FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
歩き出して数分。
「…確かこのあたりではぐれたはず。おそらく方向は…あっちだろう」
先程はぐれた地点に戻り、藤丸たちが走っていった方向を指す。
ジャンヌも、こちらの指さす方向を見る。
「…」
そちらに歩き出そうとしたところで、背後から肩を掴まれる。
それに立ち止まり、振り返るとジャンヌはずっと後ろ、つまりは進もうとした先に目を向けている。
「下がりなさい、マスター」
肩から手を放し、少しだけ距離を置いて腰の剣を抜き、ジャンヌが前に出る。
「…敵のようです」
ジャンヌのその言葉に応じるように、瓦礫の陰から、骸骨のようなものが武器を持って近づいてくる。
幸い囲まれてはいないようだが、数が軽く10はいそうだった。
「ジャンヌ」
契約したばかりの彼女の名を呼ぶ。
どれだけ彼女が強かろうと、これでは多勢に無勢。
こちらが不利と言わざるを得ないだろう。
このまま戦いになれば、と思うと、声をかけずにはいられなかった。
しかし。
「…ふん。この程度……」
ジャンヌは軽く剣を振る。
そして、地面を蹴った瞬間、彼女はその場から消え。
「……どうということもありませんね」
次に聞こえたのは、最もこちらに近かった骸骨がいた場所。
そこに敵の姿はなく、剣を振りぬいたジャンヌの姿。
起こった事に一瞬怯む敵の振る舞いに、少し恐怖すら覚えそうなほどの笑みを浮かべるジャンヌ。
「いい機会ね…よく見ていなさい、マスター。私というサーヴァントがどう戦うのか」
言いながら敵を迷いなく討伐する姿は、さながら舞を披露しているようにも見える。
剣舞、とはよく言ったもので、その言葉がよく似合うようにも見えた。
「ふん…!」
一体、また一体。
敵の攻撃を軽くいなしては、一体ずつ確実に倒していく。
時折炎の柱のようなもので攻撃をしながら。
「散りなさい!」
怯んだ敵でも容赦なく殲滅していく。
そうして、漸く敵の数が一桁になったところで。
「…これは、憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮……!」
片手に、黒い竜の文様を刻んだ旗を構える。
その旗を構える姿は、禍々しさを孕みながらも、さながら戦いを勝利に導いたフランスの英雄。
「
剣を向けた先に、まるで意思を持つかのように地を駆ける炎。
それは迷うことなく敵を捕らえ、焼き尽くしていく。
それでは足りないといわんばかりに、地面から突き出す三本の槍が、敵を穿つ。
…それが最後となり、敵の姿はもう、一つもなかった。
「……」
最後の、ジャンヌの必殺技……宝具というべきか。
それは、確かにそれまでの彼女の戦い方以上に強い印象を受ける技だった。
…けれど、何故だろうか。
「…」
目を閉じる。
燃え盛る炎、そして敵を穿つ三本の槍。
それを、何故か知っている。
ゲームの画面、あるいは事前に調べる中で見た動画だろうか。
……違う。
…もっと近く。
「いや…違う」
……そう、それはまるで。
………まるで、ずっと共に戦い続けていたかのような。
「…スター、ちょ……ター……!」
声が、聞こえる。
俺を、呼ぶ声が、炎が燃え盛る音と共に。
この光景は…何だろうか。
「っマスター!」
「っ!?」
突然間近で聞こえる声に、驚き目を開くと、目の前にはジャンヌの顔。
近いなんてものではない。
互いの鼻先が触れ、ジャンヌの瞳に映る自分が見えそうな距離。
「…大丈夫?わかる?どうしたのよ急に…」
「あ、あぁ…」
こちらの反応に安心したのか、少し離れるジャンヌ。
「…さっきの宝具…だったか。あれを見て、少し思う所があってな」
「……?」
話を打ち切ろうと言葉を濁すが、ジャンヌは視線を逸らさない。
続きを話せ、と言っているような気がしていた。
「……間違っていたら笑っていいんだが」
「…?」
「こうして共に戦うのが、初めてではないような気が、してな…」
言いづらかったが、何とか言葉にする。
契約したばかりの彼女と戦うのが初めてではないはずがない。
「……そう」
おかしなことを言ったつもりではあるのだが、彼女はそれを笑うこともなく、ただ一言だけ。
「…」
きっと、彼女は何かを知っているのだろう。
けれど今は、それを聞く時ではない気がしていた。
「…とりあえず、先に進もう」
「分かりました」
話を変え、敵がいなくなり通れるようになった道を進む。
「…」
「……」
どこか、話し辛さのような蟠りを残したまま。
Q. なんでジャンヌはマスターが分かったのですか?
A. 魂の波長的な何かだと思ってください。ご都合主義万歳。