FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
ジャンヌは剣を、マシュは盾を構える。
「…いいだろう、盾の娘。その盾の守りが十分なものか、試してやろう!」
後から現れたマシュに興味を持ったか、セイバーはマシュに対して剣を構える。
合わせるようにマシュは盾を構える。
藤丸はマシュを信頼しているのか、マシュの後ろで彼女を支えるようにしている。
「ふん」
ジャンヌはマシュの盾で守られる範囲から外れ、セイバーの隙を窺っているのか、警戒を続けている。
「せぇいっ!」
セイバーが剣を振り下ろすと、衝撃波がマシュを襲う。
「ぐっ…!」
マシュは衝撃波を何とか受け止めるが、彼女自身の踏ん張りが弱かったのか、少しばかり後ろに押されていた。
その後も剣撃は止まずにマシュを襲い続ける。
「どうした、その程度で私を止めるつもりなのか?」
「っ…くっ……!」
それでも盾の力そのものは十分なものだったのか、攻撃は完全に防ぎきっていた。
「……」
その間に、ジャンヌに視線を送る。
無言で、ただしっかりと。
「…」
ジャンヌはこちらを見て、一つ頷く。
意思が伝わったかどうかは分からないが、頷いてくれた。
向こうは任せても大丈夫だろう。
「…盾を持ち、守らんとする娘。我が攻撃、見事耐えきって見せよ!」
セイバーが魔力を集め、剣を振り上げて構える。
この構えは、先ほど見た。
そして、素人であっても見えるレベルの魔力の集約。
これは。
「…
セイバーの宝具。
「っ…く……!」
先程よりも強い攻撃に、マシュは更に盾を持つ手に力を籠める。
それでもさすがに、セイバーの力が強く、押し切られそうにふらつき出すが。
「…マシュ!」
藤丸はマシュに駆け寄り、自身の手をマシュの手に。
それはまるで、二人で受け切らんとするかのように。
「っ…!」
そして、二人の魔力に呼応するかのように、マシュの盾を中心に城壁のような守りが展開する。
「これは…!」
「マシュの、宝具…!」
俺の声に、所長が続くように、驚いた様子で続く。
マシュが秘めていた力、ということだろうか。
先程よりも強固な守りが、セイバーの宝具を圧倒するかのように防ぎきる。
「……」
セイバーはというと、防ぎきられる事を分かっていたかのように、驚くこともなく、ただ一点、マシュを見つめる。
一方のマシュは、限界が近いのか息が上がっている。
「……次はないぞ、盾の娘」
セイバーは一つも息が上がっていないかのように剣を振り上げる。
これ以上は、と誰もが考えた瞬間。
「次がないのは、どっちかしらね」
セイバーが慌てて振り返る。
そこには、ジャンヌが肉薄しており、自らが持つ剣を以って。
「……
ジャンヌは宝具を発動する構えを見せていた。
慌ててセイバーは対応するために剣を構えようとするが。
「
ジャンヌの方が一歩早く、セイバーは守り切れずに宝具をまともに受けてしまう。
地を這う憎悪の炎が、セイバーを呑み込む。
その衝撃は、この場の誰をも巻き込みかねないほどのものであったが。
「…なるほど。運命をも焼き尽くす炎に焼かれる結末、とはな」
セイバーは自らの剣の構えを解きながら、そう呟く。
その足元からは、光が昇り始めている。
「…勝利ね」
所長が呟くように言う。
「……結局は同じ末路を迎えるか」
嘲笑をするかのように笑いながら言うセイバー。
「精々足掻くがいい。どうせお前が一人どう足掻いても、運命はそう簡単には変えられまい」
「…あんたに言われなくても分かってるわよ。痛いほどにね」
セイバーの言葉にジャンヌが返す。
何の話をしているのかはよく分からないが。
「けど、それでも私は、結末を変えるためにここにいる。たとえ結末が同じであろうと、足掻き続けたうえで消える結末を選んでやるわ」
「……勝手にするがいい。それと」
セイバーはジャンヌからマシュに視線を向ける。
…いや、こちらに向いているのか。
「この女のマスター。お前は、いつまで傍観者でいるつもりだ?」
セイバーは何かを見透かしたかのように、そう問いかけてくる。
「お前が傍観者でいられる時は終わった。お前がいることで、運命は少しずつ動き始めている……今のままでは、向かう先は悲劇だろうがな」
「何を言って…」
「忘れるな…本気で抗う意思がなければ、世界はいずれお前を殺す」
俺は、傍観者のはずだ。
ここはゲームの世界で、俺は登場人物ですらなくて、目を覚ませば今まで通りの生活が待っている。
そんな人生のはず。
「…マスター!」
ジャンヌに呼び掛けられる。
こういうときは、ちゃん付けはしないんだな。
「あいつの言葉に耳を貸す必要はないわ。マスターは私が守る…悲劇になんて、向かわせないから」
その為に、私はここにいる。
ジャンヌはそう言った。
「…同じ末路ってどういう事だ、セイバーさんよ」
そう言いながら現れた第三者は。
「っキャスター!」
「よ、マスター。ちゃんと勝ってきたぜ」
藤丸に笑顔で返したのはキャスターだった。
そのやりとりを、セイバーは意に留めず。
「…アイルランドの光の御子か。いずれ貴方にもわかることだ」
グランドオーダー。
セイバーは確かにそう言った。
所長が何か驚いた様子を見せているが、どうして驚いているかまでは、俺には分からない。
「聖杯を巡る戦いは、まだ始まったばかりだということを」
言いながら、セイバーは消滅した。
それに続くように。
「…俺も、ここまでだな」
キャスターの体も光に包まれ始める。
「キャスター!」
「…後は任せたぜ」
「うん、色々、ありがとう!」
「おうよ。次があればそんときゃランサーとして喚んでくれ」
それだけ言い残し、キャスターも消滅した。
「セイバー、キャスター、共に消滅を確認。戦闘終了です」
マシュの確認するような言葉。
それが、この戦いの終わりを意味していた。