FGO ~ Loopback Against the Order ~   作:アルタナ

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感想、評価本当にありがとうございます。


合流 - II

そんな会話を交わしていると。

 

 

「ちょっと、貴方もマスター候補の一人なの?」

 

 

後ろから女性が一人現れる。

その表情は、明らかに険しいもの。

言うならば、こちらを敵視しているような。

 

 

「…そうなのか?」

「私に聞かれても…」

 

 

女性の問いに藤丸に尋ねるが明確な答えが来ない。

それはそうか、と思い、ジャンヌを見る。

 

 

「えぇ、私のマスターではありますね。それが、マスター候補という言葉に当てはまるかは私の知るところではありませんが」

 

 

ジャンヌはそう返す。

こちらとしてもそれ以上の事はなかったので。

 

 

「…ということですが」

 

 

便乗するように返す。

 

 

「…何。マスター候補で無事だったのはなんでどいつもこいつも……」

 

 

それを聞いて、片手で眉間を抑えながら愚痴るように呟く。

その言葉は小さく、上手く聞き取れなかったが。

 

 

その間に、藤丸から話を聞くことにした。

彼女はオルガマリー・アニムスフィア。

人理継続保障機関フィニス・カルデアの現所長。

要は指揮官であり、こちらは彼女の命に従う立場、ということらしい。

彼女が不機嫌なのは、説明会とやらに出なかったからだろう、との事。

藤丸は出席こそしたが、説明中に居眠りで追い出されたらしい。

それに関しては擁護する気はないが。

 

 

「…もういいわ。貴方についても、臨時的に特異点の調査を命じます。それと、そこのサーヴァント」

「……あ?」

 

 

人の上に立つ以上、こうでなければという部分があるのか。

やや高圧的、というか上からな感じの所長は、こちらに次いでジャンヌに声をかける。

その際の口調もやや上からに感じられたのか、ジャンヌがやや不機嫌そうに返す。

ジャンヌも何かを言われて素直に従う性格かといわれればそうでもなさそうなので、やや不安だった。

 

 

「…貴女、さっきマスターのためであれば人理すら焼き尽くすとか言ってたわね」

「えぇ、言いましたね。それが何か?」

 

 

淡々と述べる所長に淡々と返すジャンヌ。

あくまで平静なジャンヌに対し、所長は堪忍袋の緒が切れる寸前だったようで。

 

 

「っふざけないで!私たちの目的はあくまで人理の保障。それを破壊するなんて冗談でも言わないで頂戴」

「…はっ」

 

 

所長の怒り交じりの言葉。

語気の強さから、いかに本気で言っているかが感じ取れる。

実際、所長という立場の責任もあるのだろう。

そんな彼女の言葉をジャンヌは鼻で笑う。

 

 

「そんなことは私の知ったことではありません。先の会話を聞いていたのなら、分かるでしょう。私の目的はあくまでマスターを守ることです」

「…それが、かつての救国の聖女、ジャンヌ・ダルクの言うことなの!?」

「喧しいですね」

「っ…」

 

 

ジャンヌは面倒さを隠そうともせず、自らの剣を彼女の喉元につきつける。

 

 

「…ジャンヌ・ダルク。祖国を救っても祖国に裏切られ殺された、哀れな女」

「っ」

「救われた方はいいでしょう…ですが火刑に処された当人はどう思うか。貴女には分かるとでも?」

 

 

その言葉の節々にあるのは、憎しみ。

祖国に裏切られたという、怒り。

けれどおそらく、その奥底にあるのは。

 

 

「…ジャンヌ」

 

 

声をかける。

 

 

「剣を退いてもらえるか」

「…よいのですか?いずれ貴方に害を成すかと思いますが」

「その時はジャンヌが助けてくれると信じてのことだが」

 

 

こちらの言葉に一瞬虚を突かれたような顔になりつつも、ジャンヌはやれやれといった感じで。

 

 

「ふん…」

 

 

所長を一瞥して剣をしまう。

 

 

「なんで、なんでわたしばっかり…誰も助けてくれない……助けてよ、レフ…!」

 

 

泣きそうな声でそう呟く所長。

ジャンヌはそちらには目をくれずに。

 

 

「…マスター」

「ジャンヌ?」

「…警戒なさい。あの女に剣を突き付けた時の感覚が…妙です」

「妙?」

「剣先で彼女の喉に触れました。その感覚があまりに少ない。まるで空を切ったよう。それに……」

 

 

ジャンヌは振り返り、所長を見る。

視線の先は、ジャンヌが剣を突き付けた先。

 

 

「……なるほど」

 

 

その視線の先を追い、納得する。

傷が、ない(・・・・・)

 

 

「魔術で治療した可能性は?」

 

 

魔術や魔法というものが漫画の知識しかなければそんな発想も浮かぶ。

それに対し。

 

 

「…えぇ、可能性はあるでしょうけど。そもそも魔術は精神的な集中力を要するもの。あの状態ではどうでしょうね」

 

 

見た感じ、感情の起伏が激しいように見えるのは、性格的なものか、または別のものか。

いずれにせよ、精神集中ができる状態には見えない。

 

 

「あの状態でも魔術を扱えるほどの実力があるのか、あるいは……」

「……」

「…私は伝えました。これを聞いてどうするかはマスター、貴方に任せます」

 

 

会話を終えるころ。

 

 

「…なになに、何の話?」

 

 

藤丸が近づいて声をかけてくる。

 

 

「何でもありませんし、貴女達には関係のないことです」

 

 

するとジャンヌは適当に突き返し、藤丸から離れるようにこちらの背後に立つ。

貴女達、と表現したのはマシュもいたから、だろう。

主従的な立ち位置といえばそれまでなのだろうが。

 

 

「私って…嫌われてる?」

「…初対面だからでは?」

 

 

彼女の性格から察するに、初対面でいきなり打ち解けるのは難しいだろう。

その事を言うと藤丸も納得したようではあるが、そこでふと疑問に思う。

 

 

―召喚した時のジャンヌはどうだったか。

 

―剣を突き付けられこそしたが、何かに気付いた様子を見せた後は、普通に打ち解けて話をした。

 

―何に、気付いたのか。

 

 

今はまだ、分からないことばかり。

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