FGO ~ Loopback Against the Order ~   作:アルタナ

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感想、評価ありがとうございます。
お返事返せておりませんが、全てありがたく拝読させて頂いております。


決戦 - I

そこから、オルレアンまではさほど距離はかからなかった。

それが、ジャンヌとジルという、地を理解する者がいるからか、それとも単に距離が短かったのか。

そこまでは分からないが。

 

 

「着いたはいいが…荒れている様子は見受けられない、か」

「えぇ。聖女ジャンヌは決してフランスを破滅に導くといったことはしておりませぬ故、混乱はほとんどありませぬ」

 

 

俺の言葉にジルが説明をくれる。

 

 

「…むしろ」

「突然現れた方にこそ警戒する、といったところか」

 

 

辺りを見回すと、手を出してこそ来ないが、少しばかり距離を取られているように感じる。

 

 

「手を出して来ないなら、気にすることでもないでしょう」

「そうだな」

 

 

モルガンの意見に同意する。

ここに来た目的は観光でも、馴れ合いでもないのだから問題はない。

 

 

「皆様方、こちらへ」

「……やっぱり、そっちなのね」

 

 

ジルの案内でついていく。

ジャンヌは思い当たる節があるのか、呟きながら続く。

こちらもそんな二人に続く。

 

 

「…さて」

 

 

どうなることか、と考えながら進み、城門を抜ける。

その先には。

 

 

「あ…!」

「…皆さん、無事でしたか!」

 

 

藤丸とマシュ。

傍には藤丸が召喚したサーヴァントのセイバーとランサーも控えている。

どうやら互いに無事であったようだ。

 

 

『藤丸、どうし……あなた!通信にも応じずに今まで何を…!』

「所長か?」

 

 

所長の声が近くからしたのでそちらを見れば、冬木でDr.ロマンがやっていた通信があった。

同じものだろう。

 

 

「通信に応じないも何も、何もなかったが…」

『そんなわけ…そうよね、貴方は魔術に長けているわけでもない。妨害なんて…となると……』

 

 

何かを察したように。

 

 

『ジャンヌ、それにモルガン…貴女達の仕業かしら?』

 

 

こちらのサーヴァントに対し疑いの目を向ける所長。

所長の言葉に彼女らを見れば。

 

 

「……その通りだ。正確にはジャンヌの提案で、私が実行をしただけだがな」

『つまりは二人の画策というわけ。どういうつもりで…!』

「く、くくく…」

 

 

所長の言葉にジャンヌが肩を震わせ、実に可笑しそうに嗤う。

 

 

「単純な話だわ。私はカルデアという組織を信用していない」

『なんで…!』

「…なんで?…なんで、と言いましたか。いいでしょう…教えてあげます」

 

 

ジャンヌの表情は笑っているが、その笑みはさながら悪役のそれだった。

 

 

「…よく知っておきなさい。カルデアは私のマスターを殺した。殺してもなお、目的のために先に進み続けた」

『な…』

「それだけでも許すことなどできない。そんなこともいざ知らず、私のマスターを奪っておきながら、なおも私に人理修復を依頼した…なんとまぁ、図々しいことでしょうね」

「……私がジャンヌに協力したのも同じ理由だ」

 

 

だからこそ、カルデアを、藤丸を信用しない。

二人はそう言葉を続ける。

しかし。

 

 

『彼を殺す?一体何を言って…』

 

 

所長は言っていることがよく分かっていない。

当然だろう。

俺はここにいるのだから、奪うだのなんだの言っても伝わるはずがない。

事実を知っている者にしか。

 

 

「…それよりも、だ」

 

 

話を変え、藤丸に向き直る。

 

 

「俺はこの先にいるはずのジャンヌ・ダルクに会いに行く」

「え?なんで…」

「俺…いや、俺達は聖女ジャンヌ・ダルクがこの特異点の鍵を握っていると考えている」

 

 

場合によっては、敵対も視野に入れている。

そう、伝えると。

 

 

『ちょ、ちょっと…!』

「どうして!?…ジャンヌさんはフランスを守るために戦った英雄なんでしょ!?」

 

 

所長と藤丸が揃って反論する。

史実においてジャンヌ・ダルクといえば、詳細については知らずとも名前を知らない者はいないほど名前の知れた英雄。

普通に考えれば、敵対は悪となるのも分かる。

しかし。

 

 

「…ならお前は、特異点足りうる原因を作り出した存在が他にいる、と考えているんだな?」

「それは…」

 

 

