Fate/Gotcha liner   作:アカハナさん

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第十七話 I,m a スーパー仮面ライダー!

 パキンッ!

 

 枝の折れるような音が響いて。美遊の体からカードが飛び出た。同時に、美遊の体は頽れて、床に膝をつく。先ほどの弓撃、ブロークンファンタズムの一撃の際に吹き飛んだサファイアは、床に転がっていた。

 

 自分には宝具を一発撃つのが限界。だが、まだ戦わなければ……「サファイア! 戻って!」

 

『は、はい!』

 

 自身もまたひび割れ、ぼろぼろのサファイアは、主の声に答えすぐに飛び出す。

 その時だった。

 

 ガッ……

 

『うあっ⁉』

「サファイア⁉」

 

 サファイアの体を、狂戦士がつかんだ。そのままひび割れた彼女を、握り潰さんと力を籠め。

 そうしながら、倒れた少女のもとへと歩みを進める。

 

『ミユ、さま……』

「サファイア……そんな……」

 

 後ずさる。しかし逃げ場はない。敵はすぐそばまで迫ってきている。

 逃げなければ殺される。でも、もう、にげることなんて……!

 

「こんな……こん、な……」

 

 ところ、で……『待たんかああああああ!!!!』

 

 瞬間、巨漢の英霊の肌を、白銀の剣が撃ち裂いた。黒々とした鮮血を吹くそれに。さらに、桃色の少女の砲撃がほとばしる。

 ライデンジ、ジャングルジャン、バレットバーン三体の力を込めた超強化砲射攻撃。さしもの狂戦士も、サファイアを手放し吹き飛んだ。

 

「っ……イリヤ……宝⁉」

「ごめん、遅れた! そんで、凛さん! ルヴィアさん!」

 

 言うや二人がいくつもの宝石を投げる。それぞれがひらめき、術式を形成、投げられた布を強化し、神話の獣を捕縛する、縄に変わった。

 魔術は確かに通用しない。しかしどうやら「瞬間発動系なら効くようですわね!」

 

「あははっは! 大赤字よもうこんちくしょー!」

 

 うーん、悲しい叫びだあ。

 と、やってる場合じゃ「宝」

 

「ん?」

「なんで、なんでイリヤを連れてきたの? イリヤは、もう……」

 

 その言葉を聞いたとき。宝は彼女の、真意をようやく理解した気がした。

 あの時も、さっきも。彼女がたった一人で戦おうとした理由は、きっと。

 

「……ごめん。理由は……」「わたしが話すよ。だから、タカラ君はあの英霊を!」

「……了解!」

 

 言うが早いか。ガッチャードはイリヤにガッチャリバーを投げ渡し、そして彼女から投げられた二枚のカードを受け取って、前に飛び出した。

 イリヤはその間に、ミユの目を見て、語り掛ける。

 

「ごめんね、ミユ」

「え?」

 

 手にしたサファイアにも、そういいつつ。彼女をミユに、渡す。

 

「本当は、わたし、逃げちゃいけなかった……たくさん怖いことはあって、自分の力も、タカラ君の力も怖くなってた。でも……それを、二人にだけ押し付けて、逃げていい理由にしちゃ、いけなかったんだ……」

「イリヤ……」

「わたしは、わたしは……自分の知らないことから。怖いと思うことから逃げたくない。だから、ここに、帰ってきたの」

 

 イリヤは太ももの、カードホルダーで熱を放つ、バレットバーンに触れて。

 

「ここからは、わたしたちも一緒に戦う! もう、ミユを一人にはさせないから!」

 

 そう、宣言してから、笑った。へにゃーっと。

 

『言ったはいいんですが、宝さんが今一人でボコすかやってるんですよねぇ』

「あ、足止めだし……それに、託してもらったこれを。わたしたちが、完成させるためだもの」

 

 

 

 ♦

 

 

 

『イリヤちゃんたちに、できるやろか……ガッチャリバーの完成とか』

「イリヤちゃんが、やってみるって言ってくれたんだもの。僕は信じるよ!」

『……たくっ、ほんと、恋するもののパワーは強いってか……っし、いくでぇ!』

 

 先ほどの、スチームライナーの中での会話を思い出しつつ。

 宝は目の前の敵に目を向けた。任されたのは時間稼ぎ。さて、どこまでいけるか。

 ケミーたちの力があれば……きっと、止められるだろうか。

 

