FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
ジャンヌが剣を構える。
今度は不覚を取らせまいと、ジルとモルガンがこちらを守るように前後に構える。
とはいえ、先程より兵士の数は減っており、そこまで脅威ではなくなってきたように感じる。
「…何故です」
聖女の問いかけ。
それは、ジャンヌに対してか、あるいは。
「っ…何故!私は…!」
先程まではジャンヌの方が危うく感じた。
そのはずだったのだが、今は。
「…ふん」
半ば自棄になった聖女の攻撃を、容易く躱すジャンヌ。
先程までと違い、ジャンヌは状況をよく捉えているようだった。
今となってはむしろ、聖女の方が危うく感じる。
「…オルタ!」
「ふん…」
聖女のやや乱雑な攻撃を、あっさりと受け止める。
「このまま進んで、貴女は…また
「……」
聖女の言葉に、ジャンヌは黙る。
聖女も、きっと知っているのだろう。
知ったうえで、その不幸を未然に防ごうとしているのだろう。
それはおそらく、ジャンヌもわかっている。
しかし。
「……確かにあんたの言うとおりだわ。このまま進めば、結末は同じでしょうね」
「っだったら!」
嗤いながら言うジャンヌに、必死な聖女ジャンヌ・ダルク。
「だったら、どうして……!」
聖女はきっと、本気だということも分かる。
このまま進めば不幸になるというのなら、それを未然に止める。
言いたいことは分からないでもないし、合理的といえば合理的なのだろう。
しかし。
「…確かに、私はあんたの言う通り、苦しんだわ。それは認めましょう」
聖女の攻撃を振り払い、ジャンヌが語りだす。
振り払われ、聖女は少し距離をとるが、ジャンヌの言葉に耳を傾けているのか、ジャンヌをじっと見て動かない。
その様子に、ふっ、と笑みを浮かべるジャンヌ。
「…あんた、覚えてる?私たちが初めて会った時のこと」
「勿論です。あの時は、私が貴女を討った……彼女達と共に」
「えぇ…正義が悪を倒す。なんと奇麗な物語だったでしょう」
ジャンヌたちの話の内容がいまいち理解できないが、俺の理解の外の話なのだろう。
口を挟まないことにする。
「…そうして、暫くの間をおいて、私は彼に召喚された」
「えぇ…初めこそぎこちなかったですが、貴女とマスターは…実に良い関係でした。私も…ずっと、続いてほしいと思っていたのです」
ですが、と聖女は続ける。
「…人理は、それを認めなかった」
「……」
聖女が、静かに言う。
穏やかさが、消える。
「…そうね。だから…私は、彼の前から消えることを選んだ。ただ…前に進んでほしかったから」
サーヴァントとしては妥当な線でしょう。
そう、ジャンヌは続けた。
それに聖女も頷き。
「えぇ。私でも同じことをしたでしょう……ですが、実際はそうはならなかった」
そこからは知っている。
ジャンヌの代わりに、マスターが犠牲になった。
俺ではない、ジャンヌのマスターが。
「…そう、それが私にとって、最悪の結末」
ジャンヌがどれだけ苦しんだのか、直接見ているわけではないが、これまでの振る舞いから察しはつく。
「…けど、だからこそなのです。ここで歩みを止めれば…ただ何も考えずに進んでしまえば、結末が同じになることは、目に見えている」
けれど、ジャンヌは折れない。
「…私は
だからこそ、なのだろう。
先程の、思いつめたようなジャンヌの訴え。
ジャンヌを縛っていた、自らの宿命。
今もなお、縛られてはいるのだろうが、それでも。
「だから、私は…人理に仇なす者として、今度こそ、彼を守る」
「そんなこと、どうやって…!」
「はっ…そんなの、決まってるでしょう」
聖女の問いかけに、ジャンヌは不敵に笑う。
そうして、剣を構え。
「私達に仇なす全てを……焼き尽くせば済む話でしょうが!」
「っ…!」
剣の切っ先を聖女に向けた瞬間、聖女を中心に火柱が上がる。
それでも、咄嗟に身を庇ったか、そこまでの衝撃はないように見える。
「…ならば尚更、私は
聖女もまた、旗を武器として構える。
やり取りだけを聞けば、どっちが悪かと言われれば、ジャンヌが悪に見えるだろう。
それでも。
「やってみなさい。あんたの正義が、私の憎悪の炎を止められるというのなら!!」
ジャンヌが駆ける。
その動きに、もう、迷いはない。
「…」
俺には任せることしか出来ないが。
…任せるぞ、ジャンヌ。