FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
そして、もう一枚の呼符。
先程と同じようにやれば、召喚は出来るのだろう。
そう思い、呼符をかざそうとした瞬間。
「……?」
ふ、と目の前が一瞬暗くなる間隔。
空いている方の手で眉間を押さえる。
「…マスター?」
その様子に違和感を感じたか、ジャンヌが声をかけてくる。
眩暈のようにも感じたが、ほんの一瞬だったので。
「どうかしたの?」
「いや…何でもない」
ただの立ち眩みだろう。
そう、ジャンヌにも返す。
ジャンヌもそれで納得したのか、それ以上は追及しなかった。
「……ん」
一度息を吐き、再度前を見る。
今度は先程のような眩暈はなかった。
「さて…」
一悶着あったが、再度呼符をかざす。
すると呼符が消え、再度召喚の光が立ち上る。
流石に四度目ともなると、徐々に慣れも出てくる。
ジャンヌを召喚したときはやや特殊だったので、実質三回目だろうか。
どっちでもいいが。
「……」
光が収まり、その場に姿を現したのは。
ある意味では想像通りというべきか。
「おーマスター。召喚してくれたんだー」
ありがとー、なんて気軽に話しかけてくる彼女は、既に知っている相手だった。
彼女の名は。
「…久しいか、リリス」
「いやー、久しいってほどでもないっしょ?」
リリス。
あの時、彼女がいなければ俺は、きっとここには戻ってこれなかっただろう。
その意味では、彼女は命の恩人にあたる。
そんな彼女は、面白い冗談と言わんばかりに笑っている。
「……んで?マスターが死にかけたっていう時に何も出来なかった無能さんはそちら?」
言いながら、笑顔を崩さず、けれどその視線をジャンヌ達に向ける。
状況を知っているジャンヌとモルガン、特に俺が刺された瞬間から近くにいたジャンヌは苦虫を噛み潰したような表情になる。
反論しようにも、出来ない。
そんな表情だった。
「…おい、リリス」
「マスターはちょっと黙ってて。これは凄く大事な話だから」
どこかまずい空気だと感じ、リリスを宥めようとするが突っ撥ねられる。
俺の制止を振り切り、リリスはジャンヌに近づくと。
「…『
魔力を込め、たった一言。
その瞬間、吹き荒れる暴風ともいえる嵐。
「う、ぐ……!」
不意のリリスの行動に呻くジャンヌ。
ふらついたジャンヌの胸倉を容赦なく掴み上げ。
「…何であの時、すぐに呼び戻そうとしなかった!」
激昂するリリス。
「お前はあの時、マスターを放って何かをしていた。何をしていたかはアテシは知らない。けど、マスターを呼びかけずにそれをしたということは、マスターを助けることを二の次にした」
「…違う!」
「何が違う!」
「っ…」
うろ覚えではあるが、あの時は周りに敵が多くいた状況だった。
あの状況では、助けることを優先することは出来なかっただろう。
それは間違いない。
それを伝えて仲裁しようと動こうとしたら、誰かに止められる。
「…待ちなさい、我が夫」
「モルガン…?」
モルガンに手で制される。
見れば、リリスとジャンヌが言い合いをしている方を見ていた。
「おそらく我が夫が呼んだあれは、ある程度分かっているはず。その上で問うているのだ」
「…そうなのか?」
「あぁ……あいつは『死にかけた』と言ったな。ならば、命を害する何かとジャンヌが戦っていたということは察しているはず」
こちらが足を止めたのを確認してか、制止するためにこちらに伸ばしていた手を下ろしながらジャンヌを見て。
「ジャンヌは
そんなモルガンの言葉を聞きながらジャンヌの方に視線を戻す。
すると、ジャンヌは少しだけ俯いていた。
「…分かってるわよ。実際あの時はマスターを守り切れなかった…私が弱かったから」
おそらくジャンヌが言う弱さとは、力の弱さではないだろう。
どちらかというと精神的な部分…だと思う。
あるいはそれを踏まえた両方と思っているのか。
実際のところはジャンヌにしか分からない。
「…けど、私はここに来て、マスターと再会して、決めたのよ。今の私のままで…私のやり方で、私はマスターを守る」
そうすることしか、私には出来ないから。
互いの表情はこちらからでは窺い知れないが、何を思ったか。
「…ふーん」
リリスはジャンヌを解放する。
掴まれていたことによる支えを失ったジャンヌは一瞬ふらつくが、すぐに持ち直し、服を整える。
そんなジャンヌに興味を失ったか、リリスはこちらに振り返り。
「ま、改めまして。アテシはリリス…マスターは覚えて…は、いない?あ、そう。メソポタミアに出てくる…精霊的な感じのアレ…ってね」
柔和な笑みに見えるそれは、何も知らなければ純粋な笑みに見えただろう。
しかし、今の光景を見た後となれば、少しばかり裏を感じるのだが。
「…大丈夫だよ、マスター。アテシは何があってもマスターを裏切らない。何よりも第一にマスターのことを守ったげるから…ね?」
「あ、あぁ…」
「マスターがたとえあのまま死んでいたとしても、絶対に見送ってはやらない。その時は自分の霊核を砕いて、一緒に死んであげる…死んでも一緒だよ」
ね?と、小首を傾げる様子は実に可愛らしい…のだが。
とりあえず、所長には心の中で謝るとしよう。
「っ……」
物凄く睨まれてることだけはとりあえず理解。
とりあえず、所長の言葉を無視するような召喚をしてしまって、すみま
――――