FGO ~ Loopback Against the Order ~ 作:アルタナ
部屋に戻る。
「……ということだそうだ」
一通り、所長から聞いた話をサーヴァント達に伝える。
「藤丸との共闘はさせない、か。まぁ妥当ね」
ジャンヌが腕を組んで頷く。
さも当然、といわんばかりだった。
「…違いない。あれの粗相でまた復讐者に変異しても面倒だしな」
皮肉込みのモルガン。
その現場を実際見ていたわけではないが、戻ってから検査を受けたと聞いたし、大変だったらしい。
そう考えると、今回同行を頼むのは酷というもの、か。
「…言っておくが、我が夫。そんな理由だけでこの私を候補から外すなどと考えてくれるな」
しかし、釘を刺される。
考えを先読みしたといわんばかりのその言葉に息が一瞬詰まる。
「何故分かった、と言いたそうだが、分からないと思ったか。この私が…夫であるお前の言葉を」
両手を上げ、降参のポーズ。
しかし、真面目な話、考えなければならない。
「…今回の特異点、誰を同行させるか、だな」
彦斎に言われ、頷く。
「別に自分を売り込むつもりはない。ただ、私は行く価値はあると思う…同郷、だから」
「あぁ…それは考えた」
世の中いくら国際化が進んでいるとはいえ、流石に同郷の者がいるのは心強い。
そうなると一人は確定だが。
「もう一人は…」
やはり一番共に戦ってきたジャンヌだろうか。
そう考えていると。
「そういうことなら、アテシ…いーかな?」
「リリス」
リリスが手を挙げる。
特段拒否をする理由はないが。
「…理由を聞いても?」
「んー…女の勘、ってやつ?」
理由を尋ねると笑顔でそんな風に返す。
「あなた、そんなふざけた理由で…!」
「ふざけてこんな事言うほど、アテシは落ちぶれてないよ」
激昂しかけたジャンヌにリリスは冷静に返す。
その表情からは笑みが消えている。
「…私たちがオルレアンでマスターを守れなかったから、かしら」
「そうだと言ったら、どうする?」
悔しそうに言うジャンヌに、リリスは質問で返す。
しかし、ふっと表情を崩し。
「安心しなって。それが理由じゃないよ」
「…ならば何故なのか聞かせてもらおうか」
モルガンの詰める問いに。
「本当に直観。けど……嫌な予感だけはしてる。少なくとも、このままマスターをこの特異点に見送るわけにはいかない。そう思ってる」
「……それを、信じろと?」
「信じてもらうしかない」
少しばかり緊張した空気。
リリスのいう、嫌な予感、というものが何なのかは俺にも分からないが。
「…なら、今回は彦斎とリリスの二人に同行してもらおうと思う」
彼女らを信用するとしよう。
「それと、所長から聞いたが、特異点からもサーヴァントを一時的に呼び出したりはできるらしいが、おそらくそれは行わない」
俺の事情があるからな。
そのことに関しては全員納得し。
「…だから、今回は最後まで、二人に頼ることになる」
「問題ない」
「任せて」
二人は頷いてくれた。
「……一応、言っとくわ。もしマスターに何かあったら」
「その仮定は意味がない」
釘を刺すジャンヌの言葉を遮る彦斎。
その目は、獲物を射抜かんとするほどの鋭さを見せていた。
「マスターに迫る危険は、全て、私が切り伏せる」
「…ふん」
…正直なところ、不安がないとは言わない。
だが、その不安を見せることは、二人を信用しないのと同じこと。
こうしてここにいてくれる彼女らに対し、そんな事が出来るわけはない。
…だからこそ、余計な不安は押し殺して、前に進まなければ。