第十九話 Wの望み/ようこそ風の都
「ライッダァー! パァンチ!」
黄金の仮面ライダーの体を、紅の拳が貫いた。
生物的なその体からカードが飛び、次いでその体が爆ぜて散る。
緑の仮面に赤い瞳、今しがた偽ライダーにトドメを刺した、本物の仮面ライダーは、ふうと一つ息をついた。
「たく、なんだってこんなことになってんだか」
手にしたカードをふらふら揺らし、彼は言う。
変身が解け、本来の姿を見せながら。
「隼人さん」
そんな彼に、走り寄ってくる女性が一人。小山油井、彼が追う事件の被害者の、友人だ。
彼女は彼の後輩の探偵事務所に、依頼をしている、自分の友人、清原木乃美を殺害した人物を探し出してほしいという依頼だ。
後輩はそれを承諾し、丁度この街に訪れていた隼人も、彼らに協力して事件を捜査していた。
そしてその行く先々で現れたのが、先ほど倒した黄金の偽ライダーなのだった。
「大丈夫でした?」
「なあに余裕余裕。こんな奴らへの河童よ」
笑って言う隼人。
しかし彼らの存在には気になるところが多すぎる。
ほかの後輩の使っていた魔法にまつわる力で動き、変身している様子があるのだ。カードで仮面ライダーの姿に変わるというのも、何度か見たことがある。
そして行く先々で現れるということは、清原木乃美が殺害された事件とも、確実にかかわりがあるのだろう。この風都では、そうした怪奇的、超常的な事件は日常茶飯事だが……
「俺は専門家じゃないしな。仕方ない、いったん探偵事務所に戻るか」
「……結局、収穫はなしですか」
そう落胆した様子で、油井はつぶやく。
隼人は戦闘前に投げていたハンチングをかぶりなおしながら、彼女に言った。
「まあまあそう気を落とさず。こいつがガイアメモリの犯罪だったら、だいぶ情報は集まってるようなもんだぜ?」
「そうなんですか?」
「おう。能力がはっきりしてるからな。フィリップだったら、すぐに事件の引き金になったメモリに、たどり着けるだろ」
そう、たどり着けるだろう。たどり着ける、だろうが……
隼人は「しかしな」と独り言つ。結局、容疑者が少なすぎて、犯人が絞り込めないのではないだろうか。
そう考えるが、そのことは油井には伝えず。
「ひとまず、翔太郎に連絡するか」
ガラケーを取り出しピポパとボタンを押して、それから後輩に電話をかける。
着信音の後、すぐにつながった。
『先輩、どーしたんすか?』
「おお翔太郎。なーに、また行ったところで偽ライダーに出くわしてな。こいつもカードと、あと指輪をもってやがった」
『……これで三度目か。了解、後で持ってきてください』
「はいはい~。うん? そういや、そっち騒がしくないか?」
隼人が問う。電話の向こうからは、人の声と歩く音が重なって聞こえていた。翔太郎は外にいるのだろうか。
『また被害者が出たんで、ちょっと寄らせてもらってるとこです。後で帰ったら、一度メモリを特定しようかと』
「おう、わかった……いや、そいつはいいんだが」
確か今日、翔太郎には予定がなかっただろうか。
鳴海探偵事務所のカレンダーには『社会科見学の日!』と書かれていたはずだが……
「なあ翔太郎、社会科見学はどうした?」
『……先輩、俺そんな年じゃ』
「ああいや、確か今日子供たちが来るんじゃなかったか」
翔太郎の声が詰まった。
どうやら忘れていて、今ようやく思い出したようだ。
今度は、「ああ!」と大きな声が響いて、スパコン! とぶったたかれる音が聞こえた。
「……亜樹子ちゃんもいるのね」
『や、ヤロォ……いや、そうだった忘れてた……し、しゃあねぇ! 隼人さん早めに事務所のほうに「あー、無理。実は写真撮影の予約が入っててな~」うそでしょ⁉』
大嘘である。一文字隼人という男はカメラマンだが、犯罪とか事件とか戦場とか撮るのが仕事である。
グラビア撮影はしたことないのだ。しかし慌てた翔太郎にこの嘘は効果抜群だった。
『うぐぐ、仕方ない、ときめに頼むか……』
