FGO ~ Loopback Against the Order ~   作:アルタナ

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決戦 - III

立香と、彼女に与するサーヴァント達。

セイバー、アルトリア。

ランサー、クー・フーリン。

そして、シールダー、マシュ。

 

 

「……」

 

 

彼女らの前に立ちはだかるは、狂戦士(バーサーカー)改め復讐者(アヴェンジャー)、モルガン。

無言の対峙。

その無言を打ち破るのは。

 

 

「…戦わないと、通してくれないんだね」

 

 

藤丸立香。

彼女からすれば、モルガンやジャンヌ・オルタのマスターである彼は仲間だと。

そう思っていたし、今も思っている。

 

 

「…我が夫は、この場を私に任せた。それがお前の思う正義であれ、悪であれ、その意に従うのは道理だろう」

「……うん」

 

 

モルガンの言葉に、立香は頷く。

 

 

「…マスター」

 

 

まだ悩む様子の立香に声をかけるのは、アルトリア。

 

 

「相手は、本気です。戦いは避けられないでしょう」

「…うん」

「ですが」

 

 

アルトリアは自身のマスターに目を向け。

 

 

「…相手がどれだけ強大であろうとも、貴女には私が…いえ、私達がいる」

「……うん」

「我が剣は、ただ敵を打ち滅ぼすのみに(あら)ず。貴女(マスター)が望む道を切り拓くものでもあるのです」

「私の、道……」

 

 

だから、どうか。

 

 

「…教えてください、我がマスター。この戦いの先に、どのような道を進む事を、望んでいるのですか?」

「私は……」

 

 

アルトリアの問いに、立香は目を閉じ。

 

 

「…私は」

 

 

目を開く。

その目は決意と共に、モルガンを見据えており。

 

 

「…私は、皆と、力を合わせて。この特異点を修復して、胸を張って、カルデアに戻りたい」

 

 

その望みは。

 

 

「……ふん。状況をまともに鑑みることも出来ない上に、なんとも愚かな……身の程というものを、刻み込んでやろう」

 

 

モルガンにとっては一笑に付す程度の、甘い考えにしか過ぎない。

 

 

「っ……」

 

 

自分が未熟であるが故。

そう思われても仕方ない。

誰にそう思われようと、歯を食いしばってでも、進むしかない。

立香は、そう考えていた。

 

 

「……黙りなさい。我がマスターへの侮辱、それ以上は許しませんよ」

 

 

その考えを打ち消すように、アルトリアが声を上げる。

 

 

「ほう…?」

「…我がマスターの望みは、我が望み。その望みを侮辱する権利など、誰にもない。もしこれ以上我がマスターを貶めるのであれば、我が聖剣の裁きを受けてもらう!」

「アルトリア…」

 

 

立香は彼女を見る。

剣を構える後ろ姿は、マスターである彼女にとって、あまりに眩しく見える。

 

 

「…貴女が望む道は間違っていない。だからどうか、立ち上がって…前を見るのです。下を見ていても、何もありませんよ?」

「そうだぜ、マスター?」

 

 

アルトリアに同調するのは、クー・フーリン。

出で立ちこそ少し違うが、人柄は冬木で出会ったキャスターと似ている。

 

 

「マスターの望みは、戦場を知る奴にとっちゃ、あっちの言う通り、甘いんだろうさ」

 

 

でもな、と彼を続ける。

 

 

「それでいいんだよ。そんなマスターだから、あいつも、俺も召喚に応じて、こうしてマスターの為に武器を振るうんだ。だからな、マスター?」

 

 

―今のままで、いい。今のままで、強くなれ。

 

 

そう、言いながらクー・フーリンはマスターの頭を撫でる。

その撫で方は、冬木のそれとよく似ていた。

 

 

「…行きましょう、マスター!」

「マシュ……」

 

 

マシュの問いかけに、立香は頷く。

その笑顔の中には、確かな決意の意思が含まれているように見える。

 

 

「…行こう、皆!勝って…前に進もう!」

「「「了解!」」」

 

 

立香の号令に三人が応える。

 

 

「…ふん」

 

 

そんな一行を嘲笑うかのようなモルガン。

 

 

「…参ります!」

 

 

アルトリアが先陣を切り。

 

 

「こっちからも行くぜ!」

 

 

クー・フーリンも続く。

マシュは持っている武器が盾ということもあり、マスターを守るように構える。

 

