FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
分からないことといえば、そもそもこの状況である。
そもそもなぜ俺は、ここにいるのか。
「………」
そもそも、友人の強い勧めで、ただスマホゲームをインストールして起動しただけ。
それなりに名の知れたスマホゲーム。
Fate/Grand Order、通称FGO。
画面を見ながらプレイするはずが、今はどうだ。
プレイしていないから確信はないが、ここはゲームで実際に出てくる場所なのだろう。
だとしても、である。
FGOはVRの類だっただろうか。
「……」
いや、違う。
俺が知っているのではなく、友人が知っている。
たまにゲーム画面を見せてもらって…違う、見せつけられていた。
だからこそ、分かるのだ。
FGOはVRではない、通常のスマホRPG。
360度見回せることは絶対にない。
だが、俺は確かに見た。
この街も。
カルデアも。
それは、
何故、ゲームの世界を歩けているのか。
可能性としては。
―夢を、見ているのか。
可能性としては否定できない。
というより、現実だといわれるほうがよっぽど信用できない。
それならすべてが説明がつくが、それでいいのだろうか。
そして、もう一つ気になるのは。
「…」
「?」
視線を向けた先は、ジャンヌ。
こちらの視線に気づいたか、こちらを見返してくるが、特段声をかけてくることはなかった。
ジャンヌから視線を外す。
気になるのは、ジャンヌを含めた、登場人物の存在であった。
彼女がFGOに登場するというのは知っていた。
しかし、彼女の性格や生い立ちまで知っていたわけではない。
にも
事前調査をしたはしたが、あくまで登場人物のみである。
一人一人の性格まで調べたわけではないし、全てを調べ切ったわけではない。
すなわち。
藤丸については性格、ドクターや所長に至っては
もしFGOに当該キャラが存在するのなら、夢であるということができない。
いくら夢であっても、知らないものが出てくるとは考えにくい。
「…ょっと」
―だとすれば、これは現実…という可能性を否定できない。
―だとすれば、ここでの行動次第では、本当に人理が崩壊するかもしれない。
―あるいは、命を落とすことも、否定できな……
「…マスター!」
「っ!?」
少し大きい声を掛けられ、驚いて思考を中断する。
気づけば、目の前にジャンヌの顔。
ジャンヌの両手がこちらの両肩に置かれており、余程強く呼びかけてきていたであろうことが推測できた。
「…ジャンヌ?」
「どうしたのよ、こっち見たと思ったらボーっとして。どれだけ呼びかけたと」
「……すまない、考え事を」
謝ると、ジャンヌは溜息一つ。
「考え事をするなとは言いませんが、場所は考えるべきですね。ここは戦場…下手をすれば命を落とすのですから」
「…そうだな」
「ま、私がいる以上、そんな事にはならないでしょうけどね」
得意げなジャンヌ。
まぁ、先の戦いぶりを見れば分からなくもないが。
「……驕りや油断も危険だとは思うが」
「分かってますよーだ」
指摘をすると、面白くなさそうに返すジャンヌに笑みが零れる。
―まぁ、どうせ今は結論は出せない。
―だったら、今出来ることをするしかない。
「…大丈夫なのですか?」
「あぁ。考え事は終わりだ……方針を決めて、行動に移す。頼むぞ、ジャンヌ」
「分かりました。行きましょう…マスター」
いつの間にか距離が開いていた藤丸、マシュ、所長のいる場所に。
ジャンヌと共に向かう。
なんにせよ。
これが、VRゲームであろうと。
これが、夢であろうと。
―たとえ、現実であろうと。
―今、すべき事は何か。
「……」
なんであろうと、ここはFGOの世界であり、自分の周りにいる者は全てが
一方で、自分はそれを外から見る
それは、決して揺るがない。
であるのなら自分がすべきは、物語を進める手伝い。
―あくまで傍観者として。
―物語に介入することは許されない。
今は自分をマスターとして従ってくれているジャンヌも当事者。
ならばいずれは自分は身を引かなければならない。
おそらくは、藤丸が物語の主人公。
であるのならば、マシュだけでなくジャンヌもまた、
契約の解除方法をあとでドクターあたりに聞くとしよう。
今すぐか、それともしばらく後かは分からない。
しかし、これは定められた
―これは、ここにいる
―いずれ、ここにいる者たちとの別れが来ることは、避けられない。