『ほんじゃ本邦初公開! アントルーパー、レスラーG!』

「ルッパー!」「レスラァ!」

 

「変身!」『ガッチャーンコ!』

 

 その身にまとうは怪力乱神。快刀乱麻のごとし手刀。そして鮮やかなる投げ技。

 青に金を混ぜ込んだ、その姿こそ。

 

『アントォ、レスラー!』

 

 ゴングとともにリングイン! と同時にワイルドモードへガッチャンコ。そのまま突進し敵の体をつかみ上げる。

 アントレスラーワイルドはその形状上、巨大なアリのようになるのだが、敵を押さえつけるのには一級品なのだ。そのままライダーモードへと戻るや、両腕に力を籠め、投げ飛ばす!

 これぞ、かつて父が集めていたビデオより覚えた、四十八の技の一つ!

 

「ライダァァァ! きりもみシュゥゥゥートォ!!!!!」

 

 竜巻とともに上空へと、敵が飛ぶ。まるで強風に吹かれたくず紙のごとく。ガッチャードは続けて、ホークスター、サボニードルの力を借り『ニーィィドルホゥゥーク!』

 

「大・回・転!!!」

 

 跳躍、飛行、素早く回転!

 キャスターを貫いた、必殺の蹴撃!

 

「スカーァァイ! キーィック!!!!!」

 

 しかし、すぐさま体制を整えた英霊は、その攻撃を片手で受け止め、竜巻の壁めがけて投げた。

 

「おわ!」『ちぃ、やったらアッパレスケボーや!』

 

 すぐさま本日二回目、アッパレスケボーへと変身。そしてワイルドモードで竜巻とともに回転。よりその勢いを強くして、さらに膨大な魔力を吸収。遠心力にモノを言わせ、敵の首目掛け、二連キックをたたきつける!

 

「V3ィィ! 遠心キィィーック!!!」

 

 ごきり、と敵の首にひびが入り、そのまま折れた。一回、倒した!

 だがすぐによみがえり、ガッチャードの足が再びつかまれる!「そう何度も同じ手は食わない! オドリッパー! カマンティス!」

 

『オドリッパー!』「リーッパー!」

『カマンティス!』「カマカマー!」

「変身!」『ガッチャーンコ!』

 

 最初の戦いより、再び参上!

 

『オドリマンティ~ス♪』

 

 オドリマンティスワイルドへと変身、敵の攻撃をすり抜ける。この形態は風の体という、物質体のない姿に変わるのだ。

 そのまま敵の真上へと上昇、距離を置き、右腕の鎌に魔力を込め……振り下ろす!

 

「大・切・断ッ!」

 

 敵の胸めがけて放たれた切断技であるが、敵の体に傷はつかなかった。必殺技も通じないほどに、ボディが固くなっているというのか。

 

「だったら!」

 

 敵の体に蹴りを入れ反転、さらに、消えつつある竜巻を壁に見立て、さらに反転。

 火力の乏しいオドリマンティスの、そのキックの威力をあげるべく、二つの要素を掛け合わせる。それすなわち、「反転」と「回転」なり! 更に、竜巻の残した風とは逆の向き、二つの別の回転がぶつかり合うことで発生する圧力も加え、解き放つ!

 

「V3ィ! きりもみ反転キィィック!!!!」

 

 回転して、貫く。その攻撃はまだ、試していない。敵の体に亀裂が入り始める。

 そのまま蹴りぬき、ともに地面に落下。敵が動く前に、素早く離れる。

 

『あれでも堪えとらんみたいやな』

「じゃあ追加だ!」

 

 起き上がった敵を前に、ゴルドメカニッカーへと変身。稲妻をまとった砲撃を空中に飛ばす。

 そのまま攻撃に移る、のではなく。「ライデンジ、ジャングルジャン!」

 

『ライデンジ!』「デンジー!」

『ジャングルジャン!』「ジャッジャー!」

『ガッチャーンコ!』

 

『ライトニングジャングール!』

 

 変身と同時に、敵に降り注ぎ始める砲弾。もちろんそれを敵は避けようとするのだが。

 宝は素早く、腕を地面にたたきつけ、そこに巻き付いたヴァインケーブルを四方に伸ばし。赤雷を放ち攻撃する!