 

「…ほう」

 

 

剣と槍。

間合いの違う武器を、軽やか、という表現が正しい様子で躱すモルガン。

多少なりは攻撃を受けつつも、上手く受け流す。

 

 

「ちぃ…ちょこまかと!」

 

 

クー・フーリンが焦れるように攻撃を続け、徐々に頭に血が上っていったか。

 

 

「…っランサー、待て!前に出すぎては…!」

「……あ?」

 

 

適度な間合いをとっていたアルトリアに呼びかけられ、反応する中で自分の立ち位置に気づき。

 

 

「まず…!」

 

 

離れすぎた事に気づき距離を開けようとする。

しかし。

 

 

「…逃がすものか」

 

 

モルガンが魔術で生成した攻撃が、クー・フーリンに狙いを定める。

それに反応したのは。

 

 

「っ…危ない!」

 

 

マシュが、その攻撃を盾で受けきる。

 

 

「…わり、助かったわ」

「いえ…大丈夫でしたか?」

「おかげさまで、な」

 

 

マシュが盾を構え、アルトリアとクー・フーリンも彼女に並ぶように立つ。

 

 

「……あの程度とはいえ、私の魔術を防ぎきるか。それは見事…だが」

 

 

モルガンは武器を持たない方の手を見やり、そして目を閉じる。

そして、その手を握りこむ。

 

 

「…内側からなら、どうだろうな」

 

 

握りこんだモルガンの手元に魔力が収束するが、すぐに消失する。

何をしたのか、警戒していると。

 

 

「……え?」

 

 

消失したはずの魔力が、マシュの体内を突き破るように爆発する。

何が起こったのか、マシュ本人ですら気づかず。

 

 

――きょとんとした表情を浮かべながら、血を吐きながら、その場に倒れこんだ。

 

 

「っ…マシュ!」

 

 

立香が声をかけるがマシュは応えきれず、手放した盾が床に叩きつけられ、大きな金属音を立てる。

 

 

「ます、た……」

 

 

その様子に。

 

 

「てめぇ……自分が何したかわかってんのか!」

 

 

クー・フーリンが怒りに任せて突撃する。

けれど、モルガンはあくまで平静に。

 

 

「何を…か。簡単だ。敵を倒しただけだが?」

 

 

今、お前がしようとしているようにな。

そう、言いながら槍をあしらいつつ。

 

 

「……それはそうと」

 

 

軽くクー・フーリンから離れるモルガン。

 

 

「全く学習がないな」

 

 

再度、魔術による攻撃。

しかし、今度は動じるどころか。

 

 

「…そう思うか?」

 

 

にやり、と笑みを浮かべる。

 

 

「今だ、セイバー!」

「…!」

 

 

クー・フーリンの言葉に視線をずらすモルガン。

その先には、アルトリアが自らの聖剣を構える姿。

 

 

「っ…受けるがいい!」

 

 

言いながら、神聖さすら感じる魔力を纏った件を振り下ろすアルトリア。

 

 

約束された(エクス)勝利の剣(カリバー)!!」

 

 

振り下ろした、魔力の奔流。

それは、アルトリアの全力を込めたともいえるであろう、宝具の力。

その力が、モルガンに直撃する。

 

 

「やった…!」

 

 

立香は嬉しそうに言う。

あれだけの攻撃が直撃したのであれば、普通であれば立っていることすらやっとであろう攻撃。

それは、間違いではない。

 

 

―そう。

 

 

――()()()()()()

 

 

攻撃の砂塵が晴れた先には。

 

 

「…終わったか?」

 

 

まるで、乱れた衣服を正すかのように、自らの肩を払うように叩くモルガン。

立つこと、どころかダメージを受けた様子すら見受けられない。

 

 

「見た目は派手だが、それだけだな…その程度で聖剣の使い手?……笑わせてくれる」

 

 

嗤いながら、モルガンは構える。

すぐ、モルガンは皆を見据え。

 

 

「…所詮、聖剣なぞこの程度ということ……遊びは終わりだ。落ちろ…!」

 

 

今度はモルガンの力が収束する。

 

 

「やべ…!」

 

 

アルトリア、クー・フーリンが構える。

その場所は、建物内廊下であり、決して広い場所ではない。

それでもせめて、マスターを守るように。

 

 

「…はや辿り着けぬ(ロードレス)理想郷(キャメロット)!」

 

