FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
そこからの戦いは。
「くっ…!」
「…ふん」
攻め込み方、力の差を見ても、ジャンヌの方が上だと素人目にも感じる。
それは何も、ジャンヌが自分側だからという贔屓目というわけでもない、はず。
冷静に攻め込むジャンヌに、やや押され気味の聖女。
そんな聖女を守っていたはずの兵士たちはといえば。
「…有象無象など、所詮この程度」
駆けつけていたモルガンと、ジルによってほぼほぼ無力化されていた。
ジャンヌ、モルガン、ジルのたった三人。
それで、一つの軍勢を無力化させるだけの力があった。
「マスター殿。意識が戻ったとはいえ、病み上がり…無理はなさらぬよう」
「……あぁ、気遣い感謝する」
ジルの気遣いに答えながら、ジャンヌを見守る。
ジャンヌの圧倒的な力を目の当たりにしながらも、仮にもマスターである自分には何も出来ていないことを歯痒く感じる。
やがて。
「…まだやるつもり?」
構えを解かずに、けれど聖女に問いかけるジャンヌ。
息一つ切らしていないジャンヌに、息も絶え絶えな聖女。
勝敗は半ば明らかにすら感じる。
「貴女に勝つだけの力がなくとも…それでも、私は……!」
「…」
聖女が自棄を起こしたように、旗を乱暴に振るい、ジャンヌに襲い掛かる。
しかし、冷静に状況を見ていたジャンヌには通じることもなく。
「…終わりよ」
冷静にジャンヌが聖女の攻撃を払い。
「あ、ぐ……」
ジャンヌの剣が、聖女の胸元を貫く。
聖女は旗を落とす。
「お、るた……!」
「…もうやめときなさい」
ジャンヌは静かに、諫めるように。
「あんたには似合わないわよ。そんなやり方」
「でも、私は……あな、たの…敵として……」
聖女は聖女なりに、考えがあってのことなのだろう。
そしておそらく、その想いはジャンヌも理解している。
「それに…あんたが言ったんでしょ。
「っ…」
「…もう、私は迷わない。この先が破滅であろうと、私はマスターとともに突き進む」
それを最後に、貫かれた聖女は光となって消え、その場に残されたのは、金色の杯。
冬木でも見たそれは。
「…聖杯ですね」
モルガンが呟くように言う。
これを回収したということは。
「終わったか」
そう、結論付ける。
ジャンヌが聖杯を拾い、こちらに手渡しながら。
「…世話になったわね、ジル」
ジャンヌが声をかけると、ジルは光に包まれていた。
歴史の修正が始まることによる、サーヴァント達の退去、だったか。
「…ジャンヌ」
「えぇ」
どこか心配げなジルに、ジャンヌはいつもの不敵な笑みを浮かべる。
「私はもう平気。絶対に手放さない覚悟を決めたから」
「……おぉ、流石はジャンヌ」
その笑みを見て、ジルも笑みを浮かべながら。
「どうか、今度こそ…ジャンヌ……」
最後まで、彼の言葉を聞くことなく、ジルは消えてしまう。
彼がジャンヌに伝えたかったこと。
それは誰にも分からない。
「…私がこれから、ジルが望んだ道を歩むかは分からないけど」
今度は、立ち止まることなく、進み続けるから。
その言葉を聞く頃には視界は歪み。
「…」
ここに来る時と同じような感覚を感じ、身を委ね、目を閉じる。
冬木から戻るときと同じような、体が浮かさせる感覚に、身を委ねて。
第一特異点
―定礎復元/Order Complete―