FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
そうして、キャスターが示した洞窟を抜けた先の開けた空間で。
「…来たか」
切り立った崖の麓にあたる場所で、一人の女性、サーヴァントの姿。
その姿は黒。
自らの剣を地面に突き立て、この地に辿り着いたこちらを、その鋭い視線で見据える。
「……ジャンヌ」
「えぇ」
ジャンヌに声をかけると、こちらの意図を汲み取ってか、自らの剣を抜き、その場から消える。
狙いは、先手必勝。
先のサーヴァント戦で見た彼女の素早さに賭けてのもの。
「っ!」
「遅い!」
ジャンヌを視認してセイバーは自らの剣で防御態勢をとるが、ジャンヌの速さ相手には間に合わず、攻撃を受け、セイバーは吹き飛ばされる。
辺りに砂塵が舞い、状況は見えない。
「っ…やったの!?」
所長が声を上げるが、砂塵が晴れなければこちらからは確認のしようがない。
ただ、砂塵の方向を見るくらいしかできない。
「……!」
少しして砂塵が晴れ始めたかと思いきや、突然突風のようなものが発生し、砂塵は一気に晴れる。
「…剣の腕で、
「くっ……この…!」
セイバーはジャンヌの一撃に耐えるだけでなく、自らの剣を操り、反撃の構えを見せる。
ジャンヌの剣はセイバーのものに比べ細身で、セイバーの両手剣を押さえきるには心許ない。
さすがにジャンヌも体勢を立て直すべく後退する。
しかし。
「っ逃がすか!」
大剣を振るい、そこから生じた衝撃波がジャンヌに襲い掛かる。
後退して、地面から離れたことが災いし、衝撃波から逃れられず。
「くっ…!」
攻撃を受けながらも、ジャンヌは着地する。
そのままジャンヌは地面を蹴り、セイバーと距離を詰める。
「この…!」
ジャンヌは剣を振るうが、あっさりとセイバーの剣で押さえられる。
「二度も言わせるな。剣の腕で私に敵うと思うのか」
「…はっ」
セイバーの問いに、ジャンヌは不敵な笑みで返す。
「…そうね。剣の腕って意味では敵わないでしょうね、私はセイバーではありませんから」
ですが、とジャンヌは続ける。
すると、ジャンヌが言葉を続けるよりも早く。
「っ!」
セイバーが、文字通り、火に燃える。
「
火柱は強く、セイバーの身体を燃やし尽くさんと燃え上がる。
その炎はセイバーに纏わりつくように燃え上がり。
「ぐ…!」
セイバーの身体に確かなダメージを残しているように見える。
それがセイバーにとってどの程度なのかはわからないが、少なくとも致命傷には見えない。
「……」
二人の戦い方を見る。
まず、双方において、互いの力はおそらく、そこまで変わらない。
だとすれば、その点で優位性を探すのは難しい。
それ以外を見る。
おそらくだが、セイバーはおそらくジャンヌよりも遅い。
ジャンヌが本気で翻弄すれば、それ自体は可能だろう。
ただその代わり、セイバーは防御力が高い。
先のサーヴァント戦で、サーヴァントを焼き尽くしたジャンヌの炎を受けてあれなのだから、ほぼ間違いない。
とはいえ、それが分かったところで。
「…所長」
何かが出来るわけでもない。
であるならば、何かが出来る者の意見を聞くしかない。
自分の考えを所長に伝えると。
「…そうね、彼女たちに関しては私も同じ印象だわ。それなりには状況を見る目はあるみたいね」
感心、感心、と所長は腕組みをしながら頷く。
「けど、それは一般的な戦場での見方。けどこれは…サーヴァント戦。他に見ることがあるわ」
「…それは」
所長に先を促す。
サーヴァント戦というものを分かりきっているわけではないので、そこは聞くしかない。
すると、所長はこちらを見据えて。