「そうしたらいいさ。俺たちはもうちょっと調べとくから、また終わったら連絡するぜ」
『あ、はい……いや待った、あんた今予約があるって』「じゃ~な~」
ガチャ切りしてポケットに携帯をしまい込む。
油井のあきれた視線が突き刺さるが、気にしない気にしない。
「類似の事件が起きた場所はあと一軒。じゃ、行こうぜ」
どこからともなく現れたバイク、サイクロン号に乗り、油井を急かす。
あきれ顔だった彼女は、その背にまたがった。
「……早くいきましょう」
「おうおう、行くぜ」
サイクロン号は、隼人によって、風を切って走り出した。
後には、戦いの後だけが残されるのだった。
♦
「仮面ライダーWにアクセル! いやぁまさか、その二人がいる風都に行けるなんて! こんなにうれしいことはないよ!」
バスの中でそう、(声は抑えて)はしゃぐ宝。ここまで結構長く、風都に関するうんちくを話していた彼の、締めの言葉が上記のものであった。
それを隣で聞いていた、同じ班のイリヤは、彼のその様子を珍しいなぁ、と思いながら見ていたわけで。
『ほんと、宝さんは仮面ライダーのこととなると、オタク知識が暴走しちゃいますねぇ。女の子相手にその様子では、普通引かれますよ?』
「い、いや~。私は別に引いてないけど」『イリヤさんは慣れてますしそうでしょうねとしか』
さて。現在、穂群原学園初等部の五年生たちは、冬木の隣町「風都市」へと、社会科見学に向かっている。穂群原学園ではこの時期になると、期間をおいて社会科見学やその類似の勉強をすることになっているのだ。
お兄ちゃんたちも、そういえば今日はどこかに勉強しに行ってるんだよね、と、イリヤは思い返す。
確か、もう一つお隣の沢芽市に行くのだったか。そっちもそっちで、十年位前にきなくさい話があったとか。そういえばそっちにも、”仮面ライダー”はいるらしいのだが……
「そういえば、宝。仮面ライダーって、いったい何なの?」
大河先生が(イリヤのお兄ちゃんに任せて)作った、パンフレットから顔を上げて、ミユが聞いてきた。
ちなみにこのパンフには、風都の大まかなことが書かれている。
宝はその問いかけに「う~ん」と悩むそぶりを見せて、それから人差し指をぴんと立てて答えた。
「正義の味方! かなぁ。無償で悪を倒し、人々にささやかながら、平和を取り戻す……その、象徴だよ」
「象徴……正義の味方、ね。随分俗っぽいというか……」
「まあ妙な言い方すればそれかなぁ、って。昔知り合いだったおじさんがよく言ってた言葉なんだけどね。僕としては、仮面ライダーっていうのは……」
そこで言葉を切って、少し笑って。
「希望の象徴……みたいなもの、かな」
と、そう表現した。
さてバスから降りて、大河先生の号令と同時に見学スタート。
風花町というこの町の、いくつかの企業や事務所に、グループでおじゃましてその仕事を見学するというのが、今回の社会科見学のスタイルである。
ちなみに、防犯に関しては各先生が、風花町を歩いて回り、子供たちの安全を守るというスタイルをとっている。
これって、普通中学生とか高校生になってからやる、職場見学と同じことなんじゃないかなぁとかイリヤは思ったりしたのだが……突っ込む人は誰もいなかった。
「そ、それで。私たちの班が行くところだけど……」
そう言ってしおりを開いて、先導しているのは桂美々。今回の班長である。
ちなみにだいぶ前に一緒に紹介された、雀花、龍子、那奈亀の四神三人組は別の班である。行くところも違うようなので、今回は会うこともなさそうだ。
美々はしおりを見て、それから行くところの名前を言った。
「鳴海探偵事務所さんだね」
「探偵事務所?」
「うん。見学先としては珍しいよね。風都だと有名な探偵なんだって」
美々は「それ以上はわかんないけど」と付け加える。どうやらしおりに、あまり情報がないらしい。
確かにだいぶ薄っぺらい。それ、学校のものとしてはどうなんだろうか。
見学に行く企業や会社は、学校が主導で選んでいるものなのだし、もうちょっとしっかり作ってもよかったよーな……
