FGO ~ Loopback Against the Order ~   作:アルタナ

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運命が交わる刻 ~冬木~
現実/仮想 - I


「…」

 

 

夜、ベッドの上に寝転がりながら一人、スマホのアプリをダウンロードする。

今となっては、スマホゲームに興味があればおそらく誰でも知っている程の知名度を誇るゲームアプリ。

確か前にテレビでCM見た気がする。

タイトルはFate/Grand Order。

通称FGO。

ダウンロードのパーセンテージが徐々に進んでいくのを見ながら、ふとこのゲームをインストールすることになったきっかけを思い出す。

 

 

休日、土曜日。

明日も休みで、のんびり過ごしていた。

そんな中。

 

 

「…電話?」

 

 

突然、放置していたスマホのバイブレーションが起こる。

それが電話着信だとわかり、発信者の名前を見て。

 

 

「…………う」

 

 

息が詰まる。

とはいっても別に話すのが嫌な相手というわけではない。

というより、比較的仲は良い。

では何が原因かというと。

 

 

「…もしもし」

『おーす!そろそろFGOインストした?始めた?』

「……」

 

 

これである。

やけにFGOを勧めてくるのだ。

ちなみに、これが初めてではない。

ここ数ヶ月、ずっとそんな感じである。

 

 

「……ただいまおかけになった番号は、現在使われておりません」

『おーい。あからさまな拒否すんなー?』

「だったらその話題をそろそろ終わらせて欲しいんですが」

『お前が始めてくれればすぐにでも辞めますよ?…いいからやってみろって、絶対ハマるから!』

「ホントかよ…つかお前、事あるごとにガチャが渋いって文句垂らしてるじゃねぇか」

『だって実際渋いぜ?最高レアが当たる確率が1%って、酷くね?』

「そういう話題ばっかだからやりたくないんだよ」

 

 

とはいえ、完全に断り切れないのにも理由がある。

実際、俺とこの友人との趣味嗜好がかなり似通っているのだ。

漫画を勧められて読んでみればハマったり、逆に此方から勧めれば相手がハマったり。

漫画だけではなく、それこそゲームのジャンルから、食べ物の趣味嗜好に至るまで。

…我ながら、気持ち悪いが。

 

 

『なぁ、やろうぜー。お前もガチャの沼にハマろうぜー』

「最低の誘い方すんなし。それで無駄に金使って破産するやつがいるってニュースで見たことあるぞ」

『事実だししゃーない。それに金が気になるなら課金しなきゃいいじゃん。基本的に遊ぶだけなら無料だぜ?』

「じゃあ聞くが、お前の課金額いくらよ」

『それは今月?それとも今までの総額?』

「ヘビィユーザめ」

『それ、誉め言葉な』

 

 

皮肉のつもりの言葉が誉め言葉になってしまった。

やれやれ、と溜息が出る。

 

 

『ま、それはそれとしてさ。お前、昨日のアニメ見た?』

「あぁ、あれは面白かったな…」

 

 

と言いつつ、すぐに話題を切り替える。

友人の方も、こっちの反応を分かっているのか、最近では少し誘ったらきっぱり諦めて別の話題を振ってくれるようになった。

そこら辺の決まりの良さはいいところだと思う。

…だったら毎日勧誘するのはやめてくれと思うが、致し方ない。

 

 

……そんなこんなで、どのくらい会話しただろうか。

まぁ、かけてきたのは向こうだから通話料は向こう持ちだけどな。

俺は知らぬ。

 

 

『いやー、お前と話すのは楽しいな、親友!』

「俺も楽しいよ…しつこい勧誘がなければな」

『ははは』

 

 

やめる気ないなこやつ。

…ま、今までの経験則で、止めるとも思っていないが。

 

 

「…分かったよ」

『ん?』

「FGO、インストールしてみるよ。話題の種にはなるだろ?」

『マジで!?』

 

 

実際、少しは興味あったし。

最近夢中になれることが減りつつあったから丁度いい。

 

 

「てなわけで、だ。色々調べてからインストールしたりするから、電話切るぞ」

『相変わらずだなー。事前知識なしで初めてみりゃいいじゃん』

「事前に推しキャラは決めておきたい」

『まーいいや、了解。ま、すぐには手に入らないかもだけど頑張ってみ』

「低レアならそうでもないんじゃねえの?」

『結構期間限定が多いんだよ』

「なるほどな…」

 

 

そう言って電話を切ろうとする。

 

