FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
そうして、召喚用の石を手渡される。
手元には三つの石。
藤丸は六つ手渡されているのだろう。
「…藤丸からいっていいんじゃないか?」
「私から?」
「あぁ」
「…うん、じゃあ遠慮なく」
何だかんだ楽しみだったのか、やり方を教わり、石を三つ使って召喚を開始する。
その光は、ジャンヌを呼んだ時と同じくらい眩いもので。
「っ…」
やがて、光が収まると。
「…お?誰に呼ばれたかと思えば」
その話しぶりは、冬木で会ったキャスターのようだが、持っているのは杖ではなく槍。
服装も動きやすそうな感じになっており。
「キャスター!」
「せめてランサーって呼んでくれや。改めて…よろしくな、マスター」
「あ、ごめん。それとよろしくね…ランサー!」
「おうよ!」
笑顔で会話を交わす藤丸とランサー。
馴染みがあるからか、打ち解けるのも早く、握手を交わしていた。
「じゃあ、もう一回…!」
藤丸は再度石を三つ使う。
すると、先ほどと同じように眩い光が発生し、それが収まると。
「…召喚に応じ参上した。貴女が私のマスターか?」
そこにいたのは、冬木で会ったセイバーとよく似た女性。
しかし、冬木の時のように禍々しい空気がなく、むしろ逆の雰囲気すらある。
「……」
藤丸はというと、若干ぽかんとしているように見える。
冬木で敵対した印象が強すぎるのかもしれない。
「…?マスター、ですよね?」
「へ、あ、うん…よろしく、セイバー…でいいのかな」
「はい。事情はおおよそ承知しています。共に世界を救いましょう、マスター」
「…はい!」
セイバーとも握手を交わす藤丸。
先に召喚されたランサーと共に、マスターである藤丸の傍に控える。
複数のサーヴァントを従えているというだけで、それなりの風格があるように見えるのは、サーヴァントがそれだけの存在、ということなのだろう。
「…藤丸は終わったわね。次は貴方よ」
「ん」
所長の言葉に頷き、前に出る。
手元には三つの石。
「…」
ちら、とジャンヌを見やる。
ジャンヌはこちらの視線に気づいてか、軽く頷く。
それに俺も頷いて返し、前を見やる。
「…いくか」
そうして、石を三つ使い、召喚を開始する。
先ほどと同じように眩い光。
藤丸の時、あるいはジャンヌの時と同じ光。
やがて、この光が収まれば、サーヴァントが召喚される。
「っ…!?」
すると、明らかに先ほどとは違う挙動。
収まるどころか光は一層強くなり、暴風が発生する。
「っ…下がりなさい!召喚システムの様子がおかしいわ!」
所長が指示を飛ばし、皆が距離をとる。
「…オルガマリー所長。これは」
「分からないわ。こんなの見たことない…何が起こるかも分からないわ。場合によってはサーヴァントも警戒を」
言われ、ジャンヌだけでなく、ランサー改めクー・フーリン、セイバー改めアルトリアも警戒態勢をとる。
マシュはデミ・サーヴァントであり人の身でもあるということで退避側に回る。
「…」
とはいえ、やがて光は収まり、所長が恐れた事態は発生せず。
そこには、サーヴァントであろう影がある。
しかし、暴風によって巻き上げられた埃のせいで姿がぼやけていた。
「…懐かしい魔力の流れを感じたので、割り込ませてもらいましたが」
カツ、カツと靴の音を立てながら人影がこちらに近づいてくる。
「なるほど…道理で」
「…」
見えてきた人影は、ジャンヌと同じような、銀髪で長髪の女性。
とはいえ、纏う雰囲気はジャンヌのような燃え盛る炎とは真逆で、冷徹な氷のように。
水晶のような瞳は、こちらを射抜くように見つめてくる。
その見つめる先は、俺というよりむしろ。
「…久しいですね、竜の魔女」
「っ…!」
女性に話しかけられ、驚いたような反応を一瞬だけ見せるジャンヌ。
そんな彼女に構わず。
「マスターはお前と共にあり、歩んでいく決意を見せたからこそ身を引いてやったというのに…あの結末とは、な」
「…黙りなさい、あんたに何が分かる」
「ふん、分かるものか…伴侶一人守れぬ弱い女の気持ちなど、知る気もない」
「っ…この…!」
煽られ、ジャンヌは剣を抜き、召喚されたばかりのサーヴァントに切りかかる。
それが本気でなかったのか、あるいは召喚されたサーヴァントにとっては余裕で捌けるものだったのか。
「…そうやって力で押し通そうとするのは図星だからか?」
「ちっ…」
持っていた、大きな杖で簡単に受け止める。
ジャンヌもそれ以上争う気はなかったのか、すぐに剣を収める。
下がるジャンヌから視線を逸らし、こちらに視線を向けられ。
「…なるほど。全てを覚えているわけではないのですね…ならば、改めて自己紹介を」
女性は僅かに口元に笑みを浮かべながら、言葉を続ける。
「バーサーカー、モルガン。妖精國の女王にして、汎人類史を呪い続け……お前を死に追いやった人理を呪い続ける者」
「……」
ジャンヌといい、召喚されたモルガンといい、人理に反旗を翻しそうなサーヴァントが集まるのはなぜなのだろう。
そんなことをぼんやり考えていると、モルガンはこちらに近づき。
「今一度召喚されたからには、お前を守るために私は力を使いましょう」
「…あぁ」
「その代わり」
近づいてきたモルガンに空返事のように返す。
目の前というほど近い距離に来られれば流石にそうなる。
「…お前は、私の夫として…私の傍にあり続けなさい。これは命令です」
首元を引っ張られ、顔を近づけられる。
口元に温かい感触を感じるが、一瞬で離れるモルガン。
「なっ…!あんた何して…!」
ジャンヌがその様子に声を上げる。
ジャンヌの動揺に、モルガンは少しも調子を崩さず。
「言うまでもないでしょう、夫婦の誓いです。我が夫をあんな運命に導いたお前に任せる気はない」
「私だってあんたみたいな独裁女に任せる気はないわ!」
言い争いを始めるジャンヌとモルガン。
まぁ、それくらいならいいか。
皆もそう思っているのか、はたまた力を持つサーヴァント同士で間に入れないからか、誰も止めなかった。
「…重たいサーヴァントばかり喚ぶのは何故?」
「……選んでいるつもりはない」
所長に尋ねられても、答えようがなかった。
それは所長も分かっていたのか、それ以上の追及はない。
ただ一つ。
「ちゃんと見ているように。そうしないと…本当に人理を滅ぼされかねないわ」
それだけ忠告してきた。
実際、あの様子を見ていると否定できなかった。
「…胃薬とか、あるのか?」
「ロマニに聞きなさい」
後で医務室行ったほうがいいだろうか。
そんなこんなで召喚は終わり、その場はお開きとなった。
邪ンヌ、モルガン「「マスター(夫)に何かしたら壊す」」
というわけで、人理くん涙目。