FGO ~ Loopback Against the Order ~   作:アルタナ

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決戦/戦場 - II

そうして、キャスターが示した洞窟を抜けた先の開けた空間で。

 

 

「…来たか」

 

 

切り立った崖の麓にあたる場所で、一人の女性、サーヴァントの姿。

その姿は黒。

自らの剣を地面に突き立て、この地に辿り着いたこちらを、その鋭い視線で見据える。

 

 

「……ジャンヌ」

「えぇ」

 

 

ジャンヌに声をかけると、こちらの意図を汲み取ってか、自らの剣を抜き、その場から消える。

狙いは、先手必勝。

先のサーヴァント戦で見た彼女の素早さに賭けてのもの。

 

 

「っ!」

「遅い!」

 

 

ジャンヌを視認してセイバーは自らの剣で防御態勢をとるが、ジャンヌの速さ相手には間に合わず、攻撃を受け、セイバーは吹き飛ばされる。

辺りに砂塵が舞い、状況は見えない。

 

 

「っ…やったの!?」

 

 

所長が声を上げるが、砂塵が晴れなければこちらからは確認のしようがない。

ただ、砂塵の方向を見るくらいしかできない。

 

 

「……!」

 

 

少しして砂塵が晴れ始めたかと思いきや、突然突風のようなものが発生し、砂塵は一気に晴れる。

 

 

「…剣の腕で、剣士(セイバー)たる私に敵うと思ったか!」

「くっ……この…!」

 

 

セイバーはジャンヌの一撃に耐えるだけでなく、自らの剣を操り、反撃の構えを見せる。

ジャンヌの剣はセイバーのものに比べ細身で、セイバーの両手剣を押さえきるには心許ない。

さすがにジャンヌも体勢を立て直すべく後退する。

しかし。

 

 

「っ逃がすか!」

 

 

大剣を振るい、そこから生じた衝撃波がジャンヌに襲い掛かる。

後退して、地面から離れたことが災いし、衝撃波から逃れられず。

 

 

「くっ…!」

 

 

攻撃を受けながらも、ジャンヌは着地する。

そのままジャンヌは地面を蹴り、セイバーと距離を詰める。

 

 

「この…!」

 

 

ジャンヌは剣を振るうが、あっさりとセイバーの剣で押さえられる。

 

 

「二度も言わせるな。剣の腕で私に敵うと思うのか」

「…はっ」

 

 

セイバーの問いに、ジャンヌは不敵な笑みで返す。

 

 

「…そうね。剣の腕って意味では敵わないでしょうね、私はセイバーではありませんから」

 

 

ですが、とジャンヌは続ける。

すると、ジャンヌが言葉を続けるよりも早く。

 

 

「っ!」

 

 

セイバーが、文字通り、火に燃える。

 

 

復讐者(アヴェンジャー)たる私の復讐の業火に耐えられるものなら耐えてみなさいな。はははは!」

 

 

火柱は強く、セイバーの身体を燃やし尽くさんと燃え上がる。

その炎はセイバーに纏わりつくように燃え上がり。

 

 

「ぐ…!」

 

 

セイバーの身体に確かなダメージを残しているように見える。

それがセイバーにとってどの程度なのかはわからないが、少なくとも致命傷には見えない。

 

 

「……」

 

 

二人の戦い方を見る。

まず、双方において、互いの力はおそらく、そこまで変わらない。

だとすれば、その点で優位性を探すのは難しい。

それ以外を見る。

おそらくだが、セイバーはおそらくジャンヌよりも遅い。

ジャンヌが本気で翻弄すれば、それ自体は可能だろう。

ただその代わり、セイバーは防御力が高い。

先のサーヴァント戦で、サーヴァントを焼き尽くしたジャンヌの炎を受けてあれなのだから、ほぼ間違いない。

とはいえ、それが分かったところで。

 

 

「…所長」

 

 

何かが出来るわけでもない。

であるならば、何かが出来る者の意見を聞くしかない。

自分の考えを所長に伝えると。

 

 

「…そうね、彼女たちに関しては私も同じ印象だわ。それなりには状況を見る目はあるみたいね」

 

 

感心、感心、と所長は腕組みをしながら頷く。

 

 

「けど、それは一般的な戦場での見方。けどこれは…サーヴァント戦。他に見ることがあるわ」

「…それは」

 

 

所長に先を促す。

サーヴァント戦というものを分かりきっているわけではないので、そこは聞くしかない。

すると、所長はこちらを見据えて。

 

 

「…貴方(マスター)という存在。セイバーにはマスターがいないけど、ジャンヌにはマスターがいる。そこに意義を見出しなさい」

 