 

「エレクトロファイヤー!」

『アンド、エレクトロサンダーや!』

 

 上下による挟み討ち、雷の連続攻撃。さしもの英霊も、これには堪えたようだ。敵はふらふらと体を揺らし、膝をついた。

 もう一発、最後に使えるこの技を食らわせてやる!

 

「ホッパー1!」『ホッパー1!』「ホッパー!」

「スチームライナー!」『スチームライナー!』「スチィィム!」

「ライダー……変身!」『ガッチャーンコ!』

 

 鋼鉄の装甲、スチームパンクなその姿。最も宝と相性のよいその姿は、宝に無限の力を与えてくれる。ここまでに貯めた魔力を、胸のパッションアタノールですべて力に変換し、全身の身体強化を最大に。上空へ飛びあがり、そこから……

 

「ライダー!」

 

 必殺の一撃を解き放つ!

 

「キィィック!!!」

 

 すべての技の大本、そして宝が最も信頼を置くその必殺技は。確かに、英霊の肉体を、貫いたのだった。

 

 

 

 ♦

 

 

 

「魔術式はOKね。ただ、中に宿っている精霊が目を覚ましてない。この子が起きないことには、機能を完璧には使えないわ」

 

 というのが、凛の見立て。セイバーのカードを通じて、より膨大な魔力を流し、まどろみにまで状態を落としてはいるようだ。しかしそれ以上には進めていない、という。

 眠りから目覚めさせる、あと一歩の何かが必要だった。

 

『私たちも精霊ですから、この寝坊助さんをたたき起こすことも可能なはずなんですがね』

 

 しかし、いくら魔力を流そうと。魔力移しにクラスカードやケミーカードを介そうと、ガッチャリバーに変化はない。

 それこそ、精霊に対して起こせるアクションはほかにも試したが、効果はなし。そこでルヴィアがこう告げた。

 

「そもそもの精霊が、まだ未完成なのではなくて?」

 

 つまり目覚めるに足る何かがない、人間でいえば脳みその一部が欠けている状況なのではないかということだった。

 

 精霊とは、ルビー、サファイア、ガッチャ。(ついでに千秋の保有する、ヴァルという魔術礼装にも)それらに宿っている、精霊種とされるものの一種。人間の持つイメージを筐体として、そこに自動発生する意思=OSのことである。

 早い話がケミーなのだ。精霊を、例えばポケモンのような一つの大枠でくくるなら。ルビーたちとケミーたちは、異世界のポケモンとピカチュウくらいの違いがある、というわけだ。

 このうち異世界のポケモン側に当たるのがガッチャリバーの中の精霊。これは人工の精霊であり、未完成。

 

 かつて宝石翁直轄の弟子であった一ノ瀬玉木は、ガッチャやヴァルといった人工精霊を生み出している。ルビーたちと同等の自我、思考能力を伴う生命体を生み出したのだ。(厳密には生命体とは違うのだが、この際どうでもいい)科学文明でいえば、それは自力で考え、人と同じ喜怒哀楽を持つ人工知能を生み出すことに等しい。科学世界でも、そのようなことが可能になったのは三年前、ヒューマギアが普及するまで。それまでは人工知能などありえなかった。

 

 ある意味でこの技術は、科学では実現できない魔法の粋だったわけである。

 であれば、宝石翁と同等の精霊作成能力を持つ玉木博士が、ガッチャリバーを作り終えられなかったというのは、なかなか想像しづらい事象だ。

 宝の言っていた通りの、鍵がどこかにある、ということか。であればこの剣を作り上げたとき、玉木博士はどこにそれを置いたのか。

 

「ところでなんで博士なの?」

 

「……昔ね、あの人が言ってたのよ。”仮面ライダーの父親は科学者だから、僕も博士って呼ばれたい”って。で、気づいたら玉木博士ってあだ名が定着してたのね」

「……父子ともに重度のライダーオタクに育っていますわね」

「そういえばタカラ君、使ってる技の名前も独特だもんね……多分仮面ライダーの技が元ネタなのかな?」

「仮面ライダー……その父親……」

 

 美遊が、そう言葉を反芻した。そこで尋ねる。

 

「玉木博士は、ガッチャを使って変身していましたか?」

「いえ、変身はしていませんでしたわね。ガッチャはもともと宝の家族として、彼の兄として作っていたもので。自分が使うということは、考えていなかったよう、で……」

 

