FGO ~ Loopback Against the Order ~   作:アルタナ

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決着 - II

ジャンヌが剣を構える。

今度は不覚を取らせまいと、ジルとモルガンがこちらを守るように前後に構える。

とはいえ、先程より兵士の数は減っており、そこまで脅威ではなくなってきたように感じる。

 

 

「…何故です」

 

 

聖女の問いかけ。

それは、ジャンヌに対してか、あるいは。

 

 

「っ…何故!私は…!」

 

 

先程まではジャンヌの方が危うく感じた。

そのはずだったのだが、今は。

 

 

「…ふん」

 

 

半ば自棄になった聖女の攻撃を、容易く躱すジャンヌ。

先程までと違い、ジャンヌは状況をよく捉えているようだった。

今となってはむしろ、聖女の方が危うく感じる。

 

 

「…オルタ!」

「ふん…」

 

 

聖女のやや乱雑な攻撃を、あっさりと受け止める。

 

 

「このまま進んで、貴女は…また()()()()()()()()()を味わいたいと…そう、言うつもりですか!」

「……」

 

 

聖女の言葉に、ジャンヌは黙る。

聖女も、きっと知っているのだろう。

知ったうえで、その不幸を未然に防ごうとしているのだろう。

それはおそらく、ジャンヌもわかっている。

しかし。

 

 

「……確かにあんたの言うとおりだわ。このまま進めば、結末は同じでしょうね」

「っだったら!」

 

 

嗤いながら言うジャンヌに、必死な聖女ジャンヌ・ダルク。

 

 

「だったら、どうして……!」

 

 

聖女はきっと、本気だということも分かる。

このまま進めば不幸になるというのなら、それを未然に止める。

言いたいことは分からないでもないし、合理的といえば合理的なのだろう。

しかし。

 

 

「…確かに、私はあんたの言う通り、苦しんだわ。それは認めましょう」

 

 

聖女の攻撃を振り払い、ジャンヌが語りだす。

振り払われ、聖女は少し距離をとるが、ジャンヌの言葉に耳を傾けているのか、ジャンヌをじっと見て動かない。

その様子に、ふっ、と笑みを浮かべるジャンヌ。

 

 

「…あんた、覚えてる?私たちが初めて会った時のこと」

「勿論です。あの時は、私が貴女を討った……彼女達と共に」

「えぇ…正義が悪を倒す。なんと奇麗な物語だったでしょう」

 

 

ジャンヌたちの話の内容がいまいち理解できないが、俺の理解の外の話なのだろう。

口を挟まないことにする。

 

 

「…そうして、暫くの間をおいて、私は彼に召喚された」

「えぇ…初めこそぎこちなかったですが、貴女とマスターは…実に良い関係でした。私も…ずっと、続いてほしいと思っていたのです」

 

 

ですが、と聖女は続ける。

 

 

「…人理は、それを認めなかった」

「……」

 

 

聖女が、静かに言う。

穏やかさが、消える。

 

 

「…そうね。だから…私は、彼の前から消えることを選んだ。ただ…前に進んでほしかったから」

 

 

サーヴァントとしては妥当な線でしょう。

そう、ジャンヌは続けた。

それに聖女も頷き。

 

 

「えぇ。私でも同じことをしたでしょう……ですが、実際はそうはならなかった」

 

 

そこからは知っている。

ジャンヌの代わりに、マスターが犠牲になった。

俺ではない、ジャンヌのマスターが。

 

 

「…そう、それが私にとって、最悪の結末」

 

 

ジャンヌがどれだけ苦しんだのか、直接見ているわけではないが、これまでの振る舞いから察しはつく。

 

 

「…けど、だからこそなのです。ここで歩みを止めれば…ただ何も考えずに進んでしまえば、結末が同じになることは、目に見えている」

 

 

けれど、ジャンヌは折れない。

 

 

「…私は復讐者(アヴェンジャー)。この身に燃える憎悪の炎は決して消えないし…これこそが私の本質。変えようもないことは私が一番分かってる」

 

 

だからこそ、なのだろう。

先程の、思いつめたようなジャンヌの訴え。

ジャンヌを縛っていた、自らの宿命。

今もなお、縛られてはいるのだろうが、それでも。

 

 

「だから、私は…人理に仇なす者として、今度こそ、彼を守る」

「そんなこと、どうやって…!」

「はっ…そんなの、決まってるでしょう」

 

 

聖女の問いかけに、ジャンヌは不敵に笑う。

そうして、剣を構え。

 

 

「私達に仇なす全てを……焼き尽くせば済む話でしょうが!」

「っ…!」

 

 

剣の切っ先を聖女に向けた瞬間、聖女を中心に火柱が上がる。

それでも、咄嗟に身を庇ったか、そこまでの衝撃はないように見える。

 

 

「…ならば尚更、私は裁定者(ルーラー)として、貴女を止めねばなりません…たとえ、貴女に。或いは貴女のマスターに恨まれようと!」

 

 

聖女もまた、旗を武器として構える。

やり取りだけを聞けば、どっちが悪かと言われれば、ジャンヌが悪に見えるだろう。

それでも。

 

 

「やってみなさい。あんたの正義が、私の憎悪の炎を止められるというのなら!!」

 

 

ジャンヌが駆ける。

その動きに、もう、迷いはない。

 

 

「…」

 

 

俺には任せることしか出来ないが。

 

 

…任せるぞ、ジャンヌ。

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