 

それこそが、サーヴァント戦を制する鍵よ。

そう、所長はこちらを指さしながら言う。

 

 

「意義…か」

 

 

傍観者たる俺に何ができるのか。

考える。

ふと、目に入るのは、いつかに教えてもらった、令呪。

これをどう使うか、ということだろうか。

そもそも、使うべき状況なのか。

それを見極めるため、戦場に目を向ける。

 

 

「……そろそろ終わらせるぞ」

「上等だわ」

 

 

二人のサーヴァントが構える。

これは。

 

 

「…っ下がりなさい、来るわよ!」

 

 

所長の警告。

それを受け、少しでも後ろに下がりながら、しかし目を離さず。

 

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!」

吠え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュ・ヘイン)!」

 

 

二人の宝具が炸裂し、互いのそれが正面からぶつかり、これまでで一番の衝撃。

そして、砂塵。

それらの勢いは凄まじく。

 

 

「ぐ、ぅ……!」

 

 

自らの身体が吹き飛ばされる。

その衝撃波に意識が飛びそうになるが、地面に叩きつけられる衝撃がそれを許さない。

 

 

「っ!マスター!」

 

 

地面に叩きつけられる音にジャンヌが気付き、セイバーに背を向けながらこっちに向かってくる。

 

 

「…ジャンヌ、俺はいい、後ろのセイバーを…ぐっ!」

 

 

ジャンヌを制止しながら立ち上がろうとするが、背中を強く打ったのか、うまく立ち上がれない。

それ以前に、こちらの制止を聞く気がないのか。

 

 

「っいいわけないでしょう!」

 

 

背を向け、自らの剣を鞘にしまってこちらを抱き上げる。

流石にサーヴァントだからか、あっさりとジャンヌに抱き上げられるが、問題はそこではない。

 

 

「隙を見せたな…マスターもろとも落ちるがいい!」

 

 

セイバーの斬撃による衝撃波がジャンヌの背に迫る。

 

 

「っジャンヌ・オルタ!避けて!」

 

 

所長が悲痛な声で呼びかける。

迫る衝撃波。

どこまで迫っているかは分からないが、所長の悲痛な声からすると、おそらく。

それでもジャンヌさえ耐えてくれれば、俺はいい。

そう、思っていたが。

 

 

「っマシュ!」

「はい!」

 

 

さっきまではその場にいなかった声が響く。

すると、ジャンヌの背のあたりに、大きな影が立ち塞がり、セイバーの攻撃を受け止める。

そんなことが出来るのは。

 

 

「やあぁぁぁっ!」

「っ!新手か!」

 

 

マシュが大きな盾を振るい、セイバーを後退させることで距離をとる。

マシュが警戒している間に。

 

 

「っ大丈夫、二人とも!?」

 

 

彼女のマスターである藤丸が駆け寄ってくる。

 

 

「…ジャンヌ」

「はい」

「一人で立てる。大丈夫だ」

「…」

 

 

なおも心配げなジャンヌから離れ、立ち上がる。

 

 

「…遅くなって、ごめん。それと…ジャンヌさん、ありがとう。それだけ言いたくて」

「……お礼を言われるようなことをしたつもりはありませんが」

「うん、ちょっと泣いたし。でも…ジャンヌさんの言葉のおかげで、立ち上がれたから」

 

 

藤丸が言い、ジャンヌにお礼を言うが、ジャンヌは視線を逸らす。

 

 

「二人とも、ぼーっとしてないで!戦いはまだ終わってないのよ!」

 

 

所長が呼びかける。

所長の言う通りで、セイバーはまだ健在である。

だとすれば。

 

 

「…俺が言える立場でもないが、気を抜くな。強いぞ」

「大丈夫、負けないから!」

 

 

藤丸はしっかりと前を。

マシュ達を見る。

 

 

「……」

 

 

こちらも、前を見る。

まだ、戦いは、終わっていないのだから。




【NGシーン】


邪ンヌ「復讐者(アヴェンジャー)たる私の復讐の業火に耐えられるものなら耐えてみなさいな。はははは!」

(炎が消えた後)

セイバー「……(髪の毛が燃え、パンチパーマ化。無表情」

マスター「…(笑い堪え中」

所長「っ……(笑い堪え中」

邪ンヌ「っ…あっはははは!あんた何その頭、あは、あはは!!(爆笑」

セイバー「貴様のせいだろう…!この緊迫した状況で…!(パンチパーマ」

マスター「っ…(笑い堪え中」

所長「くっ…(肩を震わせ」

セイバー「………もういろいろ台無しだな(呆れ+怒り」
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