FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
ジャンヌはこちらに近づき。
「戦闘終了です、マスター」
「あぁ…」
そう言って、また、控える。
そんなジャンヌに。
「あの、ジャンヌ…さん」
藤丸が声をかける。
どこか、恐る恐る、といった感じで。
「何か?」
「…あそこまで、しなくてもよかったんじゃ」
それは、マシュ、所長を含めての総意、かもしれない。
ジャンヌはそんな恐る恐るな藤丸に対し。
「……私は私の行動理由に従っただけです」
「行動…理由?」
「マスターの安全を守る。それが行動理由であり、絶対的に私が守るべき事。それを少しでも阻害するのであれば、私は容赦はしない」
ジャンヌははっきり言いきり、藤丸に嘲笑しながら。
「…それとも、貴女はあれと仲良しごっこでもしたかったんですか?自分を殺そうとした相手と?…お優しいことですねぇ?」
「そ、んなこと…!」
こちらとしては、藤丸と合流する前の道中で何度かジャンヌの戦い方を見ていたので、実をいうとそれほどショックはない。
しかし、いきなり、あそこまで見せられれば驚くかもしれない。
とはいえ、先程のサーヴァントは倒さなければならなかったのも事実。
「……ジャンヌ・ダルク・オルタ。先程の戦いぶり、見事でした。今後もマスターと共に、調査への協力を依頼します」
そのこともあってか、本当は一言言いたいこともあったかもしれないが、所長は感情を抑え込み、そう、言葉にする。
しかし、ジャンヌは一瞥し。
「貴女の指示に従うつもりはありません。私の全ては、マスターと共にあるのですから」
「…そう。なら…貴方にも。これからの協力も依頼します。いいかしら?」
「あぁ」
ジャンヌは所長の言葉を一蹴するが、こちらが従う意を示すと。
「であれば、私に異存はありません」
ジャンヌもそれに従うのだった。
「…ジャンヌ、さん」
会話が終わった頃合いを見計らってか、藤丸が再度声をかける。
「その…ありがとう」
「…それは何に対しての礼ですか」
「助けて、くれて……かな」
「別に貴女の為ではありません」
そんな会話を交わす藤丸とジャンヌ。
後々のことを考えると、もう少し打ち解けてほしいものだが。
「……」
どうにも、ジャンヌは俺以外に対する対応が素っ気ない。
敢えて表現するなら心の壁、とでもいうべきだろうか。
それが、俺以外に対しては妙に厚い。
「…あの、私からも…ありがとうございました」
「……ふん」
マシュからのお礼にも、ジャンヌは素っ気ない。
それは、気にしなくていい、というよりも、どうでもいい、と思っているように見える。
「…マスター」
「?」
「怖いですか?…私が」
そう問うてくるジャンヌは、僅かに不安げな表情。
他にもその顔を見せてやればいいのに、とは思うが、それはジャンヌ自身が決めることである。
いずれは自分の意志で打ち解けてほしいと思うので、口出しはしない。
口出しはしないが。
「…問題ない」
「そう…ならいいのですが」
「ただ…」
懐から何か拭くもの、と思い、ハンカチが入っていたので取り出し。
「…返り血くらい拭いた方がいい」
ハンカチ越しにジャンヌの頬に触れる。
ただ拭くだけのつもりだったが。
「っ!!?」
ハンカチ越しに触れた瞬間、ジャンヌの体が固まったかのように固くなる。
拭きやすくていいのだが、女性に触れるというのは緊張するものである。
やがて手を放すが。
「……ありがとう、マスター」
「いや…このくらいは」
さっきの殺伐とした雰囲気は何処へやら。
向かい合うも互いに視線を地面に落とし、顔を見ることができない。
そんな事をしていると。
「おーおー、初々しいこって。羨ましいねぇ?」
どこからか聞こえる第三者の声。
声をした先を見れば。
「新手…!?二人とも、構えて!」
所長が即座に反応する。
指示を受け、藤丸とマシュ、加えてこちらもジャンヌと構える。
「おっと…こっちは事を構えるつもりはねぇ。できれば警戒を解いてもらいたいんだがね?」
青を基調としてフードを被った人影が両手を挙げながら、こちらを見ていた。