「…
それこそが、サーヴァント戦を制する鍵よ。
そう、所長はこちらを指さしながら言う。
「意義…か」
傍観者たる俺に何ができるのか。
考える。
ふと、目に入るのは、いつかに教えてもらった、令呪。
これをどう使うか、ということだろうか。
そもそも、使うべき状況なのか。
それを見極めるため、戦場に目を向ける。
「……そろそろ終わらせるぞ」
「上等だわ」
二人のサーヴァントが構える。
これは。
「…っ下がりなさい、来るわよ!」
所長の警告。
それを受け、少しでも後ろに下がりながら、しかし目を離さず。
「
「
二人の宝具が炸裂し、互いのそれが正面からぶつかり、これまでで一番の衝撃。
そして、砂塵。
それらの勢いは凄まじく。
「ぐ、ぅ……!」
自らの身体が吹き飛ばされる。
その衝撃波に意識が飛びそうになるが、地面に叩きつけられる衝撃がそれを許さない。
「っ!マスター!」
地面に叩きつけられる音にジャンヌが気付き、セイバーに背を向けながらこっちに向かってくる。
「…ジャンヌ、俺はいい、後ろのセイバーを…ぐっ!」
ジャンヌを制止しながら立ち上がろうとするが、背中を強く打ったのか、うまく立ち上がれない。
それ以前に、こちらの制止を聞く気がないのか。
「っいいわけないでしょう!」
背を向け、自らの剣を鞘にしまってこちらを抱き上げる。
流石にサーヴァントだからか、あっさりとジャンヌに抱き上げられるが、問題はそこではない。
「隙を見せたな…マスターもろとも落ちるがいい!」
セイバーの斬撃による衝撃波がジャンヌの背に迫る。
「っジャンヌ・オルタ!避けて!」
所長が悲痛な声で呼びかける。
迫る衝撃波。
どこまで迫っているかは分からないが、所長の悲痛な声からすると、おそらく。
それでもジャンヌさえ耐えてくれれば、俺はいい。
そう、思っていたが。
「っマシュ!」
「はい!」
さっきまではその場にいなかった声が響く。
すると、ジャンヌの背のあたりに、大きな影が立ち塞がり、セイバーの攻撃を受け止める。
そんなことが出来るのは。
「やあぁぁぁっ!」
「っ!新手か!」
マシュが大きな盾を振るい、セイバーを後退させることで距離をとる。
マシュが警戒している間に。
「っ大丈夫、二人とも!?」
彼女のマスターである藤丸が駆け寄ってくる。
「…ジャンヌ」
「はい」
「一人で立てる。大丈夫だ」
「…」
なおも心配げなジャンヌから離れ、立ち上がる。
「…遅くなって、ごめん。それと…ジャンヌさん、ありがとう。それだけ言いたくて」
「……お礼を言われるようなことをしたつもりはありませんが」
「うん、ちょっと泣いたし。でも…ジャンヌさんの言葉のおかげで、立ち上がれたから」
藤丸が言い、ジャンヌにお礼を言うが、ジャンヌは視線を逸らす。
「二人とも、ぼーっとしてないで!戦いはまだ終わってないのよ!」
所長が呼びかける。
所長の言う通りで、セイバーはまだ健在である。
だとすれば。
「…俺が言える立場でもないが、気を抜くな。強いぞ」
「大丈夫、負けないから!」
藤丸はしっかりと前を。
マシュ達を見る。
「……」
こちらも、前を見る。
まだ、戦いは、終わっていないのだから。
【NGシーン】
邪ンヌ「
(炎が消えた後)
セイバー「……(髪の毛が燃え、パンチパーマ化。無表情」
マスター「…(笑い堪え中」
所長「っ……(笑い堪え中」
邪ンヌ「っ…あっはははは!あんた何その頭、あは、あはは!!(爆笑」
セイバー「貴様のせいだろう…!この緊迫した状況で…!(パンチパーマ」
マスター「っ…(笑い堪え中」
所長「くっ…(肩を震わせ」
セイバー「………もういろいろ台無しだな(呆れ+怒り」