FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
弊デアでは、邪ンヌLv120の宝具Lv10になりました。
完全体つおい。
そんなこんなで。
スタッフ達に事情説明と、所長権限を活用し、シミュレータを使用させてもらうこととなった。
「……」
カルデアの外のような雪景色とは無縁な、一面に広がる草原。
言ってしまえば、それ以外には何もなく、青空と水平線があるのみ。
所長が先導し、その後ろに俺が続き、近くにジャンヌとモルガンが控えるという立ち位置。
「さ、始めましょう……どうしたの、そんなぼんやりして」
「いや…」
なんというか。
「…俺が頼んだとはいえ、ここまで大それた事をしてもらったことに罪悪感というか」
「……あぁ」
申し訳なさから思った事を言うと、所長は溜息。
何を今更、といったところなのだろう。
「気にすることではないわ…むしろマスターとしての意識が出てきたのかと評価しているくらい」
私が言えた立場かどうかはさておき、と付け加えながら言う。
そんなことはない、といえる立場でもないので、何も言わなかったが。
「…さて、じゃあ始めましょうか」
「あぁ」
こうして、所長指導の下で訓練が始まった。
………
……
…
それからどれ位時間が経っただろうか。
体感的に考えようにも、シミュレータだからなのか空の様子が変化するわけでもないため、時間間隔が掴めない。
更に言えば、同じくシミュレータだからなのか、そもそも魔術の訓練というものだからなのか、それほど疲れを感じていない。
だから余計に分からなかったのだが。
「……?」
ふと、ジャンヌに腕をつかまれる。
ジャンヌの方を見れば、視線はこちらをじっと見つめていた。
「…そこまでよ、マスターちゃん。これ以上は体を壊しかねない」
「ジャンヌ?…いや、そこまで疲れは…」
ない、と言いたかったがジャンヌの視線が少しきつくなり、それ以上は言えなかった。
「……そうね」
ジャンヌの言葉に同意したのは所長だった。
「おそらく、今の貴方はそこまで疲れを感じていないかもしれないけど、おそらく戻ったら疲れが一気に来るわ。こういうことが初めてなのだから尚更、ね」
そういうものかとも思ったが、そう言われてしまってはどうしようもない。
「最初に言ったはず。すぐには無理でも、って。あまり焦っては駄目よ」
「…分かった」
俺の返事に所長は頷き。
「…じゃあ、今日はここまでね。今日はもう休みなさい」
所長のその言葉を最後に、まるでレイシフトをするときのような感覚とともに、現実に戻ることとなった。
そうして、改めて現実で体を起こそうとした瞬間。
「っ…!?」
立ち上がろうとした瞬間に、足の力が抜け転びそうになる。
すぐにジャンヌが支えてくれたので、何事もなく済んだが。
「…だから言ったでしょう」
溜息交じりのジャンヌに支えられ、何も言えなくなる。
実際言っていた通りだったから。
「…すまない」
「そう思うなら今日はもう休みなさい」
そういえば。
「…モルガンはどうした?姿が見えないが」
ジャンヌに支えられながら見回すが、先程から姿が見えない。
尋ねるとジャンヌはあぁ、と思い出したように。
「霊体化するそうよ。ここで姿を保つには相応にマスターに負担をかけるからって」
「…そうか」
何かあったわけでないのなら良かった。
そんなこんなで、ふらつきを支えてもらいながら廊下を歩く。
「…さ、着いたわ」
思いの外部屋の近くまで来ていたのか、すぐに部屋に着き。
「世話をかける…」
「全くよ」
やれやれといった感じのジャンヌに、ただ笑うしかない。
しかし。
「…けど、私に責任がないわけじゃないから」
「ジャンヌ?」
ベッドに寝かせられ、布団を被せられながら、しんみり話すジャンヌに視線を向ける。
「あの時、事情はどうあれ、私はマスターを守れなかった」
長くなったジャンヌの髪に、俯いた表情が覆われ、表情が伺えない。
「貴方が戦う力がないことを分かっていたのに。あの時の貴方には、私しかいなかったのに…私は」
ジルもいたと思うが、と突っ込むのは、流石に野暮すぎると思い言わない。
「…私は、敵を倒すことばかりで、貴方を守ることを放棄してしまった」
「それは…」
違う、と否定しようとした。
しかし。
「私は自分のことばかりで、貴方を蔑ろにした。貴方を守るって、決めたはずだったのに…!その為に私は今、ここにいるのに、私は……!!」
「…っジャンヌ」
感極まったのか、感情が爆発したのか止まらないジャンヌを止めるように、彼女の腕を引き寄せる。
流石に起き上がる余力はなかったので、ジャンヌが覆い被さってくる形になるが、気にしない。
「…もういい」
「けど…!」
これ以上、ジャンヌが自身を責める姿を見たくなかった。
そのためには、抱き寄せるくらいしか思いつかなかった。
「今、俺はここでこうして生きて、ジャンヌと共にいる」
「……」
「…これでは、足りないのか?」
問いかけると、ジャンヌは少しだけ静かに身を寄せる。
身を摺り寄せてくる様子は小動物のようだった。
「…温かい」
「そうか」
「生きてるから、なのよね」
「…あぁ、そうだな」
「ん……」
俺からすればジャンヌも温かい。
互いの熱を感じると、こうも落ち着くものなのだろうか。
「…ね、マスター。一つだけ…我儘、言わせて」
「俺に聞ける範囲ならな」
「問題ないわ…今日は、ここで一緒に寝たい」
恥ずかしいのだが、今のこの様子のジャンヌを突き放すことはしたくなかったので。
「…防具は外してくれると助かる」
そう、苦し紛れに言う。
すると、大分落ち着いたのか、普段の様子で。
「……えっち」
「…おい」
そういう意味じゃないのだが。
けれどジャンヌもそれを分かっていたのか、軽く笑い。
「冗談です。けど…女に脱げっていうのは、ね」
「…気を付ける」
「マスターになら別にいいですけどね?」
言葉に詰まる。
そんな、いつもの調子のジャンヌと。
「…魔女だな」
「えぇ、そうですとも」
そんな感じで互いの温もりを感じながら、明かりを消した部屋の中で眠りに就いた。