FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
炎に包まれ、あたりは建物が崩壊した後の瓦礫で埋め尽くされている中の、辛うじて進める道を進む。
少し遠くに見える川と、そこにかかる橋が唯一、位置関係を知る手掛かりになりそうだ。
「…マスター」
ジャンヌが少し前に出る。
「敵がいます。下がってなさい…蹴散らしますから」
「…あぁ」
さっきの戦い方を見れば、おそらく問題ないだろうと思う。
武器を構え、臨戦態勢のジャンヌに任せ、少し後ろへ下がる。
それを確認したのか、ジャンヌは一人、敵の中へと突っ込んでいく。
「……」
それを見ているだけとなると、さすがに少し歯痒くもなるが、何か出来るわけでもない。
故に、大人しくしている事しかできないが。
――…、…!
――…!
「……?」
どこからか、声が聞こえる。
それは、ジャンヌと敵が争っている、その更に先だった。
どこかで聞いたような、その声は。
「…藤丸か?」
ふと、考える。
もしそうだとして、今ジャンヌが相対している敵軍に藤丸、もといマシュが相対しているとしたら、いずれは鉢合わせてしまう可能性がある。
彼女らと敵対するつもりはないので、それはできれば避けたいと思う。
ならば。
「っ…ジャンヌ!」
「…マスター?」
敵を軽くあしらいながら、こちらの問いかけに応じてくれるジャンヌに言葉を続ける。
「近くの敵を退けたら、一度退いてくれ。近くに探している対象がいるらしいから」
「…了解」
言うと、ジャンヌは最低限の敵を炎で打ち払った後に後退し、距離をとる。
それから、数分の後。
「……敵の全滅を確認しまし……っサーヴァント!?」
姿を見せたマシュがジャンヌの姿を確認し、再度臨戦態勢をとる。
「…どうやら敵意があるようだけれど」
剣を構えようとするジャンヌを抑え。
「…マシュ、彼女は敵じゃない。構えを解いてくれ」
「先輩!無事でしたか…」
彼女の前に出て話すと、マシュは構えていた盾を下す。
その様子を見て、ジャンヌも抜きかけていた剣を戻し、後ろに下がってしまう。
「……マスター、先輩を見つけました!」
「ほんと!?よかったぁ…はぐれちゃったときはどうしようかと…」
亜麻色のサイドテールを揺らしながら、藤丸がマシュの後ろから現れる。
そのまま藤丸はこちらの目の前まで来て、話を続ける。
「私はマシュがいてくれたから助かったけど、貴方は誰も…」
藤丸とはぐれた時点では一人だったので、そう思われても仕方がない。
しかし、藤丸が近くを見回し、ジャンヌに目が留まったところで。
「…どちらさま?」
そう、尋ねる。
それは、こちらに対してか、ジャンヌ本人に対してか。
ちら、とジャンヌに視線を向ける。
「……」
当のジャンヌは、藤丸の方に視線を向けようとしない。
それは敵対しているというより、興味がなさげな様子だった。
まるで、そんなことよりも辺りを警戒するほうが有意義だと言わんばかりに。
「…ジャンヌ・ダルク・オルタ、だそうだ。さっき、契約した…ことになるのか?」
こちらとしては、召喚したということになるのだろうが、契約したことになるのだろうか。
そのあたりが微妙な気がしたので、ジャンヌに確認しようと視線を向ける。
「えぇ、サーヴァントとしての契約はされています。私は彼のサーヴァントであることに相違ありませんね」
ですが、と彼女は続ける。
その顔には不敵な笑みが浮かんでおり。
「ですから、私の全ては彼のために。貴女達が如何なる理由であれ、彼に敵対することを選ぶなら、私の炎は容赦なく貴女達を焼き尽くす」
「っ…」
「私にとってはマスターこそ全て。マスターに僅かでも害をなすものに、私は容赦しません。それがたとえ、正義だとしても…ね」
藤丸とマシュは息を呑む。
ジャンヌのその言葉が、本気なのだと直感的に悟っていたのだろうか。
それが、ジャンヌの雰囲気がそうさせるのか、女性特有の直感なのか。
「…ジャンヌ」
「分かっています。仲間だというのでしょう…えぇ、ですから何もしません。今は」
諫めるつもりで言えば、ジャンヌはそう返す。
サーヴァント契約を結んでいる以上、マスターに従うのは道理ではあるかもしれない。
だが、いくら契約とはいえ、ここまでいきなりマスターが全て、みたいな感じになるものだろうか。
そう、疑問に感じる。
「私には他でもない、貴方というマスターが必要なのです。他の誰でもない……貴方が。ですから、貴方を守るためであれば……たとえ、人理というものであろうと、敵に回す覚悟です」
だからこその復讐者、アヴェンジャーなのだ、と語る。
「…」
普通に考えれば、ジャンヌの思想は危険な部類なのだろう。
しかし、何故だろうか。
それでも、ジャンヌを悪と断じることができない。
事前に調べたときに刺さるキャラクターだったから、だろうか。
そんなキャラクター、もとい、女性にある意味そこまで想われれば、男としては嬉しいものもある。
それは認めざるを得ない部分である。
けれど、それだけだろうか。
先程、ジャンヌの宝具を見た時の、懐かしさに似たような、奇妙な感覚。
この感覚が、よく分からない。
初対面の、はずなのに。
まるで、ずっと前からの付き合いであったかのように。
―ジャンヌがそんな風に言うと、
「マスター?」
「っ…何でもない」
ジャンヌに声を掛けられ、思考を打ち切る。
考えても、解決しようのないことなのだから、考えても無駄だと悟る。
「…全く、聞いていましたか?」
「?」
考えている間に何か言っていたのか、確認されるも何の事か分からずに戸惑っていると、溜息を吐かれる。
「もう一回言いますが、私とマスターの魔力パスがまだ微弱です。パスの強化と魔力供給については後程、協力してくれますよね、マスター?」
「あぁ…それは別に」
聞けば、マスターはサーヴァントに対し魔力の供給を行うが、その際の魔力の通り道になるパスが非常に小さく、ジャンヌは全力を出せていないらしい。
……あれで?
まぁ、ジャンヌ本人が言うのだからそうなのだろう。
何を協力すればいいのかは分からないが、まぁその時になれば教えてくれるだろう。
清い心を持つ皆さんなら、魔力供給と聞いてもアレな展開は想像してませんよね。
評価がついてたことに驚きと感謝。
感想もらえるとモチベ上がるんで是非。