俺が問いかければ、藤丸は言葉に詰まる。

ジャンヌ・ダルクは特異点の原因ではなく、それは他にある。

けれど、どこにあるかまでは把握していない。

そんなところなのだろう。

 

 

「…ということだ。どうやら、俺と藤丸は相容れないようだが」

『どうしてこう次から次へと…!』

 

 

俺達の存在がどうにも所長を混乱させてしまっているらしい。

どうしたものやら。

 

 

「……我が夫。ここは私が引き受けましょう」

「モルガン?」

 

 

一歩前に出るモルガン。

 

 

「不測の事態で考え込みすぎるのは少々悪い癖のようです。決断すべき時は決断を……何より、強行突破も視野に入れるのでしょう?」

「……すまない」

 

 

自分の不甲斐なさに対し、モルガンに一言謝罪を入れる。

するとモルガンはふ、と笑い。

 

 

「夫の至らぬ部分を支えるは妻の役目。気にすることはない……なに、この程度、すぐに追いついて見せましょう」

「……任せた。ジャンヌ、ジル…先へ」

 

 

俺の言葉にジャンヌとジルは頷く。

 

 

「待って……!」

 

 

藤丸がこちらに来ようとするが、モルガンが間に立ちはだかる。

 

 

「マスター…指示を。どうやら、倒さねばならない障害となるようです」

「けど…」

「…覚悟決めようぜマスター、俺達は先に進むための道を拓く刃だ」

 

 

なに、魔術師一人、敵じゃねぇよ。

そう、ランサーが強気にモルガンに刃を向ける。

 

 

「マスター…行きましょう」

「…うん。三人とも…行こう!道を開けてもらうからね、モルガン!」

 

 

二振りの刃と盾が、モルガンに対して構えられる。

傍から見れば三対一、ましてやモルガンに対してはマスターがその場にいない。

圧倒的不利な状況といえる。

 

 

…しかし。

 

 

「く、くくく……!」

 

 

モルガンが浮かべるは、笑み。

実に可笑しそうに。

 

 

「……何が、可笑しいのですか」

 

 

剣を構えるセイバーが、問いかける。

すると、射貫くような鋭い視線を向け。

 

 

「何が可笑しいか、だと?……決まっていよう、全てが可笑しいのだ」

 

 

モルガンは杖を構える。

魔力が、モルガンに集い、暴風の如く荒れる。

 

 

「……自らが正しいと信じて疑わない愚直さ。三人で挑めば如何なる障害も打ち砕けるという気楽さ。そして何より」

 

 

その暴風はやがて、藤丸らを襲い。

 

 

「っマスター!」

 

 

マシュが藤丸の前に立ち、盾で守りに入る。

 

 

「…私に勝てると思っている、愚かさ。その全てが、だ」

「本気、なんだね…」

 

 

モルガンの言葉に藤丸が確認するように尋ねる。

そんな藤丸に、モルガンはただ冷たい視線を投げるのみ。

 

 

「……今は単純に、ジャンヌが羨ましい」

 

 

モルガンが呟くように言葉にする。

 

 

「私のようにただ狂うというわけでなく、我が夫を奪ったものに対する復讐心のみが形になったその姿……私が狂う理由など、それだけで十分だ」

 

 

その口元には、微かな笑み。

 

 

『な……藤丸、警戒なさい!モルガンの霊基が…歪んできている!』

「え!?え、何…!」

 

 

混乱する藤丸を守るように藤丸のサーヴァントたちが構える。

 

 

『霊基が変質して……クラス、復讐者(アヴェンジャー)!?』

 

 

所長がそう告げた瞬間、荒れるような魔力の奔流は更に激しさを増す。

 

 

「……私が復讐者(アヴェンジャー)とは…なかなかどうして」

 

 

面白そうに呟きながら、改めて藤丸達に向き直る。

 

 

「どうやら、藤丸に対する復讐は私が先に果たせそうだ……許せ、ジャンヌ」

 

 

決して見た目が変わったりしたわけではない。

しかし、モルガン自身が纏う魔力が荒々しさを増している。

その力は、それだけで建物を吹き飛ばしそうなほどに。

まるで、意識的に押さえつけていた力を解放したように。

 

 

「……来るがいい、我が玉座を汚す愚者共よ。お前たちが一体誰に喧嘩を売ったのか、その身に刻み込んでくれる」

 

 

その力の差に、一瞬たじろぐ藤丸とサーヴァント達だったが。

 

 

「……戦おう、みんな!」

 

 

藤丸の言葉にサーヴァント達も改めて構える。

 

 

…戦いが、始まる。

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