒し方を模索する。俺にできることは基本的に物理攻撃だけだ。スピリチュアルなパワーがないので、幽霊とか出てきたら基本詰むのが今の俺。

 

 で、俺の知るショゴスは物理攻撃が効かなかったと記憶している。先ほどのショゴスは咄嗟の攻撃が通用したから大丈夫だと思ったのだが……俺は再びショゴスをネンリキンで強引に上から押し潰そうと試みる。しかし先ほどのショゴスと違って、ネンリキンに潰されようとも地面とのわずかな隙間から脱出されてしまう。本来のショゴスのように物理攻撃が効いていない。

 

「上位個体ってとこか……?」

 

 潰れた粘液の池の中に核らしきものも見当たらない。早々に手詰まりだ。粘体を掬い上げ、向こう側に押し返し、ひとまず時間を稼ぐ。最悪マトメさんの方が終わるまでコレで耐えてもいいと思うが、そんな弱腰で今後やっていけるとは思えない。何かアイツを倒す方法を考えなくては……

 

「あ、そうだ」

 

 脳筋すぎる解決法を思いついた俺は余裕のあるうちにそれを実行に移す。慎重にネンリキンを操作し、ショゴスの足元に円形に念力の壁を作り上げる。地面の隙間を埋めるように作り上げたそれを今度は上に伸ばしていく。移動が制限されていることに気がついたショゴスが触肢を伸ばすが、日頃の訓練の成果が出た。それを上回る速さで念力の壁は伸びていき、最後に上に蓋をする。球形の念力でショゴスを完全に包み込んだところで中の粘液は沈黙した。どろり、と形を失い、飛び出た目玉がだらりと垂れ下がっていく。まさか、死んだ?なぜ?どうして?

 

 ショゴスを包んでいたバリアを解除し、一応罠を警戒して摺り足で死骸?へと近づいていく。視界の端で黒いモノが蠢いた。

 

「あ、コレが本体か」

 

 ネンリキンで摘み上げたのは深紅の目玉を持つミニサイズのショゴス。デロン、と一本だけ垂れ下がった黒いモノの先が粘液に触れようと必死に空をかいている。当然ソレを許す訳がない。ネンリキンに力を込めれば、ミニショゴスは潰れてグヘェと断末魔を残して流れ落ちた。あっさりと片付いてしまってなんだか腑に落ちないが、現実とはいつだってこういうモノだ。ファンタジーは存在したけれど、現実の法則はご都合主義以上に強いらしい。

 

「マトメさんの方は大丈夫かな……」

 

 などと言っている場合ではない。ショゴスの攻撃を見やすい場所まで後退した結果、そこそこの距離を移動してしまっていた。戦場は向こうに移動しているようだしこの場所からでは様子が分からない。ただ、俺の時と違ってドゴーンだのボカーンだのファイナライズ!だのと激しい戦闘音(?)がしてくるので*1まだ戦闘は続いているらしい。

 

 バリアを張り直し、俺は音の聞こえる方へ走った。

 

「ふははははは!!!!こちとら新型だぞ新型ぁ!!お前の手の内なんぞ分かりきっとんじゃさっさと沈めぇ!!」

 

 辿り着いた先では大量のショゴスにもみくちゃにされながらも普通に槍を振るってショゴスを消し飛ばしまくるマトメさんと、上を向いて高笑いし続ける柏木がいた。

 

「マトメさん!」

「無事だったか!」

 

 よいせ!と一息に周囲を薙ぎ払うマトメさん。風が地面を抉り取り、ショゴスを吸い込んですり潰していく。緑色の光の粒子が舞い、それに当たったショゴスからはジュッ、とエグい音がした。いつものテケリ・リ!と元気な鳴き声の代わりに、ギエピィィ、と哀れ極まりない鳴き声を漏らし、後退するショゴス。

 

「ん!?あ!しまった!ってえ!?何故生きているマトメ氏っ!?」

 

 上を向いていたせいで全く戦況を把握できていなかったらしい。俺の方を向いてヤッベ1匹じゃ足りなかったかという顔をして、その隣にいるマトメさんを見て驚いている。しかしすぐに顔を青ざめさせ、柏木は逃げの体勢を取る。

 

「きょ、今日のところはこのくらいにしといてやる。おいそこの!今回は初対面だから1匹で勘弁してやったが、次は無いからな!」

 

 柏木はてっしゅー!てっしゅー!と号令をかけ、スタコラサッサと逃げ出した。残ったショゴスが後に続く。その撤収スピードは凄まじく、ほんの十数秒で俺たちの視界から消え去って行ったのだった。それを見届け、あー疲れた、と腰を下ろすマトメさん。

 

「いや、今回は運が良かった。柏木自身が戦ってたら最悪死んでたな」

「えっ、そんなに強かったんですか?」

「ん、まあアイツの切り札はバリアが意味ないからなぁ」

 

 うげ、と嫌なことを思い出したように顔を歪めたマトメさんはブルブル頭を振って立ち上がった。

 

「よし、そんじゃ行くか。さっさと帰らねーと明日に響く」

 

 言われて気がついたが、そういえばこの世界に来るまで夜だったはずだ。今は何故か周囲が薄明るいから忘れていたが、空を仰げば真っ暗闇が広がっている。あからさまに夜なのである。

 

「ポータルまであとちょっとだから、そこから現実世界に戻れる。後の話は明日する。分かったか?」

「は、はい」

 

 俺が頷くとマトメさんは満足気に笑った。

*1
魔都目君が変身ヒーロー化することはないのでご安心めされ




こうやって書き直しているところからも分かる通り、本当に最近やばい上にこの作品は問題がいっぱいです。のんびり更新をお待ちください。そんで動機部分はふわっとさせることにしました。後ここすきよろ。参考にします?

書き直したお詫びついでに裏話。佐護さんのスタイルについては孤独者(アイソレータ)さんを参考にしています。迫力に欠けるけどまあハメ技を思いついてしまったからしょうがない。ショゴスの能力は先に決めていて、それをどう攻略するかは後で考えるのですが、そしたらこうなった。戦闘は佐護さんの能力値と技というかバリアとかの習熟度合いと状況に合わせて確率を決めて1d100で成功か失敗か判断しています。つまり小説書きながらTRPGやってる感じ。吾輩の運がいいので未だ100ファンは出ていない模様。今後盛大に失敗する描写があったらあっ、ダイスミスったんだなぁと思ってください。

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