とか思ってたけど、これ作るのを主導したのって……
「大河先生だっけ……」
「大河先生だもん……」
「大河先生だから、ね……」
イリヤのつぶやきに三人そろって答える。
ま、そーだよね。最終的に作ったの、お兄ちゃんだけど、大河先生って、あんまりこういうのまとめるのは得意じゃないし。
さても、そんな雑談をしている間に、件の鳴海探偵事務所までたどり着いた。隣に立つかもめビリヤード場と合わせた作りのその場所は、西洋と現代日本風を合わせた、おしゃれなカフェのような出で立ちで。
少し気圧されながら、宝がまず、扉を開いた。「失礼しまーす……」
白と黒の床、コーヒーの良い香りがする部屋。ソファと机がまず目に飛び込んだ。
その奥には、おそらく業務用に使うであろうデスクがあり、タイプライターが置かれている。なんとも古風だなぁ、なんて思いながら、そういえば人がいないことに気づいた。
「? 留守なのかな」
宝は皆と一緒に中に入った。やはり人のいる気配はない。
来ると伝えてなかったのだろうか、と思いつつ、部屋を見回していると「だれ?」
「うわ!」「ひゃ!」「きゃあ⁉」
「っ……!」
背後からいきなり、そう声をかけられた。
ふと、ハナミズキの香りがする。皆がそちらに向くと、そこには銀髪の女性が立っていた。端正な顔立ちに似合うその銀髪をはためかせる。纏う衣服は、彼女のボディラインをよく表しているも、白いパーツが風にはためき、さながら魔女のようで。
ともかくどうやら、この探偵事務所の人間であるらしかった。
「お客さん? にしては、小さいけど」
「お、おおおお客さんじゃ、な、なななくてです、ね……」
美々がすごく緊張してめっちゃくちゃに噛みながら切り出した。大丈夫かな?
「えと、その。社会科見学で。穂群原学園の生徒で、す」
おお、言い終えた。
と、女性は美々の言葉を聞いて「ふぅん」と息を漏らし、それから微かに笑って見せた。
「そっか、翔太郎が言ってた子たちだね。今日来る予定だったんだ……ああそうか、だから翔太郎、あんなに慌ててたんだ。私を帰したのもそのためだったんだね……」
そう言うや、あきれたようにため息をついて。
子供たちのほうに振り返り、優しく笑った。
「ひとまずようこそ、鳴海探偵事務所へ。私はここの探偵、兼探偵助手の、左時女。ときめ、って呼んで」
ときめ、時の女と書いて、ときめさん。
探偵さんらしい。先ほどの発言を見るに、ここの所長さんというわけではないんだろう。
「よ、よろしくお願いします」
「うん、よろしくね。で、なんだっけ、社会科見学だっけ……でも何させてあげればいいんだろ。私は今、事件を受け持ってるわけでもないんだよね……」
少し悩んで、さて。
ときめは「じゃあ」と声を上げ。
「実はね、この事務所には地下があるんだ。そこにもう一人、探偵がいるんだけど……彼のほうがいろいろ詳しいから、会ってみる?」
みんなは顔を見合わせて、それからコクンとうなづいた。
ときめは「ついてきて」と、子供たちを促す。白いカーテンで隠された扉から、コツコツと音を立てて、簡素な階段を下りていく。
次第に白い壁から鈍い銀色の壁が現れた。その先には一つの車が納められた、巨大な駐車場が見えた。
「うわぁ……!」
感嘆の声を上げたのは、宝だった。
地下の施設はいくつものホワイトボードと寝台が立ち並び、本棚が置かれ、白い車が駐車されているスペースの後ろには、巨大な機械の円盤がある。見回していると、ガタンと何かが落ちる音が聞こえた。「うひゃ!」
どうやら本が落ちたらしい。そちらを見ると、誰かが白い毛布にくるまって眠っていた。
「……まだ寝てる」
ときめはその人を見て小さい声でぼやくと、そちらへと歩いて行って、落ちた本をとって。
本を閉じてから、ゴンと角で叩いた。(ベッドの端を)
『ごにょにょ(わーおバイオレンス)』
ルビーが面白そうに言う。