 

『あ、おい!』

「…なんだよ?」

『明日はFGOの話題で盛り上がろうぜ?先輩としていろいろ教えてやんよ』

「……反面教師にしてやるぜ」

『なんでだよ!?……んじゃ、またな』

 

 

主に課金に関しては反面教師だろ、と心の中で突っ込んでおく。

そんなこんなで、通話を切る。

 

 

「…さて」

 

 

んじゃ改めて事前調査と行きますか。

 

 

………

 

……

 

 

 

「…やっべ」

 

 

事前調査、とはいっても基本的にネタバレは見ない。

攻略サイトを検索して探し、キャラクター一覧を見ただけ。

それ以外のシステムは何も見ていない。

そのはずだったのだが。

 

 

「……数多すぎだろ、あれ」

 

 

それなりに長く続いているからか、キャラクターの数が半端なかった。

おかげでざっくり見るはずだったのに、それだけで時間がかかってしまい、気づけば日も落ち結構いい時間。

そんな中で、直感的に、というのか、妙に『刺さる』キャラクターがいた。

そのキャラを推しとして始めよう、と決めたのが、この時間となってしまった。

 

 

「そろそろインストールしますかね」

 

 

スマホを操作し、ダウンロードする。

ダウンロードして起動した後もおそらくデータダウンロードがあるのだろうと思いながら。

仕方ないといえば仕方ないが、ゲームはその時間がかかるのが欠点かな、とは思う。

時間がかかりそうなので、先に風呂に入って、寝るだけにしてしまおう。

そう思い、スマホを部屋に放置し、部屋を後にした。

 

 

………

 

……

 

 

 

そうして、色々と終わらせ、寝るだけになった暇な時間。

なんだかんだやっているうちに時間が経ったのか、ダウンロードは終了していた。

 

 

「……ん?」

 

 

終わったのかと思い、スマホを手に取ると。

 

 

「珍しいな…こんなことを聞かれるのか」

 

 

真っ黒な画面の中に、FGO特有のメッセージ表示なのか、青い柄の背景に白文字でメッセージが表示されていた。

そこには。

 

 

「『あなたの一番の推しサーヴァントを選択してください』か…サーヴァントってキャラクターのこと…だよな」

 

 

珍しい質問をするのだなと思いつつ、画面を進める。

すると、限定も含めてだろうか、非常にたくさんのキャラクターの顔アイコンがぎっしりとタイル状に並んで表示される。

……こんなこと聞かれるんだったら、事前調査しといてよかった、と思う。

というか、事前調査なしじゃ無理だろこれ、どうなってるんだ。

 

 

「…ま、いいか」

 

 

疑問を捨て、先ほど見つけた推しキャラを選択する。

 

 

「『次点での推しサーヴァントを選択してください』…まだ聞くんかい」

 

 

始まるかと思ったらまだ始まらない。

まだ何かダウンロードしていて、その時間潰しのコンテンツだろうか。

よくわからないが、とりあえず直感で回答をしながらゲーム開始を待つのだった。

 

 

………

 

……

 

 

 

そんなこんなで、質問に答え。

 

 

「終わった…」

 

 

ベッドの掛布団の上にうつ伏せに寝転がりながら、軽く伸びをする。

なんだかんだで10以上の質問に答えていた気がする。

 

 

「…ん?ようやくか……」

 

 

軽く欠伸をしながら、画面を見る。

少し眠くなってきたが、タイトル画面に入ればこっちのもんで、ゲームを開始するために画面をタップする。

すると、特有の効果音を鳴らしながら、画面がブラックアウトし、Loading...の画面が表示される。

そしてまもなく、その画面が終わった。

その瞬間。

 

 

「っ…眩しっ!」

 

 

突然スマホ、というかゲーム画面が強く光り、思わず目を瞑る。

反射的に目を庇うように腕で目元を隠す。

 

 

 

――塩基配列…ヒトゲノムと確認

 

――霊基属性…善性・中立と確認

 

 

 

―――…ようこそ、人類の未来を語る資料館へ。

 

 

そんな声が、頭を過る。

目の前は、暗い。

自分が眼を開いているのか、閉じているのかも分からない。

 

 

…足元も安定しない。

かといって、不安定というわけでもない、不思議な感覚に捉われながら。

 

 

――ここは、人理継続保障機関、カルデア。

 

――どうぞ、善き時間をお過ごしください。

 

 

無機質な声に流されるように、身を任せていた。

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