カウントダウンの終了と同時に、黒い山が動き出した。目玉が生え、触腕を伸ばし、体を揺らし、大きく伸びのような動作をする。黒い山──ショゴスがテケリ・リ!!!と奇妙な鳴き声を発すると同時、掲示板と俺の心から悲鳴が上がった。
「お゛ぇ」
込み上げる吐き気と違和感。
563:名無しの転生者
ししししし、新型だー!!あの野郎じゃねえや、女郎!やりやがった!!
564:名無しの転生者
あばばばばばば
565:名無しの転生者
ごぼごごごごぼごぼ
566:名無しの転生者
おrrrrrrrrrrrrrrrr
567:名無しの転生者
くぁwせdrftgyふじこlp
568:名無しの転生者
配信を視聴してた方に失神者続出!!!!やべえっす!!!
569:名無しの転生者
待機班が壊滅してるんですけど!?
570:名無しの転生者
えーせーへー!!!!
571:名無しの転生者
オレハコウゲキヲオコナウ!!!
572:名無しの転生者
トツゲキー!!!!
573:名無しの転生者
敵の潜水艦を発見!!!!
574:名無しの転生者
ダメだ!!!!ダメだ!!!!ダメだ!!!!!
575:名無しの転生者
コイツら脊髄で会話してやがる……!!
576:名無しの転生者
気絶したまま会話するとか……
577:名無しの転生者
日頃の訓練の賜物ですわ(白目)
ところで俺前見えないんだけど何で?
578:名無しの転生者
>>577目剥いてるからだろ。戻せ
579:名無しの転生者
戻らない(´;ω;`)
580:名無しの転生者
被害が深刻である
581:神様
くっ、神特権起動!!!運命操作により正気のヒーラーを特殊召喚!!!!!
582:救急ガール
皆さん大丈夫ですか!?こちら救急ガール!!現場に到着しました!!救護を開始します!!!
583:名無しの転生者
へっ?あー……うん。なるほど?オワタ\(^o^)/……
584:名無しの転生者
ふっへへへへぐあー!!!????
585:名無しの転生者
ガタガタガタガタぐわー!!!!!??????
586:救急ガール
大丈夫ですか!?しっかりしてください!!
587:名無しの転生者
ペシーン、ドコーンじゃないのよ。平手打ちからのグーパンでトドメ刺してんじゃねえ!!
588:名無しの転生者
精神分析(物理)は由緒正しき治療法じゃけえ……
589:名無しの転生者
初めて正しい治療法してるの見たかも
590:名無しの転生者
>>589正しい……正しいかコレ?(積み上がった死体の山を見ながら)
591:名無しの転生者
死んでねーよ!!
592:名無しの転生者
>>581正気……正気かコレ?(血走った目で発狂者の頬を叩く不審者を見ながら)
593:名無しの転生者
常に狂ってるから正常ではある
594:名無しの転生者
>>592うんそれ100%狂気だわ
595:名無しの転生者
ひでぶ!?
596:名無しの転生者
あべし!?
597:名無しの転生者
ひ、人が死んでいく……
598:名無しの転生者
まとめ氏ー!!!原因を排除すれば影響は小さくなるハズだー!!
599:名無しの転生者
救急ガール止めるぞ!!これ以上リタイアを増やさせるな!!
600:救急ガール
ちょ、離しなさい!!
601:名無しの転生者
うおおおおおおお抑え込めー!!!!
602:名無しの転生者
体積削れ!!体積!!!そしたら大丈夫だ!
603:名無しの転生者
魔都目氏ー!!!!さっさとシナリオを進めてくれー!!!
「りょう、かい!!!」
槍を強く握り締め、正気を保つ。俺の能力、あるいは異能は纏めること。あらゆるモノゴトを纏め、どう使うかまでが対象となる。うんまあ最初のまとめるだけまとめて終わり(しかも
俺が今回纏め上げたのは周囲に満ちるマナ。奴の作ったショゴスの弱点属性だ。本来の対象である第二界。近似となる
618:名無しの転生者
うおおおお〜魔都目氏の必殺技だー!!!