寝ていた人はむくりと起き上がって、あたりを見回して、ときめのほうを見た。
「年々起こし方が雑になっている気がするね」
「これでも優しいほうです。ほら、起きて起きて」
子供たちが待っているからと、ときめは青年に言った。緑色の髪の青年は、イリヤ達に目を合わせる。本を受け取り、ソファから起き上がってぱっぱっと服を払って、彼は子供たちの前に立った。
「見苦しいところを見せたね。ようこそ、鳴海探偵事務所へ」
……ああ、そのまま挨拶に入るんだーと宝はある意味感心した。
青年は、恭しくお辞儀をしてから、続けて自己紹介をする。
「僕はフィリップ。この事務所の探偵の一人さ、よろしくね」
「よ、よろしくお願いします」
今度は噛まずに、美々が言う。ほかの三人も、釣られるようにお辞儀をした。
「社会科見学の子たちだね」
彼は本を片手にそう聞きつつ、小さな声で「リボルギャリーは山中に隠したんだったかな」と続ける。イリヤ達にはその声は聞こえなかった。
「ここは、僕たちの仕事場だ。一応、部外者の立ち入りはご遠慮しているんだけれど、今日は特別に開いている。この事務所の、
コンコンと靴を鳴らし、秘密基地然としたその場を歩く彼。
彼は少し子供たちから離れてから、彼らがついてきていないのに気が付き、おいでおいでと手招きした。
「行ってみよう!」
イリヤの声でついていくことに。
フィリップは満足げにうなづき、説明を続ける。
「この地下ガレージには、見ての通りいくつもの資料と、考察用のホワイトボードが置かれている。自由にみていいよ」
「……考察用、ね」
ときめさんの呆れ声。
美遊はホワイトボードを見て、そんな声を出した理由が分かった。
何故かその白い盤面にはびっしりと、カードゲームのことが書いてあったのだ。そして端には、山積みのコ〇コ〇コミックが……
「……ナニコレ」
「あ、コロコロの最新号だ」
小学生の愛読書である。とりわけ、男の子のための雑誌みたいなもので。
おおー、とよくわからない感動の声を上げ、宝が一冊手に取った。
「今請け負っている事件でカードについて調べていてね。それが高じてしまってね……知っているかい? かつては青少年向けだったヴァンガードも、今ではコロコロで取り扱うように」「ハイハイストップストップ」
すごい勢いで説明を始めたフィリップを、ときめが無理やり止める。それから「ちゃんと事務所と仕事のほうを説明して」と耳打ち。しぶしぶ、フィリップは説明をやめた。
なんだろう、もんのすごいダメ大人臭がするんだけど……
「この事務所って、風都では有名な探偵事務所っていうし……あの人たちも有名なんだろうけど」
なんか、別の意味で有名なのかなーって思ったり……
「フィリップといえば、フィリップ・マーロウという探偵が有名だけど。あの人も、そこから名前をとってるのかな?」
ふと、ホワイトボードを覗いていた美遊がそう告げる。宝は知らない。
やっぱり博識だなぁと思いながら、宝は彼女に言葉を返す。
「僕は知らないけど……そうかもね。見た目は日本人だし、本名は別でありそう。探偵名っていうのかな」
そういうのがあるのかは知らないが、コードネームみたいでかっこいいな。
「そういえば、フィリップ・マーロウって誰?」
「……知らないの」
知らないからって適当に答えたなと、美遊はあきれ混じりの視線を宝にぶつけてくる。
彼女は小さくため息をつくや、本棚を見て。それからそちらへと寄って行った。
「わ、美遊」
「ごめん、イリヤ。その本、少し見せて」
「え? うん」
ちょうど本棚の近くにいたイリヤから本を借りる。宝は二人のほうに行って、それからその本を見た。「長いお別れ」という題の小説だ。
「レイモンド・チャンドラーという人が書いた、小説の登場人物。私立探偵で元警察の捜査官。ハードボイルドの代名詞……といえば、わかる?」
「ハードボイルド……」
「かたゆでたまごだっけ」
イリヤの素っ頓狂な返し。なぜそれだけ知っている。
美遊は少々目をむいて、小さくため息をついた。
