FGO ~ Loopback Against the Order ~   作:アルタナ

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接敵 - I

ジャンヌと共に、藤丸、マシュ、所長と合流し、五人。

燃える街の中を慎重に、けれど特異点修復を行うためにできるだけ迅速な行動。

すると。

 

 

「…止まって、マスター」

 

 

ジャンヌが手に持っていた旗を前に出し、こちらが前に進むのを止める。

そこから少し遅れて。

 

 

「っ!」

 

 

前を進むマシュが止まり、藤丸、所長も止まる。

二人が感じた、気配。

その正体より先に現れたのは。

 

 

「……鎖?」

 

 

藤丸が疑問に思い近づき、手を伸ばす。

 

 

「…駄目、触らないで!」

「え?」

 

 

咄嗟にそれを止めたのは、彼女の近くにいた所長。

言われ、藤丸が止まった瞬間、鎖はひとりでに暴れだす。

 

 

「っ!?」

 

 

突然の事に藤丸はその場で倒れこんでしまう。

そんな彼女に襲い掛かるかのように鎖は伸びるが。

 

 

「っさせません!」

 

 

マシュが手に持った大きな盾でそれを弾く。

結果として事なきを得た藤丸だったが、鎖はそれだけでは止まらず。

 

 

「ちっ…!」

 

 

鎖はこちらにも襲い掛かる。

 

 

「っ…避けなさい!」

 

 

所長の咄嗟の指示が出るが、こちとら一般人である。

そんな身のこなしが咄嗟に出るわけもない。

しかし。

 

 

「その必要はありません、マスター。何故なら」

 

 

ジャンヌの声。

同時に、鎖が炎に包まれ、その場に焼け落ちる。

金属が焼け落ちる、というのはどれだけの温度なのだろう、なんてことを考えたりしたが。

 

 

「…貴方は、私が守ると言ったはずです」

 

 

そこには、剣の切っ先を鎖があった方に向けるジャンヌの姿。

やがて、鎖の焼失を確認して剣を下ろすが、警戒のためかこちらに近づいて控える。

そんなジャンヌの視線は一点を見つめていた。

その先を藤丸たちも追う。

そこには。

 

 

「あれは…」

「っサーヴァントです!」

 

 

皆が警戒する。

先程の鎖を見て、それを味方と思える思考の持ち主はさすがにいなかった。

 

 

「…ここにいなさい、マスター」

「ジャンヌ?」

 

 

ジャンヌの言葉に問い返すが、もうそこにジャンヌの姿はない。

どこに行ったか探している間に。

 

 

「がああぁぁっ!!」

 

 

突然の断末魔。

そちらを見れば、剣を振りぬいたジャンヌの姿。

その先では血を吹き出し、左肩を落とし、血を噴出したサーヴァントの姿があった。

 

 

「なっ…」

 

 

誰が驚いたか、そんな声を漏らしている。

けれど、突然の事に、こちら側は誰も動けない。

 

 

「き、さま…!」

 

 

切り落とされた左肩の出血を右手で庇いながらジャンヌを睨みつけている。

けれど、それを意に介する様子もなく。

 

 

「……」

 

 

ジャンヌは一言も発せず、次は右肩。

 

 

「ひ、ぎゃあぁぁっ!」

 

 

まるで、もともと外れるようになっていた模型の部品を外すように、いとも容易く。

ジャンヌは関節を切断していく。

 

 

「くっ……!」

 

 

一度体勢を立て直そうとしたのか、サーヴァントはバックステップで下がる。

その下がり方も、サーヴァントだからなのか、常人の跳躍ではないほど一気に移動する。

しかし。

 

 

「…どこへ行くんですか?」

「ひっ…!」

 

 

まるで、どこに行くのかすらわかっていたかのように。

ジャンヌは少しも距離を離されることなく相手についていく。

跳躍して、着地するまでの間に。

 

 

「どうやら手癖だけでなく、足癖も悪いようで……面倒ですね」

 

 

空中だからなのか、それとも敢えてか。

ジャンヌは大振りで剣を振りぬき、相手の両脚を落とす。

 

 

「あ、ぐ……!」

 

 

両肩、両足を落とされ、地面に仰向けに落ちた姿はさながら赤子のようで。

 

 

「さぁ」

 

 

ジャンヌは相手に覆い被さるように着地し、その剣を地面に突き立てる。

その表情はこちらからは窺えないが。

 

 

「報復と参りましょうか?」

「ひっ!?」

 

 

相手のサーヴァントの悲鳴のようなものを聞く限り、どうやら恐怖を感じる表情のようで。

 

 

「な、んで…私が何をしたって……!」

 

 

命乞いとも取れる言い訳をする。

その言葉に。

 

 

「なぜ、何故、と言いましたか?あ、あは、あははははははっ!」

 

 

ジャンヌは、嗤う。

そんなこともわからないのか、と言わんばかりに。

 

 

「簡単なことです。貴方は私のマスターに手を出そうとした」

「っ」

 

 

確かにその通りであり、反論の余地はない。

けれど、ジャンヌが止めたとはいえ、一切の実害はない。

その報復がこれは、酷すぎるのではないか。

それは相手のサーヴァントに限らず、そう思っても仕方がない気がする。

 

 

「だから、私はあなたを処す。ただ消滅した方がよかったと思える方法で、二度とこんな事をしないように…その魂に刻み付けるために……!」

 

 

言いながら、ジャンヌは剣を振り上げる。

もはや、サーヴァントに一切抵抗の意思はないことは明らかだが。

 

 

「あ、あは、ははははははははははは!!!!」

 

 

振り上げた剣を、何度も、何度も。

 

 

「あ、がっ、は…が、あ゛……!」

 

 

サーヴァントがどれだけ断末魔を上げ、剣が声帯と思わしき場所に刺さったのか、声を出せなくなったとしても。

ジャンヌは何度も何度も、突き刺した。

 

 

「はははははは…!!!」

 

 

そのあまりに一方的なやり方に。

 

 

「何、何なのよあのサーヴァントは……っ!」

 

 

所長が恐怖からかそんな風に言葉を漏らす。

藤丸やマシュも、何も言いはしないが、どう思っているかは何となく表情でわかる。

 

 

「……」

 

 

ジャンヌ・ダルク・オルタは復讐者。

常に胸の内に復讐の炎を燃やし続けている。

それが表に出れば、あのようになってしまうのだろう。

 

 

「……燃えなさい」

 

 

ひとしきり突き刺した後に、ジャンヌはサーヴァントに炎の攻撃を浴びせ、燃やし尽くす。

 

 

「サーヴァント、消滅しました…」

 

 

マシュがぽつり、と呟く。

 

 

「…」

 

 

ジャンヌは軽く剣を振って血を落とし、納刀する。

振り返って、こちらに歩いてくるジャンヌの服や頬には、返り血が生々しく残っていたが、それを気にすることはなかった。

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