FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
励みになっております。
その後、管制室に、俺とジャンヌは共にいた。
なぜここにいるかというと、単純に所長からマスター二名の呼び出しがあったからである。
要は業務命令といったところだろう。
「…あれ?」
マスターということで同じく呼び出された藤丸が、ジャンヌを見て疑問の声を上げる。
「…何」
ジャンヌが藤丸の視線に気づき、面倒そうに尋ねる。
その視線に少しばかり申し訳なさそうにしながら。
「いや…ジャンヌさんって、髪…長かったっけ?それに服装も…」
冬木の時は髪は肩程度で、服装も全体的に黒の鎧やらをつけていたが、今は長髪で、服装も黒だけでなく紫も混じった、見ようによってはドレスにも見える服装になっていた。
それでも藤丸がジャンヌを認識できたのは、その雰囲気やらを感じ取ったからか。
その様子を見て。
「…霊基再臨ね。サーヴァントの持つ能力の解放で、その影響で彼女のように姿を変えることもある」
所長がそう結論付ける。
そして、所長は軽くこちらを睨み。
「けどそれは、特殊な素材を使わない限り、マスターとの魔力パスを繋いで、強い魔力を供給する必要があるわけだけど」
まぁ、そういう話にはなるわけで、そんな特殊な素材があるわけないのは言うまでもないし、そのことをこちらは知らなかったわけで。
となれば、所長はおそらく俺とジャンヌが何をしたかも、おそらく想像がついているのだろう。
やや頬を赤く染めながら。
「…したの?」
ジャンヌに所長が尋ねると、さすがにジャンヌも恥ずかしさが勝ったのか。
「……えぇ」
頬を染めて視線をそらしながら、一言だけ返した。
その様子に所長は何を想像したか、やはり視線をそらした。
その様子に。
「え?何?」
何が何やらといった感じの藤丸だが。
「…マスター、マスター」
「?」
マシュが藤丸の袖を引き、何かを耳打ちする。
その内容は聞き取れないが、耳打ちをされながら。
「……!」
徐々に藤丸の頬が赤くなっていく。
やがて、説明が終わり、マシュが藤丸から離れると。
「っ…」
俯いてしまった。
「……」
他のスタッフも聞き耳を立てていたのか、それとも別の理由か作業の手が止まっていたりで、微妙な空気になっている。
まぁ、女性が好き好んでする話題ではないだろうということは流石にわかる。
「…ま、まぁそれはそれとして」
それでも、所長はさすがに公私のけじめをつけるべきとしたのか、咳払いを一つして話を続ける。
「今回呼んだのは、二人に英霊召喚をしてもらうためです」
「…英霊召喚?」
所長の言葉に藤丸は鸚鵡返しで尋ねる。
俺は尋ねなかった。
おそらく、ジャンヌを喚んだときのあれのことだろう。
「まぁ、貴方はジャンヌがいるから知っていますね。英霊召喚は…」
そうして、一通り説明を行う所長。
「…つまり、縁のあるサーヴァントを呼び出すってことですね」
「そういうことよ」
それを一言で纏めた藤丸に、一言で纏められて何か言いたそうだったがそれ以上は言わない所長。
「召喚に必要な石ですが、一度に三つ必要です。今手元にあるのは九つなので三回分ですが…」
手元に石を用意し、こちらに視線を配る所長。
マスター二人に対し三回分。
つまり、どちらかが一回で、一方が二回。
単純に呼び出せる回数が異なるので、マスター間の戦力差が生じる懸念を感じているのだろう。
「……そういうことなら」
俺は藤丸に向き直り。
「藤丸が二度引けばいい」
「え?でも…」
意見を言うと、藤丸は流石に申し訳なさそうになる。
まぁ同じ立場であれば俺も同じだとは思うが。
「私もそのつもりでいたわ」
俺の意見に、所長が同意する。
「藤丸とマシュが契約できているのは分かっているけど、ジャンヌ・ダルク・オルタと違うのは純粋なサーヴァントでないこと。特異点で何かあった場合、マシュ自身の身の危険も考えられる以上、藤丸がより多くのサーヴァントを契約すべきだわ」
ジャンヌとマシュの違いを取り、そう薦めると、納得がいったのかいってないのかは分からないが。
「…いいの?」
藤丸がこちらに確認してくる。
それに俺は頷き。
「あぁ。ジャンヌがいるから問題ない」
「…私は必ず、彼を守り通すわ」
そう答え、ジャンヌもそれに同意する。
「そっか。信頼してるんだね、ジャンヌさんのこと」
「…まぁ、そうなるか」
信頼という意味では間違いなくしているし、それ以上の想いがないわけでもないのだが、敢えて言葉を濁す。
面と向かって言われれば流石に恥ずかしい。
「…ありがと」
「礼を言うことでもあるまい」
「それでもだよ」
そんな言葉を交わし、藤丸は所長に向き直る。
それに合わせてこちらも向き直り。
「…何なら、藤丸に三度譲ってもいい気もするが」
「それは流石に許可できないわ。いくら強力なサーヴァントとはいえ、一騎では万が一というものがあります」
それもそうか。
「…分かった、なら俺は一度か」
「私は二度ですね。ありがとうございます」
そんな感じで、俺と藤丸は召喚に臨むこととなった。