「……ハードボイルド、冷静かつ感情的でない様。渋い男の代名詞……みたい。宝とは似ても似つかない感じ」
「そこはかとなくバカにされたような気が」
いつものお返し、と美遊は笑って言う。イリヤはその横で「ムサシちゃんみたいな感じかな?」とつぶやいていた。
と、美々が「何を見てるの?」と、寄ってきた。
美遊は本を見せる。
「あ、レイモンド・チャンドラー! 私も読んでるよ、その本!」
意外な人が食いついた。美遊は驚きながらも「そうなんだ」と返す。
「ああ、その本は僕の相棒のものなんだよ」
そうして騒いでいる四人の背後から、ヌッとフィリップが顔を出した。
「うわ」
「ははは、驚かせたね。僕の相棒は……今は外に出ているんだが、その手の本が大好きでね。ほら、見たまえ」
本棚を指す手にそって、宝は本棚を見る。
いくつもの小説が並んでいるが、そのどれもが探偵もの。そして一番多いのが、レイモンド・チャンドラーの著書だった。
「僕の相棒、翔太郎は本人の性格に反して、こういうハードな作品が好きでね。僕もたまに手にしているんだが、彼とのギャップに笑ってしまいそうになるよ」
という彼の口元は、大笑いではなく微笑で。
彼は「話がそれたね」として、説明に戻った。
……それから、ある程度施設の説明が、彼とときめによってなされた後。
彼は「僕たちの仕事も説明したほうがいいのかな?」と四人に投げかける。
四人はしてほしいと答え、フィリップは簡潔に説明をして。それから、探偵とはどういう仕事かを語り終える前に、「この町では、ただ調べるだけでは命がいくつあっても足りない」と告げた。
「僕たちの受け持つ事件は、
そうして、彼は文字を消したホワイトボードに、さらさらと絵を描いた。
仮面ライダー、という文字を。
「仮面ライダー!」
「そう。仮面ライダー。この街には、実在が証明されている二人の仮面ライダーがいる。この街では、僕たち探偵が事件を捜査し、黒幕のドーパントと対峙。そして、そのドーパントを仮面ライダーが退治する、という図式がよく成り立っている。僕たちは彼らと、ある種の協力関係を築き、町の平和を守っているんだ」
フィリップはそう説明しつつ、いくつか写真を、ホワイトボードに張り付けた。
黒と緑の半身が特徴的な、赤い目玉の仮面ライダーの写真だ。それが、仮面ライダーW.
ほかにも、赤い体に青い瞳が特徴的な仮面ライダーの写真もあった。そちらは仮面ライダーアクセルのものだ。
「仮面ライダー……!」
キラキラした目でその写真を見つめる宝。
食いつきがすごいものだ。
その様子を見ながら、彼はほかにもいくつか写真を張る。赤い複眼の黒いライダーと、黄色い複眼の白いライダー。そして銀色の、骸骨のような仮面ライダーだ。
「あ、あれはえーっと……」
当てようと思って、その三人の名前を思い出してみる。
あの三人も、父さんの残した資料にはあったはずだ。確か……
「黒いのはジョーカー、白いのはエターナル、骸骨はスカル、でしたっけ?」
「おお、よく知ってるね。彼らはこの街にいるけれどあまり姿が確認されていない珍しいライダーだね」
「レアキャラなんだ……」
ただの都市伝説だと思ってたら、実在してるしレアな人まで。バリエーション豊富だなぁとイリヤは感心する。
「まあ、今日はこれからフィールドワークのようなものも企画しているのだけど……もし会えたら、ラッキーかもしれないね」
と、フィリップは閉めた。そうか、この街ではドーパントという怪物による事件が起こるたび、仮面ライダーが解決している。だから、どの街よりもライダーと会える確率が高いのか会え
「会えたらいいね、タカラ君」
「うん!」
いつもの様子も鳴りを潜めて、子供っぽく笑って見せる宝。
「それじゃあ行こうか」と、フィリップが言う。
ガレージに止めてあった白いワゴン車に乗り込んで、それから皆は探偵事務所を後にした。
ここからツヴァイまでの間は、最強なケミーをガッチャする話にあたる章になります。