FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
不和
そうして、カルデアに戻ってからは、色々と立て込んだ。
まず第一に、特異点修復をしたが、それを喜ぶ雰囲気ではなかった。
「……」
藤丸と所長は何とも言いづらそうだった。
無理もない、のかもしれない。
結局のところ、構図的には、倒すべき相手に加担した藤丸と、その彼女の動きを補助した所長。
言ってしまえば二人は、特異点の修復を妨害した、という見方になってしまう。
「……まずは、貴方には謝罪を。貴方達は特異点修復に正しく動いていたのに、私が邪魔をしてしまった」
申し訳ありませんでした、と頭を下げられる。
俺はそこまで気にしているわけではないのだが。
「俺は別に…」
「気を遣う必要はないわマスターちゃん。こいつらのせいで余計な手間がかかったのは事実だもの」
「っ…」
ジャンヌの言葉に所長は言葉を詰まらせる。
話が一区切りついたのを見てか、今度は。
「……我が夫が聖女と戦っている間、貴様達は何をしていたのだ」
モルガンが問い詰めた対象は、藤丸。
モルガンに任せて離れてしまったので事情を承知しているわけではないが、あの時駆けつけてくれていたから、おそらくモルガンは藤丸達を抑えたのだろう。
ただ、話を聞く限りは再起不能にするまでではなかったようだが。
「マスターを責めないでください、モルガンさん。マスターは…」
「…マシュ」
「っ…」
藤丸を庇おうとしたのか、マシュが反論したが、藤丸が止める。
「…マスターがこの体たらくでは、どうにもならないな」
「貴女は…!」
吐き捨てるモルガンに、アルトリアが反論しようとする。
しかし、それを遮るように。
「貴様も貴様だ、アルトリア。マスターがこの状態でありながら、お前は何をしていたのだ」
「く…」
「一度負けた程度で膝をついて立ち上がれないマスターに、そんなマスターに手を差し伸べもしないサーヴァント共…か」
呆れたようなモルガンに、事実だけに反論できない藤丸のサーヴァント達。
「……私にあれだけの啖呵を切りながら、何も反論しないとはな」
見るからに、反論しないのではなく、出来ないのではないか。
特異点修復、もとい聖杯の回収という絶対的な結果をジャンヌと共に残した以上、反論すれば悪になってしまうから。
ただ、そこまで言うと余計に拗れそうだったので、言わなかったが。
「まぁまぁ、あまり虐めないでおくれよ。共に戦う仲間なんだから、さ」
「…レオナルド・ダ・ヴィンチ」
「堅苦しいなぁ君は。ダヴィンチちゃんでもいいんだぜ?」
ダヴィンチが間を取り持つように入ってくる。
「ま、とりあえず今日のところは落ち着いてもらったほうがいいんじゃないかな?特異点修復も疲れたろうし」
「…そうね」
ダヴィンチの言葉に同意する所長。
とりあえずは解散となるか。
「…っと、そうだ。モルガンは念のためちょっと残ってほしい」
「何か」
「特異点の中で霊基が変質したろう?何か問題があるといけないから検査をさせてほしいだけども」
ダヴィンチの話を受け、モルガンがちら、とこちらを見る。
こちらの判断待ちなのだろうか。
「…何があったかは分からないが、懸念があるなら見てもらった方がいいのではないか?何かあってからでは遅いだろう」
「我が夫が…そういうのならば」
実際、何かあっては困るからな。
その意図を汲んでか、溜息交じりにダヴィンチの言葉に従うモルガン。
「…あと、貴方に一つ頼みがあるの」
「?」
所長の頼み、か。
「今回の特異点であったことを、聞かせてもらえるかしら。通信が繋がらなかったのもあるから、いくつか聞いておきたいの」
「…分かった。今からか?」
「まずは休んでちょうだい。話は後でもいいから」
所長の言葉に頷く。
とりあえず、明日にでも話をするようになるか。
下手に時間を空けすぎると、記憶は薄れるだろう。
「…行きましょうマスター。まずは休むべきだわ」
「?…あぁ」
袖を引っ張るジャンヌに連れられるように、部屋に戻る。
早く、という意思があるかのように引っ張られ。
「お、おい……」
何かを言うこともなく、部屋を後にする。
というより、させられる。
所長と藤丸とは、後でよく話しておく必要がありそうだとか、そんなことを考えながらジャンヌに引っ張られる。