 思えばそれは、魔術師らしくない考え方なのだが。

 しかしかの博士が、人間に近い思考であったことを考えれば、合点がいくことでもあった。

 

「なるほど。ガッチャは元から、宝が使うことを想定して作られていた。ということは、ガッチャリバーも宝が使うことを前提とした剣だった……ってことね」

「であれば、宝の状態にも気づいていたのでは? ガッチャリバーの作成時期は分かりませんが、もしも、レックスマルガムになった後だとしたら……」

「エックスレックスの因子と、反応することで初めて起動する、とか?」

 

 イリヤはそう、答えを告げた。その言葉に皆がうなづく。

 

『エックスレックスの因子を組み込むことで初めて完成する、ということですか』

 

 ならば、これは宝に使わせたほうがいいのだろう。

 と、そうしている間に、廊下に轟音が響いた。ガッチャードが地面にたたきつけられ、その変身が解除される。狂戦士はまとわりついていた羽虫にめがけ、咆哮をあげていた。時間稼ぎは、ここまでのようだ。

 

「宝!」

 

 凛が呼ぶ。宝は立ち上がり、仲間のもとに駆け寄った。

 

「何かわかった?」

『憶測ですが、一応。このガッチャリバーは、我々がいかなる方法を持っても起動しませんでした』

 

 サファイアはそう弁を初めて、そしてそれまでに得た推測を語った。

 

「それは憶測だよね……確かな情報じゃ、ない」

『それはそうですね』

「魔術師的かと言われれば、まったくそうでもないしね……」

「ですが、それがかえって正しいとも感じますのよ。何せあなたのお父様は、そういう方でしたから」

 

 凛とルヴィアの思う父の像。それを想像してみると、確かに父は魔術師っぽい人ではなかった。そも、根源なんてどうでもいいなんて言って、時計塔と毎度のごとく喧嘩していた人だったわけだし……

 

「……じゃ、ありえそうではある、か。……うん、わかった」

 

 イリヤの手の中のガッチャリバーを、彼は受け取った。それを素早く組み替えて、箱のような形に変え、ガッチャードライバーにセットする。一回りほど大きくなったガッチャードライバー、しかし彼自身には、それ以上の変化が感じられないようだ。

 

『ほ、ほんまにわいらが使って、それでなんとかなるんか……?』

「わかんないけど……ともかく、やるしかない。ホッパー1、スチームライナー。力を貸して」

「ほぱ!」「スチィム!」

 

 アルトヴォークに手を合わせ、レバーを引き。そして、ケミーたちの魔術を発揮する。黒ではない、青色のライダケミドールに、スチームホッパーの装甲が装備される。青い矢印上の複眼が輝くその姿は、蒼天を感じさせる。そこまではよかった。

 

「っ、あ、がっ……」

 

 スチームホッパーの装甲を侵食するように白い牙が現れ、ガッチャードを覆いつくした。次いでその青い瞳から光が消え去り、装甲もまた白と青がいびつに混じった、まだら模様の装甲に代わる。

 その容姿は、三度見る、より怪奇的に変わったマルガムガッチャードの姿。

 だが、かつての二度のように暴走するのではなく、力を制御しようともがけている。

 

「あぎっ、あっ、がっ……」

 

 だが、動けず、膝をつき、野生の意識に乗っ取られかける。

 体が次第に動かなくなっていき。思考の内に、魔力を、命を食らいたいという昏い欲望が生まれていく。

 それではだめだと、言い聞かせても無駄なのだ。獣の本能は、時として理性を食らいつくすほどに強いのだから。だから、塗りつぶし返すことはできない、完全に使役することも、できない。

 

 宝の思考を奪うそれは、最後に、甘いささやきを残すのだ。その力に飲まれてしまったほうが楽だと。

 

 

 

 ♦

 

 

 

 その思考の中に、小さな光がともったのは、その時だった。

 力がささやく甘い誘惑に、対するように、光がささやく。

 

 力に飲み込まれてはいけないと。御してもいけないと。そして、恐怖してもいけないと。

 その力は「君」の友達の力なのだから。本当はその力は、いつも君を守るために、その姿を形作るのだからと。

 