 

モルガンの宝具が炸裂し、アルトリア、クー・フーリンを巻き込むように展開する。

その勢いは二人を巻き込むだけにとどまらず、立香とマシュにすら届きそうな勢いだったが。

 

 

「っさせません、マスターだけは…!」

 

 

マシュが満身創痍で立ち上がり。

 

 

「くうぅっ!!!」

「マシュ!」

 

 

モルガンの宝具を、盾で防ぐ。

とはいえ、ただでさえ負担が多いだけでなく、満身創痍な彼女には負担が大きすぎる。

それでも。

 

 

「…守り切る、か」

 

 

アルトリア、クー・フーリンは膝をついて、何とか持ちこたえる。

もう一撃でも受ければどうなっていたかは分からない。

マシュも満身創痍でこそあるが、デミ・サーヴァントとして身体能力を向上しているから耐えきれている、というところだった。

 

 

「……」

 

 

一方で、あれだけの攻撃を受けてなお、膝をつく様子すらないモルガン。

その差は、圧倒的だった。

 

 

『…退きなさい、藤丸』

「所長…?」

 

 

通信越しに見ていた所長が、立香に指示を出す。

その指示に、自らのサーヴァントの状態を見た立香は逆らうつもりはなかった。

その様子を見ていたモルガンは。

 

 

「…賢明ですね」

 

 

それだけ呟くように言うが、警戒を解くことはない。

 

 

『……聞いていいかしら、モルガン』

 

 

落ち着いたところを見計らうように、所長が通信越しに声をかける。

 

 

「何か」

『貴女が…いえ、貴女達がマスターである彼を大事にしていることは分かった。けれど、改めて聞かせてほしいの』

 

 

カルデアが、一体彼に何をしたのか。

 

 

「…答える義理が?」

『っ…』

 

 

その問いに対しても、突き放すモルガン。

 

 

「私も…聞きたい」

 

 

緊迫した雰囲気を破ったのは、立香だった。

不安げで、けれど確かな意思でモルガンを見返す。

 

 

「私は、どうしてあの人のサーヴァント二人に敵意を向けられてるのか、分からない。だけど…出来ることなら、一緒に戦いたいから」

 

 

だから。

 

 

「…だから、教えてほしいの。私は、彼に…何をしてしまったのか」

「……」

 

 

立香の懇願するような問いかけに、モルガンは冷たい視線を投げるのみ。

見る者が見れば、恐怖すら抱きかねない、感情のない視線。

 

 

「……知って、どうするつもりだ?」

「え?」

「知ったところで、現実は変わらない。お前が、カルデアが我が夫にしたことがなくなるわけではない…ならば、私がお前たちに対する考えを改めることもない」

 

 

何も変わらないのなら、知る意味があるのか。

モルガンは、そう問いかける。

 

 

「私ですらそうなのだ…ジャンヌに至っては、交渉の余地すらないだろうがな」

「……」

 

 

モルガンの言葉に黙り込むその様子は、さながら悪事を咎められ、けれどどう謝ったらいいか分からずに口を噤む子供のようで。

誰も言葉を発しない。

 

 

「…マスター」

 

 

傷つきながらも、強い視線を向けるアルトリア。

戦えずとも、彼女の強い意志は、潰えない。

彼女は立香に、何を伝えただろうか。

 

 

「……うん」

 

 

信じる道を、前を見て進めと、彼女は言った。

彼女のマスターであるからこそ、前を向かなければならない。

それがたとえ、大きな壁であろうとも。

 

 

「…モルガン、さん」

 

 

立香の呼びかけに、モルガンは答えない。

 

 

「貴女の言う通り、知っても、変えられないかもしれない。だけど…知らなくちゃ、変えようとすることもできない。だから…お願い」

 

 

話を、聞かせてください。

そう、懇願する。

その懇願に。

 

 

「……」

 

 

モルガンは背を向け、ただの一度も立香に視線を向けることなく、歩き出す。

その先は、彼女のマスターとジャンヌが向かった方向。

必死の訴えすら退けられた立香は。

 

 

「っ…」

「マスター…」

 

 

マシュの心配する呼びかけに応じることすらできずに。

 

 

――今度こそ、視線を下に向けてしまった。




戦闘描写難しい…

最近実装された、マスターが〇んだら〇ぬと公言している、愛が重そうな彼女を出すのはありでしょうか?

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