FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
マスターの腕を抱きしめて、身を寄せて、目を閉じる。
「……」
隣にいるマスターに、身を寄せたかった。
別に、何かあったわけではない。
ただ、不安を覚えてしまった。
宙を見上げるマスターを見て、私は言いようのない不安を覚えてしまった。
本当は、尋ねたかった。
―何を、見ているの。
大したことではないのかもしれない。
疲れから、ただぼんやり眺めていただけかもしれない。
そうかもしれないし、私がそう信じたいだけかもしれない。
聞けばよかったのだろう。
だけど、聞かなかった。
聞くのが、怖かった。
どこかに、行ってしまうのではないか。
私を置いて、どこかへ。
…あの時のように。
抱きしめている彼の腕から感じる温かさは、彼がここにいることを感じさせてくれる。
けれど、全身で彼の温もりを感じ、魔力供給の形とはいえ、契りを交わした今となっては。
足りない。
もっと、マスターの温もりが欲しい。
彼の腕から感じる温かさは、風に吹かれて消えてしまうのではないかと思えるほどに。
服や鎧ですら、マスターと私の間を分断する障害のように感じてしまう。
それほどまでに、私は貪欲にマスターを求めてしまっている。
「っ…」
もっと、マスターと触れ合いたい。
契りを交わした時のように、何の障害もなく、全身でマスターの熱を感じたい。
けれど、今はそんな事は出来ないから、せめて。
「…いなく、ならないで……」
私を置いて、どこにも、いかないで。
傍にいさせて。
それだけで、私は私でいられるから。
少しだけ、腕の力を強める。
痛くないだろうかと心配になるが、力を弱められない。
マスターを、離したくない。
傍に、いてほしい。
そんな、単純で、我儘で。
―きっと、重い女だと、思われてしまうだろう。
―それでもいい。
―あるいは、精神的に弱いと思われてしまうだろうか。
―それでもいい。
―あるいは、病んでいると、思われるだろうか。
―それでもいい。
何でもいい。
マスターになら、どう思われてもいい。
ここに、いてくれるなら。
私と一緒に、いてくれるなら。
この温もりを、くれるのなら。
それだけで、私は私でいられるから。
――俺は、ここにいる。
マスターの言葉が耳に入る。
「ん……」
確かに、ここにいてくれている。
とはいえ、マスターを信じないわけではないけれど、不安は消えない。
…あの時のように、いつかは私の為に自分を犠牲にしてしまうかもしれない。
きっと、マスターと共に在る限り、この不安は決して無くならない。
けれど、マスターと共にいなければ、今度こそ私の心は壊れてしまう。
だから、私はマスターと共に、在り続ける。
決して消えない不安を抱えたまま、共に。
それでいい。
不安を抱えているということは、マスターが傍にいるということだから。
それだけでいい。
だからこそ、私は。
「……」
彼の腕に身を寄せ、彼の肩に頭を乗せてみる。
少しだけ、温かさが強くなる。
…全然、足らないが、今は仕方ない。
いつか、失ってしまうかもしれないという、不安。
これが、私が私である限り。
あるいは、私がマスターと在る限り、決して無くならないというのなら。
…私は、不安であり続けるために、戦い続ける。
…貴方の傍で、ずっと、一緒に。
だから、なんて烏滸がましい事を言うつもりはないけれど。
どうか、私が貴方を
―マスターも私のことを、