 あの時、わたしもそうなったから、わかる。自分の中の力は、誰かを傷つけようとしたんじゃなくて……自分を守ろうとしたのだから。それは、君が私に襲い掛かろうとした時も、きっと同じだから。

 

 ”その子”は、敵でも、恐ろしいものでもない。

 君の力、なんだから。だから……

 

「受け入れて。タカラ君」

 

 

 

 ♦

 

 

 

 偶然か、必然か。ルビーの二十六の秘密機能、マジカルサイコメトラーを通して、暴走しかけた宝に語り掛けたイリヤ。

 その際に、体外に発した魔術のうねりを、感じ取ったものがいた。

 

 海外には、突如として異なる世界、不思議な部屋のごとき空間に放りだされるという、クリーピーパスタ……都市伝説が存在する。多くの人はこれをあくまでネット上の冗談、だと思っている。しかし真実性を含んだ描き方、まるで実際に存在するんじゃないかというその有りように、何も知らない人間には、本当のことのように映るのだ。

 魔術業界ではこれらのような事象を、現代の神秘と呼ぶ。現代において科学が発達し。その科学文明の中で、科学では判明しない物事を夢想する。そうして誕生するのが現代の神秘。

 それらは実在が証明されていないが、そもそも実在しないという前提があり。しかし、実在するかもしれないという、心理的パラドックスを誘発する。この現代神秘にまつわる魔術も存在するが……ケミーにもまた、その類の力を持つものが存在する。

 

 そして彼は、その現代神秘の結晶である、「オカルト」と呼ばれるケミーにおける最上位種であり。

 あらゆるオカルト現象をつかさどり。ともすれば、前述のような異界に、鏡面界を見立てることも可能であった。故にこそ、彼はようやくたどり着いたのである。

 

 かつての、友の子供のもとに。

 

「空飛ぶ、円盤……?」

 

 その姿を見たとき、美遊はそうぼんやりと言葉にしていた。目の前ではきらきらと、黄金色のケミーが輝いている。

 三つの円盤が合体した、ともすれば円盤状のUMAにも思えるその姿。Xの字が刻まれ、そして膨大な魔力と金色の粒子を放つそのケミーの名を。

 

「ユーフォーエックス⁉」

 

 凛は驚きとともに告げた。

 

『だ、大師父のもとにいるはずでは……なぜここに⁉』

 

 さしものサファイアも、彼の登場には驚いたらしい。なぜここにいるのかと疑問をぶつける彼女に、ユーフォーエックスは答えず。虚空より生み出したブランクケミーカードに、自分を封じて、ガッチャリバーに入り込む。ついでに、「セイバー」のクラスカードからも力を引っ張り、自分と同時に入れた。

 その瞬間……ガッチャリバーが、青い輝きを発した。

 

「うわ!」『わお! 何する気ですか!』

 

 そこはかとな~く楽しそうなルビー。

 のんきだなあ、と思いつつ……イリヤも、少しだけ心躍っていた。

 ユーフォーエックス。玉木博士のもとにいたという、もう一体のレベルナンバーズ10。彼がなぜここにいるかはわからないが……少なくとも、彼の存在が、見落とし、欠けていた最後のピースだったようだ。

 

 そのことを証明するように、ガッチャードの体が黄金に輝く。装甲すべてが消滅し、青単色だったライダケミドールに、いくつもの線が入っていく。体となったそこにスチームホッパーワイルドが合体、さらに融合。ワイルドモードの残したジョイントに、ユーフォーエックスが結合し、さながら宇宙人のような姿へとガッチャードを変える。

 

 意識が戻る。思考がクリアになる。受け入れた本能と理性がまじりあい、さらにユーフォーエックスが、宝の脳の機能を高めてくれた。

 パンクライダゴーグルは、ヘルメット状のライダグレイゴーグルに代わり。その中で輝くスーパーベクトアイが、青く聡明な輝きを得た。

 その姿は、ライダケミドールを素体とするスチームホッパーを、さらに素体として変身した……ガッチャードを超える、ガッチャード。

 

『ガッチャーンコ!』『エーックス!』

 

 スチームホッパー×ユーフォーエックス。

 

『ユーフォーエックス!』『スーパー!』

 

「ガッチャード。字は……スーパーガッチャードだ!」

 

 黄金輝く新たな姿、奇妙奇天烈その外見。

 しかして無限の力を宿す……新たなガッチャードが、そこに立っていた。

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