619:名無しの転生者
魔都目氏「ゲイ・ボルグ!!!!!!」
「じゃねーよ!!!!!因果逆転なぞ出来るか!!!!」
ぐわんぐわんと揺れる視界の中、ヤケクソでぶん投げた槍はショゴスの向こう側に作った纏めポイントに引っ張られ、ショゴスの体を貫通した。ごっそりと体を削られ、ほげええええええええ!!!!!とアホみたいに喚くショゴスの目玉を戻ってくる槍が貫く。手元に槍が戻ってきたらまたマナを纏めてチャージ。射出。同時に嘔吐。その隙を突かれ、俺は触手の一撃を喰らった。
625:名無しの転生者
ヤバい!!!佐護さん冷静になった!てか今目の前横切った!!何とか回復してカッコよくショゴス退治してくれ!!!
空中を水平に吹っ飛ぶ最中、そんな無茶な指示を貰う。霞む視界に随分と小さくなった──遠近法と丘ほどの大きさに縮んだ影響で──ショゴスが俺に向かって突っ込んでくるのが見えた。テケリ・リ!!!と怒りをあらわにしているように見受けられる。2、3kmほど吹っ飛んだだろうか、地面が近づく。あー死ぬ、程ではないけど死ぬ。やっぱ状態異常はクソだわ。地面にぶつかるの痛いんだよなぁ。ゴリゴリ削れて。
なるべく体勢を整えて、纏める力で最大限落下の衝撃を和らげているとは言え、恐慌状態にある体ではうまく制御が効かない。つまりどうなるのかと言えばまあ痛い目に遭うのは間違いない。諦めて目を閉じようかと逡巡する俺を柔らかいものが抱きとめた。
「救護者発見。治療します」
「待て、落ち着け。俺は大丈夫だ問題ないんだ。あとすぐに戻らないと行けない」
「救護者はみんなそう言うのです。それと、すぐに戻りたいのであれば大人しくこの注射を受けなさい」
そう言ってドス黒い色の液体で満たされた注射器を取り出し、目の前で軽く振る女。名は
治療チートのくせに武器にしかチートを使わない彼女がチートを使って治療を施し、地球と太陽系の寿命が10億年伸びたのは有名な話。その性質から、ブラック企業から人が拉致されて病院に放り込まれる怪事件を2000件あまり起こし、新たな都市伝説となってしまった彼女は救護者にたどり着くまで彼女のスピードで主観時間で5秒、実時間で30年かかる牢獄に収容されたハズなのだが、神の権限によって召喚されたらしい。
「いきますよ」
「……おう」
彼女の治療を受けた患者は動くのが難しくなるが、治療を避けるより受けてしまってから気合いで動いたほうが安全だ。実際体調は良くなる。経験則により、そのことを知っていた俺は諦めの境地でそれを受け入れた。
なお、今は彼女に完全に体重を預けているが、万が一自分で体を支えようとすると経絡秘孔を突かれて強制的に半日は脱力させられてしまうのでしょうがないのだ。頭に感じる柔らかい感触は。役得、役得、気付かれると顔を赤くしてぶっ叩かれてしまうので顔には出さない。
チクリと一瞬の痛みと異物感。その辺のへたっぴな医者とは比べものにならないほど上手だけども、前世で絶望的に注射が下手な医者に泣かされて、そいつが無免許で逮捕された子供時代のトラウマが蘇るから注射は嫌いだ。そんなことを考えていると体を熱い熱が駆け巡った。恐慌状態にあった体はそれから抜け出し、たちまち最高のコンディションに仕上がっていく。
「何のヤバいお薬だコレ」
「安心安全シャノワール製薬……がクラフターさん作の
「う〜んアウト」
ぐっ、ぐと体を動かしてみるも、違和感は無い。シャノワ製薬は割と信用できるところだが、いかんせんポカをすることが多いのでやっぱり信用ならないし、あそこの2人は見てて砂糖吐きそうだから嫌いだ。しかし今回ばかりはいい仕事をした、と大いに褒めよう。上から目線なことだネ、と幻聴が聞こえた気がする。
ちら、と背後を見ると、死屍累々の光景があった。倒れているのは、俺が失敗した時のカバーと、俺たちを襲う役だった掲示板の民たちだ。正気だった者がせっせと倒れた者を運んでいる。プラン総崩れ。ここからどう立て直すか思案しつつ、民にも助けを求める。
「よし、じゃあ行ってくる。そいつらを安全なところに頼んだ」
「言われずとも」
体が軽い。思わず走り出す。視野が広がり、余裕を持ってショゴスを眺めることができた。『情報を纏めて取り込む』分析眼を起動。落ち着いてみればなんて事はない。でかいだけの木偶人形──ただしさっき吹っ飛ばした部位にはいくつかの凶悪な能力がついていたことが分かった。それと神話生物の再現による恐慌状態の増幅効果がいやらしい。
なんて卑劣な作戦だ。内心下唇を噛んで舌打ちもかますが、あの女の思考はただ可愛くて強いショゴスを作ることだけに集約されている。作戦でも何でもなく、ただショゴスを見て発狂してほしいだけだ。いいようにされて癪なので俺も手加減はしない。まあ本気でやるわけでは無いが。あくまでいい勝負をしろとの指示だ。
「三速」
チカラを纏めて速度に還元する。還元するのは空気抵抗と周囲のマナと
加速は充分。とおっ!とライダー並感で跳び上がり、ショゴスをロックオン。まとめ上げた力を槍に纏わせる。同時にショゴスもググッと力を溜めて跳び上がった。
俺の上まで上昇し、体を網のように広げるショゴス。質量で押し潰す──いや体内に取り込んで殺す気か。バカかなこいつ。
まとめ上げた力を自身の直下で放出。推進力に後押しされ、俺の体は加速する。接触と同時にショゴスの体を削り取り、余裕の貫通。ほああああああ!!?!?!?とゴキブリを見つけた時の俺みたいな声をあげて粘体を捩るショゴス。
634:名無しの転生者
よし!佐護さんの方に蹴っ飛ばせ!!!
635:纏めマン
はい!?
636:原作勢1
大丈夫!!!佐護さんなら受け止める!!!
「分かった!!!」
掲示板の民の言葉を信じ、空中でショゴスを蹴り飛ばす。正確には纏めポイントを蹴り飛ばすことで、それにショゴスが引っ張られているのだが。結構な勢いで飛ぶショゴスを分析眼で眺めていると、掲示板に無視できない情報が流れてきた。
638:原作勢3
ちょっと待て!!それは最終的な話であって今はまだ
「それを早く言えよおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
空気を纏めて、足で蹴る。加速加速加速。異能の射程はそこそこに伸ばしたが、遠距離戦ができるほどには伸ばしてない。つまり早く異能の射程範囲へ行かないと佐護さんが死ぬってことだ。急いで急いで急いで急いだおかげで数秒も経たない内に距離は詰められる。よし、間に合っ──いや。
「普通に受け止められそうだな……」
何らかの力場の発生を分析眼は捉えていた。ビタァン、とバリアに叩きつけられたショゴスは少々混乱しているようで、グルグルと体を捻っている。
642:纏めマン
なあ普通に本職にちょっと劣るくらいの張り速度だったけど?
643:原作勢3
あっれーおかしいなぁ。原作だとまだバリアがようやく形になったってくらいのはずなんだが
ふむ、何かイレギュラーでもあったのか?佐護さんへの接触は最低限以下に抑えられていたはずだが、誰かがこっそり接触した?……とは言え、監視からの報告も無かったようだし、そこまで原作と違いはないはずだ。せいぜいが超能力の習得時期の変動くらいのハズ。
着地した俺に向けて全速力で向かってくるショゴスに合わせ、俺も派手に土煙を上げて突撃する。え?何?いつものように叫ばないのかって?……ああそっか、そういえば師匠にも言われてたっけ、自然体でやれって。そう思うと怒りが沸々と湧き出してきた。ちゃんと普通のショゴスを用意したと嘘をついたあの女に対するものである。無意識のうちにスーッと息を吸い込んで、俺は思い切り叫んだ。
「だらっしゃあああああこなくそショゴスがああああああああああああ!!!!!!!!」
ちょくちょく区切り◇◇◇とか後書きにtips入れておきます。気が向いたら。その時は活動報告のお知らせに随時追記します。気が向いたら。
tips:魔都目くんはお迎え役なので基本情報と佐護さんについている監視からの情報を全て受け取っているぞ!!まあ原作との相違点は大抵その監視()の所為なんだけど
設定まとめ
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いる
-
いらん
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1話の前に置く
-
募集の話の後に置く